2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
提供:株式会社リクルートホールディングス
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司会者:株式会社リクルートマーケティングパートナーズ、代表取締役社長の山口文洋様より、「経営戦略ど真ん中でのワークスタイル変革」と題してお話いただきます。
山口様はITベンチャー企業を経て、2006年にリクルートに入社。昨年、リクルートマーケティングパートナーズの代表取締役社長に就任し、人生のライフイベントに関わるビジネスを展開して、ご活躍中です。それでは山口様、お願いいたします。
(会場拍手)
山口文洋氏(以下、山口):みなさん、こんにちは。リクルートマーケティングパートナーズの山口と申します。
弊社は、経営戦略のど真ん中で、ワークスタイル変革にこの1年半チャレンジしてきました。私からは、そのチャレンジ事例として、今日の45分間で、そのエッセンスや私たちが葛藤したポイントなどについて、共有させていただければと思います。
自己紹介ですが、38歳です。現在のリクルートマーケティングパートナーズの社長には、1年半前に就任いたしました。まだ新米経営者でございます。
まず弊社の簡単なご紹介をいたしますと、リクルートグループは今、全世界でいろいろな事業を展開させていただいておりまして、売上は約1兆6,000億円。そして、海外の売上が4割強にいたるようなグローバル企業に、どんどん進化しております。
そのなかでも私がいるのは、リクルートマーケティングパートナーズです。実はリクルートは、4年前にホールディングス形態になりまして、会社を分社化しています。
国内でいいますと、主要7社に分社化をしておりまして、その1つを私が担当しています。
ワークスタイル変革の話に入る前に、どういった会社がチャレンジしたのかということで、簡単に弊社のサービスをみなさまにご紹介させていただければと思います。
おそらく、みなさんが一番知っていらっしゃるサービスだと、「ゼクシィ」かと思います。婚活から結婚にいたるところの情報提供、もしくは意思決定支援する、情報誌やWebメディアを展開しております。
そして、女性が結婚した後の妊娠・出産・育児支援領域では、「赤すぐ」「妊すぐ」といった情報誌やWebメディアも展開しております。
そして、お子さんが小学生・中学生・高校生になったときの、大学・専門学校に行くような進路意思決定や、日々の学習支援というかたちで、オンライン学習サービスも提供しております。
そして、そのオンライン学習サービスは昨今では、世界8ヶ国で展開しています。私は、こちらの会社のチェアマンも務めています。
そして、大学を出た後、社会人になって、シニアになっても生涯学習をしていくなかで、いろんな資格をとり、お稽古を受けることもあると思います。そちらは「ケイコとマナブ」というサービスで、社会人の生涯教育支援をするサービスも運営しています。
家、住宅に並ぶ人生のなかでの高額な意思決定である「自動車」購入支援の情報提供も「カーセンサー」というサービスで提供しております。
まとめますと、我々はリクルートグループのなかで、出会いから始まり、結婚、妊活、出産、子育て、教育から進学。また、それらのライフイベントに寄り添うカーライフというところまで含めて、「ライフイベント」における意思決定を支援するサービスを提供している会社です。
今回のワークスタイルの対象は約1,400名の社員です。「リクルートは若い会社」という認知もされていると思います。実際、50代の方は1%程度しかおらず、40代の方が10%、20代、30代で約45%パーセントを占める会社でございます。
そして、ゼクシィや教育、子育てのサービス運営をしていることもあり、女性社員の比率が非常に高い会社でもあります。約6割が女性社員です。管理職のうち約4割が女性で、そのなかの約1割はワーキングマザーです。
このような会社が今回、ワークスタイル変革にチャレンジをしていくことになります。
今日、私がお伝えしたいことは4つです。実践してみたなかで、私なりに感じた「肝はここだ」というところを、みなさんに伝えさせていただきたいと思っております。
1つ目は、ワークスタイル変革を始める際の、「目的の明確化」の大切さです。なぜやるのかというWhyがないとHowが独り歩きします。結果として、「福利厚生の強化の一環ですか?」というような勘違いもされてしまいます。
2つ目、そのワークスタイル変革の実践には、「現場のワガゴト化」が大事です。経営陣だけでいつまでも総論の議論をしていてもダメで、現場を巻き込むことが非常に大切です。
3つ目、ワークスタイル変革を成功させるためには、目的の明確化と現場を巻き込むことに加え、同時にそれを実行推進できる「人事と総務とIT戦略の立案と打ち手」が求められると思います。
そして最後、せっかく取り組むのならば、不確実な10年後、20年後の未来に立ち向かうための新しい変革が生まれやすい企業のカルチャーづくり、風土づくりを同時にやっていくのが、さらなる効果を生むと考えています。この辺りも含めて変革の1年半をみなさまに共有させていただきたいと思います。
リクルートマーケティングパートナーズ、もしくはリクルートグループでも今、ワークスタイル変革に積極的に取り組んでいるのですが、「じゃあ、なぜこれを始めたのか?」という、5つの背景をお話させていただきたいと思います。
1つ目は、「なぜワークスタイル変革に取り組むのか」ですが、リクルートグループの経営理念やDNAが色濃く影響していると思ってます。
我々の会社は、経営理念やリクルートウェイのような大切な考え方のなか、そして人材マネジメントポリシー、リクルート創業者の江副の言葉のなかにも、「会社の持続的成長の源泉は人にある、従業員にある」という言葉があります。
そして、その従業員の「個の尊重をしよう」と、理念でもウェイでも創業者の言葉のなかでも、そして人材マネジメントポリシーでも掲げています。
では今、従業員の「個の尊重」を最大限できる仕組みがきちんと整備されているのかというと、そうではないということが、変革の大前提にございます。
そして、私自身のリクルートおける原体験もあります。実は私は新卒ではなくて中途採用で、リクルートに入社しています。
私はリクルートのなかで多様な仲間を集めて、「スタディサプリ」というオンライン教育サービスを、ゼロから立ち上げています。
非常にダイバーシティなチームだったからこそ、それができたという私自身の原体験です。そして、今はさらにそれを世界に広めるために「Quipper」というロンドンのオンライン教育サービスのベンチャー企業をM&Aしました。
そして、この1年半を通して、8ヶ国のメンバー、そして5拠点のグローバルマネジメントへ挑戦しているなかで、やはり人との働き方はリアルでなくバーチャルのリモートでも、コミュニケーションが取れるんだというところに、自分の原体験がございます。
そして、弊社の現状を少しご紹介します。リクルートグループといいますと、非常に長きにわたって右肩成長している高収益な事業というような印象を、みなさん持たれると思います。
そのなかでこのリクルートマーケティングパートナーズという会社は、ゼクシィやカーセンサーといった既存事業、それぞれマーケットが成熟して少しずつ縮小均衡に入り始めているなかで、会社全体としての成長を図るためには、多くの新規事業を創出していかなくてはいけない。
事業ポートフォリオを移管していかなくてはならないということが、もう一方での経営命題となっております。新しい価値創造が社内から生まれやすい環境、カルチャーを作る必要性があります。
そして、我々の事業ドメインというのは、ライフイベント領域です。人生の大きなライフイベントの意思決定に伴走して、人生のしあわせの総量を少しでも増やしていく、ということを会社の経営理念に置いております。
運命の人と出会って恋をして結婚し、子どもが生まれ、そしてその子どもが教育を受け、やがて大人になっていき、さらに人は学び続けていく。ここにいかに伴走できるか。それが弊社の命題で、特に「女性」と「若者」を支援する会社でありたいと考えています。
先ほどご紹介した通り、リクルートマーケティングパートナーズは女性社員が非常に多く、そして、ワーキングマザーの比率も年々上昇しています。我々のサービスの1カスタマーでもある「女性」、特にワーキングマザーにとって、より働きやすい環境にしていくのは緊急の課題でした。そして彼女たちの持っている原体験もしくは感覚を事業や仕事にフィードバックしていきたいという想いもございます。
「人生のしあわせの総量を増やす」というビジョンを掲げ、人々の幸せを考える会社だとするならば、まずは社員自身がワークとライフのバランスをとり、幸せな働き方、幸せな人生の過ごし方を一人ひとり模索しなくてはならないと、私は考えています。幸せじゃない社員が、一体どうやって人さまの幸せに手を差し伸べていけるというのか。
こういった矛盾があってはならないということで、あらためて社員一人ひとりの幸せな働き方と、プライベートの過ごし方を考えていく必要があるのかな、と。
以上5つの視点を、このワークスタイル変革を経営戦略のど真ん中に置き、ブレることなく先頭に立って推し進めていくため、自分なりの覚悟をしました。
ワークスタイル変革に1年半前から取り組んでいるわけなのですが、まず目的の明確化が非常に大切です。
この「ワークスタイル変革」という言葉、百人百様の解釈が生まれやすい言葉です。社内に「ワークスタイルを変革するぞ」と伝えたときにも、社員は人によって本当にさまざまな捉え方をしました。「目的というものを改めてシンプルに言い切る」ということの重要性を、私自身非常に感じています。
「リクルートマーケティングパートナーズは、なんのためにワークスタイル変革をするんですか?」と聞かれたら、「それは持続的な会社の成長だよ」と、私はシンプルに言い切りました。「売上と利益が伸びること」「福利厚生のためではない」と。
この持続的な会社の成長をさせるためには、弊社の状況においては2つポイントがあります。1つ目は、成熟した既存事業において生産性を改善していくこと。そして2つ目は、その生産性改善で生まれた時間でイノベーティブな新規事業、新商品、顧客に対する新しい提案をしていくこと。この2つを掲げました。
そして、このワークスタイル変革を実践するために、「個を尊重した新しい会社の仕組みにしていくよ」と社員に語りかけました。
そして、持続的な会社の成長のために、成熟した既存事業の生産性改善としてはとにかく「無駄な業務を捨てましょう」「無駄な時間を捨てましょう」と話しました。
そして、時間を創出したら、それをイノベーティブな新たな価値創造ということで、仕事につながる自己研鑚をするもよし、多様なライフスタイルがあるので、そのプライベートとのバランスをその時間で作るもよし、と話しました。
その自己研鑚やライフとのバランスをもってして、新たな顧客提案、新商品開発、もしくは新たなビジネスの創出をしていきましょうと。
この両輪が回ってはじめて、会社の持続的成長がなされていくよねと、さらに目的をロジックツリーのように明確化しました。
そして、この目的の明確化のなかで現場を巻き込んでいくんですが、私は1つ失敗をしました。私が1年半前に社長に就任したときのことです。当時はどちらかというと、この方程式に当てはめたときに、最初に「持続的な会社の成長ですよ」という目的をあまり強調せずに、「無駄なことやめましょう」「無駄な時間を捨てましょう」「だから、リモートワークやりましょう」と伝えてしまった。
もしくは、「余った時間を作って、新しいビジネスを作っていきましょう」「自己研鑚とかプライベートを充実させてください」という、どちらかというと、Whyがないなかで、新しさだけが残るHowのところを強調し続けてしまいました。
その結果、社員に誤解を生んでしまいました。「これは何のためにやってるんですか?」「福利厚生の強化なんですか?」「だったら、こんなこともやってくださいよ」というように、目的なきなかの権利主張のし合いみたいになってしまいました。このままではマズイと感じ、すぐに巻き直しまして、改めてコミュニケーションの強化を図りました。
それはなにか。目的をもう1度強調したのです。「これは福利厚生ではありません。持続的な会社の業績成長のためにやります。一番大切なことはリモートワークをやることではなくて、今の無駄を捨てることです」。
「無駄を捨てて、既存事業のなかでの顧客提案やとか新商品のような、事業の強化につながることをやりましょう」というふうに、まずは当たり前のことだけを強調しました。
「ちなみに、私の場合は自分の生産性を高めようと思ったときには、リモートワークはあえてしません」というぐらい強いメッセージも話しました。それが生産性を上げるベストの手段なら、リモートワークというHowを取り入れてください。ただ、それが生産性の改善にならないとするならば、そのHowは取り入れなくてもいいよ、ということを伝えたかったからです。
このようなかたちで、Whyが大事で、Howは1つのオプションなんだということを、非常に大切にしました。
そして、もう1つわかったことが、やはり会社全体としての総論だけでなく、事業部やグループ、そして職種やエリアに応じて置かれた現状によって、働くことに対する現場の課題や不は異なるということです。
会社として方向性は打ち出すけれど、具体的な生産性を改善していったり、どんな新しいことにチャレンジするのかは、各組織ごとに目標と具体的な打ち手を考えてもらう、というやり方に変えました。
そのなかでまず取り組んだことは、「なぜ今、ワークスタイル変革が会社のなかで主要な経営戦略の1つに挙がってきたのか」という背景を私から、またワークライフバランス社の小室淑恵さんも招き第三者も含めて社員に伝えていきました。「世の中が急速に変わっていく。それに対応していかないと、我々の持続的成長はないぞ」というような社会的視点も、管理職を中心に社員に対して、時間をかけて伝えていきました。
そしてとくに、推進のキーマンである管理職に向けてはWhy、なぜやるのかという目的の腹落ちと、それぞれの組織でそれを実現していくためのHow、個別の打ち手を考えていただくために何度も何度も議論を重ねました。
なぜやるのか。どうやってやるのか。今、兆しは出ているのか。新しい課題はなんなのかということを、毎月のように繰り返し議論をしてきました。
そして、そこで腹落ちして「やるぞ」と決めた、管理職にはそれを現場に持ち帰っていただき、今度は現場の社員を巻き込むように、「だったら、うちの組織では、自分たちの業績を上げるために、どんな無駄をなくして、新しいHowをどういうステップで、目的で取り組んでいこうか」ということを議論し、リモートワークというような新しいHowの活用や、今の無駄を徹底的に捨てる作業をしてもらいました。
こういった、本当に、時間をかけた丁寧な現場の巻き込みをやることによって、会社がなぜ働き方改革をするのか。そして、それは自分にとってどういうことを意味するのかというところの、腹落ち感が少しずつ生まれてきたと思っております。
株式会社リクルートホールディングス
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