テレワーク環境=あらゆる「働き方」に対応できるということ

佐野誠治氏(以下、佐野):お待たせいたしました。私は、ソリトンシステムズで働き方改革やインターネット分離など、製品単体というよりソリューション軸でマーケティング担当をしております、佐野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

まず、テレワークと言いますと「在宅勤務」をイメージされる方が多いかと思いますが、時間と場所を選ばず働くワークスタイルの総称がテレワークです。在宅ワーク以外にも、サテライトオフィスや家の近くのワーキングスペースに行って、通勤時間や交通費を削減しつつ、集中して仕事をできる時間を設けたり。

もしくは従来からあるモバイルワークですね。すきま時間の活用、時短勤務ということで、毎回会社に戻ることなく残業時間を抑制していくかたちで効率化を図ったり。あとはグローバルに伴う対応で、深夜や早朝の電話会議にも対応できる。

これらすべてがテレワークになります。

ですので、テレワーク環境とは「あらゆる『働き方』に対応できる環境」と言い換えることができます。昨年から今年にかけて、我々のお客様でもあらゆる働き方に対応することで、全社的にテレワーク導入を成功されているお客様が増えてきています。

大企業での導入事例

例えば、損保ジャパンさんでは2015年から男女ともに働き方改革を進められていて、「多様な働き方の推進」と「仕事と介護の両立支援」を進められています。

内容としては、管理職の方から意識改革を進めていくとともに、それを支えるインフラを整備されています。それを我々のセキュアブラウザで営業システムを安全に利用できる環境を整えられました。

その環境を使って生産性向上や、働き方改革で言われているところの、移動時間の無駄削減や在宅勤務の効率化などに取り組んでいます。損保ジャパンさんの場合は、スマートデバイス6,000台の規模で、G Suite(注:Googleが提供するクラウド型ソフトウェアスイート)や社内のFAQ、お問い合わせのFAQなどに活用されていらっしゃいます。

また戸田建設さんでは2014年から使っていただいていますが、G Suiteの導入とあわせてBYOD(注:私的デバイスの活用)とセキュアブラウザ活用を実現されています。

最近ですと、女性の活躍推進を受けて、人事部主導の下、育休・介護休に対応できる環境を整備するとともに、オフィスと同じ業務を女性が自宅のPCからも行えるように「セキュアデスクトップ」を活用されています。

あとでご紹介させていただきますが、こちらの企業では端末管理が不要な仕組みを実現されることによって、効率的にBYOD・自宅PCを活用できる環境を整えられています。

また大手生活用品メーカー様では、もう2年ぐらいご活用いただいているお客様ですね。育休制度とかショートタイムフレックス制度、在宅勤務制度の制度づくりとあわせて、Office 365(注:マイクロソフト社が提供するクラウドサービス)を導入されていますので、それに加えて、社内システムに自宅のPCを利用してアクセスできる手段として、セキュアブラウザを導入されています。

在宅勤務制度は、今のところ、部署限定で効果を確認しながら、さらなる拡充を進められています。

最近のおもしろいところでは、小売業の方ですね。ここは働き方もそうですが、さまざまな契約形態の方がいらっしゃいます。契約形態によって、会社支給端末を持っている方や持っていない方がいらっしゃるんですね。そのため、人によっては情報共有の手段として、業務システムにアクセスする際、以前はなし崩し的に私物のデバイスをつなげていた部分がありました。そこで、働き方改革を支えるインフラとして、BYODを正式に採用し、個人端末でも安全に業務システムにアクセスできるセキュアブラウザを導入されています。

ここも短期間で導入されいます。セキュアブラウザは、MDMツール(注:モバイルデバイス管理ツール)のように、機種依存やプライバシー配慮を行う必要ないので、短期間で、アルバイト等の方も含めて8,000人規模でも円滑に進められています。

必ずしも大規模導入のお客様ばかりではありませんが、規模を問わず、比較的短期間で導入に成功されているお客様事例でございます。

テレワークのキモはセキュリティ対策

テレワークを進めるということは、今まで直接相談や報告・連絡・相談していたことができなくなりますので、既存の仕組みのままでは困ることになります。

そこで働き方改革を進めるために業務環境を変えていく必要があります。ステップとしまして、まず利用者が安心して利用できるテレワークの環境、ITインフラを整備する。ここがすべてのスタートとなります。

そしてチームの生産性や会議の質の向上、たとえば夜間に長時間の会議を実施することを見直したりといったことを進めつつ。情報と仕事を共有してできるだけ属人化しないような仕事の進め方にするといったことです。持続可能な働き方改革として、これらを継続的に改善し、生産性で評価をする仕組みへと変えていくこと。こういったかたちで改革を進めていきます。

なぜ最初のステップに、利用者が安心して利用できるITインフラの整備を入れたのか、説明させていただきますね。

はじめはテレワーク実施メンバーの希望者を募って、これをどんどん拡大していくかたちでみなさま進められようとしています。

我々自身も、働き方改革ワーキンググループが社内で立ち上がっております。総務省が進めている「テレワークエキスパート講習会」に何名か参加して、そこでさまざまな企業の人事部や、経営企画の方々と情報交換させていただいたりしています。

そこでお話をうかがって感じたことは、セキュリティご担当以外の方は、Step2の「チームの生産性向上」とStep3の「持続可能な働き方改革」の部分をじっくり考えられるんですが、Step1の「テレワークのITインフラ」とセキュリティの部分については、意外と後回しになっている方が多いなということです。

しかし、このStep1の環境が利用者にセキュリティ対策を強いるものであったり、使いにくいものであったり、なんとなく利用者が不安を感じてしまう仕組みであっては、そもそも利用者が伸びないので、働き方改革自体がうまく進んでいかないということになりかねません。

実際に先ほどご紹介させていただいたような、全社的なテレワーク導入を成功されたお客様を見てみますと、みなさま、まず利用者が安心して使えるテレワークのインフラ・IT環境を整えることから始められています。つまり、利用者にセキュリティ対策の実施を強いることのない仕組みづくりからスタートされているということです。

ポイントは安心して使えること

先進企業様が環境整備のポイントとして考えられたことは、コストとセキュリティと利便性・使いやすさのバランスです。

まず、導入コストとセキュリティの面からお話しますね。働き方改革は特定の社員だけではなく全社員が対象になりますので、社員が使用する端末の扱いがまず導入コスト・期間に大きく影響してきます。端末を全部支給するのか、あるいはBYODを活用するのか、自宅の回線使わせるのか、会社でモバイルルーター貸し出すのか。

こういったところを考えていきつつ、利用者が安心できないと使いたがらないので、ここはきっちり担保すると。

しかし、これが使いにくいものであっては広がらないので、ストレスなくテレワークできる環境。利便性ですね。

そして運用コスト・拡張性ということで、運用負担が発生する仕組みであったら継続的なIT投入の弊害になってしまいますので、簡単にシステムの追加をしていけるところ。

先進企業様は、大きくこの4つの観点で検討を進められていらっしゃいました。

これまでの考え方は通用しない

まず、導入コストと期間でございますが、従来のモバイル環境を整備と働き方改革環境の整備は、基本的に対象の数が違うので、考え方を変える必要があります。

モバイルワークの環境整備の場合、一部のユーザーに端末を支給して、MDM等で端末を管理しますよと。クラウドについては、システムやクラウドを利用して一部ユーザーに社外利用も開放するかたちで、限定的な利用で管理は比較的簡単、というところが従来の環境でした。

しかし、今年から国策として進められている働き方改革においては、あらゆる職種が対象になってきますし、さまざまなロケーションで仕事をしていく上で、国策として動いていますので、会社全体の取組みとして進めていく点が従来のモバイルワーク環境整備との違いになります。

それをもう少しイメージで見てみますと、いままではオレンジの一部の社員、一部のシステムだけだったのが、メール・スケジュールだけではなくて、在宅であらゆるシステムにアクセスできないと仕事が継続できないので、こういった仕組みにアクセスしていかないといけない。また端末とかデバイスは、業務とかのスタイルによってさまざまなものが出てきます。

スマートデバイスやiPadを支給し、これらすべてをMDMで管理したり、あるいは全部こちら側を仮想化して安全につながせるのは、実際できないことはないですが、多大なコストが発生します。

そうなると、ペーパレス化や移動費の削減、オフィスの省エネ化などで働き方改革の副次的な効果、コスト的な効果もあるんですが、そのコストよりもITの投資のコストのほうが大きく上回ってしまいますので、働き方改革自体の意味が薄れてきてしまいます。