中途半端な仕事が集まる人は全部70点で納品している

経沢香保子氏(以下、経沢):次の質問にいきます。「想いや熱量の広め方は?」

田端信太郎氏(以下、田端):でっかい声で言う。何回も言う。

(会場笑)

経沢:確かにー!(笑)。

田端:案外そんなものですよ。(でっかい声で何回も)誰にでも言うということ。僕は半分まじめに(そう)思ってますよ。

箕輪厚介氏(以下、箕輪):でっかい声で何回も言う(笑)。

田端:いや、人にね。河原に行って叫んでるとか、そういうのじゃないから(笑)。

箕輪:何だろう。純粋に自分が(本気で)思っているかどうか。

田端:それはあるね。もちろんそこは大前提じゃないと。

箕輪:本気で思ってないやつがでっかい声で何回も言っても(笑)。

田端:「はい、喜んでー!」という居酒屋みたい(笑)。

経沢:例えば、仕事を振られることもあるわけですよね。それで「いまいち(気が)乗らないなぁ」というときはどうしていますか。

箕輪:自分の中で(モチベーションを)見つけますよ。「このクソ仕事で結果を出したらすげぇ」とか。自分の中でゲームとして目的を作っちゃって、燃える材料にする。

でも、それが本当にできないならば、マジでやる気がない状態でやりますね。中途半端が一番よくないんです。

経沢:なるほどね。逆に「これは箕輪さんに預けないほうがいいや」と思わせる。

箕輪:そう。「こいつマジで熱狂してないと、完全に流れ作業でやるな」(と思わせる)というのが大事。全部70点で納品すると、クソみたいな仕事ばっかり来るから。

「こいつが本気になったら200点出すけど、やる気がなくなったら0点だな」と思われてる方が、「お前これ好き?」と聞かれるようになるじゃないですか。それは電通とかでもそうだけど、優秀なクリエイターとかは全員そうじゃないですか。中途半端な仕事が集まる人は、全部を中途半端にやっちゃうんですよね。

経沢:確かに。

田端:仕事を振られたときに、振って来る人が本質的に出したい結果って何なんでしたっけ? ということを、まず納得いくまで聞くのが大事じゃないですかね。

そこさえできていれば、逆に言うと「どうやるかは自分なりのやり方で任せてもらえますか」という裁量を持たせる。あとは、自分がおもしろかったり、興味の持てるようなやり方と、仕事を頼んでくれる上司やクライアントが望んでいることを必ず掛け合わせられる部分があります。

経沢:そっか。ToDoまで指示されるとやる気がなくなっちゃうから、深いところを握っておけば。

田端:しかも、中間管理職で頼んでくる人自体、その仕事の意味もたいしてわかってなくて、ただ上から来たものをパスします、という。

自分が熱狂できるものを見つける方法

経沢:伝書鳩が来ちゃうんだよね。なんだかぜんぜん違う角度からなんですけど、「なにかを成し遂げようと思ったときに、心が弱ったり押しつぶされそうになったことはありますか?」。人間だからあるよね。

田端:それはありますよね。

経沢:なにか最近(ありましたか?)。

箕輪:僕、水道橋博士と戦うのとか、心が押しつぶされそう。

経沢:私もう、署名活動して(対戦を)やめさせたいくらい嫌なんだけど。

田端:確かに現在進行形でそうじゃないですか。

箕輪:戦うの面倒くせぇな、嫌だなぁという夢を見たんですけど。昨日、ホリエモンとスパーリングをやって、ホリエモンも強かったけど、意外と普通にボクシングができるなと思って、楽しみになってきました。

田端:おー、いいですね。

箕輪:やっぱりそういうのはみんなありますよ。

経沢:「とどめはどんな技で決めますか?」って。

(会場笑)

箕輪:飛び込んでのワンツー。僕、出入りがすごく速いので。

田端:もう頭の中に勝つイメージができてる(笑)。

(会場笑)

箕輪:最初は僕だってボクシングなんてやったことないし、みんなの前で裸になるのだって意味わからなかったけど。でも、毎日着実に練習をしていると、徐々に型が見えてくる。

それでも自信はないけど、スパーリングとか実践をしてみると「あ、こうやったらいけるかな」という一筋の光が見えてきて、そこから好きになる気がします。

別に僕はボクシングにはハマらないですけど、よく言われるんですよ。「箕輪さんって熱狂できることは多くていいですね」「好きなことを見つけられていいですね」って。

そんなの最初から超好きなわけじゃなくて、面倒くせぇなと思いながらも、「週3で行きます」ってコーチに言っちゃって。行かないのはさすがにダサいから、最初は嫌々やって、足が痛ぇな、手が痛ぇなと思うけど、やっていくうちに徐々に好きになっていくんです。絶対そうです。その繰り返し。

経沢:やればちょっとした楽しさとかイメージが広がってね。

箕輪:田端さんや僕を見てると、すぐにパーンと好きなことに出会って「最高!」と思っているように見えるかもしれないけど、そんなことはないんです。

経沢:それ以外にもいろいろやっているからね。

箕輪:最初は地味なことも乗り越えて、初めて好きだなというフェーズに入れるんじゃないですかね。

負けられない戦いはなくても、逃げちゃいけない戦いはある

田端:僕も別にそれは現在進行形であったりしますよ。例えば、2012年にLINEに戻って、2014年くらいからかな。海外のカンファレンスでプレゼンや講演をしてくれという話がたくさん来るわけです。

そうすると僕も最初、軽い気持ちで、「こういうのは場慣れだから行ってみるか」と思って行ってみたら、香港のやつとかすごくて、ピンスポットがバーンと当たって、オーディエンスが1,000人くらいいたりするわけですよ。

そういう現場だって知らなかったんですよ。それを見た瞬間、正直「帰りたい」と思ったんですけど。

経沢:どうやって乗り越えたんですか?

田端:「もうやるしかない」という感じで。エミネムの『8 Mile』っていう映画があるんです。エミネムって、知らないかもしれないけど、白人で今までで最も成功したラッパーなんですよ。

8 Mile

デトロイトに住んでいて、お母さんは離婚してシングルマザー。シングルマザーだから不幸ということじゃないかもしれないけど、絵に描いたような、酒と男に狂ったような母親で。トレーラーハウスに住んでいて、アメリカの典型的な貧乏で崩壊している家の家族なわけです。自分と妹1人で生きていくというような。

デトロイトだから、(エミネムは)自動車組み立て工場で働いてるわけですよ。しょうもない仕事をやってるんだけど、最後、ステージでフリースタイルバトルになって、チャンピオンになる。そこからスターダムにのし上がるという感じなんですけど。

なにが感動したって、そのダサダサだった時代を本人がやっているんですよ。そこに俺は一番衝撃を受けたんですけど。フリースタイルバトルのステージに上がる前に、トイレで緊張して吐いてしまうんです。トイレの鏡の前で「お前はできる。お前はできる。お前はできる」というようなことを言いながら、オエっとなっちゃって。

胃がひっくり返って本当に死にそうなんだけど、それでも自分がダサダサな生活から抜け出すためにがんばる。B-BOYな男に彼女も盗られて、「なんだお前、ラビットのくせに」ってバカにされるんですよね。白人だからって、逆差別を受ける。

それを本人が演じているところに感動したんですけど、そういうことを思い出して、負けられない戦いはないけど、逃げちゃいけない戦いはあるな、と思います。この前感動したのはあれです。日大のアメフト部のタックルで、学生が会見したじゃないですか。

経沢:うんうん、謝ったよね。

「お詫び」はもっとも人間力や経験が問われる

田端:あれは素晴らしい。広告営業をやっていると、たまに気が重いお詫び訪問もあります。でも、やっぱり逃げちゃダメなんですよね。

経沢:心が弱ったときに逃げちゃダメと。

箕輪:逃げると本当に辛いですからね。一生ついて回る。マジで向き合って、徐々に1個づつ潰していくと。

僕なんてトラブルが起きるともう嬉しくて嬉しくて。「キター!」みたいな感じじゃないですか。それは今までも、本当に辛いけどトラブルを捻じ曲げてきて、アドレナリンが出て、「よーし、終わった!」という時が好きだから。

今はいろんなやつに任せていますけど、「すみません、超揉めてて。あの人を怒らせちゃいました」とか言われると、「よしよし、きたか!」と(笑)。

田端:お詫び訪問って、最も経験が問われるんですよね。

経沢:確かに、人間力がね。

箕輪:堂々としていると大丈夫なんですよ。「え! この人堂々としてる」と思うと、向こうも怒るのをやめたりする。「あ、すみませんでしたね」と(笑)。

田端:「いや、わかってもらえればいいです」という(笑)。

箕輪:人生はロールプレイングゲームだと思ったら、(そういう)イベントが楽しいわけだから。

田端:僕も今はもう営業じゃなくなったけど、前は営業担当の役員をしていたので、年に何回かはお詫び(に行くこと)があったんですけど、まさしく今箕輪さんが言っていたことと一緒です。

若い営業がそういうトラブルを持ってくると、「いいか、今から俺のお詫びっぷりを見とけよ!」という感じで(笑)。「申し訳ございませんでした」と謝って、エレベーターが閉まった瞬間に「おい、ちゃんと見たか」と(笑)。

(会場笑)

部下が「すごいっす!」と言って、「そうだろう!」ドヤッ! という感じですよ。むしろお詫び訪問は、オッサンの晴れ舞台ですよ。

無名だった頃の箕輪氏がホリエモンの本を作れたわけ

田端:(夫婦の喧嘩は)ボクシングじゃないもんね。ストリートファイトみたい。総合格闘技どころじゃねぇ(笑)。

経沢:わかる(笑)。次の質問にいきます。「個人でライターをやっていて、個人メディアを立ち上げたくて、インフルエンサーの方に取材依頼をしているのですが、まだ(メディアが)立ち上がってないから、なかなか取材を受けてもらうのが難しくて……」

田端:そりゃそうだろ!(笑)。

経沢:「売れっ子の御三方はどんな依頼であれば、ネームバリューがなくても取材を受ける気になりますか?」。

箕輪:すべてにおいてそうなんですけど、「自分が相手側だったらどうか」と考えると全部解決します。

経沢:確かに。相手の気持ち(が大事ですね)。

箕輪:もう全部そうですよ。例えば、僕が誰も知らない編集者だった時に、ホリエモンの本を作りたいと思っていました。でも、全員に無理だと言われたんです。そのときに『ゼロ』という本がめっちゃ売れてて、オファーが30社くらいあると言われて。

そのとき、(SNSアプリの)755という、ほとんど誰もやってないところでコメントを書き込んだんです。そうすると、ホリエモンがコメントを拾うんですよ。Twitterだと無視するんだけど、755は過疎ってるから。

経沢:自分のサービスだしね(笑)。

箕輪:そう、自分のサービスだから淡々とやってたんですよ。そこで「堀江さんの過去の名言を勝手にまとめて、日めくりカレンダーにしたいのですが、いいですか?」と言ったら、「いいよ」と言ってくれて。すぐそれが商品化できて。

それがホリエモンの言動を見ていたら、理由がわかったんです。彼は「自分の稼働がゼロで、勝手にプロダクトが出るならぜひやってくれ」という人だから。でも、見城徹の場合は、こっちが無名であろうがなんだろうが、手紙をめちゃくちゃちゃんと書けば「こいつとは仕事する」という人。

相手が何を求めているかを考える大切さ

箕輪:単純に相手が何を求めているかだから。なんの影響力もないメディアを立ち上げて、田端信太郎を出そうとしたら、そんなの出るメリットがないんだから、それじゃ田端さんは出ないと。

単純な話、田端さんがめちゃくちゃ会いたいと思う美人のインタビュアーを連れて来るとかでもぜんぜんいいと思うの。

田端:それはわりとベタな手ですけどね。

(会場笑)

経沢:ミス東大がインタビューしますとか。

箕輪:そう。僕が本当に(そういうことを)やっていて、売れないギャル雑誌の広告営業をやっていたときも、クライアントとタイアップ撮影したあとに読モと飲みに行ったりしていました。むしろそっちの宣伝費を、クライアントは言い訳に使っているなという。要は、相手が欲しいものは何かということで、寝技あり飛び道具ありで強引にやるということですよ。

経沢:じゃあ(箕輪さんが)欲しいものを教えてください。

田端:そんなの、こんなところで言うはずないじゃないですか!(笑)

(会場笑)

箕輪:こわい、こわい(笑)。でも、本当に恋愛とか友達付き合いとまったく同じですよね。

経沢:確かにそうだね。相手の欲しいものを差し出せるか。

田端:困ったタイプのメディアがたまにあるんです。新しいメディアで、社会的な課題を問題提起しようとしているようなメディア。「エコを訴えてます」「子どもの虐待防止のメディアで、田端さん父親として語ってください」という依頼が来るじゃないですか。それに対して「当方にとって(引き受ける)メリットがない」と断るとすごく怒るんですよね。

箕輪:俺、そういうのが一番嫌い!

田端:「僕らは正しいことをやっているんだから、あなたも協力して当然ですよね」というトーンで悪気なくやってくる。

箕輪:(Twitterの)DMがめっちゃ来ません? 1日1件以上来るのが「こういう良いことしてるのでpolcaしてください」とか「日本をこうしたいので」って、知らんがな!

自分の名前で仕事が来て、信頼されるのが「ブランド人」

経沢:この(質問をくれた)人は、どうしたらいいかな。私は「勝手に記事を書いてもらって、その内容が良ければいい」と言うと思う。

田端:どういうメディアなんですかね? フリーランスのライターかな。

経沢:私もホリエモンさんタイプで、勝手にいい記事を書いてくれて、(自分が)見てよければ「どうぞ」とシェアすると思います。いちいち時間を調整して、インタビューで会って答えて、原稿確認をするのがすっごく面倒くさいんですよ。

箕輪:過去に出たものを改ざんしないで、名言集で日めくりカレンダーを作るなんて、誰も断らないですよ。そういうものを発想できるかどうかですよ。

経沢:田端さんはどうだろうね? ミス青学とか?

田端:いやいや、さすがにそんなわかりやすいのに乗ったらダメですよ。

(会場笑)

田端:さっき箕輪さんが言ってたのが典型です。「タイアップの撮影で」と言って、サラリーマンとして広告主側もそこに行って、その流れで飲みに行きました、というとあれですけど。最初から「うちに美人がいるんですけど、この子と……(小声)」って。

経沢:越後屋さんみたいな(笑)。

田端:逆の立場になって考えてくださいよ。そんなのにホイホイ乗るはずがないじゃないですか。

箕輪:本当の意味で、インサイドまで見るということだよね。「これは領収書が切れるものなのか」とか、そういう小さいところまで人間の欲望を細分化してみて、(引き受ける側が)「これはおいしい」となったら、反響がなさそうでも上司を説得して「あの雑誌はこれから伸びるんで、広告を打ち続けましょう」とか言うよ。ズブズブの関係になるということですよ。

経沢:確かに、いい意味での癒着ですね。あと、本に関する質問があるんですけど、「ブランド人というのは必ずしも突飛な人や有名人ではないと思うんですが、ブランド人とは何ですか?」。

ブランド人になれ!

田端:その人の名前で仕事が来て、その人の名前に対しての信頼がある、ということじゃないですかね。

箕輪:本当にそれに尽きると思っています。よく田端さんや僕が「ブランド人」と言うと誤解されるのは、「SNSやってなきゃダメなんですか?」。SNSって、単純に掛ける100になるだけで、そもそもの本質は変わらないんですよ。

「業界で有名なあのタクシー運転手」とか「業界で有名なあの営業マン」でいいんだけど、それを掛ける100にできるなら、(SNSを)やればいいんじゃない? というだけですよね。

全速力で走っている人の生き様を「本」にして切り取る

質問者1:箕輪さんにご質問させていただいていいですか? その人の本を出したいと思うとき、口説かれるときにどういうポイントを見ていますか?

箕輪:どういう人の本が作りたいか、ということですか?

経沢:そうだね。本を作りたい人。

箕輪:やっぱり勢いでしょ!

経沢:昇り竜。

箕輪:この前、ワンメディアの社長の明石ガクトさんがテレビで言ってて、そのとおりだなと思ったことは「箕輪さんの作る本の何がいいかというと、リアリティショーなんだ」「全部に知り合いが出てる」と。

今までのビジネス書って「誰だよ、こいつ」みたいな人とか、引退したあとのおっさんが作っていたけど、今は本当に4番を打ってるやつらがバットを振ってるから、それがおもしろくて。しかもそいつがSNS上にいる。リアリティショーを見ているようでおもしろい。

それはバチェラーにせよ、NewsPicksにせよ同じことです。ある種、「実際に今動いてる人が(本の中に)いるのが、箕輪さんの本のいいところですよね」と言われて、まさにそうだなと思いました。

どんな評論家でもすごくいい本を書く人はいると思うから、別にそれは勝手に本を出してもらって。いろんな出版社があって、いろんな編集者がいるから、そういう本もいい本だと思うし、勝手に出してもらえばいいけど。

僕は今現実で走り回って、最前線でやっている人が好きなんです。そういう人って、基本的に本を書く時間なんてないんですよ。 前田裕二やメタップスの佐藤、田端さんもそうだけど「ちょっと忙しいんですよ!」「目の前のこの仕事が終わんないんですよ!」と言っている人に、「いや、適当に書いちゃってくださいよ」「あとはこっちでやっとくんで」という感じの(ほうがいい)。

生き様のひとコマを切り取れればいいなって。その雰囲気や匂いを感じて、(読者が)「俺もやろう!」と思ってくれればよくて。いろんな本があって、いろんなタイプがある。

染み入るような本もあれば、100年残るような本もあると思うんだけど。僕の本は単純に、今全速力で走っている人の一瞬を、カメラでパシャっと撮るようなイメージなんですよね。

経沢:素敵。

いいカメラマンは、時代の中心にいる人の一番いい瞬間を切り取る

田端:さっき篠山紀信さんの話をしてたけど、篠山紀信さんが「いいカメラマンとは」という話をしていて。写真が上手いとか下手って、あるレベルを超えると当たり前になるから、「時代の中心にいる人に会えて、そいつの一番いい瞬間を切り取れるのがいいカメラマンなんだ」と言ってたのをすごく覚えているんです。

経沢:なるほどね。すごくいい話!

箕輪:逆説的にすごくいいですね。そういう人たちが会ってくれて、「よし、忙しいけど作りましょう」と思えるノリになれることが大事。

その条件は、こっちも走ってることですよね。10年前から同じような本を出してるやつとは作りたいと思わないから、「今、編集する時間ないんですよ。格闘技でやりましょう」とか言ってるほうが(いい)(笑)。

田端:変だなこいつ、みたいな。

箕輪:そういうのが楽しい。田端さんもそうだし、やっぱり走ってる人って、忙しいからいいんです。本を書く人って、基本的に性格がネチネチしてて面倒くさい。陰湿なんですよ。

(会場笑)

箕輪:永遠にメッセージを送って来たり。タイトルをお互い了解したのに「いや、こっちのほうが」って。そういうのは悪いことじゃないけど、内向的に考える、感受性が強すぎる人が多くて。それを才能と呼ぶんだけど。僕が作ってる本の著者は全員走ってるから、基本(彼らは本のことは)どうでもいい。

田端:見切り発車(笑)。

箕輪:田端さんとか、「もういいよ。お前がやりたいようにやっちまえ!」という(笑)。だから、文化祭のような感じで非常に楽しい。

田端:でも、「俺は書いてなくて箕輪が書いてる」と言ったら、微妙に燃えかかったけどね。世の中の人はゴーストライターに対して、思ってた以上にアレルギーがあるんだなって今さら思っちゃった。

経沢:サンタクロース理論だよ。

箕輪:「箕輪は汚ねぇ」とか言われるんだけど、ちょっと待ってくれよと。世の中のビジネス書の99パーセントはゴーストライターが書いている。ゴーストライターというか、ブックライターさんがインタビューベースで書いて、それを編集者が直すのが当たり前なのに、箕輪は汚いって。そう(正直に)言ってるのは僕だけですよ。

田端:手品師がネタバラシしやがって、と。

箕輪:お前、余計なこと言うなと(笑)。

田端:業界の不文律を破って自分だけいい格好しやがって、みたいな。

箕輪:でも、ホリエモンがかっこよかったのは、「ホリエモンなんて1文字も書いてないですよ」と僕が番組で言ったら、すごくニュースになって拡散されたんです。この前ホリエモンと会ったときに「ごめんね」って言ったら、「いいんだよ。もっと言えよ」「本を自分で書くやつなんて終わってんだろ」と。

(会場笑)

田端:まあそうだな(笑)。

経沢:いい話で締まりましたね。