「働く」って、なんだろう?

ゆきりぬ氏(以下、ゆきりぬ):ピースの角度は30度! どうも、ゆきりぬです!

はい、ということで……私はふだんYouTubeで動画投稿をしている、ゆきりぬといいます。

こちらのチャンネルではどんなことをやっていくかというと、若いゲストの方に来ていただいて、「働くとはなにか?」について一緒に考えていくというものです。若いみなさんはこれを見て、ぜひ「将来(について)どういうふうに考えたらいいかな?」みたいなことを、(私と)一緒にゆるくゆるく考えていければいいかなと思います。

と言っても、私だけが話を聞いていると、たぶん「うんうん、そっかそっか」という感じで終わっちゃうと思うので。今回は強力なサポートの方に来ていただいたので、ご紹介させていただきたいと思います。こちらの豊田さんでございます。

豊田義博氏(以下、豊田):よろしくお願いします。

ゆきりぬ:よろしくお願いします。自己紹介をお願いしてもいいですか?

豊田:はい。「リクルートワークス研究所」という、人と組織に関する研究をしている組織にいます。

ゆきりぬ:人と組織に関する研究?

豊田:要は、まさに「働くってなに?」みたいなことを研究している、そういう組織ですね。

ゆきりぬ:そういうことなんですね。

豊田:「人がどんなこと思って働いているのか?」という個人のキャリアみたいなものもありますし、「じゃあ、会社が人をどうやって活かすか?」という研究をしたり。あるいは、今は日本に6,000万人以上の働いている人がいる。

ゆきりぬ:そんなにいたんだ!(笑)。

豊田:ゆきりぬさんも、その1人ですね。

ゆきりぬ:そうですね。

豊田:「こういう人たちは、全体ではいったいどうなっているんだ?」という、わりとマクロの全体を見たり会社を見たり、個人の働き方を見たり。そんなことを研究している組織にいます。

ゆきりぬ:難しいですね……(笑)。

そんな強力なサポートの豊田さんと一緒に、こちらの「働くってなに?」というチャンネルを一緒にやっていきたいと思います。私は聞き役としてやって、解決役を豊田さんにお願いするようなかたちで、いろんなゲストの方々を呼んでお悩み解決をさせていただこうと思います。

「働く」の根底にあるのは、誰かのためになにかしてあげること

ゆきりぬ:まずはそもそも、番組名でもある「働くってなんなのか?」なんですけど。私は中学の時から「そもそも、なんで働かなきゃいけないんだろう?」ということが、ずっと疑問だったんですよ。

豊田:ああ、そうかそうか。

ゆきりぬ:できるなら、もうずっとニートがよかった(笑)。

豊田:「働くってなに?」と言ったら、例えば……いろんな人が困っていたり何かが欲しかったりとか、世の中にいろいろな課題のようなものがあります。

ゆきりぬ:そうですね、ありますね。

豊田:誰かが困っているとしたら、それを(解決するために)誰かがなにかをしてあげると、「ありがとう」と言われる。そういうものに「応えてあげること」が、働くということだと思うんです。

基本的には、お金をもらうことが前提になっていますけれども。でも、本来の意味合いの「働く」って、たぶん別にお金を「もらう」「もらわない」じゃなくて、「誰かのためになにかをしてあげる」。そういうこと自体が、基本的に「働く」の根底にあるものなんだと思うんです。

何のために働いているのかわからず、時間を切り売りしてしまっている

豊田:今働いている多くの人は、何のために働いているのかがわからなくなっちゃったりとか、「『こんな(ことを)やれ』って言われるから、やってるけど……」みたいなこともあると聞きます。

ゆきりぬ:そうですね。なんだか、「言われて嫌々、パソコンをカタカタやってる」みたいなイメージが強いです。

豊田:ありますよね。

ゆきりぬ:「でも、お金がもらえるからいいや」みたいな(笑)。

豊田:うん、そうそう。時間の切り売りみたいなかたちでやっている人が、たぶん……残念ながら少なくない。

私が所属している、リクルートワークス研究所という組織のミッションステートメントがあるんです。「私たちの(リクルート)ワークス研究所は、こういう社会を目指したい」と。

ゆきりぬ:なるほど。

豊田:それは、「一人ひとりが生き生きと働く次世代社会を創造する」。要は、みんな働くことは働くんだけど、やっぱり生き生きと働く社会にしたいよねと。でも、なかなか生き生きしていない人はたくさんいるので、「それは、いったい何が課題なんだろう?」「どういうふうにすればいいんだろう?」。そんなことを研究しています。

本当にやりたいことがわからない人たちで溢れている

豊田:だから、まさに「働くってなに?」だし、「働くことをおもしろく思っていない人がいっぱいいるとしたら、それはいったい何が問題なの?」ってことですよね。この番組(のテーマ)そのものみたいなことを、ずっと研究しています。

ゆきりぬ:へえ! 最近、なんだか職業がすごく増えているなと思っていて。例えば、私みたいな動画クリエイターがいたり。それこそInstagramerとかも、最近できた職業だと思うんです。今の若い人たちって、職業がいろいろとありすぎて悩む方も多いんじゃないかなと思うんですよ。

豊田:たぶんそれは、きっと若い人に限らないんだと思いますよ。

ゆきりぬ:えっ、そうなんですか?

豊田:歳のいった人だろうがなんだろうが、今働いているけど、それが本当にやりたいことなのかどうかわからない人……「本当は、自分は何をやりたいんだろう?」ということがわからない人って、すごく多いんだと思います。

ゆきりぬ:へえ。

豊田:「何をやりたい?」と言ったときに、「世の中でこういうものが流行っているから、これをやろう」とか。そういうふうに職業を決めている人もいっぱいいるんですけれども、そういう決め方って、往々にしてうまくいかないことがあるんですよね。

ゆきりぬ:そうなんですね。

自分探しは一生し続けるもの

豊田:自分の心の中に、良い意味で「引っかかること」って言えばいいんですかね。そういうことを大切にしながら何かをしていく。そういった「自分の人生の主人公でいられるかどうか?」みたいなことが、とっても大切だと思っていて。

やっぱり「働くのは嫌」と(なぜ思ってしまうかというと)その時に、自分のためにじゃなくて、結局誰かのためにやっていて「やらされている」と感じてしまうからではないかと。

ゆきりぬ:確かにそうですね。

豊田:それはね、やっぱりすごくよくないと思います。だけど、そういうふうになっちゃっている人が多い。自分が本当に大切にしているのはなにか、ちゃんと自分の中に問いかけていないんですね。「今までいろいろやってきたことのなかで、私はどんなことをしていたときに一番生き生きしていたのかな?」ということを考えてほしい。

ゆきりぬ:ある意味で「自分探しをする」みたいな感覚ですか?

豊田:そうです。「自分探し」って、あんまり良くない意味合いで言われますよね。「そんな自分探しをしている暇があったら、もっと働け」とか。

ゆきりぬ:そうですね(笑)。はい。

豊田:2000年代初頭ぐらいに生まれた日本人の子どもの半分って、100歳以上まで生きるって言われてるんですよ。

ゆきりぬ:へえ、そうなんですね!

豊田:だからゆきりぬさんも、それぐらいまでは生きる可能性がすごく高いわけですけれども。

ゆきりぬ:やったー(笑)。

豊田:それだけ生きるとしたときに、さっき言ったみたいな新しい職業が生まれるということは、その分どんどん古い職業がなくなるわけでしょ?

ゆきりぬ:ああ、なるほど。確かに。

豊田:それに、人って飽きるんですよね。ゆきりぬさんは、今はとっても生き生きと動画クリエイターとしてやっているけど、なにかの折に「なんか私、もう飽きたかも……」って思うかもしれないじゃないですか。

そのときに、その心に忠実に「じゃあ、次は何をしようかな?」と自分探しをして、「こんなことをやってみるといいかも」「こういうことをやるのも、楽しかったよね」とか。一生、ずっと自分探しを続けるみたいなことなんじゃないかと思うんです。

誰だって、最初の就職は初めての経験

ゆきりぬ:「(いったん)企業に勤めたら、そこからもう30年や40年、その企業に勤めないといけないのかも……」みたいな感じで思っていて。たぶん、就活している人のなかにも「これで人生が決まる」と思っている方が多いと思います。

豊田:そうですね。確かに少し前までは、「いっぱい転職しすぎると履歴書が汚れる」と言われ、「3回以上転職している人は採らない」とか、そんなことを言っている会社も正直あったんです。実は最近、それぐらいの人が徐々に当たり前になっているきらいもある。

多くの人が会社で働いたことなんてないわけですから、最初の会社で「合わない」ということも、もちろんあるわけじゃないですか。だとしたときに、変に引っ張ってそこで(働き続けて)心にずっと闇を抱えてしまうより、もっと自分が生き生きとできるところを探したほうがいいんです。

ゆきりぬ:じゃあ、もうちょっと軽い気持ちで就活してもいいのかもしれないですね。ということで、豊田さんにいろいろとお話を聞いたと思うんですけど。私はこの話を、そのままゲストの方にしていきたいと思います(笑)。

このチャンネルでは今後、いろんなゲストの方に悩みを相談していただくことになると思います。今回は初回ということで、豊田さんに私の悩みを聞いていただこうと思うんですけど、いいですか?

豊田:はい、どうぞ。

新しい職業が社会的に認められていく過渡期

ゆきりぬ:(私の悩みは)「動画クリエイターが、世間的にまだ認められてない!」ことです。

最近引っ越したんですけど、家を借りるときとかに「えっ、動画クリエイター?」みたいな感じの目で見られがちなんですよ。

豊田:私は、これはもう明らかに間違っているなと思うんですけれども。でも残念ながら、たぶんそういうことって、今までもいろんな職業であって。

ゆきりぬ:あっ、そうなんですね。

豊田:徐々に社会的に認められていくなかで、今は過渡期にあると思うんです。過渡期にあるから、しばらく家探しは苦労するんじゃないかと思いますよ。

ゆきりぬ:えー(笑)。

豊田:苦労はあるかもしれないけれども、その生き方自体は、私はとってもいい考え方だと思う。

ゆきりぬ:ありがとうございます。

豊田:でも、私だけが認めても、家を買えない方は困るんですよね。

ゆきりぬ:そうなんですよ(笑)。

豊田:そこは残念ながら、日本社会はまだまだ堅いから、すぐには解決ができないんじゃないかな。ゆきりぬさんたちがもっともっとメジャーになって、世の中を変えていってもらいたい。真面目に。

ゆきりぬ:確かに。結論として……動画クリエイターみんなで、がんばるぞ!!(笑)。

豊田氏のキャッチフレーズは「襟の角度は30度」

ゆきりぬ:今回いろいろお話をしていただいたと思うんですけれども、これから一緒にやっていく上で、ちょっと仲良くなりたいなと思いまして。挨拶があるんですよ。動画の一番最初に、キャッチフレーズ的な感じで挨拶をするんですけど。「ピースの角度は30度。どうも、ゆきりぬです!」みたいな感じで。こういう挨拶を、ちょっと豊田さんに(笑)。

豊田:私のバージョンを作る!? なるほど。

ゆきりぬ:そうなんです(笑)。

豊田:ゆきりぬさんが30度なので、私も角度でいきますか。

ゆきりぬ:角度で。

豊田:いいですね。

ゆきりぬ:今日の服、ちょっと博士っぽくないですか?

豊田:そうです。こんな感じ。

ゆきりぬ:特徴的だから。

豊田:この(襟の)角度でいきましょう。

ゆきりぬ:この角度(笑)。

豊田:なんか、30度っぽいから(笑)。

ゆきりぬ:あ、確かに(笑)。

豊田:「襟の角度は30度」。

ゆきりぬ:おお〜! じゃあ、次回からこれでいきたいと思います。

ピースの角度は30度! どうも、ゆきりぬです! そして……。

豊田:襟の角度は30度! 豊田です! よろしくお願いします。

ゆきりぬ:本当にありがとうございました。

豊田:いえいえ、ありがとうございます。

ゆきりぬ:初回なんですけど、「こんなゆるくて、大丈夫なのかな?」っていう(笑)。

豊田:そうですね。ちょっと心配な感じもありますけど、まぁでも、こういう感じで。

ゆきりぬ:はい。やっていこうと思いますので、みなさんぜひよろしくお願いします。それじゃあみなさん、また次回お会いしましょう! それでは、バイバイ〜。