芸術は破壊だ!
「壊すこと」に美を見出したアーティストたちの生き様

DESTRUCTION | 5 Artists in 5 Minutes | LittleArtTalks

今回の「Little Art Talks」では、破壊から芸術を生み出した5人の芸術家をとりあげます。アート=0から1を創造するものである、というイメージがあるかもしれません。ですが、既存のものを破壊することもまた、芸術になりうるのです。自ら描いた作品を消しゴムで消してしまったり作品に火を放ったりするなど、世界中の芸術家たちは、さまざまな表現を模索してきました。そんな芸術と破壊の奥深い世界を堪能ください。

破壊から生まれる芸術たち

アートは、絵の具や粘土、木などを用いて、生産的で“創造”に関わっているものだと思われがちです。しかしながら、破壊も、長い美術史の中で重要な役割を果たしています。

クロード・モネ(1840〜1926年)は白内障の手術をしたのち、30枚もの絵を破壊しました。

ジョン・バルデッサリ(1931年〜)は、1970年以前の作品を火葬にして、その灰を集めクッキーを焼き、画家からコンセプチュアルアートへの転換を宣言しました。

再び創造するため、異議申し立てのため、あるいはスペクタクルな見世物として、破壊がアートにとってどのような批評的な意味を持つのか、さまざまな世代の5人のアーティストについて見ていきましょう。

アメリカの画家である、ロバート・ラウシェンバーグ(1925〜2008年)から始めましょう。彼は、初期のモノクロームの絵画作品を描いたのち、一度書いた作品を消すことで作品を創作しようと考えました。

自分の作品を消し始めたことによって、すぐにアーティストとしての成功をおさめました。彼はウィレム・デ・クーニング(1904〜1997年)を信奉していました。新しい作品では、彼の作品を消すことによって、デ・クーニングに近づこうとしたのです。

デ・クーニングは、説得を受けてあえて消すことが難しい作品をラウシェンバーグに渡しました。それは、クレヨンやインク、そして鉛筆や木炭が厚く塗り込まれた作品でした。もちろん、ラウシェンバーグは作品を選ぶことはできないことも理解していました。

ラウシェンバーグが、さまざまな消しゴムを駆使し、その作品をほとんどまっさらな状態にするまで2ヶ月かかりました。平板なメッキの額縁に入れて、その最終的な結果を展示し、ジャスパー・ジョーンズ(1930年〜)がキャプションを作りました。

ジャン・ティンゲリー(1925〜1991年)はスイス出身の画家であり、彫刻家であり、立体的な機械装置やキネティック・アートで知られ、代表的なシリーズに、「メタメカニック(Metamechanics)」があります。彼の作品は、高度に発達した工業社会における物質的な文物の、過剰生産の非情さを風刺しています。『Homage to New York』(1960年)は『Time』誌に「自身を破壊する機械」と記述されました。

250人もの人びとが、27フィートに及ぶ立体作品を別々に見たあと、作品は燃え始めました。彼はたった27分間で自らの作品を崩壊させたのです。ティンゲリーは「『Homage to New York』は、自分自身を物質から開放する方法だ」と述べ、「最良の方法とは、中国の花火のように自己崩壊的なものにすることだった」と言います。この一件は壮観なイベントになったのですが、その間中、煙を含むすべての物質が作品の一部であったのです。

消失は人々になにをもたらすのか

マイケル・ランディ(1963年〜)は英国のアーティストで、ジャン・ティンゲリーのファンでした。彼は、『Break Down』(2001年)と呼ばれるインスタレーションを発表しました。そこでは、機械が自動的に彼の持ち物全部を破壊していくのです。7,227個にも及ぶ文物、つまり本や記念品、洋服、美術作品、彼が集めてきたすべてのものが破壊されました。

「私の人生の最初の37年は全部丸ごと、消費者だったと考えた」とランディは言います。

「だから、怒りからでも暴力的な方法でもなく、ベルトコンベアーに乗せられ工業的な規模で破壊を行いたかった。これらは、基本的に私の人生の37年にわたって収集したすべての物で、貨幣的な価値のある物もあれば、感傷的な価値のある物もある。この2週間は私の人生の中で最も幸福だった。というのも、解放されただけでなく、まるで私自身の死を目撃しているかのようだったからだ」

トーマス・デマンド(1964年〜)は、ドイツの彫刻家であり写真家です。大衆的な出版物や、歴史的、文化的に意味ある出来事から、見つけた写真をもとに建設した3次元の模型を、さらに撮影し大規模な写真を制作することで知られています。結果として、完全な再現ではないのですが、説得力のある空間のイメージができあがります。

『Landing』(2006年)は、これらの作品のうちのひとつで、観者は粉みじんになった花瓶のイメージと対面します。このイメージは、イギリス・ケンブリッジのフィッツウィリアム美術館で起こり、広く報道されたある出来事を基にしています。「来訪者が靴紐を踏んで階段から落ち、3つの清朝の花瓶をひっくり返した」というものです。模型は、紙とカードで制作され、写真に撮影された後は破壊されます。制作されたイメージのみがアートとして展示されるのです。

ラファエル・モンタネス・オルティス(1934年〜)はアメリカのアーティストであり、教育者であり、そしてバリオ美術館(注:ニューヨークにある、プエルトリコやラテンアメリカ文化の紹介と保存を目的に設立された美術館)の設立者です。

1966年、オルティスは、1966年にロンドンで行われた「Destruction in Art Symposium(芸術における破壊行為のシンポジウム)」に参加しました。多様な国籍のアーティスト、科学者、詩人らが集まり、ベトナム戦争で晒された人命や環境の無分別な破壊への危機感から、破壊のテーマで討論しました。

オルティスは、ピアノを破壊するコンサートなどの、7つの一連の公的なイベントに参加しました。彼の行為の背後には、破壊行為が意味するものへの強い意識があり、「破壊主義者の宣言文(Destructivist Manifesto)」を1962年に著しました。

そこで、彼は攻撃的な破壊は、戦争や搾取、集団虐殺などの結果を促すものだして警鐘を鳴らしています。そして、それよりもむしろ、破壊行為を美術史や人類の発展、儀礼、人間の内的な精神と肉体の関係に関連付けることに注意を払っています。

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Karin Jyuen(カリン・ユエン)がアートの世界をわかりやすく解説するYouTubeチャンネル。古今東西のアートにまつわる豆知識をお送りします。

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