なぜくしゃみが出るのか?

マイケル・アランダ氏:誰でも、どこでもくしゃみをすることがありますよね。くしゃみは人間やほかの動物、例えば猫、犬や鶏でさえします。

でもなぜでしょう? なぜ我々はくしゃみをするのでしょう? もしあなたの答えが「鼻が不快感や余分な粘液を取り除くため」というものだとしたら、それは正解ですが、パーフェクトな答えではありません。

科学者はずっと、くしゃみは反射的なものであると考えてきました。塵や病原菌、花粉などの刺激物が鼻の中に入り込むと、脳がそれらを排出するよう指令を送ります。風邪などで余分な粘液が分泌されているときにも同じ指令が出されます。

この指令により、深呼吸が誘発され、肺が空気をため込みます。その間胸の筋肉が硬直し、圧がかかります。舌は口の中で上方へ引っ張られ、すばやく鼻から息が吐き出され、これがくしゃみとなります。これが、古くて簡単で正しい、「なぜくしゃみをするか?」という問いの答えです。

くしゃみは鼻の再起動だった

しかし、2012年に『The FASEB Journal』に発表された論文によると、これ以上の理由があることがわかります。これには繊毛が関係しているのです。繊毛とは、極小の毛状のもので、鼻腔に生えています。

研究の中で、ぺンシルバニア大学の研究者たちは、小さな鼻のようなものを作り出しました。彼らは健康的な成人の鼻から細胞を取り出し、培養器の中でその細胞が鼻腔と同じ状態になり繊毛ができるまで、何週間か培養しました。そして、くしゃみの模倣をして、風を吹きかけました。すると、顕微鏡でみると犬の毛のような繊毛が刺激を受けて、何度も前後に動き、それが何分も続いたのです。

なぜそんなに長い間影響を受けたのでしょう? 刺激物を取り除くのにそんなに時間はかからないでしょう。刺激を受けた繊毛は箒のような役割をし、余分な粘液がある部分だけではなく、鼻腔全体の状況をリセットしたのです。生物学者たちは、私たちの鼻も、ちょうどコンピューターがするように、たびたび再起動が必要になるのだと考えました。そして繊毛は再起動ボタンの役目を果たしているのです。

しかし、実際はすべてのくしゃみが再起動の役割を果たしているわけではありません。

鼻炎は一般的に鼻水や鼻づまりなどにより鼻に不快感を与える炎症です。健康的な人の細胞と鼻炎の人の細胞を比べてみると、鼻炎の人の細胞に空気を吹きかけても、繊毛は健康的な人のものに比べて速く動きませんでした。つまり、慢性鼻炎はくしゃみで正常にリセットする能力の欠如によって引き起こされているのかもしれないということがわかったのです。

これが明らかになったことにより、慢性鼻炎の治療法はさらに発展するかもしれません。