2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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平将明氏(以下、平):じゃあ、次いきましょうか。
サラ・アドリエンヌ氏(以下、サラ):さらに規制が金融機関により違いますので、銀行、信販会社と消費者金融機関の間の競争が十分に機能していないんですね。
平:銀行が優遇されていますよね。
生田よしかつ氏(以下、生田):そうだよねぇ。
サラ:最後に、銀行ローンを保証する貸金業者という新しいビジネスも成長していますが、このような仕組みでは、景気が悪化すると多重債務問題が生じるリスクがまたあります。
平:これはどういうメカニズムになるんですかね?
サラ:銀行ローンを保証する貸金業者が、銀行は改正された貸金業規制の下で仕事をしなくても大丈夫といっていいから、銀行のリスクの高い消費者にローンを貸してもいいですので、その保証をするのは貸金業者。
なので、もしデフォルトすればこっち側が責任を取るとか負担を持つ。景気が悪くなったら、もちろん多重債務者がまた増えるリスクがあるんですね。
大澤咲希氏(以下、大澤):そこだけ規制緩和されちゃってるってことですか?
平:いや、これは銀行のほうには規制がかかってないわけよ。だから貸金業法改正なので、いわゆるノンバンクに規制がかかって銀行のほうはかかってないわけ。
大澤:ああ、そっか。
平:ただ、金利自体は抑えられているから利息制限法の範囲でやるんだけど、貸金業者は調達金利が高いわけ。銀行は預金でカネ集めてるから調達金利が安いわけ。そもそもそこに競争力があるから、その分、貸出金利を下げるわけ。でも、貸出金利下げるんだけど、例えば今銀行の預金なんて……。
生田:0.00……だよ。
平:そうでしょ。だからほとんど金利かからないでしょ。そこに保証協会が、デフォルトのリスクを見て、例えば15パーセントでお金を貸しますというと、保証料7パーセントぐらいですかね。それで銀行は8パーセントぐらい取るわけですよ。そうすると銀行はノーリスクでボロ儲けなわけ。
それで、デフォルトした7パーセントのほうは保証する貸金業者が持つので、実際にお金を貸し出す主体の銀行ローンはノーリスクでお金をバンバン貸してるから、景気が悪くなると多重債務者が生まれるってことですね。そのときに潰れるのは保証している貸金業者という、そういうことですね。
サラ:その通りです。
大澤:貸金業者はいいことなくないですか?
平:でも、貸金業者はもう銀行がバックにいないと成り立たないわけ。
大澤:元手がないから?
平:いわゆる過払い請求でどんどんお金を取られちゃって過少資本になってるわけだね。それとリスク取りたくても高い金利がもう取れないので、調達コストが高い貸金業者はもうやれないわけよ。調達コストの安い銀行が一緒に組んで、リスクはこっちにおっつけて銀行は儲けるという仕組み。
大澤:これ、ぜんぜんわかってないかもしれないですけど、ノンバンクってさっきから言ってるのは、ノンバンクだった貸金業者が、アリバンクになっちゃったみたいな?
平:アリバンク……いや、だからアコムとかプロミスとかみんな独立系だったの。武富士とか。今はSMBCグループとか〇〇グループとかね。だからグループ傘下に入ったわけ。
それで彼らは自分で貸してるのもあるんだけど、一方で銀行のローンも、銀行はそういうデフォルトを目利きする能力はないので、目利きがあるのはこっちなので、こっちに保証させてお金を貸し出すという仕組み。
生田:はるかに優れてるよな。そっちのほうがな。
平:ですね。ということで。目利きはこっち。
生田:ぜんぜん優れてる。銀行なにもわかんねぇもん。
平:銀行のビジネスモデルというのは、土地を担保にしてお金を貸すとか、担保を取ってお金を貸す。
こういうローンは担保なしなので、こういう属性の人にいくらお金を貸すと何パーセントデフォルトするかというのを想定をして、金利を想定して貸すわけ。そのノウハウは銀行にないのでこっちが保証している。
生田:あれ、ところで海外は担保という概念は強いほうなんですか?
サラ:はい。そうですね。強い。
生田:日本はものすごい強いじゃないですか。ちょっとまとまったお金借りようというと「担保なにがあるの?」という話になるけど。
平:土地とかね、金融とか。
生田:海外は土地とかは?
サラ:フランスも同じです。
生田:同じなの? じゃあそうなると、ノンリコースとリコースローンというのあるじゃない。要はそれを全部売却して、借金残っててもそれでチャラだよというようなのは、海外はそうなんでしょ? アメリカだとかは。
平:アメリカはそういうのありますね。ちょっと僕はヨーロッパはわからないけど。
生田:ヨーロッパはどう?
サラ:ヨーロッパはアメリカと同じ。
生田:同じなんだ。日本だけなんだね、やっぱね。
サラ:でも、日本にも似てるところもありますので。とくにフランスの場合はその真ん中にあると思います。日本と似てるところも、アメリカにちょっと似てるところも。
生田:日本なんていうのは、我々みたいな零細業者というのは、自分の家を担保に入れてお金を借りて、それで商売をやるわけですよ。それで失敗をすると家を取られるわけですよ。丸裸にされた上に借金だけ残るということになるわけ。
サラ:そうですね。すごく厳しいです。
生田:それをなんとかしていただければなとは思う。そしたらだってやり直しがきくじゃん。今はだって本当やり直しがきかなくなっちゃうからさ。
平:本当はね、担保取ってるだから、その担保を出して、終わりというタイプの契約やサービスがあっていいよね。
生田:そうだよね。
平:じゃあちょっと次いきましょうか。多重債務問題。
サラ:それで結論として、多重債務問題は貸金業規制のみによって解決できず、そのほかのさまざまな要素を考慮に入れる必要がありますね。
平:多重債務問題ですね。
サラ:そうですね。とくに消費者の啓発。例えば責任感も重要ですね。さっきイギリスの場合も、おっしゃったとおり、その責任感をちゃんと自分で責任の感じがあるので、もうちょっと自由にマーケットでお金を借りることができます。
日本の場合は、そもそも消費に重点をおいた経済政策を消費者のローン・クレジット利用だけを頼りにして進めていくことはできません。こうした経済政策を経済危機の際に多重債務問題が生じるリスクを回避しつつ推進するためには、賃金、とりわけ低賃金の引き上げ、労働市場の不安定性の改善が必要ですね。
平:これ労働市場の不安定性というのはどういうことを言ってます? 具体的に。
サラ:簡単にいうと、非正規……。
平:それを正規社員にということですね。
サラ:そうですね。ローンを、お金を借りても、もしまた不景気になったらローンを返すことができなくて問題になります。なので、多重債務問題はやっぱり規制だけで解決することができないんですね。
平:そのとおりですね。
大澤:これってやっぱりバブルだった時に貸金業規制がもう目下の課題としてやっていたからこう規制を作ったけど、今はもう少しいろんな規制作ったり、いろんな要素を考慮に入れてやんなきゃいけないってことですか?
平:だから規制緩和したほうがいいですよねって。
大澤:緩和したほうがいい。
平:というのは、さっきも見てきたとおり、総量規制なんて入れてる国は世界中にないんですよ。先進国で。シンガポールが入ってたかな。
サラ:そうかな。
平:だから1ヶ国ぐらいしか入ってなくて、そもそも総量規制が入っているなんていうのはないし、フローしか見てない。ストックも見てないわけですよね。
それと上限金利規制も、もう年利で見るのはナンセンスだよねと思う。FinTechとかも入ってきてるんだから、お金の足りない5分間だけお金を借りるっていう、そういう金融がもう可能になってきているわけですよね。
生田:いや、まったくそうだよ。
平:だからそうすると、例えば「1回手数料いくら」ってやり方をすればFinTechで短い時間のローンも可能なんだけど、日本はさっきも言ったようにそういう手数料も含めて上限金利でキャップをはめちゃってるから、実はFinTechの5分間だけ金を借りるという金融サービスが実は日本だけできない。
平:だからそういうのは、ここに利息20、18、15パーセントって書いてあるよね。
もともとは29.5だから、このへんだったんですよ。グレーゾーン。これがグレーゾーン金利と言われるやつだったのね。
それで抑えたんだけど、結局、これはあくまで年利なわけですよ。だからそうじゃなくて、もう年利って考え方をやめて規制を入れるべきじゃないかっていうのもあるし。
この利息制限法も50年前、60年前の法律ですよね。確かね。だからこの50年前、60年前の10万円は今いくらかというと、これ200万なんですよ。
生田:あ、そう。
平:うん。ちょっとうまく書けないけど。
そうするとこれ(60年前の100万)は2,000万なんですよ。そうしたらこの階段を、せめてここを200万にして2,000万にして、20、18、15パーセントという緩和の仕方もあるんじゃないですか、という。
生田:でも、どっちにしろ銀行を甘やかしすぎてるね。日本はな。
平:一方で、ただ多重債務者の問題というのはあるので。やっぱり多重債務する人って、まぁビジネスやってる人は別としても、「競馬で使っちゃった」「キャバクラ行っちゃった」などの人はいるので、そういう心の相談みたいな、コンサルじゃないな、なんだろう。
生田:ギャンブル依存症みたいなね。
平:そうそう。だからそういうケアをする仕組みをやるので、だから心の問題なのか、経済的な問題なのか。心の問題だったらカウンセリングみたいのに振らなきゃいけないし。
生田:そういうところへ振るとけっこう治るらしいね。ギャンブル依存症みたいな人って。
平:だと思うよ。だからそういうカウンセリング機能の強化とかね、例えば業界あげて。それで経済的なのが問題だったらリスケジュールをするとか。だから処方箋は違うわけよ。
生田:そうそう。事業やってりゃリスケで対応できるからね。
平:だから僕の自説はね、多重債務者は問題ですねって、「それは社会保障の政策でやるべきで、金融政策でやるべきじゃないでしょ?」って前から言ってるわけよ。それでも、「いやいや、金利ね、フランスだと暴利と言われている」と。
生田:暴利(笑)。
平:「こんな低いんだ」って言って、それをリードした人が自民党の中にもいてそうなっちゃったんだけど、もうちょっと世界標準に合わせましょう、もしくはFinTechの時代に合わせましょう。その上で多重債務者の問題は本当に効く政策をやるべきじゃないか、というのが私の意見なんですけど。
生田:だけど、今聞いた中ではやっぱりイギリスのが一番わかりやすいね。俺には。
平:いいよね。
生田:一番いいと思う。わかりやすいですよね。
大澤:わかりやすいけど、いざすぐ導入したら……。
平:いや、できませんよ。これはもう左翼が大騒ぎするし、弁護士が大騒ぎするしですね、マスコミが大騒ぎするから。
生田:いや、俺、イギリス的がいいな。イギリス的がいい。
平:でも、なんでそんな合理的なイギリスがBrexitしちゃったのかなというのもあるよね(笑)。
生田:まったくそうだな(笑)。
大澤:確かに。
平:だからまぁ、ということで、政策決定というのは理性的じゃないんですよ。合理的じゃないんですよ。その場その場の空気とか世論の熱とかマスコミの熱で押されて。国民が熱狂してマスコミが熱狂してるときほど、歪んだ法律ができたり歪んだ政治的な判断をするというのは、政治の常なので。
大澤:今の日本の規制ができたのって、バブルでみんなが熱狂してたってことですか?
平:だから結局、社会問題なんて、貸金業者とは別に闇金というのがいるわけよ。これは反社会勢力。これがごっちゃになってテレビで「目玉を売れ」「臓器売れ」とか、なんとか言うみたいのが流されて、それで「けしからん」ってなっちゃったんだよね。それで「あいつら懲らしめてやらなきゃいかん」という話になったというのがそもそもの出発点だよね。
それは懲らしめてやろうと思うじゃん。今回のあの着物の件だってさ、「 晴れ着できなくなっちゃった。あいつを懲らしめてやろう」という。それと同じような感じで盛り上がっちゃって、経済からの視点、金融政策としての視点は弱かったよね。
その時、僕はこの規制は反対、慎重論を唱えたら、守旧派だってレッテルを貼られ、貸金業者からの回し者だって。僕パーティ券も1枚も買ってもらってないのに、そういうレッテルを貼って糾弾されるわけですよ。だからそれはよくある話ですよね。ということで、そろそろ時間もまいりましたけど。
生田:いや、本当あれだよな。金のことに情を入れちゃってるのがめんどくさくなっちゃうんだよな。「かわいそうだろ」みたいな話になっちゃうじゃん。
平:だから合理的にやったらいいし。あと日本は破産制度という、これ破産制度は救済制度ですから。それといわゆる生活保護という救済制度もあるわけなんだよね。だからそれはやっぱりそこまでちゃんとできてるんだから。
平:最近、自己責任というとなんか「安倍内閣は地も涙もない」って言うけど、自己責任がなくなったら社会は崩壊しますよ。
生田:自己責任だよ、すべては。
平:そうそう。基本的にはね。だから、そういう意味でもやっぱり教育が大事なんだろうなというふうに思います。
大澤:すごい勉強になった。
生田:いや、とっても勉強になりました。おもしろかったです。先生。ありがとうございました。
サラ:ありがとうございました。
平:サラ先生、ありがとうございました。どうでしたか? 今日、感想、こういう日本のインターネットテレビに出られて。怖かったですか? 大丈夫ですか?(笑)。
生田:いや、悪い人じゃないよ。悪い人じゃない。
サラ:はい。楽しかったです。
生田:楽しかった、よかったです。よかったよかった(笑)。
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