失敗に関する2つの議論

岩本隆氏(以下、岩本):失敗力の身につけ方ということで、今日はパネラーの皆さんに、2つの議論の内容をちょっとお伝えしておりまして、1つはまず個人として失敗力をどう身につけるのかというお話でございます。

おそらく、皆さん社内で1番失敗をされている方々かなと思っておりまして、それをどういうふうに身につけてきたのかというところ、意識の持ち方であったり、失敗したときの対処の仕方みたいなところをお話いただければと思っているところでございます。

2つ目の議論は、これを組織としての失敗力の身につけ方にどういうふうに昇華されているのかというところですね。

こっちも企業が成長していくうえで非常に重要なお話かなと思っていまして、その2点について議論をさせていただければと思っております。最初に、いろいろ資料を用意していただいた石渡さんから議論1についてお話をお願いいたします。

すべての事象は自分の姿勢に起因する

石渡美奈氏(以下、石渡):はい、ありがとうございます。ホッピービバレッジ株式会社の石渡と申します。本日は、ありがとうございます、よろしくお願いいたします。

祖父が創業した会社に3代目として入りまして、旧態依然とした会社を活気のある会社に変えようということで、以来、全社員から辞表を突き付けられるとか、失敗の数々には本当に枚挙にいとまがないんですが……。

「何でいつもそんなに元気でいられるんですか?」っていうご質問をよくいただくんですけど、1つは、やはりすべて自己源泉なのかなという、自分の身の上に起こることはすべて自分が引き起こしているんだという意識、だから、誰かのせいではなくて自分だからという。

そうなると、自己源泉に立てるので、じゃあそれをどうしていこうか、というのがわりとすぐ入りますね。それとやはり同じで、すべてに意味があって自分の中に起こっているんだということをいつも考えています。

私は、小学校以外はすべてキリスト教の教育を受けておりまして、そういった学校教育のバックボーンも大きいのかなと思うんですが、基本的に乗り越えられない課題は与えられないはずだという自分の信念がありまして、絶対乗り越えるから今ここが与えられるっていう。

これを乗り越えられないともう次の成長はないと、常に自分の中にそういったことを課します。なので、乗り越えるためにありとあらゆる手段を使って乗り越えるということなんですけど、やはり大切なのは、「対処は間髪入れずに」ということなのかな。

特に経営者は時間の回りが早いので、おそらく社員の3倍のスピードだと思っているんですね。社員の1ヶ月が自分にとっては3ヶ月分ぐらいの時間だというふうに思っているので、多分私がその対処に遅れると3倍遅れることになるなという、そんな考え方もありまして、「対処は間髪入れずに」すると。

いかに大難を小難に変えていくかが大切

もう1つは、何があっても私が元気でいられるのは、「自分で解決できない問題は躊躇せず人に聞く」ということ。実は、私の周りにはいろいろ支えてくださる先生もいらっしゃいまして、学生もやっているというのはそんなことですかね。

でも、やはり失敗は避けられないんだと思うんですね。必ず降ってくる。逆に、失敗がなければ、それが修行にならないので、自分の成長もあり得ない。

ただ、経営者として大切なのは、大難をいかにして小難に変えていくかという、そういったことを色々な研鑽を積みながら力を身につけていく、そんなことを毎日繰り返しているかなと思います。

岩本:ありがとうございます。非常によくまとめていただいていて、大変参考になるかなと思います。

次は、兼元さんにお願いしたいんですけれども、兼元さんも実は壮絶な人生を歩まれているんですけど、今日は個人としての失敗力の身につけ方についてちょっとお話しいただければと思います。

小学生時代に受けた壮絶ないじめ

兼元謙任氏(以下、兼元):今、OKWaveというQ&Aサイトをやらせていただいております、「教えて答える」の頭文字で取らせていただいて、それを世界にウェイヴのように、波のように広げていくということで。

今、月に4,000万人の方がQ&Aを繰り広げていただいていて、これをそもそも何でやりたいと思ったのかがたぶん僕の失敗力なんです。

小学校5年生の時に、トイレに顔を突っ込まれて落とされそうになりました。原因が、僕は韓国から来た祖父の子孫でございまして、国籍が韓国だったんですね、日本で生まれて日本で育っているんですけど。もう今は当然帰化しております。

その時、それを知った友達に、8人だったんですが、殴られてトイレに落とされたんです。1番びっくりしたのが、昨日まで「かねちゃん、かねちゃん」ってキャッチボールしていた友達が、鬼のような形相で蹴りを入れていたのを見て、何でこんなことが起こるんだろうと……。

同じ日本で日本語しか話せない人間を、なぜそういう目で見るんだろうって思ったんですが、25年ぐらいそれから抜けられなくて、切り替わるきっかけとなったのが、ものの見方を変えるっていうことでした。

電車に乗る親子の話

兼元:実際は、そのたった8人のいじめっ子が韓国がどうのこうのとか、日本がどうのこうのって言っているだけで、もっとリベラルでフリーな方はたくさんいて、これから2020年のオリンピックに向けて、そんなことを考えていちゃ駄目なんだっていうことを教えてくれた本がありました。

アルフレッド・アドラーさんっていう方がいらっしゃって、その本の中にこんな話が出てきて、それが僕の事業を決めてくださったんです。

電車があります。そこそこ混んでいたけど椅子が何個か空いてきて、駅に止まったんですね。ドアが開いて、男の人が入ってきました。その後ろから子どもたちが2人乗ってきたんです。男の人はダァーって歩いてきて、その椅子にズガーンって座っているんですね。

子どもたちが2人、キャーキャー騒ぎながら乗客の皆さんの足を踏んでいるんです。「これはもう駄目だろう」、「この男の人はどうなっているんだ」と、いろんなところで陰口がささやかれます。

「あー、教育なってないよね」「あの親にしてあの子だよね」って。たまりかねたおばさんが、その男性に聞くんです、「あんたね、座らせるんだったら子どもが先でしょ! 教育どうなってんの! 子供たち、どうするの?」それを聞いた男の方が、「すいません。実は、朝出てくる時に、病院にいた妻が亡くなったと聞いて……座るところがあって座ってしまったんです」と言ったんです。

そしたら、「何だ、この親父は」と思っていた電車の中が一転して、「がんばんなきゃ駄目だよ!」っておばさんも言うし、その子どもを「ぼく、こっち来い! あめ玉あげるよ。こっち来い、こっち来い!」って言って変わったんです。

僕はこの話を聞いて、そうだ! って思ったんですね。インターネット上のQ&Aでそれだけをやりとりする場所があれば、いろんなやりとりがあって、そこの中でも意見交換ってされているんですけど、世界をひっくり返す、考え方をひっくり返すぐらいの力をもったコミュニケーションができるじゃないかということで、OKWaveというものを15年前に作らせていただきました。