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Closing Session 世界で最もイノベイティブな国になるために。(全2記事)

憧れの職業に「起業家」を入れたい--なぜベンチャー経営者たちは新経連に参加するのか

「今までは叩かれたりしてきた起業家が、日本でも憧れの職業に変化しつつある」と語る、サイバーエージェント・藤田晋社長。新経連サミット2015のクロージングセッションにて、ベンチャー・スタートアップ企業の経営陣7名、サイバーエージェント・藤田晋氏、トランスコスモス・船津康次氏、楽天執行役員・平井康文氏、ネクスト・井上高志氏、フリービット・石田宏樹氏、フューチャーアーキテクト・金丸恭文氏、ソースネクスト・松田憲幸氏が意見を交わした。

いまの日本はアントレプレナーにとって素晴らしい環境

三木谷浩史氏(以下、三木谷):一昨日の前夜祭から始まりまして、昨日のピッチイベント、また安倍総理に来場していただきまして、大変心強い、力強いメッセージを頂いたり、一番最後はスタンフォードとシリコンバレーというテーマでございました。

本当に充実したカンファレンスになったのかなというふうに思っております。まずは今日ご登壇いただいている皆さんに簡単な自己紹介と、このNES2015の感想を頂ければというふうに思っております。藤田さんお願いします。

藤田晋氏(以下、藤田):サイバーエージェントの藤田でございます。新経連サミットは新経連の掲げるイノベーション、グローバリゼーション、アントレプレナーシップ、この3つのうちの、アントレプレナーシップ。

特に日本はベンチャー企業へのフォーカスが足りないんじゃないかということで、セッション内容に、さっきのピッチイベントとか、僕がモデレーターをつとめさせていただいた日本ベンチャー大賞の受賞者を招いたセッションとか、そういったものを加えさせていただきました。

2日間通じて、僕が担当したセッションとかは特にそうだったんですけれども、今日本のアントレプレナーにとってはものすごくチャンスだなというふうに感じました。やっぱり安倍総理がこの会場に駆けつけてスピーチをしたり、内閣総理大臣賞を日本の歴史の中で初めてベンチャー企業のために創設して表彰するような動きをしたりとか、アントレプレナーが日本では賞賛されない、叩かれたりするのが一番の問題だといわれますけれども、憧れられるような職業にならないのが問題じゃないかといったところが、非常に解決されていくような、そんな手ごたえを感じました。

「Hello,Future!」という志はみんな一緒

船津康次氏(以下、船津):トランスコスモスの船津と申します。まず本当に遅くまで、お付き合いいただきましてありがとうございます。

僕は「Hello,Future!」という、この新経連のスローガンが大変好きです。それともうひとつ「See around the corners」ということで、見えない未来をどうするのかということで、2日間通じて拝見してまして、いろんな角度の話がありましたが、面白いなと思ったのは「Hello,Future!」は皆一緒なんです。

ただ「See around the corners」の向こうに見ている姿が、それぞれの立場、分野でちょっとずつ違う未来を見ておられるというのが大変この集まりのおもしろいところだなあと。

いろんな分野で、いろんな角度で。ただ我々の気持ちというのは、やはりここでイノベーションをしっかりして、色んなことがこの時代の変化の早さについてこれないというのは明確でして。やっぱりその上に新しいものを一緒に作っていくということで、ぜひ我々新経連のお仲間に、皆さんにも参加していただければと思います。

私は今日午前中の最後に、小林りんさんとアイザックと、ジョン・ハーディーさんのトークセッションのモデレーターをやらせていただきました。その時にも言いましたけれども「Hello,Future!」という時に嬉しかったのは、アイザックの子供たちが7人、仕込みでも何でもなくて、質問してくれたらいいなあと思っていたら、ばっと手が上がりまして。

やっぱり「Hello,Future!」という感じに、自分たちのことを、この年代だけじゃなくて、実は未来は若い人達に繋いでいくことが非常に大事だなというのを改めて感じています。それは大変嬉しかったです。

日本の起業家は分単位で進化している

平井康文氏(以下、平井):新経連顧問の平井康文でございます。まずはこの2日間ずっとお付き合いいただいた皆さん、ありがとうございました。昨年も2日間、私はずっと出たんですが、昨年はヨーロッパとかアジアという新しい地域の視点が多かったと思うんですけれども、今年のセッションに全て出ていますと、非常にバラエティに富んで、素晴らしいセッションが目白押しだったと思います。

お気付きになっている方がいらっしゃるかもしれませんけれども、女性活躍とかダイバーシティとか働き方の変革ですとか、ロボット、地方創生、医療等々、実は昨年7月に改訂版としてリリースされた2014年版日本再興戦略の10個のテーマに非常に沿ったものになっています。

そういう意味では、今年の内容としては日本からもう1回イノベーションを起こすんだというふうな形がしっかりと表れたサミットだったんじゃないかなと思っています。昨日の午前中のピッチイベントにも参加させていただきまして、非常に感動しました。

秒単位までとは言わないまでも、日本のアントレプレナー、起業家というのは、本当に分単位で進化してらっしゃるんじゃないかなというのを強く感じた次第です。昨日、今日とたくさんのことを皆さん聞いていただいて、メモっていただいたと思うんですけれども、聞いてメモるだけでは駄目で、やはり私も含めて自らがチェンジ・エージェントになって一歩踏み出すという行動計画をぜひ作っていただけたらと思っております。

全てを賭けて戦う起業家を日本人はもっと賞賛すべき

井上高志氏(以下、井上):皆さん、最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。2日間、非常に過密スケジュールできっともう脳内もパンパンじゃないかなと思いますが、私も一緒です(笑)。

でもその中ですごく印象に残っているのは、多くの登壇した方々から、本当に明確なビジョンとか、必ずやってやろうというパッションとか、ブレない姿を見た時に、やっぱりアントレプレナーにとってそこがものすごく重要だなっていうことを再認識しました。

それから、全駐日米国大使でありましたルースさんのお話の中で、日本はもっともっと起業家、アントレプレナーを褒め称えるべきだというお話がありました。これは僕らを褒めてほしいっていうことよりは、スタートアップも含めて、本当に人生かけて24時間全て投げ打って、それでなおかつ世の中をイノベーションしていこうというようなすごく強いパッション、ビジョンを持ってやっている人達です。

それでも打席に立った人、全員がヒットを打てるわけではなくて、失敗してしまう人もいるわけです。でもそこに、本当に人生をかけてチャレンジしている起業家たちというのをもっと褒め称えるべきだというお話は非常に感動しました。

この新経連は年を負うごとにすごくパワフルになってきているなというのを実感しています。5年前や10年前と比べると、シリコンバレーや、その他先進国のエコシステムに比べてひけを取らないようにだんだん進化してきているんじゃないかなあと。

そういう社会を変えていこうというアントレプレナーやイノベーターたちが、お互いに協力し合って社会を変えていこうというコミュニティとしては、この新経連というはすごくパワーを持ってきたなという実感です。

ぜひ、ますます発展していく会にしたいなと僕自身も思いますし、今日感じた方で入会したいという方は、ぜひ入会のほうもご検討下さい。

三木谷:ほとんど入会ピッチイベントになってきましたね(笑)。石田さんお願いします。

充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない

石田宏樹氏(以下、石田):新経連監査役、フリービットの石田でございます。僕はもともとコンピュータサイエンティストなので、今回ずっと参加してみて、少し技術的なところで統括してみたいなと思うんですが、テーマになっていましたIoTとか、ロボットであったり電子取引・電子政府であったりとか。

あとiPSっていうのがありましたけど、やっぱり結局そこで抱えているのは、ひとつはものすごいオポチュニティがあるということと、もうひとつ反対側にはセキュリティの問題が出てくる。

それをいかに解決していくのかっていうことで、スマートレギュレーションであったりとか、そういったものが必要になってくる。言ってみれば、これからの進化っていうのは未知の世界でありますし、そういったところに実際そのレギュレーションがどんなにスマートな形で対応していくのかっていうのが今回の力であったりとか、イノベーションの力っていうところを支える大切なところになると思います。

なので、我々新経連は「Hello,Future!」といって、未来に対して責任を持つ経済団体ということになりますので、そういう分野ではしっかりと貢献していかないといけないなというように思いました。

それで、その未来を予測するということになりますが、イノベーションというのはものすごく加速的になってきています。2年で倍になるということは、例えば10年経つと100倍ぐらいになるわけですね。進化のスピードというのは、パラダイムシフトが起こる期間というのは、大体10年ごとに2倍に上がってきているんですね。

これはどういうことかっていうと、20世紀の100年間で起きたことが、21世紀が始まった時の速度で計っていくと5倍になっていますんで、20年間で起きます。またそれを同じことでやると、例えば21世紀に起こる時って今度2万年分のことが起こってくるわけです。

どんどんイノベーションの速度っていうのは、速くなってきている。時間軸を読んで間違える時っていうのは、その時のイノベーションの速度によって何倍かによって未来を計ってしまうということで起こっています。

ですから、今考えられている部分でいうと、これからテクノロジー的に言うと、本当に言ってみればすごく有名な言葉で、アーサー・C・クラークという『2001年宇宙の旅』を書いた人の言葉ですが、「十分進化したテクノロジーというのは、魔法と区別がつかない」というように言われます。

そういうような未来が待っていますので、できればテクノロジーも学んでいかないとですね、そういったところに皆さん挑戦していただければな、そういうような魔法の世界を実現できたらな、というように思っています。

三木谷:今ちょうどiPSの話が出てましたが、山中先生との話の中で、iPSの発見というのも実はインターネットが非常に密接に関係していて、今日4個の遺伝子を加えると、ステムセルに戻るという話がありましたけれども、2万から4個に絞っていく過程は、インターネット上にあるゲノム分析の情報とかデータ、これをフルに活用しなければいけませんでした。

そうはいっても2万個から4個ですからものすごく時間がかかったのが、これができたということでありました。まさしく今、このインターネットビッグバンが起ころうとしている中で、単純にメディアが変わるとか、コンテンツが変わるっていうこと以上のことが、今日の今回のNESのひとつのテーマかなというふうに思っています。金丸さんお願いします。

清水寺から飛び降りる覚悟で起業した

金丸恭文氏(以下、金丸):ありがとうございます。フューチャーアーキテクトの金丸と申します。社名がフューチャーアーキテクトでございまして、今年の新経連サミットのテーマが「Hello,Future!」ということで、当社の会社の宣伝がいたるところにされてようで、今年はすごく気分が良かったんですが(笑)。

BtoBのサービスを提供している会社でございます。最近ですと佐川急便様とローソン様からコラボレーションで、一緒にジョイントベンチャーを作るっていう発表がなされていたんですけれども、佐川急便様とローソン様のシステムが同じアーキテクチャーで、弊社が提供しているリアルタイムのアーキテクチャーでできておりまして、そういう裏方のビジネスを行っている会社でございます。

私自身はサラリーマン生活を経まして、自己資金ゼロ、当時住んでいたマンションを担保に入れまして、もう清水寺から飛び降りるつもりで家内に内緒で会社を作って、起業いたしました。

そういう意味では、ぜひ今回のセミナーを通じて、皆さまが壇上に上がったアントレプレナーがご自身から遠い存在に見えるか、近い存在に見えるかっていうのは大きなターニングポイントかなと思います。

Houzzの起業家の方は相当身近に感じるビジネスモデルだったんじゃないですか。ご自身の家をリフォームされるっていう時に出くわしたアクシデントとかトラブルっていうものを解決するっていうことで、そのプラットホームを考え抜いたわけですし。

そういう意味ではAirbnbもUberも考えようと思ったら考えられないわけじゃないけれども、実行しようと思えば実行は困難かなと思えるようなモデルでは無かったかと思います。

先ほどから皆さんが仰っているように、毎年世界中の若い人達も含めて、若い人達だけじゃなくていわゆるサラリーマン、ビジネスマンも含めて、年々、起業がやりやすい環境になってきていると思います。

また、技術革新が連続して起きますので、そういう意味で先行している企業があるからといって、必ずしも不利じゃないということでございますので、ぜひ今回のセッション、セミナーを通じて皆様の心の中にアントレプレナーシップの種火がともって、いつかそれが何かのきっかけで火がつくというようなことがあればいいなあと思っています。本当に長い時間、皆様お疲れ様でございました。

グレーゾーンのビジネスはやれ

松田憲幸氏(以下、松田):皆さん本当にこんな遅くまでどうもありがとうございます。皆様がこんなに支えてくれているから、こんなに素晴らしい会ができたと思いまして、私も今回あてられたセッションの中で自分の力を最大限発揮しようと思って、本当にいろいろインタビューをしたんですけど、その中で本当に東京が変わっているような、日本が変わっているっていうのを知ったことが最大の収穫で、本当に日本の力はすごいなと。

それで、また先ほどお話させていただきましたけれども、やっぱりシリコンバレーが元々日本の強さから来ているっていう話も聞き、本当に勇気づけられました。私は向こうに住んでいることが多いので、UberとかLyftとかを使うことが多いんですけれども、あのビジネスで僕が一番すごいなと思ったのが、要はみんな普通に運転したくて、人と話したいっていう欲求がすごくあると。

多分日本でもそうだと思うんですね。別にどこに行きたいわけじゃなくて、ただ単にドライブをしたい人とか。誰ともいわないけど、ちょっと話したい人がいると。その欲求をただ、Uberだったり、Lyftだったりっていうのが、願いを叶えながら、しかもお金も儲けるという、趣味をお金にかえると。

こんなすごいビジネスはないなというふうに私は感動したわけですが、こういうことってやっぱり向こうに行って運転手さんと話しているうちにだいぶわかったことでして。日本でそれができていないのは、規制の問題などもあるんですけど、私は本当にさらに日本に期待しています。皆さんどうもありがとうございました。

三木谷:グレーゾーンはやれっていう話ですね(笑)。

松田:そうですね(笑)。

三木谷:あれは皆が驚きましたよね。「やっていいの!?」って。ちゃんと録画してありますからね。捕まった時に、あれ流しましょう。

(会場笑)

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