異例の早さで“M&Aマネージャー”に就任
DaiGo氏(以下、DaiGo):今、オックスフォードのこととかをお話いただきました。『アナザースカイ』でも説明していただいたんですけど、番組だと放送の尺上で出せないところがけっこうたくさんあったので、それで今、改めて説明していただきました。
オックスフォード大学を出られてから、M&Aアドバイザーをしてらっしゃったんですね?
房広治氏(以下、房):そうですね。その後の経歴を申し上げますと、ロンドンで2、3年ですね、M&Aの、どちらかというと日系関連のこともやりましたけど、イギリスとかヨーロッパでの案件を下積み生活としてやり、その間に自分の交渉力を強めようと。
そして、1990年に日本に戻ってくる機会があり、日本に13年いて、その後、インベストメントバンキングを卒業といいますか、引退して、2004年からファンドマネージャーになった、そういう経歴でございます。
DaiGo:なるほど。要するにお金のプロということだと思うんですけど、中退した理由もすごくて。普通、大学から就職して、すぐM&Aアドバイザーってできないんですよね?
房:そうなんですよ。当時はとくに、2年間はほかの仕事をした人間、あるいはほかの仕事を2年間やった後、MBAを取ったりした後とか、弁護士か会計士の資格を取った人間、こういう人間しかM&Aの1年目というのはできなかったんですね。
ところが、私は歳を取っていたというのもあるんですけれど、オックスフォードに留学している時に為替理論を勉強していたんですが、その先生の25年来の親友が私の小論文を、どの小論文かわかりませんが見て、それで「こいつを自分のところが絶対雇いたい」と言って、オファーレターが来たということがバックグラウンドとしてあります。
先生によりますと、「大学で学位を取るのは、その後就職するためにやるんだから、当然そんないい話があるんだったらやるべきだ」ということになると。
DaiGo:飛び級みたいなもんですよね、要するにね。
房:……なのかな。
ミャンマーは日本の物価の50分の1くらい
DaiGo:房さんはずっとスーチーさんのお家に下宿していらっしゃったと。さらに、それから劇的な再会をされて、今、スーチーさんがミャンマーで政権を取ったと。
これからミャンマーが大きく変わっていく、どういうふうに変わっていくのか。それこそ日本の明治維新みたいに激烈な変化をしていくと。そこで、房さんはミャンマーのファンドをやられているんですよね?
房:これはほとんど、私自身と、私の友人のお金だけなので、あまり大きなサイズじゃないんですが、ミャンマーの今の貨幣価値というのは、1:50ぐらい。日本で1ぐらいのものが……、あ、じゃないな……。日本で50ぐらいのものが……、じゃないな。日本で1ぐらいのもの……、ん? どっちだ。
DaiGo:50:1だから、ミャンマーのほうが安いってことですよね。
房:そういうことです。
DaiGo:ということは、日本で50円で買えるものが1円ぐらい。
房:1円ぐらい、そういうことですね。だいたいそれぐらいの貨幣価値ですね。
DaiGo:物価が50分の1ってことですよね。
房:物価50分の1ですね、だいたい。
DaiGo:イギリスとは大きな違いですよね。
房:逆ですね。イギリスは逆に2倍ぐらい高いですからね。
DaiGo:マックのバリューセット、1,200円でしたから。
房:そうです。
DaiGo:ということは、(ミャンマーでは)日本のバリューセットが……、50分の1だから、10円ぐらいってことですね。10円しないぐらいってことですね。極端なことを言えば。
年収6万円、貧困層が70%
房:というか、ほとんど70パーセントの労働人口の平均賃金が、年間6万円なんですよ。
DaiGo:年収6万ってことですか?
房:年収6万。
DaiGo:わーお。それはもう50分の1じゃきかないですね。……あ、そんなもんか。
房:300万円ぐらいだから。だいたいそんなものですね。
DaiGo:へえ。
房:ということで、ミャンマーは20人ぐらいの家族がめちゃくちゃお金持ちで、それ以外の人、70パーセントが非常に貧乏で、それ以外に中間層、ヤンゴンにいる人たちはその間にいるような。
DaiGo:なるほど。
房:これは実際、6年前には今の北朝鮮と同じぐらいと国連などに言われていたほどで。北朝鮮とミャンマーがだいたい並べられて、「人権がない。しかも貧乏である」と。その時の統計によると、北朝鮮よりも1人あたりの所得が、ミャンマーのほうが低かったという、最悪な状況。
DaiGo:えー!
房:いや、そうなんですよ。
DaiGo:そんなにすごかったんですね。
ミャンマーの歴史の目撃者になりましょう
房:それで北朝鮮と同じように52年ぐらい鎖国をしているので、なぜ今、明治維新というふうに言われるかというと、日本も結局300数十年、鎖国をしていて、世界がどうなっているかをぜんぜん知らずにいたわけですよね。蓋を開けてみたらえらいことになっていたと。
ミャンマーも70年前は南アジア地域で一番栄えていたのにもかかわらず、50年以上の鎖国によって一番貧困な国になってしまった。
DaiGo:なるほど。そういう意味でいうと、まさにこの本の中に出てきますけど、独裁になって北朝鮮クラスのレベルだった国が、急に開けて、これから日本の鎖国が解かれた時みたいに大きく発展していくといいうことで、やはりファンドマネージャーとしても、投資家としても大きな可能性があるよ、ということですよね? ざっくり言ってしまえば。
房:ざっくり言ってしまえば、当然、投資する人間としてはそういうことを感じますし、それから投資しない人間も、ぜひ今これからの4年半、2020年の11月に次の選挙があると思われるんですが、それまでの間が、例えば50年後、100年後には、歴史の1ページになることは間違いないので。
全員参加というか、興味のある人は、ぜひミャンマーに行っていただいて、ミャンマーの人が好きになれば、ほとんどの日本人は好きになるんですけど、ぜひなにか彼らに貢献できるようなことを一緒にやるのはどうでしょうか、それが趣旨ですね。
DaiGo:なるほど。けっこう国民性、日本人と合うって言いますよね。
房:私は本当にそう思います。
DaiGo:敬虔な仏教徒みたいなイメージがありますもんね。
房:まず本当に嘘をつかない。ほとんどの人が目を見て話すし。それから、輪廻を信じてますから、虫にならないように徳を積むと。
DaiGo:悪いことをしたら、来世でとんでもないことになっちゃうから、現世で徳を積まないといけないってことですよね。
房:そうです。