ジョージ・ルーカスの究極コレクション

岡田斗司夫氏(以下、岡田): 本業はSF映画なんですか?

高橋信之氏(以下、高橋):そうです。

岡田:評論家。

高橋:ちょっと、書いたもの持ってきていいですか?

岡田:はいはいはい。

高橋:最近の仕事、持ってきますんで。

岡田:(コメントにて)「高橋さんの貫禄やべえ」って出てきてる、超貫禄(笑)。

高橋:いや、黒いだけだから(笑)。

岡田:そうなの? ほんとにそうなの?(笑)。

高橋:こんな本を作りまして、最近。

岡田『ジョージ・ルーカスの究極コレクション』

高橋:実はジョージ・ルーカスはルーカスフィルムという会社をディズニーに460億円ぐらいで売却しまして。今はディズニーグループなんですね。当然、こういう本を作りたいときっていうのは、ディズニージャパンというところを通して、ライツを通して本の申請をしたりします。

ですが、たまたまこの本はロンドンの出版社の『SFX』という雑誌と、『トータル・フィルム』という出版をやってるフューチャー社という会社があって。出版社の名前がフューチャー社。かっこいいでしょ?

岡田:かっこいいっすね。

高橋:ちょっとここと仕事してみたいなと思ってたんですね。そこが臨時創刊で去年の5月に出した本なんですよ、この本は。今年、もともとの原書版はここのなかにあるんですけど。こんな表紙ですね。一応、表紙も載せときましたんで。

ディズニーを通さずにジョージ・ルーカスの本が出せた

高橋:こっちが原書版の表紙なんですね。

岡田:はいはいはい。まあ、『スター・ウォーズ』中心というか、ルーカスフィルム全般。

高橋:全般の本です。ジョージ・ルーカスの本を紹介するのと、作品を紹介するという目標で来たんで、「あ、これ買おう」と。で、買って、ロンドンにメールしたところ、非常に優秀な友達がいてですね、ネゴシエーターがいるんです。

このネゴシエーターがハリウッド経由でお願いしたら、「いいよ」ということで、この本のライセンスを取りますよということで、ジョージ・ルーカスさん、個人的にはOKみたいなんですけど、ルーカスフィルムとかですね、ディズニーに関係なく日本で翻訳版が出ちゃったという。

岡田:ほう! それはすごいですね! 普通、日本でいわゆるルーカスフィルムとか『スター・ウォーズ』とかジョージ・ルーカスのやつを出そうと思ったら、日本のディズニーに問い合わせしないとダメですよね。まあ、講談社がだいたい独占販権持ってる場合がすごく多いですが。

高橋:角川と講談社。

岡田:角川と講談社ですか。これは、つまり、ロンドンで出た本だから、そっちの出版権翻訳権を取ってしまって、日本のディズニーをパスしちゃった。それやっても、トラブルにはならないんですか?

高橋:裏ワザですな。はい、ディズニーに連絡したところ、「自分たちを、ロサンゼルスとかハリウッドを通してないものに関しては、我々もわからないんで何も言えません」ということで、「じゃあ、やります」と。

岡田:黙認ですね。

高橋:まあ、そういうことですね。

岡田:へえ、そういうやり方もあるんですね。

高橋:たまたま、この『SFX』っていう雑誌と『トータルフィルム』っていう雑誌が、英語圏においては世界中の空港の売店に全部並んでる映画雑誌なんですよ。映画のジャーナリズムとしては、非常に大きいんですね。

なので、ルーカスとかハリウッドメジャーも、「まあ、あそこならしょうがねえだろう」みたいな、ところの日本版ということでやらせていただいて。

岡田:なるほどなあ。

ルーカスの黒歴史『ハワード・ザ・ダック』特集も

高橋:おもしろいのは、決してこの本がですね、ジョージ・ルーカスや『スター・ウォーズ』のことを良く書いてない部分があるんです。

岡田:(笑)。

高橋:イギリス人はすごいなと思って。このね、ダークなウィットというかですね、たくさんたくさん、例えば『ハワード・ザ・ダック』とか特集やってて。

岡田:それはいじわるですね!

岡田:ああっ、すごいね! この「そろそろ『ハワード・ザ・ダック』にチャンスをあげても良いのではないか?」とか(笑)。良くないわ! 『ハワード・ザ・ダック』にチャンスあげても。つまんない映画だったよ(笑)。

高橋:ちょっとね、映画批評的なにおいを感じるんですよ。

岡田:これ、別にこの本を作ってる人が、そう思ってるわけではないんですね。

高橋:ないんです。

岡田:「ジョージ・ルーカスもこんなどスベリしたこと、みんな覚えてる?」っていう内容を、イギリス人向けの遠回しなユーモアで書くとこうなるわけですよ(笑)。

高橋:ダークな(笑)。これ言っていいのかどうかわかんないけど、もう1つね、『ウィロー』っていう映画がありまして、これも失敗してるんですけど。

岡田:はいはい。『ウィロー』も、失敗でしたね。

高橋:この『ウィロー』もですね、……ちょっとですね。

高橋:タイトルがですね、「ショートストーリー」ってなってる。これ、短編って意味じゃないんですね。ショートっていうのは、背が小さいという(笑)。

岡田:『ウィロー』に出てるのが、小人ばっかりだからと(笑)。ひどいね!(笑)

高橋:ダークだなと(笑)。「なんだ、この本!」て思って。たぶんこれは、イギリスにおける映画批評なんだなと思って。

岡田:そうですねえ。

高橋:この本はぜひ。で、また、「インダストリアル・ライト&マジック」とかもあるんですけどね、これジェームズ・キャメロン出てるんですけど。

岡田:でも、そういう内容の本だっていうのは、この表紙からはぜんぜんわかんないですね。

高橋:わかんないですね。

岡田:どう見ても、ジョージ・ルーカス万歳本に見えるんだけど(笑)。

高橋:きれいに作ってるんですよね。でも、愛はあふれてます、愛は。

岡田:買うと、イギリス人のダークなユーモアがわかるという本ですね(笑)。

いろんなアーティストのスター・ウォーズアート

高橋:もう1つ、これも「アート・オブ・フィルム」ということで、これは『スター・ウォーズ』のトリビュートブックということで。

岡田:いろんなアーティストの人が、『スター・ウォーズ』のアートをやったというわけですね。

高橋:こんなたくさんのアーティストの人がやったものを集めてきたと。これも基本的には、これもジョージ・ルーカスに話して、「アーティストってそれぞれ発表権ってあるよね」と。この発表権ってのをルーカスがフリーにしている、「どうぞ発表してください」と、そういうものだけを集めてきたと。

岡田:これ確か、描いた人たちってあれですよね、世界公開の3日前のプレミアに呼んでもらったんですよね。

高橋:あー、そうです。

岡田:『スター・ウォーズ』の。あれはちょっと、かなりうらやましかったです。

イギリスは『スター・ウォーズ』の聖地巡礼の場所

高橋:これも誰かの権利ではなく、イギリスのライセスで取っていると。実は、イギリスというのは『スター・ウォーズ』の聖地巡礼の場所なんですね。

岡田:あー、パインウッド・スタジオがあるから。

高橋:そうですね。クールブリタニアというクールジャパンのもとになった……。

岡田:高橋さんと話すの、何が大変かって言ったら、『スター・ウォーズ』の聖地の1つって言って、「なんでだろう? ……パインウッド・スタジオだ! 『帝国の逆襲』を撮影したスタジオがあるからだ!」って。なんでこんなに脳に負担かけないと行けないんですか!(笑)

高橋:それでね、ピカデリーサーカスってところに、あそこにクールブリタニアっていうお店があるんです。実はクールジャパンって経産省が言ってるあの言葉はイギリスの政治家が言い出して、イギリスで言い出したクールブリタニアっていう言葉がもとなんですね。

で、クールブリタニアのオフィシャルショップっていうのができてるんですよ。そこに行くと、『スター・ウォーズ』の作品の人形とかが山ほど置いてあるわけですよ。

岡田:クールブリタニアに?

高橋:イギリス人は、あれはおれらのもんだと思ってるから(笑)。

岡田:えーっ(笑)。すごいなあ!

高橋:これって……、ハッと気づいて、確かに言われてみれば、撮影は全部バインウッドだと。で、役者も全部、帝国の役者はね、大英帝国を模してるから、全部……。

岡田:おまけに我々はアレック・ギネスを貸し出したと、ハリウッド映画風情に(笑)。アレック・ギネス貸し出したと!

高橋:イギリス人はね、あの映画をハリウッド映画と思ってないんです。

岡田:(笑)。

高橋:すげーな、と思って。