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日本・FinTech大国化宣言(全3記事)

2016.08.17

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FinTechで日本のお金はどう変わる? 国内のトップランナーが見据える視線の先

提供:新経済連盟

2016年4月7、8日の2日間にわたって開催された「新経済サミット2016」。「日本・FinTech大国化宣言」をテーマに行われたセッションには、国内でFinTech事業を推進する精鋭企業の代表らが登壇。FinTechが日本のお金の流れをどのように変えていくのか。現在取り組んでいる事業や抱いている大きな野望について話しました。

日本・FinTech大国化宣言

司会者:それでは、ただ今よりSession5「日本・FinTech大国化宣言 日本のお金の流れや決済が変わる」を開始させていただきます。

モデレーターはゴールドマン・サックス証券会社投資銀行部門マネージング・ディレクター、小澤様にお務めいただきます。小澤様、よろしくお願いいたします。

小澤博史氏(以下、小澤):このセッションのテーマは「日本・FinTech大国化宣言」ということで、FinTechで日本のお金の流れや決済が変わるというテーマでディスカッションをさせていただきたいと思います。

さっそくなんですけど、パネリストの方々をご紹介させていただきたいと思います。まず、お金のデザイン取締役COO、北澤様。続きまして、楽天株式会社楽天スマートペイ事業長、小林様。freee株式会社代表取締役、佐々木様。メタップス代表取締役社長CEO、佐藤様。最後に、株式会社マネーフォワード代表取締役社長CEO、辻様でございます。

改めまして、ゴールドマン・サックス証券の小澤と申します。モデレーターを務めさせていただきます。よろしくお願いします。

先ほど冒頭でもお話しさせていただきましたが、このセッションのテーマは「日本・FinTech大国化宣言」。FinTechで、「日本のお金の流れや決済が変わる」ということで、5名のパネリストのみなさんをお迎えして、ディスカッションさせていただければと思ってます。

まず、FinTechという言葉はFinanceとTechnologyの造語ということで、最近は非常に頻繁に使われるようになりましたし、非常に注目を浴びている言葉だと思います。

産業という面でも、この次のセッションでも「FinTech最前線」というセッションがありますが、当然、日本のみならず世界でも非常に注目を浴びている、期待されてる産業ということだと思います。

一方で、FinTechといっても、非常に定義としては幅が広く、いろんなものがあると思います。ですので、今日はこのセッションを通じて、実際にどういうサービスが登場してきてるのかということ。さらには、日本の金融関連サービス、FinTechの世界がどのようになっていくのかというところを、今、まさに最前線でビジネスをやっておられるみなさんのご意見もふまえてディスカッションしていければと思ってます。

まず、各社のみなさまから、どのようなことを実際やっておられるのか、簡単にご説明いただければと思います。まずは、お金のデザインの北澤様からお願いします。

資産運用はすべてロボアドバイザーにお任せ

北澤直氏(以下、北澤):おはようございます。株式会社お金のデザイン取締役COOの北澤でございます。お金のデザインは、FinTechのなかでは、ロボアドバイザーと言われる、いわゆるオンライン型の資産運用サービスを展開しています。

2013年に会社設立をしました。限定版を2014年に公開したあとに、今年(2016年)の2月16日「THEO(テオ)」というブランドネームで、本格バージョンをスタートしました。

ロボアドバイザー、お聞きおよびない方もいらっしゃると思いますけれど、具体的には、オンラインでWebサービスとして資産運用を全部お任せしてしまおうという、そんなサービスでございます。

私たちはETF(Exchange Traded Funds)という上場投資信託を投資対象商品としています。2011年ぐらいから「ロボアドバイザー」という言葉がアメリカなどで始まっていますけれど、そのロボアドバイザーというWebサービスとして資産運用を展開していこう。それも一任運用で展開していこう、というサービスを日本で始めた会社です。

具体的なサービスとしては、弊社のWebサイトに来ていただいて、9つほどの質問に答えていただくと、弊社が開発したアルゴリズムが、お客様が資産運用に対してどういったことを求めているのかということを解析します。そして、世界中で6,000以上あるETFのなかから、お客様に適していると思われる資産運用の構成をご提案申し上げます。

そのあとお客様は申し込み手続き、入金手続きをオンラインでしていただいて。あとはもうなにもしなくてけっこうと。あとはロボアドバイザーがアルゴリズムに基づいて適宜、資産運用を行っていく。リバランスというものだったり、資産内容の組み換えといったものも、お客さまに代わって行う、そんなサービスでございます。

既存サービスと何が変わったか

こういったサービスで、「では、FinTechで既存の運用サービスと何が変わったか」というところなんですけれど、やはり「投資のハードルを下げた」というところがポイントです。

私たちのサービスは、10万円から資産運用をスタートすることができます。あとは、いわゆる手数料も、非常にわかりやすく、1パーセントだけということで、ほかにもうなにも手数料は追加でかかりません。いつでも解約できます。そういった内容のサービスです。

なぜそういったサービスを開始することにしたかというと、やはり、これはアンケートを取った時に、「リスクが低い」とか、「手数料が安い」とか、「少額から運用できる」、こういう当たり前にできてほしいことへの不満感が一般の方々から生じていたと。

資産運用というものは、今まで非常にハードルが高かった。我々は、そのハードルをいかに低くするか、そこに着目して、このロボアドバイザーというサービスを立ち上げました。

結果なんですけども、ちょっとこれ見づらいですけど、このインフォグラフィックの真ん中の上あたり、これはサービス開始して1ヶ月後なんですけれど、実は資産運用を今までやったことがない方が、弊社のお客様の4割以上を占めているということでございます。

これは、一般的に日本では個人の金融資産の53パーセント以上が現預金であると言われていて、「貯蓄から投資へ」と20年ほど言われていてなかなか変わらなかった。こういった環境がロボアドバイザーというサービスを使うことによって、だんだんと変わってきてるのではないかということを我々は肌感として実感しております。以上です。よろしくお願いします。

(会場拍手)

コンパクトなシステムで決済を可能に

小澤:続きまして、小林様、よろしくお願いします。

小林重信氏(以下、小林):お世話になります。楽天のスマートペイをやっております、小林重信と申します。我々のサービスはこういったスマートフォン、それから、それと連動する専用のカードリーダー、それを使ったサービスになります。

どんなサービスか、見ていただいたほうがいいと思いますので、ちょっと動画を用意しました。

(動画流れる)

我々のターゲットは、飲食店とか美容院とか、そういったリアルの中小企業になります。そこに対して、今までだと従来型のすごくでっかいクレジットカード決済端末があったと思うんですが、それが専用のお店のiPadに入ったアプリケーションと小さいカードリーダーで決済ができてしまうという、すごく新しいサービスになります。

このサービスを使うことによって、全6ブランド3.24パーセント一律でクレジットカード決済ができるというサービスです。

百聞は一見にしかずということなので、実際に実演してみようかと思います。ちょっと小澤さんにご協力いただいて。

小澤:ぜひ私、小林さんに買っていただきたものがありまして。これから出るんですけど、辻さんが実は『FinTech入門』という本を発売されます。

(会場拍手)

実際の決済フローをデモンストレーション

辻庸介氏(以下、辻):ありがとうございます。

小澤:4月15日発売です。まさに昨日上がってきたということでホヤホヤなんですけど。ぜひこれを小林さんに買っていただきたいなと思いまして。値段は、辻さんいくらですか?

:1,600円ぐらいですね。

小澤:1,600万円ということで(笑)。

小林:ちょっと高いな。ゴールドマン・サックス単位だと。大丈夫ですか(笑)。

小澤:1,600というのを私が今、入れました。(画面に)映りますか? では、これでいきます。1,600円。

小林:今、その金額に対して、具体的にいくらなのかというのを確認しましたので、決済をします。

以上でございます。非常に早く決済ができたということがおわかりいただけたかと思います。

小澤:お買い上げありがとうございました。

小林:いただきます。

:お買い上げありがとうございます。

(会場拍手)

なぜ日本はクレカ後進国なのか

小林:我々がなぜこれを始めたかということを、簡単に最後申し上げますと、日本はやっぱり、アメリカ、ヨーロッパのみならず、お隣の韓国と比べても、クレジットカード後進国ということがあります。クレジットカード決済比率は20パーセントを切るという状況でございます。

これがなぜなのかと考えたときに、3つ私たちは仮説を持ちました。1つはお店の端末が高い。10万円ぐらいします。手数料率というのが業種規模によって違う。不透明である。そして、入金サイクルが30日、場合によっては60日ぐらいかかる。

こういったところを解決したいと思いまして、実質無料の決済端末と、あとは業種規模を問わずにフラットな料率で、しかも翌日入金。こういったサービスを立ち上げました。

おかげ様で、爆発的な成長を実現しております。どんどん使えるお店が広がっておりまして、こちらにいらっしゃるみなさんのなかでも、実際に使われた方がいらっしゃるんじゃないかなと思います。

楽天グループのなかでは、もうすでにマネタイズするプラットフォーム、カード決済のサービスとか、楽天銀行とかがありまして、だいぶマネタイズが見えてきた。

これからはオープン化戦略ということで、(スライド)左にありますようなiPadのレジを提供していらっしゃる各社様と連携したり。あるいは、今日もいらっしゃっています、freeeさん、マネーフォワードさんといったところと、当然、お客様はこういうインターネットでクラウド化されたところにデータを保存されてますので、連携したかたちですでに使われ始めているということで、どんどん広げていきたいと思っております。

(会場拍手)

会計・給与計算ソフトシェアNo.1「freee」

小澤:ありがとうございます。続きまして、佐々木様、よろしくお願いします。

佐々木大輔氏(以下、佐々木):freeeの佐々木と申します。私たちは、「スモールビジネスに携わるみなさんが創造的な活動にだけフォーカスできるようにしたい」。こういう思いを込めて、小さなビジネス向けのバックオフィス業務を自動化するためのツールを提供しています。

3年ぐらい前に会社を立ち上げているんですけれど、今では従業員200人を超えるようになりました。シリコンバレーのベンチャーキャピタルなどを中心に大型の資金を調達して、運営している会社になります。

具体的にやっていることとしては、小さな会社を設立して、その日々の運営、それから会社が成長していく段階では給与計算とか人事管理というのが必要になってきますので、それを担う給与計算ソフト。そして、マイナンバーの管理をしていくようなツールといったものを展開していて。

とくに会計ソフト・給与計算ソフトというのがコアになるんですが。ここでは共にカテゴリーの中でシェアNo.1というかたちでやらせていただいています。

すでに60万以上の事業所に利用いただいていています。そのなかでもすでに5,400万以上の取引がこのfreeeのなかに登録されていて、さらに5兆円以上の取引がすでにこのなかで記録されている。こういったかたちになってます。

このfreeeで何が新しいかというと、それによって、私たちは銀行やクレジットカードの明細から、機械学習を使って、自動で会計帳簿に変換をしていく。さらにそこに加えて、先ほどあったような楽天スマートペイさんとか、POSレジのデータとか、そういったものと自動で連携したり。あるいは受け取った請求書を自動で支払ったり。

このように、経理の業務全体を自動化できるところが大きな特徴になっているんですけれど、そのなかで今まで累計80万時間以上をすでに節約している。そういった事業を展開してます。

また、さらにその会計ソフトというところを超えて、今では金融機関さんと新しいプロジェクトをやっております。ここでは、freeeに入っている中小企業の会計データ、これをユーザーさんが希望する場合に、銀行と共有することができる。

それによって、銀行さん側でそのデータを与信の審査に使ったり、あるいはモニタリングに使っていくことによって、今までの融資業務のコストを大幅に下げることができる。こういったソリューションを、今、実験的に行っています。

とくに、このなかの北國銀行さんという石川県の銀行さんとは密接に連携をしています。銀行の行員さんが、その県下の取引先さんに、freeeの使い方も含めて、業務効率化の提案をする。

それによって、県下のスモールビジネスのみなさんがすべてデジタルでビジネスを終わせられるような環境を作っていこうと。こういったプロジェクトもあわせて行っています。

こうした草の根から日本をデジタル化していくといったところに取り組んでおります。今日はよろしくお願いいたします。

(会場拍手)

「To be the World's Brain」メタップスのビジョン

小澤:佐々木さん、ありがとうございます。では、続きまして、佐藤様、よろしくお願いします。

佐藤航陽氏(以下、佐藤):株式会社メタップスの佐藤と申します。

私たち2007年からやってきて、もともとがマーケティングの会社です。ちょっと変わってる点としては、世界8拠点で事業を展開していて、売上の過半数以上が日本以外の国から出てます。なので、あまり日本に事業としては依存してない会社かなとは思ってます。

事業内容、実は2つあって。もともとマーケティングから始まっているので、ビッグデータの解析、あとは人工知能を使ってマーケティングを効率化していくこと。新規事業としてFinTech、金融とインターネットの融合の部分をやっていこうということで、事業を2つ展開しています。

トップライン、売上は倍々で伸びてきています。もともとはマーケティングなので、今、世界のスマートフォンの分析としては、約2億人分ぐらいのデータを分析かけて、効率化を行ってきています。

2013年ぐらいから金融をやろうと。私もともとeコマースに携わったことがあって、「オンラインの決済がすごく非効率だよね」という経験があったので、SPIKEという決済のプラットフォームを立ち上げました。

経験上、やはり決済って審査に1ヶ月間かかったり、手数料がすごく高かったりしたので。そこを抜本的に変えていこうということで、まず開始できる、1分で始められる。かつ、無料で使えて初期費用・月額費用もなく使える。一定金額いくまでは手数料も一切発生しない、というモデルを作ろうと思って開始しました。あとはプログラミングの専門知識も不要と。

今、導入アカウント数でいうと、20万件ぐらい。業種はアパレルから家電、あとはチケットまで幅広く使っていただいています。

長期的にはSPIKEで、決済からマーケティング、あとは分析まで1ストップで、eコマースのお客様のバリューチェーンを全部サポートしていくということをやろうとしてます。

私たち、完全にFinTechの企業というよりは、どちらかというと、人工知能とか、データの分析がすごく好きな会社なので。広告からビジネスが始まって、金融、あと最終的にはハードウェア含めて、全体的にビジネスを立ち上げていきたいなとは思ってます。

将来的にはデータが活きる領域はすべてやると。広告も金融も、私たちは完全にデータでしかないと思ってます。なので、長期的には生命(ライフサイエンス)、機械(ロボティクス)、エネルギーまで、人工知能も含めて、そういうものに分析をかけて効率化していくということをやろうと思ってます。

会社のビジョン自体が「To be the World's Brain」、世界の頭脳へ。コンピュータにいろんなデータを学習させていって、人々の最適な意思決定を支援する、脳みそを作ってる会社だと思っているので、このビジョンに沿って事業を展開しています。ありがとうございました。

(会場拍手)

ソニー、マネックスを経てマネーフォワードを起業

小澤:ありがとうございます。最後に、辻様、よろしくお願いします。

:マネーフォワードの辻です。おはようございます。事業を簡単に紹介させていただきます。

まず、自己紹介ですけれど、もともとソニーからマネックス証券を経て、この会社を立ち上げました。なので、「金融×IT」というところが非常に好きなバックグラウンドでございます。

主な事業は2つあります。個人向けの、いわゆる、アメリカですと「Personal Financial Management」、日本でいうと家計簿とか資産管理の領域なんですけれど、こちらの主にスマートフォン向けのビジネスと、あと企業向け、会計事業者様向けのクラウドサービス。こちらをやらせていただいています。

設立は4年ほど前でして、ベンチャーのなかでは比較的、金融機関様とか、クレジットカード会社様等からご支援いただいているというのが特徴的だと思います。

佐藤さんからは、「頭脳になる」というミッションがあったんですけれど、僕らのミッションは、お金の流れをもっとよくすることによって、人生とか会社の成長をもっと前向きにできるんじゃないかということ。我々のサービスとかテクノロジーを通して、お金の流れをもっと変えていきたいというのが創業のきっかけです。

高田馬場のワンルームで立ち上げたんですけれど、その時は個人向けから始めました。途中からユーザーさんのご意見をいただきながら、両方やろうということでやってます。

人がやらなくてもいい仕事は全部機械に

PFM、Personal Financial Management事業については、スマートフォンでご自分のお金とか、収支とか、資産状況が自動でわかるという、レコーディング・ダイエットのお金版というようなビジネスをしております。今ユーザーが、350万人突破したところです。

企業向けに関しては、これは佐々木さんのところと同じなんですけれども、会計から給与、経費、請求書、マイナンバー、消しこみということで。

世の中の流れというものが、パッケージソフトからどんどん変わっていって、クラウドでつながる世界が自動化し、学習機能により自動仕訳ができる。人間がやらなくてもいい仕事を全部機械がやっていけばいいよね、ということで、そういうビジョンのもとにやっております。今、登録ユーザーが50万以上、1,900を超える会計事務所様に導入いただいているところです。

FinTechは、金融機関様との取り組みが、けっこう私のなかではお客様の新しい価値創造のために大事だと思っていまして。ネットグループの地銀様との協業であるとか、あと銀行様向けのアプリを提供しながら、我々のテクノロジー、サービスを使っていただきながら、新たにいろんな銀行様と接点を作っていただくとか。

あともう1つは、我々も創業当初からなかなか融資というものが受けにくかったんですけども。データをもとにして、まず融資までの時間を圧倒的に短くするということと、今まで借りられなかった層であるとか、なかなかお金が回りにくかった企業に対して、お金を新たに回していきたいという、新たな取り組みも今、開発しております。簡単ですが、以上です。

(会場拍手)

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