海外のFinTech企業と日本を比べて

小澤博史氏(以下、小澤):ありがとうございます。次に海外との対比の話を少しできればと思います。このあとのセッション「FinTech最前線」では海外の会社のみなさんばかりがプレゼンをするということなんですけれど。

海外、とくにUSですかね。そういうところと比べて、みなさんがやっておられるそれぞれの分野で、何が違うのか。どうやったらもっと追いつけるのか。はたまた日本独自、日本初のグローバルサービスみたいなものが出てくるのか。どうやったらそういうものが出てくるのか。そういったところのご意見をいただければと思います。

もちろん環境もいろいろ違って、日本はお金をどんどん貯蓄に回していくというカルチャーだったり、クレジットカードの普及率も違ったり、環境ももちろん違うと思うんですけれど。そういうこともふまえて海外との対比についてご意見いただければと思います。

小林重信氏(以下、小林):先ほどクレジットカード決済比率がまだ2割を切っているという話がありましたが、やはり海外と比べて日本は、すごく現金文化・紙文化だと思うんですね。

これが、例えばクレジットカードでも、ネット決済でも、電子マネーでもいいんですけれど、現金以外の手段であればデータがクラウド化されて、さまざまなサービスと連携される。それこそ会計の連動もできると、便利なことが多いです。

現金と紙がなくならない限りは、このFinTechに代表されるすごく便利なインフラというものがなかなか使いづらいので、なんとか現金の打破というか、紙から脱却というか、それが進められれば、海外並みの便利な決済ができる世の中になっていくんじゃないのかなと思っています。

それを、この新経連でも議論しています。なんとか規制も含めて、打破していければなということを今、考えています。

後発国として新しいかたちを作る

小澤:佐々木さん、お願いします。

佐々木大輔氏(以下、佐々木):おもしろいことに海外のFinTechシーンを見てみると、やっぱりまず最初にスタートアップがワーって出てきて、1回市場を、めちゃめちゃというのは言葉が悪いですけれども、ひっくり返すようなことが起きます。

それに対して、今度は大手のトラディショナルな金融機関がスタートアップと手を組むなり、あるいは本当に競合として参入していくなりということを、例えばゴールドマン・サックスさんもスモールビジネスのレンディングとかに参入されたんでしたっけ? (参入され)るんでしたっけ?

小澤:まだ正式ではないと思いますけれど……。

佐々木:そういう噂があるということだと思うんですけど。

でも、そこで考えてみると、日本はおもしろくて。そこをすっ飛ばして、私たちとかマネーフォワードさんもやっておりますけれど、金融機関と連携して、融資のプロダクトを考えていこうとか。その先に見えているフェーズに、まず1個飛ばすというかたちで出てきているんじゃないかなということを思っていて。

それは、さっき佐藤さんが言ったような、短期的にはバランスシートがある人とそうじゃない人で役割分担しましょうねといったところに、うまく後発だからこそ入ってきてるところはあると思うんですよね。

やはりガラケーみたいなものじゃないですけど、1個先に進んだものがあると、それが負債になるということがあるので。

その最初のスタートアップだけが盛り上がってるフェーズというのが、世界の中ではもうそこまで1巡してしまってるなかで、日本としては、新しいかたちを作っていくということが求められてるんじゃないかなと思います。

お金のあり方は国によってぜんぜん違う

小澤:佐藤さん、お願いします。

佐藤航陽氏(以下、佐藤):私たちも世界中でビジネスをしてるんですが、金融の領域というものはものすごく国によってカルチャーだったり、使い方というものが違うなと思っています。

なので、この領域においては確かにアメリカと中国が先を走ってるように見えますけれども、実際はめちゃくちゃいろんなところにチャンスがあって。例えばクレジットカードって東南アジアとかアフリカみたいな国では、ぜんぜん普及していないので。また、別な決済手段が使われていたり。

あと、アフリカとかだとおもしろいのが、携帯電話にチャージした通話時間を、あたかも通貨のように交換しあったり、それで払ったりってカルチャーがあって。お金のあり方というのはもう世界中でぜんぜん違うんだなと。

なので、どこかの企業が、例えばGoogleとかFacebookみたいに圧勝してしまうということはなかなか起こりにくいんじゃないかなと思ってます。

日本でいうと、韓国と日本だけは電子マネーがすごく進んでいて。逆にアメリカとかだとクーポンのカルチャーが中心なので。電子マネーという領域においては、日本はかなり強みを発揮できるんじゃないかなとは、今、思っています。

「決済はすべてAppleの時代」が来る可能性

小澤:辻さん。

辻庸介氏(以下、辻):あと追加するとすると、やはりコミュニケーションの、Facebookとか、LINEとか、要はコミュニケーションってテキストデータをやりとりしてるだけだと思うんですけど。

貨幣データもテキストなので、基本的にはああいう完全にプラットフォームを捉えた方々が送金サービスするというのは、テクノロジーサイドから見るとすごく自然な流れで。なぜなら、ユーザーにとって最適なUXとかを用意されているので。そういう流れは確実に来るでしょうし。

そうすると、またFacebook、Google、Appleなどで、例えばApple Payが日本で使えるようになって、ハードがAppleなので、それこそ決済は全部Appleですね、みたいな世界観が来る可能性がおそらく高い。

そのなかで、日本という国の中でどう最適化していくかとか、ユーザーの利便性をとっていくかみたいなところは、海外のプレイヤーを無視して、またガラパゴスみたいに作っちゃって、結局スマートフォンのプラットフォーム取れませんでしたね、みたいな話になるのは避けるべきですけれど。

一方で、全部オープンにして取られちゃいましたというのも、戦略としてはどうか、というところなので。

中国みたいに、成長するまでずっと遮断して、すごくでかい企業を作って海外に行くみたいなことも、あれもかなり戦略的です。結果を見れば、いいか悪いかは価値観で別ですけれど、あんな大きな会社が中国から出るというのは、かなり戦略的にやられてるんだろうなとは思います。

企業が通貨を持ちそれぞれの経済圏を築く未来

小澤:ありがとうございます。今、お金のあり方という話が出ましたので、少し脱線してしまうのかもしれないんですけれど。

いわゆる仮想通貨みたいなものについてはみなさんどんなふうにお考えなのか。もしくは将来的にどうなると思ってらっしゃるのか。このへんのご意見をいただければと思うんですけど、いかがでしょうか?

すみません。これ、事前に出してなかった質問なので、突然なんですけど(笑)。佐藤さん、お願いします。

佐藤:仮想通貨に関しては、完全に私の私見なんですけれど、今、国家が為替とか通貨の供給量というのをある程度コントロールしながら、経済そのものをハンドリングしていくというのが一般的だと思います。

今後は企業も自分たちで通貨を発行して経済圏を構築して、じゃあ、どういう経済のあり方というのが一番いいのかということを、各企業ごとに考えなきゃいけなくなるだろうなとは思ってます。

楽天さんとか、LINEさん、あとヤフーさんとか、いろんな企業が自分たちの経済圏、電子マネーを供給していっているので。あのモデルというのは、私は世界に広がっていくんじゃないかなと思ってます。

そのタイミングで、今の中央銀行とか彼らがやってきたことが民間でなぜか必要になるという、逆流の現象が起きてくるのかなと思ってます。それがたぶん20年とかのスパンなのかなと。