村上臣氏が語る、求められるスキルが激変する時代でも「市場価値が高い人」

Future of Work #2/2

Advertising Week Asia 2018
に開催
2018年5月14日~17日、「Advertising Week Asia2018」が開催されました。マーケティング、広告、テクノロジー、エンターテイメントなどの幅広い業界が集い、未来のソリューションを共に探索する、世界最大級のマーケティング&コミュニケーションのプレミアイベントです。本年は、のべ4日間にわたって210名の講演者が登壇、100以上のイベントが催されました。本パートでは村上臣氏が登壇し、プロフェッショナルに求められるスキルについて語りました。

求人が伸びている3つのスキル「ABC」とは

村上臣氏:では、我々はこれからどうすればいいんだ、というお話をしたいと思います。最近、VUCA〔ブーカ:Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字〕という言葉があります。非常に不確実性の高い未来にどうするかということです。本当に変化が早いため、数年先を見通すというのは、僕ではできません。

なんとなくはわかるんだけれども、どんどん変わっていくので、見ながら自分をすごいスピードでアップデートして、トランスフォーメーションしていかないと、生き残っていけない時代というのがきております。では、会社は今なにをやっているかというと、これは我々のデータなんですけれども、求職者のデマンドの分析です。

横軸にグロースレート(成長率)、イヤーオンイヤー(前年同期比)で書いていまして、絶対的なデマンドを縦(軸)に書いています。青ですね、左下にあるのが、今普通にオープンしている求人です。UI/UXとか、Digital Marketingとか、Web Developmentとかありますけれども、今すごく伸びている求職は、我々が「ABC」と言っているAI、ビッグデータ、クラウド。この3つのスキルが非常に伸びています。

ここに、各企業なり、人に投資をしていくということを表しています。ですが、このシフトはすごく急激に起こっています。

(左側の)青い(数字の)方、PAST DEMAND RANKINGというのは、1年前なんですけれども、例えば1年前の我々のインサイトで見るビッグデータの求人というのは、ランキングでいうと11番目なんです。今年はどうかというと、圧倒的ナンバー1です。

クラウドコンピューティング、これはかなり時間が経っていますけれども、AIもそうです。トップ3にランクインしてきています。サイバーセキュリティ―もそうです。ソフトウェアエンジニアリングマネジメント、これは1年前トップだったんですが、今、だいぶ下がっています。この1年においても、企業が必要としているスキルというのは変わっていますし、それに適応した人が、より良い職につけるということを表していると思います。

ハイブリッドスキルの重要性が高まっている

加えて、近年の傾向でいうと、ハイブリッドスキルが大変重要でございます。

例えば、今、こっちの右の方ですね、グロースの方で高いのが出ているんですけれども、例えば、エンジニアですね。Data Analytics、Web Development、Big Data、いっぱいあるんですが、Public Speakingというのが多いんです。こういう人を企業は求めている。

これまでは、エンジニアはエンジニアだったんですが、エンジニアの中でも、スピーキングができて、エバンジェリストのように自社の技術を語れる人。こういう人を求めています。ですので、いろんなスキルを持った人というのは、非常に今、市場の中でも価値が高いと考えています。その中でもさらに重要なのは、ソフトスキルです。

今まではスキルというとなにができるか。例えば、英語ができる、C#(シーシャープ)が書ける、そういうようなものが多かったんですが、トップ5を挙げてみても、かなりマネージャー職でソフトスキルが求められる。また、こちら側を見ていただけると、コミュニケーションだったりというものですね。Relationship Management、つまり、ただスキルを持っているだけでは、もはや企業としては(人材の)価値が下がってきている。

それに加えて、ソフトスキルを兼ね備えたハイブリッドな方というのを求めていると。これは、やはり時代がソーシャルになっていることだと思うんですけれども、とくにミレニアルの世代というのは、非常にコミュニケーションを重要視しますし、企業に対して「どれだけ良いカルチャーを持っているか、どれだけ働きやすいか、どれだけ僕・私に機会があるか」を求めているということです。

このように、時代の変化と共に求められるスキルも変わっていますし、先ほどエコノミックグラフで示したように、「仕事」というひと括りではなく、ネットワーキングしたり、その人自体にどのくらいの人脈があるのか、どういう仕事ができるのか、また、変化する世の中にどれだけ適応できる人なのか。これらが非常に重要なキーとなるプロフェッショナルのスキルとなっています。

会社を変えようと思ったら、まずは従業員を変える

今、人の話をしましたが、会社はどうしていけばいいかというのを、ここからお話していこうと思います。もちろん、会社というのは「一番重要な資産(asset)というのはなんでしょう?」と問われたら、やはり人だと思うんです。やはり働いている従業員が、企業の中で仕事をして価値を生み出す、新しいバリューを生み出す、レビューを生み出すということだと思います。

ですので、会社を変えようと思ったら、まず、従業員を変える。従業員の方をトランスフォーメーションすることが、企業のトランスフォーメーションに絶対不可欠です。リンクトインには今、5億6,000万人のメンバーがおり、いろんな求人側の情報とメンバーのプロファイル、両方を持っていますので、そこのスキルギャップを見ることができると思います。

このインサイトを利用して、これから伸びるようなスキル、もしくは世界的に、この地域で求められているスキルというのを見ると、世の中のビジネスがだんだんわかってくる。それに対して、自分の企業、自分の企業の従業員が、どういうスキルを持っていて、どれくらいギャップがあるかを知ることができます。

そうしたら、社内で研修プログラムであったりとか、さまざまな応用によって、ぐーっと従業員のスキルを引き上げることができるわけです。ですので、まずは従業員を変えるのが、企業を変えていくのに一番必要なこと。その後、やはりソーシャルの時代ですので、時代に合った働き方、その中で生産性をどう上げていくのかが重要になってきます。

我々は今、マイクロソフトグループですけれども、日本では働き方改革という言葉が広められています。私もそうだったんですけれども、現状、日本人のプロフェッショナルの大多数はあんまり転職をしたことがないんです。

私も、前職は17年間、同じ会社に務めておりました。ですので、転職をしないんですけれども、ここからは非常にミレニアルの世代は終身雇用を信じていませんので、どれだけ自分が良いキャリアを積めるのか、ということを考え始めていると思います。

変革期を迎えた日本をどう活性化させるか

ですので、ここからは日本にとっても非常に変革の時であり、政府も働き方改革ということを言っているんです。これはなぜかと言うと、日本はGDPのグロースは低いんですけれども、市場はすごく大きいです。ただ、日本はこれから人口が減るんです。今は1億2,000万人くらいですけれども、20~30年後には1億を切って、8,000万人くらいまで落ちるといわれています。

そうなると、労働市場に人がいなくなってくるんです。ですので、例えば一度キャリアを降りた方、もしくは、女性の方で結婚、出産を経て、まだ仕事に戻っていない方っているんですけれども、そういった方がより働きやすくなれば、労働市場に戻ってくる。もしくはパラレルワークです。

1人の人が、より多くのことをできるようにすることを推進している。こういったことで、ワークコース全体を上げていくというのを、今、日本では非常にやっています。このような流れになってくると、リンクトインとしてもただ転職というだけでなく、従業員の方のスキルギャップを通じて、メンバーの方がより良い仕事ができるように、Eラーニングとかさまざまなお手伝いもしています。

また、副業ですね。本業の転職は日本人にとっては重たいものなので、なかなか勇気のいることなんですけれども、週末とか、もしくは夜に、ちょっとこういったサイドプロジェクトを持つというのは、非常にやりたい人は多いので、こういったところを推進していくということで、インダストリー全体を活性化させたいと思っております。

それによって、どんどん会社が変わる必要があります。今、採用の局面では若い方が、すでに学生の時から仕事とか、自分の会社を持っている人もけっこういます。新卒の面接をしている時に、「ブログを持っていて、月間100万ページビューあるんですけど」みたいな若者が出てくるわけです。

多様な働き方に対応するためのコラボレーション

「これは就職しても続けられるんですか?」とインタビューの時に聞かれるわけです。世の中、こういうかたちになっています。そうすると、会社としても副業を解禁する(しかなくなる)、「副業はダメですよ」とは、もう言えないんです。なぜ副業が禁止なのかというと、日本では大学を卒業すると一回就職します。一括採用します。「定年まで勤めてください」という契約を交わすんです。

なので、就職というよりは就社です。会社に対してコミットメントする、ということが起こります。メンバーシップ型の雇用ですので、最後までいてくださいと。ところが、会社はそこまでの体力がなくなってきました。定年して、退職金を払うこともできなくなってきて、途中でやめようという流れが、今、起きているということです。

ですので、このようなかたちで働いている人も変わっていますし、会社も変わっていかなくてはならない。こうなってくると、組織というのもどんどん変えなくちゃいけない。そういった多様な働き方に対応するためには、やはり、今までのような縦のラインですべてを行うというよりかは、よりコラボレーション、場合によっては自社だけではなくて、パートナーの方と一緒にそれを成し遂げると。

最近「オープンイノベーション」と言っていますけれども、あらゆるリソースを使って、一番いいパフォーマンスを出すことができるマネージャーというのが、やはり今、市場に価値がある。そうすると、よりビジネスが広がって機会をつかめるということになります。

ですので、ぜひ、今日ここにいらっしゃる方、マーケティングの方、多いと思いますけれども、やはり、マーケティングとかブランディングとかやっていくときに、自社の情報をマーケティングでプッシュしていくこともあるんですけれども。ブランディングで人から「良い」と言われたいということもやっていると思うんです。そのためには、人にそういう情報をインプットしていかないといけない。

そういう時に、みなさんもうご存知だと思いますけれども、もうすでにソーシャルの世の中になっている。その中で、働き方を含めて、いろいろなカルチャーとセットで、そういった消費行動が動いていくということを、ぜひ理解していただきたい。

そのために、我々が持っているデータを活用して、いろんなオポチュニティーをつかんでいただいて、コネクトオポチュニティーしていただければいいなと思います。長い時間ありがとうございました。これで以上となります。ありがとうございます。

(会場拍手)

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