なぜひざが痛くなるのか
高橋大智氏(以下、高橋):こんにちは。理論スポーツ管理者の高橋です。今回お話したいのが、ランニングにおいて、ひざが痛くなる「ひざ痛」です。ひざが痛くなるということが、人によっては、よくあるんじゃないかなと思います。
今回お話したいのは、ひざを治す方法、ひざの走る負担を治す方法ですね。「なんでひざが痛くなるのか」ということを、まず考える必要があるんですね。ひざが痛くなるということは、どういうことなのか。
ランニングの世界では、ひざが痛くなる原因というのは、ひざの向きに原因があるとよく言われているんですね。
つまり、走っているときに、こういうふうに(ホワイトボードにひざの絵を描いて)ひざがあると思うんですけども、足の向きが例えば、こっちに(外側に)向いてたりとかして、ひざの向きがまっすぐじゃなくて横に向いてると、横の筋肉ばっかり、外側に負担がかかったり。「ランナーズニー」と呼ばれるように、外側に痛みがくると。
だから、どうしなきゃいけないかっていうと、ひざの向きを揃えましょうと。ひざの向きをこっちに(まっすぐに)揃えましょうというふうに言われる。足の甲ですね。足の向き、つま先の向きとかを整えて、変えましょう。
この(ひざの)向きを、こっちに向くんじゃなくて、
こっちに(真正面に)。まっすぐ向けようと。
(ひざが)斜めに向いた状態でずっと走ってると、斜めばっかりで外側に負担がかかっちゃうんで、外側じゃなくて、ちょっと内側に向けて走りましょうと。これ、よく言われるんですね。
ただ、本当にこれで負担かかるかっていうと、実際はこれはまだわからないと私は思ってるんですね。なんでかというと、トップランナーの選手とか、多くの選手を見ればわかるんですけど、ひざとか足の向きって常にまっすぐに向いてないんです。
どういった部分でひざが痛くなるかというと、実はこのひざの痛みっていうのは、腰の筋肉が緊張することで起こるということが1つあります。それはなにかっていうと……、人がこういうふうに走るわけですよ。
走る動作をこういうふうにやると思うんですけども、このときにひざに負担がかかるから、ひざが痛くなる。じゃあ、なんで負担がかかるのかっていうことなんですけども、ここの筋肉なんですね。
腰の筋肉ですね。腰の筋肉が硬くなると、これはひざに負担がかかりやすくなる。
ひざが痛くなる人でよくあるのが、腰の筋肉が緊張することで、上半身の重心が中央じゃなくて、後ろに落ちる。重心が後ろにいってしまうと、それによって上半身が後ろにいっちゃうんで、支える筋肉がなくなっちゃうんですよ。じゃあどこで支えなきゃいけないのかっていうと、上半身の全体をここ(ひざ)でなんとか支えようとしなきゃいけない。
普通、上半身がしっかり下半身にのってれば、お腹から上の部分っていうのは、股関節で支えられるようになるんですね。だから、トップランナーの人たちは、やや前傾になってるんです。だけど、支えになる骨盤が後ろに傾くと、支えるものがないんですよ。ないのでどうするかっていうと、日本人でよく言われるのが、外側広筋っていう外側の筋肉ですね。足の外側の筋肉を支えようとがんばるわけですよ。
それによって、ここの筋肉(外側広筋)が緊張して、ひざに負担がかかって、ひざが痛くなるっていうことが起こるんですね。だから、重心が後ろにいって、ひざで支えないといけないということが起こる。これが、ケガになると。
気をつけるべきは上半身の重心
じゃあ、どうしたらいいのかっていう話なんですけども、まずは、上半身の重心をちょっと前に傾けるっていうことでも、だいたいクリア。問題はちょっと解決されるのかなっていうふうに思うんですけれども、結局今度は、上半身なんですね。
無理矢理前傾させても、また結局今度は、そういう人は腰が反ることでまた腰が緊張しちゃうんですね。腰が反っていく。今これ(腰)硬くなってるんですけども、こういうふうに反ると、硬くなるんですね。
今度は、こういうふうにだらーんってなって、猫背になっても硬いんですよ。この首とか肩とかお腹の重さが、傾くと支えがなくなるんで、腰が硬くなるんですね。
だから、どうしなきゃいけないのかっていうと、まずは、そもそもどっちをやっても(反っても猫背になっても)結局ケガしちゃうんで、まずは、肩を落としましょう。両肩を落とすことによって、胸が落ちます。肩を、下に落として、この部分(胸)をまず落としてください。
この部分を落とせば、まず上半身の重みが後ろじゃなくて……、後ろだったら胸が上ずっちゃうんですけど、肩を落としてしまえば、とりあえず、まず後ろに落ちるっていうことが防げます。
その状態で、目線ですね。目線をあげる。私がよくいうのが、首を伸ばすと。首の後ろ側を伸ばすように、ちょっと目線をあげる。それによって、上半身の無駄な力みっていうのがとれるということなんですね。なにをやっているかと言いますと、これはこういうふうにすると(ホワイトボードに人の絵を描いて)、まず肩を落とす。肩を落とすことによって、胸まわりの筋肉も落ちると。前側の筋肉は、リラックス。
それで、首を伸ばす。わからない場合は、目線をあげる。それによって、首はけっこう安定します。それによってどうなるかっていうと、今まで顔が下に落ちていたり、後ろに落ちていたりとかすると、背骨のS字の湾曲のどこかに負担がかかったんですよ。だけど、首の筋肉がまっすぐ伸びると、背筋とか、腰まわりの筋肉にも、負担がかかって、背筋が伸びるんですね。
これ、弓道の胴づくりの姿勢って言われて、脊柱・うなじをまっすぐ伸ばして、と教科書に書いてあるんですけども、脊柱・うなじをまっすぐ伸ばして。うなじがまっすぐ伸びると、首の後ろの骨の筋肉や関節がまっすぐ伸びて、背中に負担がなくなって、背中も楽に伸びるようになってくると。
でも、逆に、この末端部である首の部分が、どっちか(前か後ろか)に傾いていたりして、重さを背骨にかけてしまうと、それは背骨の筋肉が伸びにくくなる。負担がかかっちゃうんですね。だから、まずなにをしないといけないのかって、まず姿勢ですね。肩を落として、目線をあげると。
わからない場合は、目線をあげるようにする。ランニングにおいてですね。この姿勢で走ることによって、この上半身が後ろに落ちるっていう問題を解決することができるんですね。
さらに、首を伸ばすことで、この腰筋の緊張っていうのが緩和されます。だから、そういった部分で、まず姿勢というのを治してあげる。
これは、ただ単純に重心が後ろになってるから、前に倒そうと思って前に倒して、首とか、そういった部分がなにも考えずに前に倒れちゃって、姿勢自体が前に崩れてしまったら、それはそれで今度は太ももの裏側に負担がかかちゃうんですよ。
かといって、重心が後ろに落ちた状態で後ろから崩れていったら、今度はひざに負担がかかっちゃうんですね。なので、解決方法としては、肩落として胸まわりの緊張を落として、上半身の重心を後ろじゃなくて、中央ですね。中央に落とすと。
その上で、首を伸ばして、背中側の筋肉を適度に伸ばしてあげる。それによって、腰筋の緊張というのが、少し緩和される。腰筋に対する負担っていうのが、少し減るので、この姿勢で走ることで、ひざの痛みを治すことができます。ぜひ、行ってみてください。
以上で内容の説明を終わります。ありがとうございました。