ブロックチェーンに関する知識や幅を広げる「Blockchain EXE」

石井敦氏(以下、石井):みなさん、こんばんは。クーガーの石井と申します。

「Blockchain EXE #9」は、毎月やっているナンバリングが9回目ということなんですけれども、Blockchain EXE自体は「Blockchain EXE Lite」「Blockchain EXE Code」「Blockchain EXE Whitepaper」と、さまざまなバリエーションがあります。

Blockchain EXEに一度でも来たことがある方は手を挙げてもらっていいでしょうか?

(会場挙手)

はい、ありがとうございます。

まず、Blockchain EXEのコンセプトからお話しします。ブロックチェーン自体が、あらゆる産業や業界に広く深く応用されると考えております。そのブロックチェーンに関する動作原理、応用事例、基礎を共有する場というのが、Blockchain EXEのコンセプトとなります。

そのなかで、新しい実験の場ができるようなことをしております。例えば、ドメイン知識を持っている人、ブロックチェーンやAIや他のロボティクスの開発ができる人など、いろんな業界の人が集まり、組み合わせることで実証実験が生まれます。

また、海外とつながったコミュニティを目指しております。というのも、ブロックチェーンの技術は世界的なあらゆるところで進化しています。そのなかで、最先端の取り組みを、いち早くEXE側でも取り入れたり、我々のほうでも1月にはニューヨークに行ってます。参加することで、ブロックチェーンに関する知識や活動の幅が最大限に広がっていくようなBlockchain EXEを目指しています。

今回は「ブロックチェーンの経済圏」という、ちょっと広めの話ではあるんですけれども、大枠で言うと通貨とかそういうところを考えなおそうというかたちで考えています。

ちょっと自己紹介ですけれども、私はクーガー株式会社っていうのをやっております。クーガーでは、AI、ロボティクス、IoT、ブロックチェーンを横断した自律テクノロジーという切り口で技術開発をしております。

例えば、ホンダが使っているAIを学習させるシミュレーターをつくっていたり、Amazon Robotics Challengeのトップチームとともに開発をしていたり、KDDIの数千万ユーザーのパーソナライズ設計をしております。

Bitcoinがブロックチェーンのキラーアプリになった3つのポイント

では、本題にいきます。まず、ブロックチェーンの根本的なビジョンは、「価値を乗せることができるインターネットである」「価値を移転できるインターネットである」っていうことがよく言われています。

これを実現しているのは、「変更されない履歴が積み上がることによる信頼」であります。一言で言うと、「絶対に後戻りはできず、改ざんができない履歴」っていうものがブロックチェーンの特徴となっています。

そして、「インターネットにおける最初のキラーアプリはEメールである」とよく言われています。まず、Eメールを使うことによって、インターネットというものが深く知れ渡ったわけです。ご存知のとおりですけれども、地球の反対側にいる人でも瞬時に連絡ができると。

そこで、ブロックチェーンにおける最初のキラーアプリは、ご存知のとおりBitcoinとなります。「なぜBitcoinは最初のキラーアプリになりえたのか?」というポイントが僕は3つあると思っています。

1つは、価値のインターネットと考えた時に、まず通貨は「誰もが重視するわかりやすい価値である」ということです。通貨に対して「あんまりどうでもいい」って言う人は当然いないわけで、非常に重視するわけですね。

2つ目は、数値というか通貨なので、データ形式が数値のみで技術的に非常に扱いやすいということがあります。基本的に「0、1」という内容で非常に重要な通貨を扱えるのが大変重要なポイントです。

そしてもう1つは、当然ですけれども、通貨とかお金っていうものは、動かして価値を生むわけですね。そのなかで、絶えず動かすわけです。支払ったり、もらったりして人から人への移動が非常に多いということで、そのニーズが高い。

この3つがそろっているということが、おそらくBitcoinが一番はじめにブロックチェーンのキラーアプリになりえたポイントだと思っています。

非中央集権型ブロックチェーンの課題

今日発表されるみなさんの内容が非中央集権とはかぎらないんですけれども、ブロックチェーンの特徴は非中央集権型ということがありまして、「ブロックチェーンにおける非中央集権型経済圏の可能性」と(スライドに)書いてます。当然、モノに関しては特定の組織を経由しない、ブロックチェーン上での個人間の売買を実現できる可能性がある。

もう1つは、サービス、コトに関してですね。必要な時に必要なものを使うっていう「所有」から「使用」に変わっていくことになる。前回のEXEでやったんですけれども、シェアリングエコノミーがブロックチェーンに非常に向いてるという側面があります。

実際、非中央集権型ブロックチェーンによる経済圏をやる時の課題があります。これは非常に期待されていますが、ブロックチェーンの現状の技術的な課題でもあります。

まず、スピードです。経済を支えるということは、リアルタイム性が求められてくる可能性が非常に高いわけですけれども、当然今はそのスピードが出にくいということがあります。大規模ユーザーの経済活動を支える処理速度を実現できるかということが課題になります。

2つ目が、スケールです。例えば、1つの都市や国まるごとのデータ、個人に紐づくあらゆるデータや経済活動に対しては非常に課題があります。

そして、(3つ目は)合意形成やガバナンスですね。これは方向性やコンセプトの相違などによる分裂です。例えば、バージョン問題、ハードフォーク問題。とくにBitcoinで起きていますけれども、非中央集権だからこそ、方向性が変わってしまうと分裂をしてしまう。分裂すること自体が、ある意味、健全であるとも言えるんですけれども、そういう問題があります。

最後の問題としては、価値の安定ということがあります。経済を支えるということは、通貨としてある程度安定したものを指標にして、やり取りをする必要があると思うんです。経済圏の一番基本の通貨としては、やはり変動要素が強すぎると非常に扱いにくいっていうリスクがあります。

ブロックチェーンの特徴を一番はじめに活かしている、通貨型のBitcoinがありまして、今日(のテーマ)は経済圏で、おそらく通貨系の話が多いと思いますので、このような話を念頭に置いて、見ていただければと思います。私の話は以上です。

司会者:ありがとうございました。

(会場拍手)