「前向きに検討」「上と相談」 アメリカ人には気付けない、日本のお断りワード

Through the Eye's of "a Foreign TV Personality" #2/4

「Noと言えない日本人」というが、実はいつも日本人はノーと言っている。お笑いコンビ・パックンマックンのパックンこと、パトリック・ハーラン氏が日本外国特派員協会にて、外国人タレントから見た日本のテレビをテーマに会見を行いました。「ちょっと上と相談します」「持ち帰って検討します」、ビジネスの現場でよく使われる、はっきりと名言しないお断りの文句。日本のコミュニケーションは非常にハイコンテクストで、アメリカ人には通じないと認識しておく必要があるとパックンは指摘します。また、日本とアメリカでは、演技に対する考え方がまったく違うと自身の体験をもとに話しました。

もっと冗談を言えるようになることが大事

パトリック・ハーラン氏(以下、パックン):とにかく、アメリカ人と日本人のお笑いの違いは、教育による影響が大いにあると思います。私は、学校でたくさん学びました。ハーバードでも、たくさんの情報を学びました。情報の使い方や、情報を変換して新しいなにかにする方法を学びました。論理的に自分の考えを言い、そしてさらに新しい情報を付け足す方法を学びました。

私が学んだことで最も重要なことは、読まずとも自分なりに“BS”する方法です。知らない人と、自分なりにBSをする方法です。BSは、英語のスラングです(注:嘘、でたらめの意)。BS朝日やBS-TBSのBSとは違います。私たちは、BSでわかりやすく伝えます。ハーバードの教育は、BSを重視します。日本は、冗談を言ったり、アドリブで冗談を言えるようになる必要があると思います。それらは、日本の芸能界においてはとても重要です。

日本の芸能界は、リアリティTVが中心です。アメリカでリアリティTVというと、一般的には普通の素人とクレイジーなスタッフによって作られる番組のことを指します。普通の素人は、本当は普通ではありません。彼らはクレイジーです。彼らは思いきっています。彼らは非常識なことをします。それが観客にウケます。

しかし、彼らはプロの俳優やタレントや芸人ではありません。観客を楽しませるために本当に非常識なことを行います。しかし、彼らはプロの俳優やお笑い芸人ではありません。これがアメリカでの定義です。日本の定義はこれとは異なってきます。

日本では、おおむね台本がない番組を「リアリティ番組」と呼びます。多くのバラエティ番組には、台本があります。転換点があります。キリのいいところや、パネラーに質問をするときに、場面が転換します。しかし、パネラーの反応には台本はありません。テレビで見られるやり取りの多くは、アドリブです。

その理由の一部は、日本にはとても多くの有名な芸人がいることです。しかし、彼らの多くはそのネタで有名なわけではなく、トーク芸人として有名です。テレビやラジオで話すことは、アメリカよりも重要です。

演技への考え方の違い

日本とアメリカの芸能界の大きな違いは、指導やリハーサル、指示の違いです。私は、アメリカでセミプロとして俳優人生をスタートしました。けっして大学でキャリアを築いたわけではありません。しかし、アメリカでは、演技の指導をとてもよく受けました。そして、リハーサルもかなりたくさんしました。舞台の前、10分のシーンのために、1時間もリハーサルをしました。

ここ日本では、俳優は彼ら自身らしい演技を求められます。一般的に、ほとんどの演技は特にしっかり指導されることはありません。これに、私はイライラしました。現場に来ていきなり演技し、監督が良いというまで何回も演技させられました。

「なにを変えたらいいんですか?」と聞くと、監督は、「んー……もっと早く歩いて。もっとゆっくり喋って」と言ってきます。演技についてじゃないんですね。動きの表現についてです。とてもイライラさせられました。昼ドラに出演したときなんて、指示は1つだけでした。

そしてこれは多分、日本に来て5年経ったときのことでした。私はしばらくの間、英語を教えていました。そして、日本人の妻がいました。私は、「アメリカ人で日本に5年住んでいて、英語を教えていて、なおかつ日本人の妻がいる男の役」にキャスティングされました。まさに私が最高のキャストでした!

私はできる限りいい演技をしました。演技が終わったあと、監督がやって来て、こう言いました。「パトリックさん、んー、もっと外人ぽく! んー! リアリティがない」(笑)。リアリティがないって、そのまま外人だけど、と。しかし、指示なしで演技することはとても難しいことです。

ほかにも、日本とアメリカの違いがあります。撮影が終わったあと、反省会が開かれます。これが、アメリカとの大きな違いです。アメリカでは、役者も監督もノートをとります。監督が「オーケー、みんな集まって」と言うと、役者たちはノートをとります。日本では、このプロセスが反省会と呼ばれます。

反省とは、個人個人が後悔することです。ノートはとりませんし、問題を修正することは、悪いことだという空気があります。びっくりしました。いい作品になったのに! それでも反省会が開かれます。「反省することはないんだけど、反省会ですか!?」って。しかし、これが芸能界で生きている日本人の考え方なんです。

人々は彼らに謙虚さや完璧ではないことを期待し、スタッフの迷惑になることを避けようとします。例えば、カメラマンや、照明さんに対してです。日本の芸能界全体に、この空気があります。これには驚きました。アメリカをモデルにするべきです。芸能界では特に、外国の言葉を取り入れると、かっこよく聞こえるんじゃないかと思います。

事務所のチカラ

もう1つの芸能界における違いは、事務所の力です。日本では、事務所の力はとても強力です。番組のプロデュースにおいて、シーンに誰を配役するか、非常に支配的な力を持っています。マネージャーが、これらの大部分を担っています。そして、マネージャーがタレントを管理します。

アメリカでは、タレントがマネージャーや広報担当、弁護士を雇います。基本的に、マネージャーはそのタレントに対してのみ働きますし、マネージャーを変えることが芸能人生の終わりではありません。日本では、自分自身が事務所のオーナーになったり、小さな事務所に所属しているタレントはとても少ないです。

とんねるずやくりぃむしちゅーのサクセスストーリーも、もとは大きな事務所から始まりました。ほかにも、長い間生き残っている芸人がいます。テツandトモです。個人事務所、弱小事務所でここまで生き残ったことがなんでだろ~です(ネタの動きをしながら)。驚くべき話です。

(会場笑)

とにかく、芸能界には大きな違いがあります。マスターするのにかなりの時間がかかりました。

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