鈴木おさむ「エグい企画を出すのは女性」ウケるコンテンツに必要な“遠慮のなさ”

鈴木おさむ『新企画』出版記念「働く女性のための企画術講座」 #3/3

オンラインサロン「ちゅうつねカレッジ」主催のセミナー、鈴木おさむ『新企画』出版記念「働く女性のための企画術講座」が4月7日に開催されました。放送作家として活躍してきた鈴木氏が、著書のなかで明かしている鈴木おさむ流企画術について語りました。

一番最初に言われたのは「映画を見ろ」

鈴木おさむ氏(以下、鈴木):次、これにしよう。(スクリーンを指して)「Amazing Application(アメイジングアプリケイション)」。

これは『世にも奇妙な物語』とか『笑ゥせぇるすまん』とか、そんな感じのドラマ企画なんですけど。

みなさんの携帯・スマホに、ある日突然不思議なアプリが入っている、という企画なんですね。15分くらいのドラマなんです。

自分の言われてる陰口を全部検索できる「陰口検索」というアプリが入ってきちゃう物語だったりとか。

「優しさクーポン」といって、例えば僕があなたの写真を撮ると、あなたが必ず僕にやさしくしてくれるというクーポンの物語とか。そういうドラマがいっぱい入ってる企画なんです。

僕はこの企画書のなかで具体的に例を書いています。具体的な例を書くのは非常にめんどくさいんですけど、具体的な例がおもしろいってひっかかったときに、人が認めてくれる企画になるので、書いてるんです。

こういう例をいっぱい出すってすごい大変なんですね。どうやってそういう例を思いつくんですかとか、どういうふうに設定を思いつくんですか、と言われるので、この企画にひも付く企画術として、いい企画が思いつく下準備について明かしています。

僕がこの業界に入って一番最初にやらされたことは、「映画を見ろ」と言われたんですね。映画好きな人がすごく多いので。

僕も映画は好きでしたが、「1日1本見ろ」と言われた。1年間で365本。意外としんどいんです、1日1本映画を見るって。でも3年間続けて映画を見たんです。 3年間で1,000本ぐらいですね。

最初の頃は見た映画からなにかアイデアとして使いたいと思っても、意外と浮かばないんです。だけど、それを2年とか続けていた時に、ある日突然それがポンって思いつくようになるんですよ。これは単純な話ですけど、データベースの少ない検索エンジンだったということだと思うんです。

そうやって1日1本映画を見るということで、ある日突然、自分のなかのデータベースの検索が急にできるようになったということなんです。

おもしろいものは意外とヒントにならない

「映画の見方」ということで、これは本当におすすめしてるんですけど、僕は必ず人におすすめを聞くんです。「みなさんのおすすめの映画ベスト3はなんですか?」って。

僕らの業界は映画好きな人が多いんですけど、みんなテンションが上がるんですよね。「(悩みながら)えー、ベスト3かー」と、うれしそうに言うんですよ。

で、それ(聞いた映画)を必ず見る。見たらぜんぜんおもしろくないのもありますよ。ありますけど、自分だったら到底借りないなというものでもおもしろい発見があるんですね。

好奇心とか興味のフィールドってなかなか自分で広げられるものじゃないんですね。恋愛すると広がるんですけど、いろんな男と付き合うわけにはいかないでしょうから、人におすすめされた映画を見ることでどんどん広がっていくんですね。

おもしろい映画はおもしろい映画でいいんです。おもしろい舞台とかも。でも、おもしろいものって意外とヒントにならないんですよね。僕なんかそうですけど、おもしろくない舞台を見に行くといろんなことを思いついちゃってしょうがないというのがあって。

あと大事なのは、「見た」と言うことです。ある部長さんに「見ましたよ」って言って。「おもしろくない」って言っちゃダメですよ。「おもしろかったです!」って言うんです。

これは男の人あるあるですけど、自分の見た映画を褒められるってすごいうれしいんですよね。「マジで? よかったろー?」となって、だんだん会話が広がっていくと。その人との関係性もできるし、自分のフィールドを広げられるし。

「いいことしかない」というのが、この「人の勧めた映画を見る」。自分の守備範囲以外の知識を得るというのはなかなか難しいですよね。

家に帰る時、駅から通ったことがない道ってあるじゃないですか。近くでも意外と通らないですよね。そこをあえて通って帰ってみるとか、「自分のフィールドを広げていく」というのがアイデアを出す下準備としてすごく大事な作業だと思います。

「ラブ」をホストに投票できる舞台

次、(スクリーン)13番。「アプリ『シェフ★ラブ~私が一流にしてあげる』」

これは、みなさんがごはん屋さんに行くブロガーという設定のゲームです。10人の若手イケメンがやっているお店があって。中華とかイタリアンのなかから自分が行く店を決めて、そのシェフを育ててあげるというゲームなんです。

ポイントは、その「育てたシェフの店から誕生日とか記念日にごはんが届く」というところです。ごはん屋さんとタイアップすることで、本当にその店があるのかもしれないと思わせるアプリなんですね。

最近、アプリは課金問題とかいろんなことが問題になっていますけど、僕は、これに思うことがあります。

「私のホストちゃん」というゲームがあって。これはサイバエージェントのゲームで、舞台化もしています。このあいだも舞台をやっていて、みなさん見たら衝撃を受けると思うんですけど。若手のイケメンの子たちがブワーっと出てくる舞台。

チケットはVIP席が15,000円ぐらいです。シリアルナンバーを入れるとその日からスマホで「ラブ」というのが手に入るんですね。その「ラブ」をどのホストにでも投票することができるわけですよ。「この男がいいな」と思ったら、そのホストに投票をします。一人に全部使ってもいいし、何人かに分けてもいいんです。

そして公演では、その日のランキングが出るんですけど、1位に選ばれた人だけが後半部分で大事な部分を演じたり、歌のセンターに立てるという企画なんです。

僕は確かに企画しましたけど、「そこまでやれとは言ってない」という感じになっちゃったんです。

1幕が終わって2幕までの間に集計があるんですよ。つまりは、その日の物販なんです。物販を買うとそれが全部投票できる権利になるんです。それで、CDの20枚セットとか、ガチャガチャの1個500円とかを、わーってみんなが買うんです。それでその日のランキングが発表になって、「1位、◯◯」「うわ~」みたいな感じになるんですね。

1日にその人たちがMAXで使う「ラブ」は、簡単に言うと「お金」なんです。1円=1ラブじゃないんですけど。「なにがラブだ」という話なんですけれども。

(会場笑)

1人で100万円ぐらい使う人もいるんですよ。自分の好きな俳優さんを1位にさせたいから。テレビですごく売れてる俳優さんでもないのに、その人を応援したいがために1日に100万円使う人もいる。

遠慮があると中途半端な企画にしかならない

でも、100万円使っているのに1位にならない時もある。それで「うわ~」って言ったりしてるんですよね。しかも、一番最後に、「今日の太客発表」って言って、その日の太客ベスト3というのを発表するんですよ。ひどいでしょう、この企画?(笑)。

そのベスト3に選ばれた人は公演が終わったあとに、投票した好きなホストと5分間2人きりになれる、という企画なんですね。あるホストに「なにしてるの?」って言ったら、「ずっとハンドマッサージしてる」って言ってました。

これは3回やって非常に盛り上がったんですけど、悩みました。なぜなら、Twitterでクレームがくる人もいるんです。「私の友達がすごいハマってしまって、見てられないんです」みたいなものもすごくきました。もう胸が痛かったです。

(会場笑)

「やめてください」みたいなことを言われて(笑)。「俺が運営してるんじゃないのになあ」「プロデュースだけで、そんなにお金をもらってないのに」みたいなのがあったんですけど。

でも逆に、すごく楽しいという人もいて。そこで思ったのが、すごいそれを楽しみにしてる人もいるし、すごくうれしい人もいる。これね、減らしていくのは楽なんですよ。「ラブ」というものを使わせないようにするのは簡単です。

最近、課金のゲームがすごい問題になっています。確かにそれで問題が起きるのはわかりますけど。でも、当の本人たちはすごい楽しんでたりとかする。

(スクリーンに)この企画の企画術にはこう書きました。「遠慮があると中途半端な企画にしかならない」。はい、1個の企画でお客さんを巻き込むときに、まず遠慮しない。そりゃ世の中で絶対的に怒られるものはダメですけど。

でも、遠慮って一番邪魔になる。遠慮しない企画をどんどんぶちあげたことで、一番結果が出る。そこは引き算していけばいい話ですから。

でも、これ不思議なもので、遠慮するのは男性なんですよね。女性の人ほど企画を立ち上げた時にボーンって言います。

言葉に語弊があったらアレですけど、「テレビで思い切ってブスを発表しちゃいましょうよ」みたいなこととか言うのは女性なんですよ。男性はとてもじゃないけど気をつかって言えなかったり、僕らがやると「セクハラだ」とか言われるけど、女の人はけっこうエグいっていう。

最後にこの企画。「私が子供を殴った時」。最近、子供ができてから、周りの親に聞くんですよ。「子供を殴ったのいつですか?」って。

「子供を殴ったのいつですか?」って聞くと、みんな「えー」って言いながら最初は「話したくない」という感じなんだけど、「なんで殴ったんですか?」と聞くと、だいたいは「お母さんに暴言を吐いた時」とかって言うんです。そのなかにその人の美学が見えてくるんですね。

これ非常におもしろくて。ここでの企画術は「人の急所こそキラーコンテンツになる」。それはそうですよね。人の付き合った人数とか、人の言いたくないことってやっぱり聞きたいんですよ。急所はみんなの前では話したくない。けれども、そこに美学があったりすると話したくなる、というのがこの企画のおもしろいところです。

途中までになりましたけれども、この『新企画 渾身の企画と発想の手の内すべて見せます』(幻冬舎刊)もし興味あれば読んでみてください。けっこう使えるアイデアが載っていると思います。本日は、ありがとうございました。

(会場拍手)

新企画 渾身の企画と発想の手の内すべて見せます

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