就職するとある時から太り始める

山崎元氏(以下、山崎):けっこう酒飲むんですか?

大熊将八氏(以下、大熊):お酒は大好きですね。僕、身長が192センチもありまして。めちゃくちゃ大きいわけですよね。体重も90キロぐらいあるので、いっぱい入りますね。

山崎:なにを飲むの、お酒の種類は?

大熊:まだそんなにいろいろ詳しいわけではないんですけれども。でも、ビールも好きですし、日本酒も好きですし、いろいろ好きです。

山崎:まあでも、あれだよね。就職するとおそらく徐々にある時から太り始めるよね。

大熊:そうなんですか(笑)。

山崎:だいたい私は2年に1キロずつ太っていって。ある時まずいなと思って。2年ぐらいかけて17キロ落として。

大熊:なにをされたんですか?

山崎:ハイボールでダイエットしました。

大熊:どういうことですか、それ?

山崎:糖質制限なんだけど、炭水化物を減らして。でも、やっぱりご飯を食べられないとか、パスタ食べないっていうと、なんとなく口が寂しいじゃないですか。

それで、ハイボールを飲みながら、糖質にならないものをとるというような感じで、月に上限2キロぐらいまででじわじわっと落とすような。そんな感じで落としましたけどね。

大熊:なにかスポーツとかはされなかったんですか?

山崎:しないですね。うん。

山一が潰れたあとに、ある会社に面接に行って「なにかスポーツやるんですか?」って言われて「いやいや、私は将棋部でした」って。「高校時代なにかスポーツやっていたでしょう?」って言われて、「いや、なにもやってませんよ。田舎の受験校ですし」。

「中学の時になにかやってたでしょう?」って言われてめんどうくさくなって「いや、私は散歩とセックス以外のスポーツはしません」って言ったら、銀行から来た役員が2人固まって「それはスポーツだろうか?」って言うから、「個人差があるんじゃないですか」というふうな(笑)。

ブラック企業を外から叩けるのか?

なんかブラック企業の話してほしいみたいね。今のコメントでいうとね。

大熊:今、ちょっとセックスの話になっちゃいましたからね(笑)。

山崎:ブラック企業についてはなにか言いたいことはありますか?

大熊:本当に難しいなと思うのが、数字から「この企業はダメだ」とか、例えば「社員に投資してない」とか言うのは簡単ですけれども。

僕、実はこの本を書いたあとにレストランをいくつか経営されてる人に呼び出されたことがありまして。「なんだこの本は。お前ごときになにがわかる」みたいなお説教をしていただきまして。

山崎:なるほど。親切な方ですね。

大熊:すごいいろいろ教えていただけて。結局本も買っていただいて、すごくいい方だったんですけれども。

山崎:それはなにを教えてくれたんですか?

大熊:要するに、とくに小さな企業は「生き残るのにすごい必死です」と。「必死に生き残ろうとして、取引先との関係を築くし、もう1回転在庫を回転させるためにすごい頑張る」と。

ということで「従業員に無理をさせるのはある程度仕方がないし、みんな『負けたくない』と思って頑張ってるんだ」と。「それを外から叩けるのか?」っていう問いで。

僕は、「でも、それで、従業員に無理をさせているのだとしたらダメでしょう」って思ったんですけど。でも、そこ強く言い切れないなと思ったんですよね。

山崎:まあ叩くのは叩いてもいいと思うんだよね。それは事実だし、そう思ったということであれば、叩いてもいいと思うんだけども。でも、経営者も従業員も一生懸命やってるというのは確かだろうけど、やっぱり、でも……。

例えばベンチャーなんかでけっこうあるのは、従業員を絞り上げて、経営者も「おれも給料こんなに下げてやってるんだから、みんなで頑張ろう」みたいなことを言ってて。でも、そう言って、結局数字作って、IPOして、自分だけは大金持ちになります、みたいな経営者はけっこういるので。

経営者が自分がどれぐらい取るのかなという加減がすごく大事で。ここは取ってはいけないということではないんだけれども、そこの経営者の心がけというのがけっこう難しくはなってきてますよね。

賃金が下がっているなか、経営者の報酬は上がっている

大熊:僕は、何社か友人がベンチャー始めたりとかもしていて、なかの様子とかも聞いているんですけど、やっぱりほとんど創業者の数人ぐらいが、外部からの投資を入れない場合は株をほとんど握って。

あとから入ってきた社員とかには、ストックオプションで「あげるよ」って言っても、0.1パーセントとかせいぜいほんの数パーセント足らずじゃないですか。

とったリスクの圧倒的な差はありますけど、実際IPOとかした時にすごい差が出るんだろうなと。だから「一緒の条件とはなかなか言いにくいよね」というところは、まず1つあるかなと思いますよね。

山崎:資本家兼経営者というのはしょうがないと思うんですけれどもね。

この頃だんだん難しいなと思うのはサラリーマン経営者。例えば今回の三菱自動車の経営者がいくらもらってるのか調べて来なかったけれども。たぶん1億以上もらってるんじゃないかなとも思うし。

上場企業の経営者が1億、2億もらうようになってきてて。どんどん増えてるんですね。賃金が全体として下がってるなかでも、経営者の報酬というのは一貫して上がってきてて。

今、「コーポレート・ガバナンスをどうこうする」とか、「ROE(株主資本利益率)を上げろ」とか、「社外取締役を置け」というようなことをいろいろ言ってるんだけど。でも、結局あれは社外取締役を置いて、どっちかというと経営者の給料をあげるための応援団に使ってる。

「経営者の給料を上げてやる。あるいはストックオプションで儲けさせてやる。その代わり、例えば企業は会社のなかに溜まった金で自社株を買え」というような。そういう株主投資家側から経営者を買収する。どうもそういう仕組みが今成立しかけていて。

結局、ROEを上げろということは一番手っ取り早いのは、1つは分母を小さくすること、自社株を買うこと。もう1つは、利益を出せということだと、バカでもやれるのがコストカットじゃないですか。

だから、「従業員の賃上げをしてください。アベノミクスでインフレにしたいんです」という話と「ROE上げて経営効率を上げてください」という話は、ちょっと右と左に引っ張ってるような感じがあって。

じゃあ、「どっちが勝つのかな?」と思うと、でも、やっぱり経営者は自分の給料も上げたいから、これは賃金よりもROEが勝つのかなというような。ちょっとそんな感じの嫌な雰囲気にはなってますけどね。

上場企業の経営というか上場企業の社長というのはこういうものであってほしいとかっていう気持ちってあります? サラリーマン社長とオーナー社長というのはここが違うはずではないかって気分ってありますかね。

オーナー社長はわがまま、純粋、せっかち、ケチ、スケベ

大熊:難しいですね。でも、オーナー社長のほうがすごいキャラクターが強くて、まさにある種ブラック的なところもあるのかもしれないですけど。その会社の理念というのを自分で自ら作っていって発展させる人はすごいカッコいいと思いますし、そういう人がいてほしいと思うんですけどね。

山崎:まあ現実にはそんなにカッコいいものでもないし。でも、前にベンチャーキャピタルの専門家に聞いたことがあるんだけれども。

1代で創業して株式上場に持っていくようなオーナー社長というのは、だいたいみんなわがままだし。でも、どこかこだわりというか純粋なところがあって。あとせっかち。「明日できることがなぜ今日できないんだ?」というせっかち。

大熊:永守(重信)さんとかもそうですよね。「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」みたいな。

山崎:あと、ケチ。あと、スケベ。だいたいこの5条件、わがまま、純粋、せっかち、ケチ、スケベ。みんなこれが当てはまるような人が多いので。基本的にはあんまり、一般論として率直に言うけれども、人間として付き合って楽しい感じの人ではないですよね、人格としては。

大熊:成功者はみんなサイコパスみたいなところがあるって言いますね。いい経営者もそうですし、アーティストとかスポーツ選手とかも、国会議員とかもですかね。

山崎:たぶんスケベみたいなところに通底するんだと思って。やっぱり支配欲? 自分の支配できる範囲をどんどん拡大していきたいというような欲求がすごく強いんだと思うんだよね。政治家だとかあるいは社長だとかっていう人種は、ご飯食べながら話をしてても、自分の話ばっかりしてるでしょう?

大熊:そうなんですか? 大好きなんですね。

山崎:ベンチャー企業の場合はとくに、社長のよし悪しで出来不出来がすごく決まっちゃうというところもあるし。社長との相性が悪いところに入ってしまうと、もうほとんど無理だよね。

東大の学生さんは、今はあんまりベンチャーは人気ないですか?

大熊:トータルで見ると、かなり人気は上がってきているのかなと思ってます。今度登壇させていただく、ベンチャー企業の採用をしている会社さんがありまして。スローガンという会社なんですけど。

そこの社長さんとお話すると、その人10年前に創業されたんですね。

その時に高学歴というか、いわゆる東大とかでベンチャーに行くという人は「頭おかしい」みたいに言われてたと。0.1パーセントぐらいだったらしいんですよ。「なんでトヨタとかに行かないの? 銀行に行かないの?」って感じだったらしいんですけど。

今は、多数派になったわけでは決してないけれども、10パーセントぐらい、10人に1人ぐらいの人が「そうだね、たしかに。このまま普通に商社とか銀行に行っても安泰じゃないかもしれないし、未知数だけどおもしろそうなこの会社に入ってみようか」という人が、昔は1,000人に1人ぐらいだったのが、10人に1人ぐらいになってきたっておっしゃってて。確かに周り見ててもそんな感じがしますね。

コンプレックスがチャレンジにつながる

山崎:東大出たとかっていうことが、昔ほど安定的に有利ではなくなってきてるということはあると思うんですよね。

大熊:おっしゃる通りだと思いますね。

山崎:昔、ある経済学者がペンネームで書いた『東大を出ると社長になれない』というタイトルの本があって。

それはどういうことかというと、要は東大を出るとサラリーマンとして有利な機会があるので、それを放棄してまで自分で会社をやって社長になろうという人は少ない。いわゆる機会費用が大きいという。そういう意味で社長になろうとする人が少ないんだというような。種明かしはそんなようなことだった本がありますが。

大熊:それはまさにそのとおりだと思いますね。

山崎:チャレンジしなくても、そこそこのリターンが見込めるところでチャレンジしようとはなかなかならないですよね。

大熊:周り見てても、チャレンジした人は「借金がめっちゃあります」とか。ものすごい強いコンプレックスがあって、「普通のいい企業に入っても満足できません」とか、なにか突き動かされざる得ないものがある人がチャレンジする気はしますね。

山崎:大熊さんすごく背が高くていかにもモテそうな感じだけど。社長で成功した人とか、あるいは政治で成功した人とかっていうのはけっこう背が小さくて、「コンプレックスがあったのかな?」みたいな感じの人というのは多いことは多いですよね。そういう人のほうが頑張るので。

ある意味では、体格もよくて、恵まれて育ちましたみたいな人というのはちょっと油断してるところがあるから。あとで頑張り屋さんに負けないように頑張ってね(笑)。

大熊:実は僕もコンプレックスがおそらく強いほうだと思っていて。実家がそんなに裕福ではなかったんですね。中学生ぐらいからずっと母子家庭でして。ただ、たまたま親の教育方針として、子供の教育には投資を惜しまないでおこうということで、京都の洛星という学校に。

山崎:有名な学校ですよね。

大熊:私立の学校なんですけれども、いわゆるお金持ちの人が多いんですね。お医者さんの家系ですとか。あと京都なので、京都って上場企業多いじゃないですか。そこの血縁者ですとか。あと、おもしろいのは「人間国宝の関係者です」みたいな。京都ならではですよね(笑)。そういう人もいらっしゃって。

いわゆるエスタブリッシュメントです。彼らにも苦悩あると思うんですけれども、生まれながらにもう将来安泰です、みたいな人たちだったので。

その人たちに「なにくそ負けたくない」というので、中高時代は部活は水泳をやってたんですけど、それを頑張ったりとか。でも、芸術、本書いたりとかもしたいなとか思ってまして。

そういう中高の時の友達、いい人ばっかりなんですけど、彼らに負けたくないなみたいな。すごく思いますよね。