「絵本作家 のぶみの世界展」が開催

西野亮廣氏(以下、西野):よろしくお願いします。

絵本作家のぶみ氏(以下、のぶみ):よろしくお願いします。

西野:もう、のぶみさんが本当に今、大変な……。

のぶみ:いや、もう。

西野:大阪から戻ってこられたばっかりですよね。

山口トンボ氏(以下、トンボ):そんでまた明日、大阪へ行くと。

西野:また明日、朝一で大阪という。

のぶみ:もう初日にものすごい集まって、ちょっとした教祖ぐらい集まったんですよ。

西野:個展でね。

のぶみ:本当にすげえ来たんだけど。

西野:初日は何日? 7月の……。

のぶみ:7月27日にやって、マスコミが5社来て、テレビ5社回って、そんでもうめっちゃ劣悪な環境のなかで読み聞かせをやって。

西野:はい、はい、はい、もう人がいっぱいいるから。

のぶみ:そんで個展のなかもけっこう人がいて、これはもう大成功なんじゃないかなと。「もう今日で2万人いったぞ」みたいな、本当に思って600人ですよ(笑)。

西野:なるほどね。本当わかる。なんと言うか、ライブの500人と個展の500人ってワケが違いますからね。

のぶみ:そうですね。

絵本読み聞かせのハプニング

西野:何か個展って、やっぱり1人がそこにずっと居座るから。こっちは勝手に入れ替わっているイメージでいるけれども。これはけっこういったぞと思ってても意外と……。どう考えたって大繁盛しててもね。

のぶみ:そうなんです。

西野:その空間の中、「これ以上人が来たらもう大変なことになるぞ」というくらい、どう考えて大繁盛していても、(実際の)数字で言うと……みたいなところがありますよね。

のぶみ:何なんでしょうね。

西野:わかります、わかります。

のぶみ:テレビで見る限り大盛況っぽかったのにな。いや、(その場に)いても大盛況だったんですよ。こんなに僕のことを愛してくれる人がいるのかと(笑)。

西野:うれしいですよね。

のぶみ:それで(絵本を)映して読み聞かせしたんだけど、めっちゃ遠方から映して、もう絵がぜんぜん見えないんですよ。

西野:なるほど。

のぶみ:それで「見えない、見えない」っていう感じになって、「うわ、見えないわこれ」「どうすんだ? これ」って。でもそのままスタートしないと、もう始まってるし、テレビ始まってるしって。

そんで僕、苦しいながらちょっとやったんですよ。どうしたら見えるようになるんでしょうねとかってやりながら。阪急の人も、「ワアワア」ってなって、すぐ携帯のモニターをこうやって僕の絵本を映して。

西野:なるほど、なるほど。

のぶみ:それでちょっと画面が大きくなって、僕は「17年間の夢が叶いました、ありがとうございます」と言って、熱はあったんだけど、絵本の内容を理解できるような環境ではなかったんです。

西野:環境じゃないんだ、はいはい。

のぶみ:だから、それがすごく悔しかったです。もう難しかったですね。

西野:いやいや、すごいことやられてますよ。本当にすごい。

ライブの盛り上がりを左右する会場運営

のぶみ:それで今度、たぶん1,000人くらいの前で読み聞かせをしないといけなくて。

西野:すげえな。

のぶみ:1,000人の前で読み聞かせするって、無理だよな。それで天井がめっちゃ高いから。天井がめっちゃ高いとこでやったことあります?

西野:あります、あります。

のぶみ:音がね。

西野:あんまよくないですよね。

トンボ:そうなんですよね。抜けちゃう。

のぶみ:ガーンっていっちゃうんですよ。だから、天井が低いところだと、客にドーンっていくんですよ。でもこう、(ふだんは)レスポンスをしてるんですよ。一応絵本でも、笑ってもらったり。それで、いつものところで笑って安心になって。

いつものところで泣いているとかいうので、僕は安心していくんですよ。だけど、そうならないから、後ろが全部通りで、雑音でずっと流れているから、怖いんですよね。

西野:自分はライブをけっこうする人間なんで、もう一番最初に決めるのって、ライブの内容とか演出とか、そういうこっちゃなくて、やっぱり声なんですよ。天井の高さはどうなのかとか、客席。

のぶみ:天井の高さはやっぱり大事ですよね。

西野:はいはいはい。それは僕もけっこうあるんですよ。自分も「独演会」というものをずっとやっていて。

トンボ:やってますよね。

西野:それは運営をもうお客さんに渡しちゃうと思っています。それで、誰が運営してもいいよという状態にしたときに、僕はなんか「お笑いって、あんまりインタラクティブじゃないな」と。参加できる要素があんまりないと思って。

ライブが始まっちゃったら、お客さんは本当にずっとお客さんなのね。だから、どうやったお客さんが参加できるかなと考えたときに、これは運営だと思って。運営をお客さんとやっちゃったら、みんなでつくったみたいな感じになるなと思って。

運営をお任せしたときに、やっぱりいろいろ、本当に一生懸命、頑張ってくださるんですけど。それはやっぱり肌感覚として、ここでお笑いライブはできないよという場所を選んじゃうみたいな。

のぶみ:そうなんですか。

西野:この間、札幌の時計台で(独演会を)やったときはすごいよかったです。

トンボ:僕も行かせていただきました。

西野:よく「屋外で独演会してください」「開放感あっていいじゃないですか」って。すごい開放感があって、聞こえもいいしみたいな。

のぶみ:ピクニックみたいな。

西野:ピクニックみたいな感じで。聞こえだけいうと本当すごくいいんですけど。

トンボ:そうですよね。

西野:実はライブっていうのは、返しモニター、自分の言った声がどれぐらいの音量で返ってくるかとか、ここに音を出したら、どれぐらいの反響があるかというのは、すごい繊細で。

トンボ:やりやすい、やりにくい、ありますものね。

西野:あの楽しかったライブが、ここに来た瞬間に、何でこんなおもろなくなるのというのは、平気でありますよね。

M1決勝に進出した芸人がスベる理由

のぶみ:やっぱりお笑いの人たちも、漫才をやって、いつもの「ここで笑うな」というところで笑い声が聞こえなかったら不安になるんですか?

西野:まあまあ、あります。僕はもう16年やっちゃってるんで、これはこういう環境だから仕方ないな、みたいなことはありますけど。でも最初の頃は、「あれ? このネタ、あんなにウケたのに、急に何?」みたいな。あれがけっこうでかいと思います。

M-1とかお笑いコンクールで、決勝で急にズドンと滑る人とかいるじゃないですか? 僕も1回、M1の決勝でズルズルに滑ったことがあるんですけど。M-1の決勝に上がっている人というのは、まず間違いなく、準決勝でドカンと受けた順番に上がっていっている。

トンボ:死ぬほどウケて。

西野:死ぬほどウケたやつ。

のぶみ:だから勝ち上がったんですよね。

西野:でも決勝でズルズルに滑って、よくテレビを観ている人は、「なんでこんなやつが決勝上がってんねん」みたいな。「ほかにもっとおもろいやついたんちゃうか?」って言われるんですけど。

僕はずっと見てますけど、やっぱり毎年妥当なんですよ。キングオブコントにしても、R-1にしてもM-1にしても、その年のおもしろい上位8組が、おもしろい順だから、準決勝でウケた順にちゃんと出てるんですけど。何が圧倒的に違うかといったら、決勝の会場と準決勝の会場のキャパがぜんぜん違う。

準決勝の会場、M-1なんかは最後のほうになると1,000人規模になってきちゃうんで。そうなってくるとやっぱり、早いネタはできないんですよ。バーッとたたみかけるようなネタは、会場が広いからバーッと言ってから(反応が)返ってくるまで、すごい時間がある。

のぶみ:そうなんだ。

西野:すごい時間があるから、早いネタはできないんです。

のぶみ:そういうことか。

西野:準決勝で、早いネタがすごい不向きなんです。キャパがでかくなって。その前までは、準決勝のキャパのサイズとだいたい決勝が近かったんですけど。

のぶみ:なるほどね。

西野:準決勝のチケットが売れるとなった瞬間に、準決勝のキャパをすげえでかくしちゃって。だから準決勝でウケたからといって、また決勝でウケるわけではないし。

のぶみ:そういうことなのか。

西野:準決勝に合わせちゃうと、決勝にはまらないみたいな。やっぱり場所がでかいっすよね。

トンボ:難しいっすよね。

のぶみ:経験値ですね、けっこうね。

西野:それは経験値ですよね。もうそれでしかないという。