アベノミクスの成果

安倍晋三氏(以下、安倍):本日、衆議院を解散致しました。この解散は、アベノミクス解散です。アベノミクスを前に進めるのか、それとも止めてしまうのか。それを問う選挙であります。連日、野党は「アベノミクスは失敗した」と批判ばかりを繰り返しています。私は、今回の選挙戦を通じて、私達の経済政策が間違っているのか、正しいのか、本当に他に選択肢はあるのか、国民の皆さまに伺いたいと思います。

2年前を思い出していただきたいと思います。リーマン・ショックから4年が経ち、国際経済は立ち直ろうとしていたにも関わらず、日本だけはデフレに苦しみ、3四半期連続のマイナス成長となっていました。行き過ぎた円高は多くの企業を海外へと追いやり、空洞化が進みました。私の地元、山口県でも、若者たちを500人以上雇用していた大きな工場が、円高のために工場を閉めざるを得なくなりました。

どんなに頑張っても、どんなに汗を流しても、どんなにいいアイデアを出しても、行き過ぎた円高のために競争に勝てない。そして多くの雇用が失われていたのです。

失業者は増え、下請け業者は仕事がなくなり、連鎖倒産という言葉が日本中を覆っていました。当時私は野党の党首でありましたが、どこへ行っても「安倍さん、この景気をなんとかしてくれよ」と言われたことを、今でも忘れません。

その日本を、日本全体を覆っていた強い危機感が、私たちの政権交代へと繋がりました。強い経済を取り戻す、これこそが総選挙で示された、国民の皆さまの総意であると信じ、3本の矢の政策を打ち続けて、経済最優先で政権運営にあたって参りました。

その結果、雇用は100万人以上増え、高校生の就職内定率は10%アップしました。9月末の時点ですでに、半分以上の学生が内定をもらっている。15年ぶりの出来事です。

今年の春は過去15年間で過去最大の賃上げが実現しました。企業がしっかりと収益をあげれば、雇用を増やし、賃金を上げることが出来る。その好循環を回していく、これがアベノミクスなんです。

社会保障の充実は止めない

アベノミクスの成功を確かなものとするために、私は消費税10%への引き上げを、18ヶ月延期する決断を致しました。消費税引き上げを延期する以上、社会保障を充実させるスケジュールも見直しが必要です。

しかし、子育て世代の皆さんを応援する、その決意は揺らぎません。子ども子育て支援、その新制度は、来年7月から予定通り実施します。2年間で20万人、5年間で40万人分の保育の受け皿を整備し、待機児童を無くしてまいります。さらに小1の壁を打ち破り、学童保育についても待機児童0を実現していく、そのスケジュールは全く変わりません。

女性の輝く社会を実現する、この安倍内閣が掲げた旗は、これからも高く掲げてまいります。この臨時国会では、女性の活躍推進法案は、残念ながら、野党の協力が得られず廃案となってしまいました。しかし、私は必ずや実現させます。来年の通常国会では確実に法律を成立させる、その決意であります。

消費税の引き上げ延期は野党がみんな同意している、だから選挙の争点では無い、といった声があります。しかしそれは違います。野党の人たちは、ではいつから10%へ引き上げるのでしょうか。その時期を明確しているという話を、私は聞いたことがありません。

そこは極めて大切な点であります。財政を立て直し、世界に誇るべき社会保障制度を次世代へと引き渡していく責任が、私たちにはあります。私たち自民党・公明党、連立与党はその責任をしっかりと果たしてまいります。

そのために平成29年4月から、確実に消費税を引き上げることと致します。今回のような景気判断による延期を可能とする、景気判断条項は削除致します。本当にあと3年で景気が良くなるのか、それをやり抜くのが、私たちの使命であり、私たちの経済政策であります。

円高是正の結果、雇用が増大している

今週、経団連の会長が、経済界は来年の賃金を上げて、経済の好循環に貢献していきたい、そう宣言してくれました。さらには再来年、その翌年と、賃金を上げていく。アベノミクスを続けていくことが出来れば、必ずや実現できると確信しています。

良い話は大企業ばかりで、アベノミクスの風なんて中小企業には届いていない、という方がたくさんいらっしゃることも私は承知しています。円安によって、ガソリンや原材料があがって困っている。これについては、今度の経済対策でしっかり対応してまいります。

しかしアベノミクスが始まって、行き過ぎた円高が是正されました。そうしたなかで、空洞化の時代が終わり、仕事がいよいよ国内へと戻ってまいりました。

日産自動車は、アメリカの工場に移そうとしていたエンジン生産を、福島県のいわき市で行うことを決めました。600人近い雇用が守られたのです。

キヤノンはこの2年間の変化を見て、国内生産比率を半分の5割まで戻すことを決めました。アジアに出て行ってしまったプリンターなどの生産を、茨城や滋賀で行うそうです。海外へ逃げていった投資が、国内で動き始めたんです。

大企業が国内で投資をすれば、部品や材料を作る中小企業の仕事が生まれます。足元では、企業の倒産件数が民主党政権時代から2割も減りました。倒産が少ないのは、24年ぶりのことです。

もしあの行き過ぎた円高に逆戻りしてしまうようなことがあれば、また空洞化、根こそぎ仕事が無くなってしまいます。仕事がある、これが皆さん、一番大切なんです。

景気回復が地方に及んでこそアベノミクスは完成する

この臨時国会では、地方創生のための基本法案が成立し、大きな一歩を踏み出すことができました。

中山間地や離島をはじめ、地方にお住まいの皆さんが伝統ある故郷を守り、美しい日本を支えています。まだまだ厳しい地方経済へと、景気回復の暖かい風を送り届けていてこそ、アベノミクスは完成する。私はそう考えています。

地方の皆さんの生活を豊かにしていく、これも必ずやり抜いてまいります。都市と地方の格差が拡大し、大企業ばかりが恩恵を被っている、そうした声があることも私は充分承知をしています。

それでは日本の企業がしっかりと収益をあげるよりも前に、皆さんの懐から温まるような、手品のような経済政策が果たしてあるんでしょうか。またバラマキを復活させるんでしょうか。その給付を行うにも、その原資は税金です。企業が収益を増やさず、そして給料が上がらなければ、どうやって税収を確保していくのでしょうか。それこそが、2年前までの風景じゃありませんか。

私たちは違います。私たちは、景気を回復させて、企業が収益をあげる状況を作り、そしてそれが皆さんの懐へと回っていく。この経済の好循環を力強く回し続けることで、全国津々浦々に至るまで景気回復を実感できる。この道しかないんです。

景気回復、この道しかありません。そのことをこの選挙戦を通じて、皆さまにしっかりと訴え続けていきたいと考えています。そして国民の皆様の信頼と協力と得て、賛否両論、抵抗も大きい、その成長戦略をしっかりと前に進め、国民生活を豊かにしていく。その決意であります。私からは以上であります。

解散の大義と、勝敗ラインについて

記者:NHKです。まず解散の大義についてから伺います。野党側はアベノミクスの失敗隠しの大義なき解散だ、と対決姿勢を強めているわけですけれども、今回の衆議院の解散に国民の理解は得られているとお考えでしょうか?

また、先に総理が示しました「与党で過半数」という勝敗ラインですが、現有議席を90議席近く減らしても「勝利」ということに、野党側からは絶対安定多数の266議席や、少なくとも安定多数の249議席を目指すべきではないか、という声もありますけれども、これについての受け止めをお願いします。

安倍:まずアベノミクス隠しではないかと、それは間違っています。今申し上げたように、この解散はアベノミクス解散だ、とこのように申し上げておりますし、我々はこの政策が正しいのか、間違っているのか、他に選択肢があるのか、どうどうと国民の皆さまに問うているわけであります。

そして何と言っても先ほど申し上げましたように、この選挙、消費税引き上げを18ヶ月延期をしました。それを自民党は政権公約に書いていなかったではないか、という批判がありました。だからこそ私たちは選挙を行うんです。

民主主義の原点は税制であります。税制に重大な変更を行った以上、選挙をしなければならないと考えております。そしてこの選挙戦を通じて、私たちの経済政策についてしっかりと訴え、そしてこの選挙の大義についても、国民の皆さまのご理解をいただいていきたい。

選挙によって国民の皆さまの声を伺い、力を得て、はじめて私たちの困難な難しい改革を遂行することができると思っています。

そして当選ライン。選挙の勝ち負けは、政権選択。衆議院は政権選択です。どちらの党が過半数を取るのか。これは自民党、公明党、与党で共通の政策を訴えていきます。当然、どちらの勢力を選ぶのか、それが分岐点になると思います。

小泉総理も、あの郵政解散、自民党・公明党で過半数を取った。私はこの政策を続けていく、取れなければ退陣する、そうおっしゃいました。

私は野党時代、自民党の衆議院議員は、119名しかありませんでした。それを倍増以上して、政権を取る。それが私の約束だ。90名どころか100名以上私は増やさなければ、私の責任は果たせない。

ただもちろん選挙戦、 私は自民党のリーダーです。300議席近い議席を私達は持っている。私は当然、全員の当選を目指してまいります。