自分の特技を活かしたサービスをオンラインで提供できる「ココナラ」

南章行(以下、南):みなさんこんにちは。株式会社ココナラ代表取締役の南と申します。本日はよろしくお願いいたします。わたくしココナラというサービスを2012年7月から運営しております。先にどのようなサービスを提供しているかをご紹介させていただきますと、どなたでも自分の知識、スキル、経験に基づいたサービスを自由に販売できるというふうになっております。

たとえばなになにを教えます。なになにのアドバイスをします。そういったサービスをオンライン上で販売できるサービスを提供しております。逆に購入する方、相談する方かたはそういったサービスを購入することで1対1で非公開で相談にのってもらえる。そのようなオンラインのサービスを提供しております。

先ほどエニタイムズの角田から同じような仕組みのお話があったかもしれませんが、彼女が提供しているサービスはリアルで実際に会って提供するサービス、われわれはオンラインで離れた地方にいても提供できるサービスです。

では、ココナラがどのような課題を解決していくかについてお話させていただきます。販売できる知識、スキル、経験があってもなかなか時間的物理制約があるため提供できない、そんな方は多くいらっしゃいます。また、販売しようと思ってもどうやって相手方をみつけていいかわからない。どうやって集客したらいいかわからない。そのような方も多くいらっしゃいます。

あるいは、やることは決めた、こういったチャレンジがしたいと思っても全部1人でできるわけではない、仲間が見つからない、誰かに相談したい。そのような思いを持って結局のところなかなかうまくいかない。一歩を踏み出せない、そのような方がいらっしゃると思います。

そうした提供したい気持ち、あるいは能力があるんだけども一歩を踏み出せず社会に何か自分の特技を活かしたものを提供できない、われわれはそのような方々にサービスを提供しようということでございます。

どのような方が使っているかというと、わかりやすく言えば主婦の方でなかなか家から出ることができない、あるいは時間的にこま切れの時間しかつかえないためサービスを提供することができない方、あるいは地方に住んでいて身の回りの方へはサービスを提供できるんだけども、もっと離れた人にサービスを提供したい、そういった地方に住んでらっしゃる方や、起業はしたもののマーケティングだとかそもそもの会社設立について知識がない場合、誰かに手伝って欲しいと。そういった方々が利用しております。

シェアリングエコノミーによって日本人の労働参加率を上げる

具体的にココナラを使ったお客さんの中には主婦の方が、最初はちょっと絵が得意だったので簡単そうだからやってみようと一歩を踏み出した結果、お客さんがどんどんつきはじめて、少しずつ金額が高い注文が入りはじめ、最終的にはそれを本業にされた方もいらっしゃいます。

あるいは中国語が話せるという特技を活かして翻訳サービスを提供していると、こういったところで翻訳のニーズがあるんだなということがだんだんわかりはじめていく、じゃあ自分で翻訳の会社をつくってみようと踏み出された方もいらっしゃいます。

こうしてみると仕事の話ばかりのようにも聞こえるんですが、実は提供されているのがもっとプライベートなものもたくさんございます。個人的な話になりますが、子供が受験をする時期なんですけども、どうやって勉強をさせたらいいかわからない、誰に相談したらいいのかわからないといった時に、私自身がココナラで塾の先生をやっていたとか、あるいは家庭教師をやっていた方に相談にのってもらうことで心が楽になった経験があったり、あるいは趣味で水泳を始めたんですけども、ココナラのなかにたまたま日本代表で水泳をやってらっしゃる方が水泳の練習メニューを作ってくれたり。

今までですと、仕事であればお金を払えばアクセスできたような知識、スキルだけではなくて誰かが持っているのだけどもなかなかアクセスできなかったもの、そういうものにアクセスできるようになった。

逆に言い換えると、そういった知識や経験があるんだけども、どこにいけばそれを欲している人に提供することができるんだろう、そういったものが提供できるようになったらというのがわれわれが提供しているサービスでございます。

一億総活躍社会と申し上げておりますが、安倍政権が掲げております新三本の矢、強い経済、子育て支援、安心の社会保障、こういった課題の背景にあるのは相対的あるいは絶対的な意味での少子高齢化による労働力不足があると思っております。

本日ご説明申し上げましたAsMama、エニタイムズあるいはわれわれのココナラといったサービスは、こうした少子高齢化による労働力不足に対して、労働参加率を上げることに貢献していくサービスと位置づけることができるのではないかと思っております。

このようなシェアリングエコノミーの輪が日本中に広がっていくことで、ただ単純に誰でもできる仕事をやるのではなくて、自分の経験だとか自分が今まで生きてきたことによって獲得した知識、スキルに基づいて、自分の得意に基づいて自分らしく活躍できる社会の実現につながっていくのではないかと思っております。

以上、一億総活躍社会についてご説明を申し上げました。ありがとうございました。

司会:続きまして地方創生に関して、まずは理事 吉田よりお話をさせていただきます。

年収2000 万円を超えるクラウドワーカーが生まれた

吉田浩一郎(以下、吉田):クラウドワークスの吉田と申します。本日はお越しくださいましてありがとうございます。シェアリングエコノミー協会の理事に就任させていただく運びになりました。

クラウドワークスは昨年12月に上場させていただきまして、現在、働き方革命を掲げ20年で営業利益1兆円という目標を掲げて今、日々邁進しております。人々のスキルや知恵をシェアするシェアリングエコノミーであるクラウドソーシングを本業としており、現在、企業数で11万社、政府7省、地域の行政で40以上の行政がご活用いただいて、働き手のほうは現在76万人を突破しております。

その中でも特筆すべきなのは年収。今年で最高年収2000万円を超えてくる個人のクラウドワーカーの方々が生まれました。また年齢も、最高年齢85歳まで、あるいはお手元の資料にありますとおり、全受注の8割が東京以外で受注しているということで、まさに時間と場所に関係なく、年齢にも関係なくお金を稼げる、人とつながれるプラットフォームになっています。

そのような中で昨今、先日「ガイアの夜明け」にも取り上げられましたが、宮崎県の日南市で人口5万人の消滅可能性都市にも指定されているような市の中でも、月々20万円を稼げる主婦を3 名生み出すという取り組みを崎田市長とともに始めました。

その他にも横須賀市、北海道の別海町、あるいは長野県塩尻市、兵庫県加古川町、あるいは佐賀県といった多様なところで、その場所で就業をもたらすことに取り組んでおります。

そういった意味では地方創生、このクラウドソーシング、あるいはシェアリングエコノミーを通してまだまだできる余地はあると思いますので、我々自身もそういった事例を率先して生み出せるように取り組んで参りたい。それを通して協会の発展あるいは業界の発展に貢献してまいりたいと考えております。本日はありがとうございます。

司会:引き続き地方創生に関して当協会アドバイザーの鈴木よりお話をさせていただきます。

大学生などの若者の間で起業意識が高まっている

鈴木敦子(以下、鈴木):みなさんこんにちは、NPO法人ETICの鈴木と申します。わたくし達は起業家精神が育まれる社会づくりをミッションに93年からNPO法人として活動して参りました。主に大学生から30代ぐらいまでの若い世代を対象に時代における価値創出の現場、社会課題の現場、また例えば被災地であるとか地域の地域課題の現場において起業家が育まれていくようなプログラムであったりとか、また起業家を支えていく右腕人材をマッチングしたりであるとか。そのような活動をしてまいりました。

今回アドバイザーを拝命いたしましたけれども、私たちはインターネット事業者ではございません。今回お伝えさせていただければと思っているのは、私たちの現場からの観点でシェアリングエコノミーというものがどのような形で期待できるかであったりとか、兆しを生んでいるかということを少しお伝えできればと思っております。

私たちは全国で展開をしているということもありまして、全国の起業家、そして若い人たちの相談にだいたい年間1000件ぐらい面談を通じて相対させていただいているんですけれども、その中でも最近感じている兆しといたしましては、まず若者、大学生、20代の起業意識が、一部的ではあるかもしれませんが増えているのではないかと思っております。

起業家精神、起業意識、起業を志すきっかけというのは、実は日本を牽引していくようなすごい起業家に影響されるというよりも、実は隣の人が事を起こし、隣の人がどんなことをやりたいかということですね、同世代、友人たちがどんなふうに思って事を起こしているかに影響されていくことが挙げられると思っています。

昨今のFacebookなど、インターネットのツールの普及によって、その思考などがかなり可視化されていって、みな同世代が影響し合って事を起こしていくことがすごく挙げられるなと思っております。

その起業家意識というか、起業をしていきたいという兆しがすごく増えていることと同時に、やはり起業しやすくなったことも挙げられるかなと思っております。

インターネットのクラウドツール、理事の皆さまが提供しているようなクラウドツールであったりとかシェアリングエコノミーということが、若い人たちのスモールスタートアップを促進しているという兆しをすごく感じています。

開業率の向上には地方の参加が大事

先日も、人口が2万人程度の三重県尾鷲市にIターンした20代の若者が起業したという報告を受けました。実はその企業が港町なんですけれども、市場に乗らない少量ロットの鮮魚を都会の人たちに通信販売するという、よく聞くようなビジネスではあるんですけれども、そういったもので起業したと聞きました。

ひと昔前であるならば、それはちょっと難しいというか、どんなふうにそれを事業化していくのかと、どうやって発展させていくのかが考えにくいような時代だったと思いますが、今は例えば、都会の人達の東京支部みたいなところで東京で働いている優秀なスキルを持った人材がプロボノとして東京のマーケット開拓を支援したり、クラウドファンディングを通じて資金を調達したりとか、そういったかたちで起業を推進しているという報告を受けています。

このような話は私たちの中にもすごく聞く話で、すごくスモールスタートアップ、ど田舎であったとしても起業を推進していけるような兆しになっているんだろうなとすごく感じています。

日本において政府のほうで開業率を倍にするという目標をかかげていますが、その場合に地域の人たち、都会の一部の人たちが起業していくだけではなくて、地域のあらゆる人たちが起業にアクセスするということはすごく大事なことだなと思っていて、そういうことも理事のみなさまのインターネット事業とかシェアリングエコノミーにすごく期待したいところだなと思っております。

司会:では最後に訪日インバウンドに関して、株式会社Huber代表取締役社長CEO紀陸よりお話をさせていただきます。

訪日客と学生ガイドをマッチングさせるHuber

紀陸武史(以下、紀陸):紀陸と申します。本日はお越しいただきましてありがとうございます。われわれ株式会社Huberですが、2015年、今年の4月に北鎌倉の方で創業した、まだ生まれたての小さな会社になります。

ただ今回、訪日インバウンドの取り組みというかたちでお話をさせていただける機会をいただきまして、こちらのシェアリングエコノミー協会に関しましては会員企業の1つとして参加しております。よろしくお願いいたします。

まず株式会社Huberのご説明からさせていただければと思っております。われわれは訪日外国人の旅行者の方と日本人の大学生、主には大学生なんですが国際交流を望む日本人の方々をガイドとしてマッチングさせるガイドマッチングプラットフォームサービスを提供しようとしております。

僕たちの想い思いなんですが、誰もが望めばこの国の中で国際交流できる場を、この日本という国の中につくりたいという想い思いから仲間が集まりまして、北鎌倉の方で活動を続けております。

大学生がハブとなってペアガイドという新しいかたちで合法的に、またカジュアルに友達をもてなすように様々な訪日外国人の方々を日本に受け止めて、様々な地域に送る、地域のコンテンツやいろんな地方の方ほうにどんどん送っていきたいと思っています。私たちがこのビジネスに向きあう中で、やはり観光立国ということをすごく意識します。その中でいくつか大きな課題があるなと日々感じております。

1つ目はみなさんもご存知の通り、昨年度1341万人を超えた訪日外国人のインバウンド、こちらがもう今年度には1800万人を超える勢いで伸びつつあります。この急増している訪日インバウンドですが、主にはやはり首都圏に集中していると。

ゴールデンルートを中心に福岡とか札幌もそうですが、基本的には首都圏といわれるところに集中しており、そこのキャパシティはもうすでにパンク状態になってきてしまっているというのはみなさんもご存知のところだと思います。このキャパシティを2500万人、3000万人という世界を目指していくとなれば、当然地域、地方を活用していくしかないという話になっていくのかと思います。

またもう1つの課題としては、不足する人的リソースです。今までさんざんたくさん観光のために海外の方たちにPR して、日本に訪れた海外の方々はいらっしゃいました。しかしその方々が地域に根付かなかった。要はリピーターになっていかなかった最大の理由は人的資源がそこになかったからだと思っております。

つまりいえば、言葉の壁を超えられる、言葉の壁を超えて地域の素晴らしさを伝えていける人たちがそこにいなかったからという問題がある。しかしこの国に1つの法律がありまして、通訳案内士法というものがあるんですけれども、通訳案内士の方々、今全国で1万6000人しかいません。実働してるのは約4000人と言われています。これでは2500万人という大きな数、3000万人という数をまかなうことができない、おもてなしすることができないと思っています。

日本でしか体験できないことの多くは地方にある

最後に訪日外国人の方々のニーズも日々変化してきていると思っています。彼らが望むもの、特に西洋から来るような方々が望むものは、まさにこれに書かれている通り日本でしかできない経験を求めてきていると。

そしてその日本でしかできない体験というのは、多く地方にある。その地方にある素晴らしい物にそこに住んでいる人たちは気づきません。でも海外の人たちがそこに訪れることによって、そこに海外の方たちをたくさん連れて行くことによって、僕たちが価値をもっていない、感じていなかったものを発見することができます。

なんか海外の人たちがこれすごく喜んでいるぞと、なんでか知らないけどたくさん集まってきた、なんだなんだと、実はこれは価値があったのかと。そういうものを発見して自分たちの地域をどういうふうに変えていくのかというビジョンを皆で共有していく時に、そういうことができるのではないかなと思ってます。

そういう意味で僕らはこの訪日外国人のインバウンドとシェアリングエコノミーというこの2つの組み合わせは、観光立国と地方創生を進めていく上での本当のカギになってくるんではないかなと思っています。

様々な組み合わせがあるかと思います。ですけれども、この言葉を超えて日本全国様々な地域にたくさんの訪日外国人の人たちを送って、自分たちの町のことの価値をちゃんと理解して感じてもらえるように、そして日本の人たちがもっと海外の人たちを受け止めて国際化していけるように、日本を好きになってもらえるように僕らも頑張っていきたいですし、この協会が進めていこうとしていることが、そういった世界感をつくる大きな礎になるんではないかと思っております。ありがとうございます。

司会:ありがとうございました。今回の設立に際しては衆議院議員のであられます福田峰之議員にもご相談をさせていただきまして、本日の記者発表会を開催する運びとなりました。福田議員は自民党IT戦略特命委員会事務局長をされており、シェアリングエコノミーに関しても推進する姿勢をとられております。当協会としましても、助言をいただきつつ活動を進めてまいります。ぜひ福田議員からも一言頂戴できますと幸いでございます。お願い致します。

自民党がプラットフォーム事業に関する小委員会を立ち上げ

福田峰之(以下、福田):みなさんこんにちは。自民党IT戦略特命委員会事務局長の福田峰之です。まさにこの団体の設立は私たち自由民主党にとっても大変ありがたいことだと思っております。

1つは、やはりこのプラットフォームという新しい事業体がバラバラでは、私たちはヒアリングするにも、あるいは話をするにもしづらいということで、こうして団体が1つできあがることによっていろいろな意見を聞かせていただくことができるということがあります。

それと、この会の設立の趣旨にございますように、規制や法律というのは理由があってできてまして、そこには一番大切なのは消費者保護だったり、その事業体のみなさんが信頼たるべきものになるのかということであります。

そうしたところも今回、設立趣旨の中にしっかりと入れ込んでいただきまして、消費者保護をきっちりやると、あるいは苦情などがでたときにもしっかり受け止めると、そして健全な事業者をみんなで育てるということをしっかりと自主的にやっていただけるということは大変にありがたいことだと思っております。

実は私たち自民党IT戦略特命委員会の中にも、この度新たなプラットフォーム事業に関する小委員会を立ち上げることを決めました。これはまさにシェアリングエコノミーのような新しいプラットフォーム事業を行う方々をできるだけしっかりと振興していくために、自民党の中でも受け皿としての小委員会を立ち上げようと決めましたので、今後はこの協会のみなさんからしっかりと意見を聞きながら新しい経済をつくっていく、そして消費者の保護をしっかり徹底していくことについて、一緒になって考えていただけたら大変にありがたいなと思っております。

これはあくまでスタートでございますので、このスタートから先にありがたくも一億総活躍とか地方創生再生とか、まさに政府が目指していることも念頭におきながら、事業体として協力をいただけるということでございますので、連携をとりながら日本国のためにしっかりと政策もつくってまいりたいなと思っております。

ぜひみなさん、この団体を盛り上げて会員もいっぱい増やしていただけたらありがたいなと思います。以上です。

制作協力:VoXT