BFRを発射する2023年までのプラン

イーロン・マスク氏(以下、イーロン):では質疑応答を始めようと思います。

記者1:過去数年で3つのデザインを見てきましたが、5年で人を月へ送ろうとしていますよね。これは最終決断でしょうか? もしくは来年にまたテストがあるのでしょうか? 2023年に完成するテストをどうやってプランしているか、教えていただけたりはしないでしょうか? 月の無人飛行など教えていただければと思います。

イーロン:デザインのプロセスやSpaceXについてはお見せしたので、バックグラウンドは知っていただけたと思いますが、BFRの大きな決断に関しては最終的なものだと言えます。

問題解決に関しては一つだけでなく、この前にもっとも悩んだのが、着地を分離させる部分です。もともと6つあったフラップで作動することにしました。美しさに関してはあまり好きではないのですが、3つの足のうち2つが作動して、大きな動く羽のようなものです。

他の部分にも関係していて、より良くなるかもしれないのですが、連結する足と作動ウィングの関係で技術的にややリスキーです。全体的な正しい判断だと思います。美しいと思います。タンタンロケットのデザインも好きですし。

世界を横断するフライトに関しては、テストフライトはたくさんあると思います。来年も考えています。その出来不出来によって、2022年に高速フライトも実施します。ブースターもテストします。

上手くいけば、2〜3年で軌道でのフライトができます。人を乗せる前にそういうテストをたくさんします。それで月に行くかどうかはわかりませんが、とにかく人を乗せる前にはやります。たぶん賢明な判断でしょうから(笑)。

乗客に前澤氏を選んだ理由

記者2:イーロンさん、最初の乗客に日本人を選ばれましたね。

イーロン:彼が私たちを選びましたよ。

記者2:その背後にあるメッセージとは何ですか? アメリカ人や他国の人ではなく、最初の乗客が日本人です。この発表を通しての世界に対してのメッセージとは何なのでしょうか?

イーロン:彼がもっとも勇敢で、もっとも冒険心があると思いました。彼が一歩踏み出したのです。彼が私たちを選んだことを誇りに思っていますし、私たちが彼を選んだわけではありません。

彼もコメントしたいと思いますが、とても勇敢な人です。金額は公開していませんが、大金を払っていますし、ブースターの進歩の助けになります。そして最終的に、これから人間誰でもが月や火星に届けられるようになります。そのため、彼は結果として、一般人が他の星に旅行することを助けていることになります。

(会場拍手)

ポジティブに見られるように期待していますし、みなさんが興奮してもらうことを期待しています。はっきり言って危険なことですから。公園を歩くわけじゃありません。たくさんのトレーニングも必要です。境界線を押し広げる時に、確かなものなどないのです。どこかに飛行機で飛んでいくわけじゃない。残念なことになる可能性もあります。

そういうことを最小限にとどめる努力を私たちはしますが、新しいテクノロジーを使った、最初の宇宙への飛行はすごく勇気がいります。

これは間違いなく危険なミッション

記者3:前澤さんが「この(「ディア・ムーン」)計画を実行したい」「月へのチケット全部を買いたい」と言ったとき、どのように思われましたか。

イーロン:私たちが求めていた「ファルコン・ヘビー」や「ドラゴン」に乗って欲しいような人でした。月旅行は、低軌道を周回するドラゴンで行けば、2人乗りとなりますね。ドラゴンは本来、4~7人が乗れますが、SUVのようなサイズです。ぎゅうぎゅう詰めを避けるために2人程度しか乗れません。

しかし、BFRは100人ほどが乗れるスペースがあります。快適に乗るとすれば、およそ10数人を乗せるのが賢明でしょう。最初の旅行で宇宙へ行くのに、彼はアーティストに席を提供すると言ってくれました。我々はその飛行を成功させるため、出来ることすべてを必ず実行したいと思います。

10数人をBFRに乗せますが、念のため予備燃料や酸素、食べ物や水、部品などのためたくさんのスペースを残しておきます。もし何かあったときに回復できるよう、出来る限りの可能性を持っておきたいのです。

つまりこれは間違いなく危険なミッションということです。

記者3:危険ですかね?

イーロン:そうですね、危険ですね(笑)。

前澤:デンジャー?(笑)。

(会場笑)

SpaceX本来のミッションとは

記者4:手短に2つ。1つ目は前澤さんへ、2つ目はイーロンさんへ質問させていただきます。

前澤さん、この月旅行には今までどのくらいお金をかけているんでしょうか? まだお金をかけていないなら、どのくらいかけるんですか?

イーロンさん、SpaceXはイノベーションを引っさげて大企業となったわけですが、どのような特徴やカルチャーがあると思いますか。

前澤:すみません、金銭関係のことには答えられません。

イーロン:アーティストとして(金額を答えないでいてくれるのは)気が楽ですね。いい意思表示だと思うよ(笑)。

世界中の優れた人やエンジニアを魅了したのはSpaceXの何だったか、というお話ですが、それはSpaceX本来のミッションです。つまり、宇宙技術を進化させ、人類を他の惑星にも住めるようにしたいというミッションです。

一握りの優れたエンジニアたちにとっては、仕事や給料など以上に、かけた時間がどのくらい重要だったか、どんな意義がプロジェクトにあったかが重要なんです。

優秀なエンジニアはどこでも働けますからね。すごく大変ですけど、いい方法で進められるようにトライしています。優秀な人々がSpaceXで働きにきてくれる一番の理由はこれだと思いますし、このおかげで前進できているんだと思います。

2023年に本当に間に合うのか

記者5:このプロジェクトは明らかにたくさんの時間や労力、正確さが必要とされていますね。

締め切りに間に合わなかったプロジェクトを私たちは見てきてきました。例えばファルコン・ヘビーもそうでしたが、2023年に間に合うと確信しているのはなぜですか?

イーロン:ぜんぜん確信はしてないです。このへんをハッキリさせておきたいのですが、(2023年という)日付に関しては不確かなんです。水晶みたいなもので何にどのくらいかかるかを占って、それで知った日をあたかもXデーのように言えたらいいと思うんですが、もちろんそうはいかなくて、実際、挫折や壁がたくさんあるのが常です。

もし大体のものがちゃんと進めば「この日ですね」と言えるんですが、不確実なことがあまりにも多くて。革新的な技術が詰まっているバカみたいにデカいロケット。これを空に飛ばせると100パーセント確信しているわけじゃないんです。むしろ「100パーセントの確信」とすら言えない。かなりできそうですが、確信はしてません。

でも、私たちは全力で、できるかぎり早く、安全に飛行させたいと思っています。

記者6:イーロンさん、BFRを発着させる最初の用地は決定していますか。

前澤さん、具体的にいくらかは言えないとしても、現時点で頭金のようなものを支払ったかどうかだけでもお教えいただけませんでしょうか。

前澤:はい、もうすでに払いましたよ。

(会場笑)

イーロン:イエスイエス。

(会場拍手)

コイツは本物ですよ、みなさん。これはめちゃくちゃ重要なファーストデポジットで、金額も申し分なくて、実際のBFRの開発コストの支払いでも、リアルな影響がありました。非常に大きな実際のインパクトをBFRプログラムにもたらしてくれて、本当に意味がありました。

彼は行動で示す男です。本物です。