コロナ禍でお金の使途が変わった人は2~3割

ナレーター:みなさんが知りたいお金や経済の疑問は何ですか? 『お金のまなびば!』では、1,000人のみなさんにアンケートを実施し、気になるテーマごとにランキング。結果をもとに藤野さんが解説します。

今回の気になるランキングは「コロナでお金の使い道は変わりましたか?」。藤野さん自身に何か変化はあったのでしょうか。

藤野英人氏(以下、藤野):私はそれなりに変わりました。もともと東京をベースに住んでいたんですが、別荘があった逗子に引っ越しました。

仕事中心のライフスタイルから、トータルライフバランスというか、家族や犬と散歩をしたりと、生活スタイルがだいぶ変わりました。そういう面で見ると、お金の使い途がより家族や地域に変わっていきました。

みなさんは何か変化しましたか? 1,000人にアンケートをとった結果がどうだったかというと、実は1位、640人の人は「変わらない」。

「変わらない」というのも、本当に変わっていないのか、それともものすごく大きな使い途は変わらないという意味なのか、ちょっと不明なところですが、大きな変化をしていない人が多いことがわかると思います。

2番目が164人で「支出が増えた」。恐らく在宅ワークが増えたとか、テレワーク用にカメラを買ったり、コンピュータを入れ替えたり、リモートワークにかかるさまざまな費用が増えたのかもしれませんね。

3番目が95名で「貯金を心がけた」。約100名くらいですから、だいたい全体の10パーセントぐらいでしょうか。実は、コロナになって貯金額は劇的に増えたんですね。

もちろん統計によって違いますが、日本全体の貯金額は数十兆円ぐらい増えました。将来が怖い、不安になったからということで、より貯金をしようという人が増えたのかもしれません。

ということで、コロナによってどういう影響があったかと言うと、60パーセント以上の人は淡々と今までの生活をしているけれども、支出が増えたり貯金をしたりというかたちで、生活に変化がある人がだいたい2~3割ぐらいいる。

社会の停滞を解消するために必要な考え方

ナレーター:「コロナによって生活が一変した」と言う藤野さんですが、人生誰にでも訪れる「変化」について、どう捉えればいいのでしょうか?

藤野:新型コロナウイルスが世界に広がって、大きな変化があったわけですよね。非常にポジティブな変化もありましたが、苦しい変化もあったわけです。飲食業界や観光業界が非常に苦しむこともありましたし、それによって仕事を失った人も出てきたと思います。

でも一方で、新しい変化を受け入れて、その変化をチャンスに変えた人もたくさんいると思うんです。変化というのは、ある時にはもちろん不幸な結果を生むこともあるし、逆に新たなチャンスが生まれることもあります。

でも、それを自分自身でどう受け入れて、どう解釈して未来につなげるのかがすごく大事だと思います。コロナをきっかけにして、未来のことについて考えるきっかけになったら、みなさんにとっても良いかなと思います。

「未来が明るくなる」という確信がないと、「お金を前向きなことに使おう」という気持ちになりにくいと思います。

なので、みんなが前向きにお金を使う。消費であれ投資であれ、そういう前向きな気分になるためには、「これからの未来は明るいんだ」という確信を持つ必要があります。

もちろん、国が明るい未来を示してくれて、みんながそうなれば良いのですが、国がどうのこうのと関係なく、自分で決められるところは自分で決めて良いんじゃないかなと思うんです。

だとしたら、未来をどうするかというのは、「明るくなるだろう」ということを前提に、前向きな努力をしていく。前向きな消費や投資をしていくことが大事なのだと、私個人の意見として思います。

10年後、20年後を見てみると、僕らはすごく成功する可能性がある。経済規模で言うと日本は世界の3番目。アメリカ、中国、日本という順番になっています。

技術力もありますし、食事もおいしいし、安全な国ですよね。だからこそ「リスクを取ることは嫌いだ」という人たちがたくさんいるので、社会が停滞しているんです。

アメリカとか中国って、「俺は少し新しい仕事をやるよ」「こういう仕事をやるよ」「こういう考え方で新しいことを始めるよ」という人がいっぱいですから、ガンガンに競争になるんです。

一方で日本は競争が少ないから、始めた人がけっこう楽に勝てる時代になる可能性が高いと思います。