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日本の家族をテクノロジーでもっと幸せに。新しい家族のつながり方(全4記事)

遠くにいる祖父母と孫の笑顔を共有する2つのサービスが考える、ITと家族の幸せな関係

遠くに住む祖父母と孫の写真や動画を共有したいという両親の素朴な願い。これまでは距離や手間が障壁となり、思うように共有できてこなかったのかもしれません。その不満を解消し、家族にさらなる幸せを生む2つのサービスの代表が登壇するイベントが開催されました。家族向けの写真・動画共有サービス「家族アルバム みてね」を提供するミクシィの笠原健治氏、Apple Japanを退職後に独立し、テレビに孫専用のチャンネルを追加する「まごチャンネル」をリリースした梶原健司氏、モデレーターはエンガジェット日本版の津田啓夢氏。FacebookでもTwitterでもない、家族間で世代をまたぐ親密な空間づくりに取り組んでいる、注目のサービスを手がける2人が、新しい家族のつながり方についてそれぞれの思いを語ります。

核家族・共働き・高齢者のスマートフォン所持率の増加

津田啓夢氏(以下、津田氏):今日はよろしくお願いします。私「Engadget」エディターの津田と申します。本日モデレーターを務めさせていただきます。Twitter等でつぶやきながらご参加いただくという方は、「#みてね」または「#まごチャンネル」どちらでも構いませんので、感想等を言いながらつぶやいていただけたらと思います。

それから、食べ物系の媒体で「AOL炊飯部」というのをやっております。AOLのメディアチームに所属しております。

皆さんにお伺いしたいんです、「家族アルバム みてね」(以下、みてね)使ってるとか知っているっていうかた、どれくらいいらっしゃいます?

笠原健治氏(以下、笠原):ありがとうございます。使っている方は……? おお……まあ、まだまだ(笑)。

津田:まだまだと(笑)。「まごチャンネル」は、まだ使っている方はいないんですよね。

梶原健司氏(以下、梶原):そうですね(笑)。

津田:じゃあ「まごチャンネル」を知っているという方、どれくらいいらっしゃいます? おお、同じくらいの感じで。

梶原:ありがとうございます。

津田:じゃあちなみに、「Engadget」知っているという方。ありがとうございます(笑)。今日どういう方がいらっしゃってるのかって知りたいんですけど、今、家族がいらっしゃる方っていうのはどれくらいいらっしゃいます?

お子さん、ご両親、パートナーのご両親だったり。核家族で住んでいるのか、共稼ぎで一緒に住んでるのかも伺いたいんですが、核家族の方、どれくらいいらっしゃいます? はい、同じくらいですかね。分かりました、ありがとうございます。

「家族の今」ということで。おふたり家族をテーマにしたサービスやアプリを展開されている状況にあるわけですけど。

まず日本の今の状況をまとめていきます。日本の世帯数は今、約5000万と言われています。この中で世帯数は徐々に伸びてるんですが、世帯あたりの人数がグラフの通りだんだん下がっております。世帯あたり2.5人、3人ないし2人の家がほとんど。この傾向は、都市部のほうがかなり顕著に出ている状況です。

3世代同居、おじいちゃんおばあちゃんと一緒に暮らしている率は、どんどん下がっていて、子供がいる世帯が2185万、そのうち核家族でおじいちゃんおばあちゃんと孫が離れて暮らしているのが、約1852万というのが、今の日本の状況です。

共稼ぎはどんどん増加。97年くらいで増加して逆転してる状況があるんですが、共稼ぎ世帯が増加するっていうことは、お母さんもガンガン働いているっていう状況です。

お子さんの成長をこれまではお母さんが見ていた状況の中から、核家族化で共稼ぎが増えているということは、子供の状況の共有や、お母さんの負担が増えていくという状況にあるようです。

高齢者のスマートフォン保有率は、50代になるとかなり高い状況です。「みてね」はスマートフォンのアプリのサービスなんで、だいたい50代の層がターゲットに入るのかなと。

「家族アルバム みてね」の特徴

津田:「まごチャンネル」になってくると、スマートフォンを持ってない世代で高齢者に近い人たちがターゲットになるという状況です。「家族アルバム みてね」の笠原健治さんと、「まごチャンネル」カジケンさん、それぞれサービスの概要を説明いただきます。

笠原:笠原と申します。よろしくお願いします。2歳半と1歳くらいの、2人の娘がおりまして。その写真や動画を家族で共有したいというところから。

最近はユーザーさんを招いてお茶会と称したイベントを会社でやってまして。2人娘が来たときもこんな感じでやってました。これは大阪に行ったときですね。キッズプラザ大阪っていうのがあって、それに遊びに行きつつ、実家に帰ったんでじじばばもここにいる感じです。

特徴としては、月別に写真を格納できるようになっています。今スワイプしてるんですけれども、めくるたびに前の月が見れるようになっていると。

子供の成長って早いと思うんですけど、一瞬で昔に戻れるっていう感じで、この頃になると結構小さいなっていう印象になるんですけれども。これが、1つ大きな特徴です。

コメントもつけられます。丸に三角が動画のマークになってまして、吹き出しがいくつかあって、これがコメントあるよっていうマークなんです。うちの妻だったり親だったり。

梶原:これは誰ですか?

笠原:妻のお父さんです。子供は2歳半なんですけれども、もう恋心が芽生えていて。しょっちゅう◯◯君◯◯君と気になる男の子の名前を言ってますけども。

津田:△△、これは?

笠原:妻です。「近況」っていうところで、誰が何分前、何時間前に来たかが分かるようになっています。「mixi」でいうと、足あとっぽいと言われるんですけど、足あとっていうよりは最終アクセスが分かります。

うちの家族の場合は結構頻繁に見に来ていて、写真と動画を上げてなくても見に来てるのが分かります。何か写真上げようかなっていうきっかけにもなります。ここでは、誰が何て言ったかって全部分かるようになっています。

津田:いちばん写真上げてらっしゃるのは?

笠原:妻ですね。自分も結構写真を撮るんですけど、子供を撮る機会は妻がいちばん多いです。ずっと一緒にいるんで。もうひとつ特徴的なのは動画です。ここに動画がたくさんあります。音声も聞こえると思うんですが。

(動画再生)

津田:「1秒動画」って下に書いてありましたけど。

笠原:動画をアップロードしていくと、そこからランダムに並んだ動画を1秒ずつ切り取って、再構成して見返すことができます。撮るときに何秒撮って止めて、何秒撮って止めてって、それを自分でつなぎ合わせるアプリっていうのは結構あると思うんですけど、こういうのは珍しいと思っていて。

普通に撮った動画を共有するために上げて、上げていった先でそれを切り取って再加工して、再編集したものを自動的に届けますっていうサービスをやっています。

津田:完全に自動ってこと?

笠原:そうですね。今は動画を20本上げると1本目ができて、さらに40本以上あげてかつ3ヶ月経った人には2本目を届けるっていうルールにしています。いつかそのルールも変えて、いつでも手動で作れるようにしたいと思ってます。

子供が大きくなっていく様子を一瞬で振り返る

笠原:これも意外と人気で、お母さん方からすると、子供が大きくなっていく様子を一気に振り返ることができますから、感動して涙流しましたっていう人もいます。

写真ってぱーっとめくれば、「ああいうことあったな、こういうことあったな」ってすぐ分かるんですが、動画って見返す機会が意外とないと思います。再生ボタン押すのが億劫で。それを強制的にぱっぱっぱと半強制的に見せてくれるので、自動的に振り返ることができるっていうのが良いところです。

津田:これ、何秒の動画ができるんですか? 20秒の動画ができる?

笠原:約20秒くらいです。1コマ1.2秒くらいでそれにロゴが入ったりして合計27秒くらいですね。よくInstagramにも共有されることがあるんですけど、サイズがちょっと違うのでそこは惜しいところです。

津田:動画だと、長く撮ってそこから1秒切り抜くっていうのは、システム上勝手にやってくれるんですか?

笠原:そうですね。

梶原:どのシーンの部分を取ってっていうのは……。

笠原:そこはもっと突き詰めていきたいところです。細かいところはちょっと言えないんですけど、将来的には撮影した動画の画像解析、人物認識、声の波形で、1番盛り上がっているところを切り取ったり、やっていきたいんです。

1秒動画にあんまり振れすぎるのも違うかなという気がしていて、基本はこのアルバムを楽しんでいただく。家族だけで共有してコメントを付けることもできるし、コメントを返してコミュニケーションもできるし、写真をいつでも見返すことができる。

今日撮った写真動画を共有しながら、たまに振り返って、こんなに大きくなってきたんだねっていう成長を楽しむことができるというサービスです。

津田:これ全部無料?

笠原:無料無制限でやってます。

テクノロジーで日本の家族を幸せにしたい、繋げたい

津田:ありがとうございます。じゃあ続いて、カジケンさんお願いします。

梶原:僕は梶原健司と申します、よろしくお願いします。昨年、株式会社チカクという会社をつくりました。離れてる家族同士、大切な人を繋げたいということで「チカク」です。

サービス製品として、「まごチャンネル」というものを9月に発表させていただきました。クラウドファンディングで「マクアケ」のプラットフォームを使わせていただいて、発表しました。

テクノロジーで日本の家族を幸せにしましょう、家族をもっと繋げよう、そんなサービスです。

私は、個人的な実体験からです。おじいちゃんおばあちゃんでスマホを使いこなせないという方々が結構いらっしゃって、年齢が上になればなるほど新しいものを今更覚えるのも嫌ということで。

そういった方に寄り添ったサービスを作りたい、ということで始めたサービスです。スマホのアプリで撮った子供の写真と動画を、ご実家のテレビにすぐに映して、簡単に楽しむことができる、というサービスになっております。

スマホが普及したことで、デジカメがあったときと比べて、子供の写真をこれまでの10倍くらい撮ってるらしいんです。肌身離さず持ってるっていうことが大きいと思うんですけれども。

でも、それがおじいちゃんおばあちゃんに共有されてるかっていうと、なかなか共有されてない。スマホをばんばん使いこなせてれば、FacebookとかLINEで共有されてると思うんですけど、距離が離れてると、普段の生活をなかなか知ることができません。

今は、家族も友達もとても簡単に知ることができるようになりました。物理的にはすごい離れてて久しぶりに会っても、全然久しぶりな感じじゃない、みたいな。

そういうことって家族でスマホを使いこなせてれば大丈夫だと思うんですけど。そうじゃない人ってなかなかそういう恩恵を受けられません。だから、とにかく簡単にしようということで、スマホのアプリ作りました。

カメラアプリなんですけど、子供の写真や動画を撮って、撮ったら自動的にご実家に転送されます。

津田:アプリを介して自動的に飛ぶ。

梶原:はい。とにかく共有する手間もなくしちゃおうと思って、撮ったもの全部送れます。間違えて送っちゃった、届いたら困るっていう人も、いらっしゃると思うんですけど。それはもちろん、こちらで消していただければ、動画でも消せます。「子供を撮るときはこれで撮って」と言って送ることができます。

テレビのリモコンでそのまま操作

梶原:送られたものがどういう形で見られるかというと、おじいちゃんおばあちゃんって新しいものを覚えたくないので、テレビリモコンでそのまま操作ができるようにしました。

おじいちゃんおばあちゃんのところにおじゃまして拝見すると、テレビのリモコン、ハードディスクレコーダーのリモコン、ケーブルテレビ、エアコンのリモコンも隣にあってみたいに、リモコンだらけになってます。

そこにもう1個リモコンって、大変だと思うんです。なので、テレビリモコンでそのまま使えるようになっています。まごチャンネルっていう名前はまさにそれなんですけど、8チャン見る、6チャン見るみたいな感じで、孫専用のチャンネルができるという体験がしてもらいたい、ということで、まごチャンネルになりました。

おじいちゃんおばあちゃんのお宅はインターネットの環境がないんです。あっても有線しかない、無線があってもパスワードが分かんない、息子が来たときによく分かんないけど付けた、とか。

津田:あるあるですね。

梶原:「パスワードとか聞かれても知らん!」という人が結構多かったので、インターネットすら意識させないほうがいいかなと思いまして。端末自体に、携帯電話と同じ回線、モジュールを内蔵しているので充電をしたら自動的に通信が始まります。

おじいちゃんおばあちゃんが何もセットアップしなくても、いきなり孫専用のチャンネルが追加されると。そういった体験ができます。

津田:テレビとの間は何のケーブルで繋がるんですか?

梶原:HDMIのケーブルです。電源のケーブルとHDMIのケーブルを繋いでいただいて、それだけですぐ使っていただけます。

言葉を交わさなくても、お互いの存在を感じられる

梶原:それから、おじいちゃんおばあちゃんのお宅にデジタルフォトフレームがあるお宅が多かったんですけど。みなさんしまわれてるんです。

何でしまってるのかなと思ったら、電気代がもったいないと。つけっぱなしになってるから電気代がもったいない気がすると言っています。

津田:世代的にそうですよね、テレビも絶対消さないといけないみたいな。

梶原:そうそう、オン・オフがあるみたいです。なので、孫が来るときに出す、みたいな。本人がいるのにわけが分かんないですけど。

津田:(笑)。

梶原:何で電気代がもったいなかというと、更新がされなくなるからって言うんです。新しいコンテンツが途中からだんだん来なくなるそうです。何で更新されないのかとママさんに聞いたら、見てるかどうか分からないから、送りがいがないとのことでした。

津田:向こう側の反応がないと。

梶原:LINEの既読じゃないですけど、送ったら送ったで見られてる感覚が欲しいんだと思いまして。

これは、相手が見ると「見始めました」っていうサインがアプリ側に届きます。そして、おじいちゃんおばあちゃんはただ見るだけなんです、見守りじゃないけど。そうすると、見てるんだったらもうちょっと撮ってあげようかなとか、ちょっと電話してあげようかなとか、コミュニケーションが発生するんですよ。

一方向じゃなくて双方向の繋がりです。言葉を交わしてないんだけど、お互いの存在を感じられるような。そういったサービスを目指して作っているのが、特徴です。

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