「不可避な流れ」は私たちの生活をどう変えるのか?

小島英揮氏(以下、小島):みなさん、こんばんは。今日はこちらの会場にお越しいただきまして、ありがとうございました。

これから「INEVITABLE対談」と題して「不可避な流れ」を対談しようと思います。私、小島はどちらかというと聞き手ということで、先ほどご紹介あった國光宏尚さんから、「AI」や「機械学習」がバズワードで終わるのか、それともゲームチャンジャー、みなさんが巻き込まれる大きな流れなのか、という部分を少し話をしてもらいます。

ポイントとしてはビジネスですよね。ビジネスとしてインパクトがあるのかどうかをぜひみなさんとお話をしていければなと思っています。

50分ほどお時間いただいていますが、後半にはみなさんからご質問いただく時間も用意していますので、ぜひ「ここは賛同しかねる」「これはどうなんだ?」みたいなところも、メモを取りながら質問のネタを作っていただければと思っています。

まずみなさんにご紹介したいのが、今日のメインスピーカーのgumiの國光さんです。みなさん拍手をよろしくお願いします。

(会場拍手)

では、簡単に國光さんが今どういうことやっていらっしゃるか、みなさんにお話をしていただいてよろしいでしょうか?

國光宏尚氏(以下、國光):はい。まず、「なんでお前がAIのところに来ているんだ?」みたいな感じだと思うんですけど(笑)。

小島:僕はかなりいい人選だと思っているんですが、世の中的には「ソーシャルゲームやってる人」というイメージがあるのかもしれないので、そのあたりもお話をいただくと。

國光:そうですね。実際この中でエンジニアの人ってどのぐらいいらっしゃいます?

(会場挙手)

非エンジニアの人は?

(会場挙手)

なるほど。おそらく今日僕が呼ばれたのは、たぶん非エンジニア代表として「どうやってAIを活用していくか」を非エンジニアでもわかりやすく説明する、というところですね。

小島:はい。かつ、「お金を張っている人」ですよね。実際にリターンがあると思って張っている人の意見ということで、國光さんにお話をおうかがいしたいと思っています。

國光:あともう1個、スタートアップの方ってどのぐらいいらっしゃいます?

(会場挙手)

國光:あら、少ない。大企業の方?

(会場挙手)

國光:おっ。

小島:自称大企業はたくさんありますからね(笑)。

國光:(笑)。

小島:今日は比較的エンタープライズの方が多いと思いますよ。

國光:なるほど。

小島:普通は「テクノロジー関係の話だとスタートアップ系の方が多い」というイメージですが、これだけエンタープライズの方が来ていらっしゃるということは、やはり「ビジネス的にすごくインパクトがあるんじゃないか」とみなさん思っているのではないでしょうか。

「AIスタートアップ」なんていない

國光:なるほど。僕らの会社はモバイルゲームで上場しました。ただ、今は共同代表で副社長がモバイルゲームを見ていまして、僕は新規事業を見ています。

新規事業が大きく分けて2つで、1つはモバイルの動画、もう1つはVR・ARをやっています。

VR・ARはとくに力を入れてまして、インキュベーションを東京とソウルとヘルシンキ(フィンランド)の3箇所でやっています。あとはアメリカで「Venture Reality Fund」という、これは50ミリオン(ドル)ぐらいのファンドで、シード・アーリーステージのVR・ARの会社に出資するという感じで、合計21社に出資していますね。

小島:数としてはけっこう張ってますよね。

國光:そう。そのうちの1社がGoogleさんに買収されたりということで、VR・ARはかなり進んできているのかなと。とくに今日、中心にお伝えしたいところは、AI。AIといっても、僕はAIスタートアップなんてないと思うんです。

小島:なるほど。AIを標榜しているスタートアップってあんまりイケてないんじゃないか、と。

國光:はい。ここはこのあとの話にも出てくるんですが、とくに似ているのは、AWSがやったクラウドですね。

クラウドのすごかったところは、それまで(物理的な)サーバーを立てなければいけないからスケーラブルなサービスを作るのってすごく難しかった。それがAWSを使うと誰でも簡単にスケーラブルなサービスを作れてくる。

だから、僕らみたいなゲーム会社もそうだし、メルカリさんとかLINEさんみたいなサービスも生まれてきました。でも、誰もメルカリやモバイルゲームの会社のことを「クラウドスタートアップ」とは言わないんですよ。

小島:そうですよね。

國光:ですので、クラウドというのは手段です。C to Cなサービスを作るとか、グローバルでやるようなゲームを作るという目的があって、それを解決するための手段でしかないのかなと。

小島:なるほど。だからそういう意味で言うと、(クラウドは)ゲームチャンジャーだったわけですよね。それを使わないと戦えないから、みんながしょうがなく使っているというそれぐらいの感じ。ただ、それぐらいの破壊力はあったということですよね。

國光:そうですね。だから逆に言うと、AmazonとかGoogleのクラウドがあったおかげで、短期間でこれだけスケーラブルなサービスが作れたということです。

なので、AI自体は目的じゃなくて、なにか「解決すべき課題」「やりたいこと」があって、「それを解決するためにAIを使おう」みたいになってくるのかなと思っています。

小島:なるほど。

國光:なので、サービス事例とか踏まえてそういうのをお話しできればと。

小島:そうですね。いろいろな企業に実際に自分のお金を張っていらっしゃるので、どうしてそういうところでAIみたいなフレーバーがすごく大事なのかということも、このあといろいろお話を聞いていきますので、よろしくお願いします。

國光:よろしくお願いします。

企業は近いうちにAIベースになる

小島:あと「もう1人話してるお前は誰だ?」という方もいらっしゃると思うので、簡単に自己紹介させていただきますと、小島と申します。直近はアドビとかAWSで、いわゆる外資系企業のマーケティングをずっとやってきました。

最近は、働き方改革というありがたい流れが出てきて、僕的にはこれは「稼ぎ方改革」じゃないかなと思っているんですけど。今は複数の会社でマーケティングの仕事をさせていただいています。

今日のAIの文脈では、参加している企業の1つで、ABEJAという会社がいわゆるAIスタートアップです。今、國光さんが「AIスタートアップなんかねえよ」とおっしゃいましたけど。

もうちょっと言うと、AIを使いたい人をもっと手助けできるものがないかと。それはもちろんモデルを作ったりプラットフォームを提供したりということなんですけれども。やっぱりAI軸で入っていく方がけっこういらっしゃるので、これをどうやったら効果的にできるかというのがこのABEJAという会社ですね。

あと國光さんに近いところではVRの会社とか。あと、日本では決済がこれから大きく変わると思っていて、Stripeという決済の会社にも参加しています。これらの企業はすべて先ほどおっしゃったクラウド上で動いているサービスで、クラウドがなかった10年前にはなかったものなんですよね。

國光:そうですね。

小島:クラウドがゲームチェンジャーになって、こうしていろんな企業が出てきているという流れだと思うので、5年後ぐらいには、いろんな会社でAIベースのビジネスができているんじゃないかと勝手に思ってますけど。

いろんなスタートアップやビジネスを見てきた経験を使って、國光さんからいろいろ話を引き出したいと思いますので、今日はよろしくお願いします。

國光:これだけの会社の顧問などいろいろやられていらっしゃるということですよね。

小島:そうです。顧問というか、どちらかというと中の人でやっています。中の人でやらないとなかなかリアルなフィードバックが来ないんですよね。インプットがないので顧問とかだとすぐ枯れちゃうなと思って。

國光:副業という次元じゃないですもんね。

小島:そうですね。いわゆる正副の「副」じゃなくて複数の「複」なので、世の中的には新しいのかなと思うんですけど。やはりこういうことをやりたいという方はすごく聞くので、ぜひgumiさんにご興味あれば僕、行きますので。

國光:ちなみに、Amazonの時と比べて収入はどうなんですか?

小島:絶対上がっています(笑)。

國光:なるほど(笑)。

小島:稼ぎ方改革なので、はい。そこはちょっといやらしくなるので、次に行きましょうか。

國光:確か働き方改革の本も出されるので、ぜひみなさん予約をお願いします。

小島:今のはツイートしなくていいので(笑)。流していただいていいと思います。

過去2回のAIブームとはなにが違うのか?

小島:では、國光さんにいろいろと聞いていく前に、みなさんとAIを取り巻く状況を整理しておきたいと思います。今日、「AI」「機械学習」「人工知能」というキーワードでここに来られたと思いますが、みなさん、AIへのご興味というのはおありですよね?

國光:なかったらおかしいでしょ(笑)。

(会場挙手)

小島:意外に手が挙がらない。おありですよね。確認です。ありがとうございます。

次に、実際にAIをビジネスやご提案に取り入れるよ、と。AIとリアルに関わっている方はどれぐらいいらっしゃいますか?

(会場挙手)

國光:おお、意外に。

小島:少ない?いや、むしろいるって感じですかね。みんな気になっているけれど、リアルにやっている人が少ないんじゃないかというのが状況としてあると思います。

簡単にAIを取り巻く状況ということでいくと、僕の理解が正しければ、今は「第3次AIブーム」です。AIを昔からやってた人からすると「また来たか」「前にも波があって結局しぼんじゃったよ」という感じで、斜に構えて見ている方もけっこういるなと思っているんですけど。

今回の動きは別物だと思っていて、それが先ほどお話にあったクラウドなんですよね。これを使うことによって、今までの実験室のものから、リアルにビジネスに使えるという点があると思います。

そして、いわゆるいろんなルールベースの人工知能から、機械学習。人がいちいち計算するよりもはるかに大量のデータを処理して判断ができるようになった「マシンラーニング(機械学習)」。そして、人が教えなくてもある程度答えに近づいていく「ディープラーニング」。このセットが大きいのではないかと思っています。

なので、過去のAIブームとはまったく違っていて、(多くの企業、人が)使える環境になっている。それはテクノロジー的にも環境的にも。

Googleは創業期からAIを作っていた

小島:今回の「INEVITABLE」というこのイベント名は実はこの本から来ているんです。『〈インターネット〉の次に来るもの』という邦題でケヴィン・ケリーという人が書いた本なんですが、これを読んだことある方どれぐらいいらっしゃいますか? けっこう多いんじゃないかなと思います。

〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則

この原題がまさにINEVITABLEなんですよね。「不可避な」ってことなんです。これはテクノロジーが今後どんな流れになっていくかというのを非常によく解説した本なので、ぜひ読んでいただきたいんですけど、ここに興味深い一節があって。

「Google as AI First」と書いてありますが、ケヴィン・ケリーさんが、Googleの初期の頃、2002年というと検索エンジンがやっと使われ始めた時期じゃないかと思うんですが、その時にラリー・ペイジに話をした時に、「僕らが作っているのは検索エンジンじゃなくてAIなんだよ」と言ったと書いているんです。これを証明する方法はありませんが、著者がおっしゃっていると。

國光:すごいですよね。

小島:すごいですよね。AIを使っていると、AIを使って検索機能を強化するのかと思ったらそうじゃなくて、検索機能を使ってAIを改良しているんだということをおっしゃっていたと。これが2002年の時です。

この本は、去年出たんですが、「2026年までにGoogleの主力プロダクトは検索じゃなくてAIになるはずだ」と書いてあるんですが、たぶんみなさんすでに触っていたりすると思うんです。このスピーカー(Google Home)を持っている方はどれぐらいいらっしゃいますか?

(会場挙手)

小島:おお、多いですよね。

TensorFlowというのは、Googleさんが出しているAIのモデルを構築するときのフレームワークです。ニューラルネットワーク、ディープラーニングのベースも作れるようになっています。

例えばAIが持っているパワーを普通に家で使うために、GoogleさんはGoogle Homeを出していますし。それから自分でAI、ディープラーニング、機械学習のパワーを使おうと思ったら、1から作らなくても、こういったものがGoogleさんから出ているので、そういう意味ではGoogleさんからAIのプロダクトがかなり出てきているんじゃないかなと思っています。

ちなみに國光さんもAIスピーカーはお持ちですか?

國光:あの、全部持っているんですけど……。

小島:あ、全部持っている。

國光:そうそう。でも、まだ音楽を聞くぐらいしかできないですよね。

小島:では、まだパワーを十分使っていない?

國光:まだ使いこなしていない。

小島:では、そのあたりのヒントも今日の話の中で出てくればいいかなと思います。