前澤氏から「なんでも聞いてください」

(月旅行計画「ディア・ムーン」のVTRが流れた後、記者の写真撮影)

前澤友作氏(以下、前澤):そろそろお写真タイムは終わりだそうで。ありがとうございます(笑)。

あらためまして、今日はお忙しいなかお集まりいただきまして、みなさんありがとうございます。ふだんは株式会社ZOZOの代表取締役をやらせていただいている前澤と申しますが、今日は個人のプロジェクトですので、個人・前澤友作として今日は来ております。よろしくお願いいたします。

すでに先日、アメリカ・ロサンゼルスで大まかな概要は会見でご説明させていただいたんですが、日本向けにはこれが初めての説明になりますので、今日は何卒最後までよろしくお願いします。また、なんでも聞いてください。よろしくお願いします。

今日は会社の決算説明会でないですし、事業説明会でもないので、個人・前澤友作として楽しい会見にしたいなと思いますので、楽しいご質問をぜひお願いいたします。

司会者:短いスピーチをしますよね?

前澤:大丈夫です。もうアンディさん、ご質問いただいて。

司会者:もうじゃあ質問から始めましょうか。

前澤:どうぞ。

司会者:OK?

前澤:レッツ・スタート。

司会者:本日のモデレーターの「Nikkei Asian Review」のアンディ・シャープです。今日のファッションすばらしいですね。もしかして、ZOZOTOWNのものですか?

前澤:いいんですか? そんな宣伝しちゃって(笑)。

司会者:(笑)。

前澤:今日は全身、最近始めた我々のプライベートブランド「ZOZO」を着ておりまして。「ZOZO」というブランドの特徴は、その人その人の体型に合ったピッタリのサイズを、体型をZOZOSUITというツールを使って計測したあと、ピッタリとした服をお届けしようというブランドでして。

今日も見ていただければわかるとおり、僕的にはかなりピッタリなんですが、いかがでしょうか? みなさんもこのようなピッタリなお洋服、買えますので、ぜひトライしてみてください。以上、宣伝でした。

司会者:(笑)。はい。広告は十分、ここまでとしたいと思うんですけれど。

月旅行は「インプットを増やすため」

司会者:まず私から1つ目の質問で、そのあとにQ&Aに移りたいと思います。

前澤さんのほうでは、非常に大きなZOZOTOWNという会社を経営しながら、宇宙飛行士をしてこれからトレーニングをやらないといけないですし、アートコレクターとしての側面もありますので、そういうこと(会社経営)は一日にどう対応されているのですか?

前澤:グッド・クエスチョン。私どものZOZOという会社は、短時間労働を社員にも推奨しております。具体的な施策としまして、6時間労働制を実は導入しています。普通は8時間ですよね。我々の場合、6時間で自分の仕事が終わったならば、「すぐ帰ってしまっていいよ」と、そんなことをしているんですけれども。

それをやり始めた瞬間、社員たちの働き方が変わりました。どう働き方が変わったかというと、もう無駄な作業はやめる。無駄な資料はやめる。無駄な会議はやめる。そういうふうになりました。結果として、ものすごく集中力が高まり、パフォーマンスも上がり、6時間で帰る人が続出しました。

つまり、私をはじめ、我々のZOZOという会社は、もう短時間で集中して、「好きなことをやって早く帰りましょう」ということをずっとやっているんですね。その関係で、私自身も会社に朝から晩までいるようなワークスタイルは取っておりません。会社には週3〜4日ぐらい(出社して)、行ったときはたいてい6時間で帰っています。

ですので、それ以外の時間もけっこうあるんです。それ以外の時間は何に使っているかというと、趣味のアートだったり、車が大好きだったり、今日のこの宇宙の発表もあったり、そういうお勉強だったり、体験だったり、お買い物だったり、そういうことにすごく時間を使います。

この会社以外で過ごす時間を、僕はすごい重要にしています。大切にしています。かつ、それは社員にも言い伝えています。

どういうことかといいますと、「会社でやること以外にもたくさんのインプットを増やしなさい」と。だから、会社が終わってどこかで習い事をするのもいい。誰かと会うこともいい。どこかへ旅行へ出かけることもいい。「このすべてがみんなにとってのインプットになります」と。そのインプットが、「明日、明後日のみんなの仕事にも必ず活きます」と。

つまり、インプットの量とアウトプットの量は常に僕は比例するのではないかなという考え方を社員にも伝えていて。だから、月へ行ったらきっと僕はいい仕事をできるなと思っているから行くんですね。

いきなり本題に入ってしまいますけれども。つまり僕もこの一環で今回この冒険をすることにしているんです。

つまり、会社だけに時間を費やすんじゃなくて、たくさんのインプットを増やすというのを日頃からとても大事にしているので……。そうですね。ちょっと長くなっちゃって、ごめん(笑)。すいません。

復興支援と月旅行とのバランスについて

記者1:私はインドネシアに来て30年経つのですが、月に行くことは非常に良いことだと思います。私も行きたいですし、ここにいるみなさんも行かれたいと思います。

ただ日本には批判されている方もいるとは思うんですが、例えば「社会に貢献されたらどうですか?」と言われている方もいらっしゃると思います。それに対して前澤さんは3.11の福島の被害を受けた方々にも貢献していますし、国際機関を通して子どもにも貢献しているとお答えされていましたが。

最近のインドネシアの地震で2,000名の方々が亡くなられて800名の方がまだ行方不明で、1,000人の方々が今避難されている状態です。月に行くこととこういう社会貢献、人類への貢献ということをバランスしていただきたいなと思います。

インドネシアを助けていただいたらインドネシアの全人口だけではなく、イスラム教の方々は2億2,000万人くらい世界にはいるんですが、その方々も前澤さんの名前を生涯覚えていると思うんですけれども。そういうことはお考えになられていますか?

前澤:ご質問ありがとうございます。まずはインドネシアもそうですが、近年世界各地でいろいろな災害が起きていますし、たくさんの方が亡くなったり、たくさんの方が怪我をされていることは本当に僕も心を痛めています。

毎度毎度その度に思うんですが、「自分には何ができるのか」と。日本の場合はだいたいなにか起きるとすぐに会社としても個人としてもいろいろやらせていただいています。海外でもやらせていただいたことはあります。

ただお国柄なんでしょうか、そういったことを「やってます!」と公にするのがはばかられる国でもあります。

今までやったことの中の一部ですが、みなさまにもしっかり公表して「このような支援活動をしています」とか「このような義援金を送らせていただきました」とか、そういった話はちょこちょこはさせていただいています。不十分なところもありますし、すべてを公表していないというのもありますので、よく認知されていないところもあると思います。

どこまでそれをやれば正解かというのは生涯の課題になるのでしょうし、それと自分の趣味だったり、自分の得意な分野で役に立てるために使うお金だったり、それは本当におっしゃったとおりバランスの問題でしょうし。

そのバランスにも正解がないと思うので、それは一生苦悩して葛藤し続けながら、自分の中のバランスというのを見つけたいとも思いますし。

基本的にもうこういう立場ですので自分は、仕事もそうですし趣味もそうですし、根幹には、必ずその先には「誰かの役に立ちたい」「誰かを感動させたい」「喜ばせたい」という想いがありますので。これからの活動はバランスを取りながら両方でやっていけたらいいと思います。

あと、寄付をすることや義援金を送るのはどうしてもお金を送って、それで終わってしまうので、自分としてはもっと自分の体を動かしたり、もっと自分の知恵を絞ってなにかお手伝いしたいというのがあります。そういう意味で毎回寄付するたびに「それだけでいいのかな?」というジレンマは毎回あります。

それと逆ですけど今回月に行くことや、なにかを買ってみなさんとシェアするのは自分が得意な分野ですし、自分の頭をふり絞ってやっていることですし、自分で自発的に動ける行動なのでそっちがどうしても表にも出ますし、そっちが積極的に映るんでしょうけれども。そこはおっしゃるとおりバランスを見てやっていきたいなと思います。以上です。

どのようなアーティストを招待したいか

記者2:ニコニコ動画の七尾と申します。よろしくお願いします。まず宇宙を舞台にしたアートで世界を平和にする、このプロジェクトはすばらしいと思います。

いくつか興味があるんですが、招待する方々の具体的な招待のポイントや、いつごろから交渉を行うのかというお話と、とくに前澤さんはSWITCH STYLEのドラマーでもあったわけで。

(前澤氏、口に人差し指を当てて「シー!」のジェスチャー)

あ、すみません(笑)。交渉もあると思うので具体名はお聞きしませんが、どのようなミュージシャンを招待したいとお考えなのか、よろしくお願いします。

前澤:ご質問ありがとうございます。ミュージシャンだけじゃなくて画家さんだったり映画監督だったりファッションデザイナーだったり、ちょっとまだ分野はしっかり決めていませんけど。

とにかく僕の夢が世界平和ですので、世界をなんらかのかたちで、自分のクリエーションで良くしたいという想いの強い方を探して声をかけたいと思います。

あと自分がその方の作品を好きというのも大事かなと思いますので、そういう感じで声をかけたいと思ってまして。現状はもちろんまだ誰も決まってもないですし、まだ勧誘というか声をかける活動は開始しておりません。

記者3:BBC World Serviceでトルコ言語を担当しているイルキンと申します。

まず2つ質問があるんですが、アートというものは前澤さんにとってどういう意味をもっていますか?

そして、今まで24名しか月に行ったことがなくて、全員アメリカ人の宇宙飛行士だったと思うんですが、前澤さんとしてはどういう国の方々を連れて行きたいということはお考えはありますか? セレクションプロセスはどういうふうになっていますか?

あとは『コンタクト』という映画があるんですが、それをご覧になられたいろいろな性格の方が宇宙船に乗ると、非常に難しい状況も発生してしまうと思うんですが、例えばバンクシーを連れて行くとなった時に、バンクシーが宇宙ロケットを爆発させたいみたいなことをおっしゃったらどうされますか?

そういういろいろな方を連れて行くというご要望はありますか?

前澤:ご質問ありがとうございます。まずアートは大好きなんですが、言葉を持っていないので、言語を越えて向き合います。

そして、例えば僕の隣に同じようにアートを見る人がいれば、その方が何語で話そうが何人であろうが、「なんかいいよね」とお互い言っているんだけども、そこには言葉がないので。別に共通言語ではないんですが、つまり、アートというのは言葉がないのに人と人を繋いでくれたり、言葉がないのに深く自分自身を見つめ直すきっかけをくれたりという意味で、とても大好きです。

続いての質問で、どういう国のどういう人というところなんですが、なるべくワールドワイドに、いろいろな地域のいろいろな方、いろいろなアーティストをお連れしたいというのはあります。

確かにアーティストのみなさんなので、突拍子もないことを言う方もきっといるでしょう。ただ、そういうのをなだめすかして、どうかケンカしないでねとか、そういうのをやるのがホストキュレーター、僕の役割でもあると思っていますので、仲良く楽しい旅にしたいなと思います。

両親をとても尊敬している

記者4:海外のフリーランスジャーナリストのヒロユキ・フジタと申します。前澤さん自身がもう歴史的人物だと思うんですが、男性でも女性でもいいんですが、歴史的人物で前澤さんが一番大好きで尊敬されていらっしゃる方はいらっしゃいますか?

前澤:身内の回答で申し訳ないんですが、両親をとても尊敬しています。こんな厄介な息子を育ててくれてありがとうと思っています。

今回の件もそうですし、日々の僕のいろいろな発言、発信をとても心配して見守って、きっと今日も生中継で見ていると思うんですが、とても尊敬しております。

記者5:AFPのリチャード・カープです。

トレーニングに関しての質問なんですが、もうすでにトレーニングは始まっているんですか? それと、どういうトレーニングをこれから行わなければいけないんですか?

あと、宇宙に行くのは非常に危険だと思うんですが、一番怖いと思っていることと、一番楽しみに思っていることをご紹介ください。

前澤:ご質問ありがとうございます。

トレーニングの内容についてはまだいっさい決まっておりません。ただ、イーロン・マスクさんには「そんなに過酷じゃないよ」とざっくり聞いております(笑)。ただ、自分自身で必ず英語は必要になるかなと思っています。

あと、基本的に人間ドックも毎年行っていますし、そういったところで異常がなければ、まず問題ないと簡単には聞いているんですが、まだ具体的には決まっておりません。

それから危険だとか怖いだとか、そういうのも言い始めてしまったらきりがないので、まだ気にしないようにはしていますが、今回は僕だけではなくて、アーティストもお連れするということで、当然、安全面でのそれなりの担保がないと、僕も「さあ行きましょう」と言えませんから、そこはこれから入念にSpaceX社と安全面の話はしていきたいと思います。

あと自分が一番楽しみにしているのは、月に近づくことももちろん楽しみなんですが、地球を丸く見ることです。もちろん写真ではたくさんみなさんも見ていると思うんですが、それを自分の目で見たらどれほど感動するんだろうというのを、今から想像するだけで涙が出そうになるくらい、それを楽しみにしています。

球団経営、「思いはたしかに持っている」

記者6:フクシマ・ソウと申します。フリーランスのジャーナリストです。

月に行くと発表されてから、多くの子どもたちにインスピレーションを与えていると思いますが、ご自分の子どもたちにもこういう話はされましたか? あと、子どもたちを連れて行くというプランはありますか?

前澤:子どもたちに言いました、もちろん。子どもは不思議と月は行けるものだと思っているんですよね。「え、行けるんじゃないの?」と聞かれました。そして「僕たちも行きたい」と言われました(笑)。

子どもはまだ行けないから、「まずパパが先に行って見てくるから」「先に行ってくるね」という感じでとりあえず言いましたが。想像なんですが、世界中の子どもたちも同じように「月には別に行けるよね」と思っている気もします。

もちろん今の子どもたちが大人になる時には、おそらく簡単に月に行ける時代になるんでしょうから、なんか夢がありますね。

最近子どもたちと話すと、少し出張かなにかで外していると、「パパ月に行ってきたの?」と普通に聞かれます(笑)。

記者7:今日はありがとうございます、NHKのテラダと申します。なんでも聞いてくださいということなので、そのお言葉に甘えて、月とはちょっと違う質問をさせていただきたいです。

以前Twitter上で球団経営の意欲を示されたと思うんですけれども、シーズンオフが近づいてきたのでどうなっているのかなということで、進捗状況はどうなっているのか、月とは離れてしまうんですけれどもよろしくお願いします。

前澤:はい、月とは違いますけれどグッドクエスチョンで、ありがとうございます。まだなにも、今日の時点ではお話できません。ですが、思いはたしかに持っていますし、動いていないこともないので、なんらかの時点でお話できる時が来ましたら、ちゃんとご説明差し上げます。

Twitterでの発信はリスク?

記者8:日本経済新聞のナグモと申します。今回の発表でかなり海外に前澤さんのお名前が浸透したかと思うんですが、プライベートブランド・ZOZOの今後の海外展開について、今後どのように広げていくのか、あらためてどう考えているのか教えていただけますと、幸いです。

前澤:ご質問ありがとうございます。そうですね、今まで「バスキアの前澤」と世界では知られていたのが「月の前澤」にアップデートされて(笑)。それで知っていただいている人も広がっていると思います。

これは同時にZOZOという我々のブランドを広げる大きなきっかけにもなりますので、そこはいやらしい話ですけれども、ちゃんとビジネスとしてうまく使って、「前澤のやっているブランドだよ」という言い方を時にはしますでしょうし、そうやって広げていきたいなと思います。

幸いなことにZOZOSUITをはじめ、海外のみなさまからもおもしろいという声もたくさんいただいておりますので、いいスタートを切れているんじゃないかなと考えています。

付け加えますと、「前澤」というのが海外の人には読みづらいそうで、最近は自分のことをMZと。エムゼットですけどね。MZと読んでくださいとたくさん言っているんですが、一向に広まる気配がありません。

(会場笑)

記者9:ロイターズです。SpaceXのイーロン・マスクさんとこの間、記者会見を行っておりましたが、イーロン・マスクさんに関してはTwitterでブランドを構築したり、いろんな人と関係を築いたりするために使ってますか? 

また、前澤さんにとってTwitterは非常に重要なツールだと思いますか? それともリスクが伴うと思っていますか? Twitterに関しては誰かチェックする方がいらっしゃるんでしょうか? イーロン・マスクさんに関してもチェックした方がいいんじゃないかと思われている方も多いかもしれないですけれど。

あと2つ目の質問なのですが、アート・コレクターとして今まで過去に株を売却してアートを買われているのかもしれないですけれど、今後この月のミッションに関して今持っている株式というのは売却する予定はありますか?

前澤:ご質問ありがとうございます。Twitterはうまく使えばいいんですけど、マズく使うとよくないのは、イーロン・マスクさんの件もそうですけど、僕もしみじみ、自分自身もそれを痛感するところではあります。まず会社に関することをツイートする時には、会社で引いている、極めて厳格なルールがありますので、そのルールに基づいてやっています。当然チェックする人もいます。

一方で個人のことについては、そのルールは自分の倫理観だったり、自分の考え方に基づくことが大きいですから、時には失敗もあるでしょう。ただ、会社にそのダメージを与えるような失敗はもちろんしません。

感情的になった失敗がよくあると、そのたびに反省するんですけれども。冒頭でも言ったとおり使いようです。時に私がつぶやくことで、例えば求人募集なんかをすると大量に応募が来たりもするわけで、うまく使えばとてもいいツールだなと日々感じております。まずそこまで。

次にお金の話なんですが、まずこの月のプロジェクトにどのくらいのお金がかかるかは今日は発言できませんし、デポジットはすでにSpaceXさんにお支払いしているお話はしていますけれど、それがいくらかも話せないです。当然、その資金をどうするかも今日はお話しできないです。

イーロン・マスクを信じている

記者10:ブルームバーグニュースのナカムラと申します。本日はありがとうございます。買い物についてお伺いしたいんですが、前澤さんは買い物が非常に大好きだと思うんですが。

この数年くらい、ものすごいペースでいろいろ買われているかと思いますが、これからも同じペースでそれが続く見通しなのか、さらに増えるのか。またさらに買い物の分野が広がるのか、どのあたりの銘柄をお考えなのか、そのあたりをお伺いできればと思っております。

それからもう一つが、先ほどから「dangerous,dangerous(危険だ)」という話が続いているんですが、イーロン・マスクさんも会見中に何度も、前澤さんのことを「brave,brave person(勇敢な人)」とおっしゃっていました。

マスクさんと一緒にいろんなお話をして時間を過ごして、「この人だったら信頼できる、安心できる」という、そのあたりで何か感じたことがあれば教えていただけますでしょうか。お願いいたします。

前澤:まずショッピングですけど。「ショッピング」というと、だいぶ軽くなっちゃいますけど(笑)。どういうものを買っているかと言うと、僕はものすごくこだわって作られたものが好きなんですよ。その職人の技を感じたり、そこの背景にある歴史だったり、そこに関わる人たちの情熱だったり。

そうやってこだわられて作られたものは、だいたいめちゃくちゃ高額になってしまうので、ついつい値段ばかりが一人歩きして、「またこの成金野郎が高いもの買ったぞ」となっちゃうんですけど、本来僕が買いたいのは、その裏にある人の情熱なんですね。

その情熱を自分が感じる、そういうインプットが自分にあることは、経営者としての仕事にも当然活きてきますし、自分が最近、ZOZOという新しいブランドを始めさせていただきましたが、そこでもやっぱり徹底した妥協を許さないものづくりに活きてくるんです。

そういう意味で、「何もかも高ければいい」ということでいっぱい買い物をしているわけではなくて、その背景にある人の思いを買うのが僕の買い物の仕方です。

今後もどんどこ買うのかという話なんですけど、勉強すればするほど、そういう素晴らしいものは世界にはキリがないくらいあるんだなと知ることができて、実はまだまだほしいものはいっぱいあります。ただ、もちろんお金的な制約もあるし、時間的な制約もあるので、すべてをということにはならないですが、そういうお買い物の仕方をしています。

もう自分自身もいっぱい物も持っていますし、十分な生活をさせていただいているので、「これ以上、これ以上」とは思わないんですよ。基本的には素晴らしい人の思い、素晴らしいこだわりのある、ものづくりを、やっぱり人に広げたいです。

とくにこれからの若い方々、子どもたちに「こんなに素晴らしいものを作っている人たちがいるんだよ。ただ、この人の手を見てよ、血豆だらけじゃないか」と。……ちょっと感情的になっちゃいますけど、そういう心のこもった物づくりをする人が世界にこんなにいるんだよ、ということを伝えたいです。

次に、「danger, danger」と、イーロン・マスクさんもなんでそこまで会見で言うんだろうと僕も思いましたけど(笑)。彼を信頼できるなと思った一番のきっかけは、彼の会社に何度か行っているうちに、社員の方々の姿勢や接し方が素晴らしかったので、「あ、この人が率いている、そしてこの社員さんたちの態度や姿勢というのは、まさにこの人が作ったものなんだろう」と。

みんなイーロン・マスクを信じていますし、みんな彼の夢に自分の夢や技術をぶつけています。そういう会社は自分もいち経営者としてとっても素晴らしいなと思いますし、僕もそうでありたいと思いますし。

そういう人同士が、月・宇宙というテーマでイーロン・マスクさんとつながって、そういう話ができることもすごく僕には価値があります。とても信頼していますし、お友達としても先輩経営者としても、大変尊敬しています。

剛力彩芽を月に連れて行くのか

記者11:日刊スポーツ、ムラカミです。よろしくお願いします。「なんでも聞いてください」とおっしゃったので聞かせていただきたいんですけれども。交際中の剛力彩芽さんは、月旅行のメンバーが当初アメリカで発表された時には、一応入っていないという報道も一部ありました。

剛力さんの周辺の方も「行かないだろう」というような見通しを語られていたんですけれども、現在の交際状況を含めて、剛力さんが月旅行に行く可能性があるのか、そのへんを教えてください。お願いします。

前澤:ご質問ありがとうございます。アーティストさんもそうなんですけど、僕以外の船員、お連れする方はまだ1人も決まっておりませんので、もちろん決まっていないということなんですけれども。

本人は当然このプロジェクトを知ってますし、大変興味を持っています。ぶっちゃけ、「私も行きたいな」と本人は言っていますが、ご存じの通り、今回は大きなミッションというか、それぞれのアーティストがそれぞれの役割を担って、そしてキュレーターである僕自身もホストとしてそういう役割を担っていきますので、ただ楽しんで行く旅行とはやっぱり違うわけです。

ですので、彼女にもしなんらかの役割やミッションがあって、それをすべての船員たちが受け入れてくれるのであれば、彼女にも行くチャンスはあるのではないかなと思っています。まぁ、極めて真面目に私たちはやりたいなと思っております。

交際状況は順調です。ありがとうございます。

「世界平和」を願うようになったきっかけ

記者12:本日はお話ありがとうございます。テレビ朝日のシンと申します。先ほど「ディア・ムーン」のプロジェクトのお話の中で、前澤さんの夢が「世界を平和にすることだ」とおっしゃっていました。

それはビジネスを始める前からずっと思っていらっしゃったことなのか、それともビジネスを拡大していくなかで、いろんな経験を重ねていかれたなかで醸成させていったものなのか、おうかがいしたいと思います。

前澤:ご質問ありがとうございます。昔から「平和がいいのにな」という思いは強かったです。とくに中学生、高校生ぐらい、まぁ思春期ですね。

その頃、パンクロックだとか、けっこう激しい音楽を聴いていた時期があって。音楽はすごい激しいのにすごく「平和がいいじゃない?」というような歌詞のバンドだったりが多くて、そういうものに影響を受けましたね。

見た目はすごいやんちゃな人たちがやっている音楽なんだけど、音もすごいラウドでうるさいんだけど、言ってることが、「みんな仲良くしようよ」「respect each other」とか、「United As One」とか、「みんなで1つでやっていけばいいじゃない?」みたいなことを言う方々が多くて、それにすごく影響を受けました。

その後、自分でバンドをしたり、会社をしたり、なにより2001年9月11日に起きたアメリカの同時多発テロを見た時に、自分の思いは固まりましたね。「2度とこんなのを見たくない。2度とこんなことが起きない世界を作っていくために自分ができることが、もしなにかあるのであれば、それに全力を捧げたい」と思いました。

その時にもう会社の企業理念、会社でやりたいことは世界を平和にすることだ。現在は「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」という企業理念を出して事業活動をしてますけれども、その背景にある思いというのは、「みんな仲良くやろうよ。平和がいいじゃない」という強い思いを持って、そうやってやっています。

司会者:10分延長していただけるということなので、Q&Aを続けたいと思います。

ZOZOの技術は宇宙業界に活かせる?

記者13:ありがとうございます。フリーランスのハヤシと申します。前澤さんのプロジェクトは民間宇宙ビジネスを推進するという点でも非常に大きな貢献だと思いますが、日本でもたくさんの宇宙ベンチャーがあります。

そういった現状とか、あと人類の宇宙進出に対してどんなお考えをお持ちなのかお聞きしたいのが1つ。

もう1つだけ、(会見場に)ヘルメットがありますけれども、あのZOZOSUITのテクノロジーで宇宙服の開発なども考えていらっしゃるのかもお聞かせください。

前澤:ご質問ありがとうございます。そうですね。宇宙業界全体を盛り上げたいです。もちろん日本でもたくさんある宇宙に関連するベンチャー企業のみなさまに会う機会も最近増えてきました。

僕が言ってるのは、「僕がこういうかたちで行くことになるので、どうか僕をうまく使って、御社のビジネスを盛り上げてもらってもかまわないので、なにか協力できることがあれば言ってくださいね」みたいなかたちで、みんなでうまく盛り上げたいですね。

宇宙になにがあるのか。正直、僕にもわからないですし、それが人類にとってどういう役割を担うのかもよくまだわかっていないところありますが、まだ人が知らないこと、未知な領域に人が果敢にチャレンジしていく姿勢は、別にそれが宇宙であれ、深い海の底であれ、同じことなのかなと思いますので、そのチャレンジする姿勢を見せられることをとても誇りに思っております。

次の質問はなんでしたっけ? あっ、ごめんなさい。肝心なZOZOSUITのことでした。

イーロン・マスクさんにもちろんZOZOSUITをお渡しして、「おお、なんてクレイジーなアイデアなんだ!」と喜んでいただきました。「これで僕の身体を測って宇宙服作ってよ」ってもちろん話したんですけど(笑)。「Oh, Good idea.」ぐらいでちょっとかわされましたけど、どうなるかはちょっとまだわかりません。

もし我々の技術がなんらか、宇宙の業界に貢献できるようなことがあれば、大変喜ばしく思います。

幼少期から職人に憧れていた

記者14:ブルームバーグニュースです。先ほど私の同僚が買い物について質問しましたけれども、技術やクラフトマンシップに関しての機能に非常にパッションを感じられているということをおっしゃっていましたが。

それはどういうところから何がきっかけだったのでしょうか? あと英語はもう勉強され始めているんですか?

前澤:ご質問ありがとうございます。小さいころ僕は大工さんになりたいと思っていました。とくに小学生くらいのころ近所で家を建てていると、日曜日とかはそこに朝から晩まで張り付いてずっと大工さんのお仕事を見ているくらい憧れていました。

途中からその夢は漁師になりたいってなるんですけど。とにかく職人さんが大好きですね。何が好きなんだかちょっとわからないんですけど、ものを作っているのを見るのがとにかく好きですね。

DIYっていう言葉があると思うんですけど、それは会社のフィロソフィーとしてもとても大事にしていて。自分たちで作れるものはなるべく自分たちで作ろうということで、うちの会社の特徴でもあるんですけれども。

物流やカスタマーサービスやサーバー、プログラムだったり、データベースだったり、普通のファッション企業がやらないことも全部やったりする考え方も、実はDIYのところから来てたりして。とにかくそういうクラフトマンシップが大好きですね。

あとたまにニュースになってますけど、僕が家を作っている。それがすごくお金かかっているという話がたまに出てますけど(笑)。実際本当にそうで、なかなか終わらないんですよ。

というのも「この職人さんのこの技をここで使ってほしい」とかっていうのをやってるうちにそれが見たくてどんどんいろんなことをお願いしているうちに一向に家が建ち終わらないっていうのも好きな証拠なんですけど(笑)。

あと英語の勉強はしてますけど、本当みなさんと同じようにスマホのアプリと単語の練習をしたりとか(笑)。自分でも思うんですけどやっぱり話さないと聞こえないんだなっていうのは、みなさんお上手ですからあれなんですけど、自分でもよく痛感してます。

ですので恥ずかしがらずに積極的に自分から話す。実はロサンゼルスの会見も一部「日本語でもいいんじゃない?」っていう話もあったんですけど、「いや、もう恥を忍んで間違えてもいいから自分でやる!」っていうことであのようにさせてもらいました。

あの会見も英語の面でいろんなご意見がありますけど、恥ずかしくないし僕は堂々とやりたいなと思います。それが英語学習の一番の近道なんじゃないかと信じてます。

日本の長所はクラフトマンシップである

記者15:日本テレビのカタヤマと申します。よろしくお願いします。月に行くことを決められるのは大変大きな決断だと思います。

その大きな決断をされた最大の気持ちと言いますか、もともと月に行くのが夢だったのか。それともちょっと穿った言い方をしますと話題作りや知名度なども影響しているのか伺えますか?

前澤:ご質問ありがとうございます。僕が月へ行くのを決めたのは今から約4、5年前のことです。「月に行けるよ」という話を聞いたときに、僕はそこに行くことよりは、「これは自分のメッセージを世界中に発信する大きなチャンスだ」とまず捉えました。

自分のメッセージは「世界は平和なほうがいいじゃん」と言いたいだけです。アームストロングさんが「この小さな一歩は人類にとっては大きな一歩だ」と言ったのは世界中のみなさんが知っていると思います。

僕はたぶんライトに言っちゃうと思いますけど、同じように「世界平和のほうがいいじゃん」とただ伝えたいだけです。

記者16:フリーランスのオオバヤシと申します。ZOZOTOWNのビジネスモデル、とくに新しいブランドについてお伺いしたいんですが。

ご存知だと思いますが、最近、筑波大学の落合(陽一)さんという方が、日本の成長がこれほどずっと停滞している原因の1つはデジタル化経済になって、全部FANG(Facebook、Amazon、Netflix、Google)4社に代表されるアメリカに、どんどん吸い上げられていると。それは日本だけじゃなくてヨーロッパも全部同じなんですが。

この点はどうお考えになっているか。それからZOZOTOWNのビジネスモデルはそうなっていないのかどうか、教えてください。

前澤:ご質問ありがとうございます。ずばり日本の方々が得意なのはクラフトマンシップだと思っているんです。職人技だと思っているんです。

先ほどから何度も職人を応援したいとか、職人が作るものが好きだという話が出ています。僕は職人さんを応援したり、育てたりすることで日本経済をより盛り上げたいと思います。

今までZOZOTOWNというのはみなさまの作られた、ブランド様の作られたお洋服を売らせていただくというビジネスだったんですけれども。1年くらい経ちますけれども、自分たちのものづくりというのも始めました。

そういう意味で自分たちのクラフトマンシップならびに日本中でいろんなすばらしい技術を持つクラフトマンのみなさまをどんどん世界に紹介したいと思いますし、それが日本経済の活力になるとも思っていますし。そこがまさに日本の強みなんじゃないかとも思います。以上です。