現代の教育の問題を声高に訴える

坪谷ニュウエル郁子氏(以下、坪谷):みなさま、こんにちは。ただいまご紹介にあずかりました。坪谷でございます。私は教育再生実行会議で、たくさんのことを学ばさせていただきました。1番大きい学びは、今日本の学校がどうなっているとか、これを知ることができたということです。

まず第1に申し上げたいのが、学級規模。つまり1クラスの生徒の人数。この問題です。日本は40人学級ですね。過疎地を入れても生徒の数、学級規模は、世界の中で中国に次いで2番目に生徒の数が多い。これが日本の学校の現状です。

その40人の学級の中、どうなっているでしょうか。その中の5~6人が相対的貧困と呼ばれる子どもたちです。そして2.5人が発達障害もしくは学習障害。6人が学校の勉強が難しすぎてついていけないよと言っています。そして5人が学校に行っても勉強が簡単過ぎちゃってつまんない、こう言っているんです。

0.5人が日本国籍以外の子どもです。つまり日本の文化がわからない、日本語がわからない。そういった子どもたちが年々増えている。それを1人の先生が指導している。それが学校の現状なんです。

そしてその先生を見てみると、日本の先生は世界一労働時間が長い。これでいいんでしょうか? 1つ言えることは、子どもたちというのは私たちの未来である。これは確実なことです。

教育には子どもを変える力がある

教育は学校は子どもたちを変える力がある。私は32年間学校を経営しております。そしてそこでつくづく思っているのは「教育には子どもを変える力がある」ということです。

つまり教育は未来を変える力がある。こう言えるのではないでしょうか。しかし今学校には世界一忙しい教員の先生、そして40人学級の中でさまざまな個性を持った子どもたちがいる。この現状で良いのかということです。

子どもというのは保護者の所有物でしょうか? 私はそう思わないです。子どもというのは社会の宝で社会の財産です。保護者はその大切な仕事というのを社会から預かっている存在です。

私が思うのは子がいる人もいない人も、子育て前の人も子育て中の人も子育てが終わった人も、私たち成人私たち大人の役目の大切なことの1つは、子どもをそして教育を守っていくことなんじゃないでしょうか。

今日はその中でとくに教員、教員の労働条件はどうなっているのか。今何が起きているのか。その真実を知った上で、では私たちは何ができるのか。思っているだけではダメです。

具体的にどういう活動をしていけばいいのか。保護者の人はどうしていったらいいのか。企業の経営者は何をしていったらいいのか。私たちがこの問題に対してどんな活動をしていけば変わっていくのか。

それを考えるきっかけになればという想いでこのイベントを開催することになりました。今日をきっかけにこの炎が燃え上がることを期待しております。どうもありがとうございました。

(会場拍手)

教員の働き方改革は実現できるか

司会者:ありがとうございました。本日は、保護者の立場でこのあとみなさんと一緒に考えていきたいと思いますので、お願いいたします。

では最初のご講演を白河様にお願いしたいと思います。『働き方改革、長時間労働是正の現状と課題』です。よろしくお願いいたします。

(会場拍手)

白河桃子氏(以下、白河):みなさま、こんばんは。白河桃子でございます。よろしくお願いいたします。スライドが映るまでに2分ということで、その間ちょっとお話させていただきます(笑)。

私は働き方改革実現会議という去年の9月から今年の3月まで行われておりました内閣官房の会議の一員として、主に長時間労働の是正にファザーリングジャパンさんなどと一緒に取り組ませていただきました。

こちらの働き方改革実現会議、3月に実行プランというのを出して終わります。今けっこう企業様では働き方改革という文言の中でさまざまなことが起きております。

その中の1つは長時間労働是正ということで、残業時間を削減する。それから副業兼業などの新しい働き方をする。さまざまなことが起きております。こちらの動機とそれから教員の長時間労働。

今、世間の動きがどうなっているのか。企業の動きがどうなっているのか。そして働き方改革、教員にはどういう、例えば影響だとか。このようなお話をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

『働き方改革、長時間労働是正の現状と課題』となります。自己紹介させていただきますと、私このような本を書いているものなんですけども。主に女性のライフデザインとかそういったことをずっと扱ってまいりました。

その中で女性のライフデザインがうまくいくためには、この長時間労働という原因をなんとかしなければいけないということで、長時間労働の是正というところに行き着きました。

今の教師の長時間労働ですね。この実態なんですけれども。これに関しては連合のホームページを見ていただくと、教師のみなさまの長時間労働の実態というのが非常にわかりやすく調査されたものがございます。

これは2015年12月の連合の調査によると、週の労働時間が60時間以上の小学校教諭は72.9パーセント、中学校教諭86.9パーセント、小中教員の7割が週60時間超勤務をしている。これは長時間労働と言われる医師や製造業をも上回っております。

そして、さらに過労死ラインと言われる月100時間以上働く教員も小学校では55.1パーセント、中学校では79.8パーセント、それから高等学校では46.4パーセントとなっています。

多忙を極める教員の一日

この長時間労働が教員の生活にどんな影響をもたらしているかと言うと、連合総研様がまとめた教員の1日という冊子があるんですけれども。5時半起床、6時40分学校着、部活の朝練参加7時20分から、それから打ち合わせなどをして1時間目2時間目と授業をし、さらに終わったあともまだまだ勤務があります。

清掃指導15時30分から、16時から教職員打ち合わせ、16時45分から部活動の指導、生徒下校18時15分、19時生徒保護者と面談、提出物のチェック。そして退勤はなんと22時。このような生活をしている教師の方が非常に多いわけですね。睡眠時間も非常に阻害されてしまいます。

じゃあこの長時間ってどういうものなんだろう。実は学校にいる時間は長いんですが、教師が本来の勤務である授業に費やす時間はOECDの週19.3時間に対して、日本では週17.7時間だと。他の関連業務で授業以上の時間を要しています。

同じような調査では、OECD加盟国と比較すると、教員の数が少なく多くの生徒数を担当している一方で授業に費やす時間は少ないのに課外活動や事務作業に費やす時間が多いという傾向があるというところを国際的に見てとれます。これは私が働き方改革実現会議に提出した資料の中から持ってまいりました。

これはワークライフバランスの小室(淑恵)さんが学校に入って、今コンサルティングしているんですが、そこからいただいた資料です。

日本では教師がやるべきではない仕事をやっている

イギリスで教師がやるべきではない仕事というのが98年に出されていますが、小室さんがコンサルした学校の先生の方にこれを見せたんですね。このうちの8割は自分はやってますよと、みなさんおっしゃっていたそうです。

教師の長時間労働研究の取り組みが必要ということを、働き方改革実現会議で提言させていただきました。とにかくIT関連の詳しい人がいないとか、それからタブレットそういったものでまだ授業が行われておらず、紙文化であるとか。

私もオランダの教育改革、オランダ、ヨーロッパをはじめとする教育改革の話を聞きに行ったことがあるんですが、ほとんど少人数の授業でディスカッションを中心としたグループラーニングになっていて。

あとは数学とかそういった少し個人の進捗度に差があるようなものはみなさんタブレットで個人の進捗に合わせて授業をするような光景があるんですが。そのようなことをぜんぜん行っていない。

それから部活動なども誰がどこまで指導するのかというようなことがまだちゃんと決まっていない。そこは保護者の方と話し合って理解を得る。目標としては個々の生徒の自己実現をどう支援するかというところなんですが、これ以外にもこのような先生の時間が非常に多いと思います。

女性の民間校長の平川理恵先生がどのように実践をして長時間労働是正に取り組んでいるかというお話をうかがったのですが。やはり学校行事の見直し、職場体験なんかを短くしたりとか、遠足をやめたりすることもあると。部活動は教育課程外であるとして地域や保護者に説明し、部活動に関するクレームを受けないと説明。

教員の仕事の最重要は授業であるということをみんなで確認する。それから地域行事、PTAの行事のお手伝いなどは分けてやるということですね。とにかく勘・経験・度胸というものでやっていたものをしっかりエビデンスのあるサイエンスをプラスするようなこともしている。このようなことを実践されていました。