全部貯金ではなく、一部を投資に回すことの価値

ナレーター:みなさんが知りたいお金や経済の疑問は何ですか? 『お金のまなびば!』では1,000人のみなさんにアンケートを実施し、気になるテーマごとに、ランキングの結果をもとに藤野さんが解説します。

今回の気になるランキングは「ボーナス100万円を何に使う?」です。貯金をする人が4割となっていますが、藤野さんなら何に使うのかを聞いてみましょう。

藤野英人氏(以下、藤野):私が「貯金」と言うと、「なんだお前が」ということになりそうですが、やっぱり貯金はせず、「投資」ですね。本業ですし、かつ「自分のお金を遊ばせない」という面でも投資に回していくことを常日頃からしています。

投資以外で何にお金を使いたいかというと、まさに2位の「趣味や旅行」、特に旅にお金を使いたいと思いますね。今は新型コロナウイルスの影響で、なかなか行けませんが、自分の体験価値を上げたいと思っていますので。

「お金ができたら何に使いますか?」という質問をすると、みんな貯金と言うんですよ。ここでも40パーセント以上が貯金と言っていますから。去年と比べても、個人金融資産で「現預金」の比率が激増しています。それは、タンス預金のお金も激増したってことですから、株も売って現金の比率を高めた人もいる。今、私たちは現金を非常に多く抱え込んでいるのです。

現金というのは何も生みません。もちろん将来に備えることは大事だから、貯金が100パーセント悪なんてことはないです。でも貯金しかしないと、世の中にも自分の人生にも何も起きないということになる。やっぱり一部を投資に回していくことはすごく大事なことですし、みんなが投資をすると、世の中が回って明るい社会になると私は思うんです。

もう貯金をしなくてもいいぐらいお金を持っている人も多いので、その一部を自分のためや家族のために使う。もしくは世の中のために投資というかたちで使うと、もっと明るい未来、もっと明るい社会が生まれるんじゃないかと思います。

「Give Gives Give」のサイクル

私はよく「Give Gives Give」と言っています。「与えることが、与えることを、与える」という。これは何かと言うと、『ふしぎなポケット』という童謡があって、ビスケットをポケットに入れて叩くと、2つ、4つとビスケットが増えてどんどんあふれかえるという歌があるんです。

自分のお金や考え方をあげるというか投資すると増えてくるんですよ。これ、すごく大事なところです。自分の持っている知恵、アイデアや意見をあげたり、誰かの会社に投資したり寄付をすると、あら不思議。自分のポケットの中のあげるものが増えるんですよ。それをまたあげると。あげたことでポケットの中はなくなるはずなのに、もっと増えていくんです。だから僕はGive Gives Giveというふうに言っています。

取ろうとか奪おうとすると、逆にそういう人が集まってきて奪い奪われる。弱肉強食の中に入っていくと、すごく消耗するし、あまりお金も増えないし、人脈も増えない。非常につらい世界が待っているんですよね。

だから私はなるべく投資をするようにしています。「ひふみ」に携わっていることもあり、上場株の投資には制約があるので、私自身は未上場の会社に投資をしています。投資をしてはいるんですけど、なかなか売ることができないので、本当に私の預金通帳の残高はいつも少ないんですよ。

でも、3年、5年と経ってそういう会社が大きくなると、かなり大きく増えるので、それが返ってくるんですよね。返ってきたら、私はまたそれを全部世の中にまきます。結果的に、多くの会社やそこで働く人の雇用が生まれる。明るい社会が生まれてくることになります。そうするとまたポケットの中にあげるものが増えていく。投資を繰り返すことで、雪だるま式にあげるものが増えていくことが、投資の楽しいところだと思いますね。