2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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藤野英人氏(以下、藤野):世の中のアクセスでは刺激を求めている人が多いという中で、これだけの読者をどうやって獲得できたんですか?
後藤達也氏(以下、後藤):刺激を求めていない人も、たぶん世の中にはたくさんいらっしゃると思います。あとはイメージで言うと、日経新聞って今は紙と電子版で二百何十万部あります。二百何十万部って、日本人の人口の比率で言うと2~3パーセントだと思うんですが、国民の中ではかなり経済への意識や関心が高い層ですよね。
藤野:そうですね。
後藤:そこよりもっと経済に関心が高くない層は80パーセント、90パーセントいらして、でもまったく関心がない人ってたぶんいないと思うんですよ。
藤野:確かに。
後藤:仕事もしているでしょうし、あるいは資産運用や老後のお金に1ミリも興味ないという人は、ほぼいないでしょうから。程度差はあれど、みんな関心はあると思うんですね。「ここの人たちにうまく伝わる情報ってないのかな?」と思ったのが一番のポイントなんですよね。
言ってみれば、そこまで関心は高くないし、わざわざ高いお金を払ってまで見ようと思わない人たちなので、今まではなかなかビジネスチャンスも生まれにくかったと思うんですよ。
藤野:そうですね。
後藤:例えば大手メディアとか大手金融機関ならあるかもしれないですが、大手メディアが「よーし。ここには何千万人いるから突っ込んでいこう」といっても、1人当たり10円しか払ってもらえなかったらビジネスとして成り立たないので、放置されていたと思うんですね。
藤野:確かに。
後藤:それがこの10年、15年ぐらいでSNSやYouTubeが出てきたことによって、大企業・大資本じゃなくても、個人でもわりと多くの人たちにアクセスできるようになりました。
後藤:それこそ10円単位、あるいは無料のものであっても、社会貢献も含めてビジネスできるチャンスが生まれたような気がしたんですね。例えばXだと無料ですし、YouTubeも広告は流れるとはいえ基本無料なので、そこにすごくフロンティアが広がっていったというか。
そういう人たちに伝わるように、短時間で無料でも関心に刺さるような図表を見せたりとか、そこは最初に意識したところですかね。
藤野:そこの層の人が一定数いたし、最初はほぼ個人でやっていたから比較的低コストでできたところもあって、一定のマーケットがあったのでしっかり取ることができたと。
後藤:そうですね。そうですねというか、私も自分の中で完全にわかっているわけではないですが。でも、XやYouTube、特にXに関しては基本的には直接マネタイズができないものですが、何十万人という人に対して継続的に情報発信できるわけですよね。
そうすると、ある程度の信頼みたいなものが生まれてくるかもしれなくて。今、noteではマネタイズをさせてもらっているんですが、「この人だったら変なことを言わなそうだな」というのを時間をかけて信頼を獲得できると、「この人だったら、数百円だったら課金してもいいかな」というステップがあるのかもしれないですね。
恐らくですが、このへんは時間がすごく大事な要素です。すごく立派なメディアが、ものすごく立派そうに見えるプラットフォームで何百億円とお金をかけてやっていても、いきなりそこにお金を払うかというと難しいかもしれないんです。
後藤:たった1人でSNSでやっていても、「この人は2~3年、変なことを言い続けてないから、なんか信頼できそうだ」という、時間をかけた信頼が生まれる。
これは、「資本」とか「従業員500人」とかとは、また違うものだと思います。例えば従業員を1,000人抱えていて、資本を持っていて、でも時間という信頼がない人たちが突然始めても、課金メディアってそこまでうまく稼働しない気がするんですよね。そのへんはぼんやり思っているところですかね。
藤野:ちゃんとした正統派というのは、「飛び出せないんだ」と自分で枠を決めている人が多いような気がします。そういう中で後藤さんを見ていて、「こういう人が起業するんだったら、僕も自分のジャンルでこういうことができるんじゃないか」という人が増えればいいなと思ったりしているんですよね。
後藤:私は別に「起業するぞ」とか「noteでマネタイズするぞ」と思って飛び出したわけじゃなくて。会社にいると当然いろいろやらなきゃいけないことがありますし、自由気ままにYouTubeとかに出たりも当然できないので。
藤野:じゃあ、選択として「起業」がやりたいことになった。
後藤:起業というか、とりあえず最初は個人事業主になったんですよ。それで、まずXとかYouTubeを気ままにやったんですが、これがまったく鳴かず飛ばずで、例えば、3年やっても年間100万円も稼げなかったら生活できませんよね。
藤野:そりゃそうだ。
後藤:だから1年か2年かやってみて、ぜんぜんダメだったら「また就職すればいいや」とか思ってたんです。就職できるかわからないですが、多少楽観的に考えてやってみるという感じですね。
成功するという確信なんてぜんぜんないですが、やってみたら会社では経験できなかった体験や人脈もできるかもしれないし、「またその時に何かあるでしょ」ぐらいの気持ちでした。
藤野:そうか。だから「起業」という言い方よりも、「独立」という言い方のほうがいいのかな。
後藤:そうですね。「独立」のほうが個人的にはしっくりしますね。
藤野:「起業」って言うと、一般的に「人を抱えてIPOするぞ」みたいなイメージがあるから。
後藤:そう。IPOで何百億円みたいな(笑)。
藤野:だから、そういう世界観の起業ではないっていうことなんですね。
後藤:ぜんぜん違いますね。起業といっても、今も私しかいないですから、フリーランスですね。
藤野:フリーランスね。
後藤:一応、形的には株式会社を作っていますけどね。
藤野:そうそう。投資啓発をするというのは、社会的なメッセージもすごくあると思うんです。今でこそだいぶ聞いてくれるようになったけれども、投資の話をすると「怪しい」とか、それがまだ完全に払拭されたわけでもないと思うんです。実際に今、投資の話をして2年経って、環境や自分を取り巻く状況って変化したりしましたか?
後藤:そうですね。私は10年前、20年前に前線に立っていろんな人に投資の話をしていたわけじゃないので、比較は想像でしかできないんですが、劇的に変わっているんじゃないですかね。投資という言葉が「卑しい」とか「危ない」みたいな感じのイメージって、特に20~30代の人の間では相当払拭されてきていると思いますね。
藤野:そうね。
後藤:当たり前のことかもしれないですが、従来「怪しい」とか「危ない」って思われていたのは(理由が)大きく2つあって。1つは、2010年ぐらいまでは日経平均はずっと右肩下がりだったので、それこそ3万8,915円から7,000円台まで下がって、4分の1とか5分の1ぐらいになったわけです。
そうなると、中には勝てる人もいるかもしれないですが、大半の人が負けてしまうと「危ない」という印象がありますし。
藤野:それはそうだ。合理的じゃなかった。
後藤:加えて、金融業界もだいぶ手数料を取ってきたところもあったりして。場合によっては、詐欺ではないけれども、かなりリスクの高いものに手数料をかなり乗せて売ってしまって、リーマン・ショックの時もすごく厳しいことになった個人の方がけっこういらっしゃったりしたと思うんです。
後藤:そういう意味では、業者の責任もあると思うんですね。十把一絡げに全員業者が悪いとは言いませんが、悪い人もいたかもしれない。それが今はだいぶ変わってきていて、株は2012年からほぼずっと右肩上がりですし、10年前や15年前と比べると業者もだいぶクリーンになりましたね。
藤野:なりましたね。投資の本当の魅力はプラスサムなはずなんですね。「どうやってAという会社が業績を上げて、株価が上がるか」ということの中には、何も騙しがないし。
顧客が増えて、お客さまの喜びがあって、利益があって、税金をたくさん払って、株主が儲かって、それを投資信託なり株で勧めた人も儲かるという、Win-Winのハッピーなつながりを作るのがそもそもの投資ですものね。
後藤:私がnoteの会員の方と話していても、「経済のことを勉強したりするのが楽しくなってきた」という人はけっこう多いんですよね。
藤野:いいですね。
後藤:呼び水は投資だったわけですよ。お金儲けとか資産形成は、やはり吸引力がものすごく強いじゃないですか。でも、それが呼び水となって、いざ経済の世界のものを見始めると、「企業ってこんなふうに考えていたんだ。今までぼうっと見ていた会社もこんな問題を抱えていたり、経営者ってこんな人間らしい人たちなんだな」というのが見えてきたりする。
あるいは、まったく興味がなかった日銀にも興味を持ち始めるんですね。釈迦に説法ですが、経済ってすごく壮大なドラマじゃないですか。リアルタイムで動いていてどうなるかわからないですし、突然AIという大きなテーマが入ってきたりするので、中途半端なドラマよりずっとおもしろいと思うんですよね。
後藤:そこ(経済の世界に)に入っていくと、エンターテイメントとしておもしろいと同時に、それ自体が時事教養となって、自分自身の仕事や生活にも活きてくる。
そうなると、お金が増えるということ以外に、人生の張りみたいなものが出てくると思いますし、「リスクを取る」ということの意識も変わってきたりするので、いろいろといいものが回るんじゃないのかなと思うんですよね。
冒頭から話しているように、日本のインフレや賃金上昇、働き方の価値観の変化とかが合わさっている中では、「投資をやる」ということはすごくマッチするような気がしています。
藤野:この本(『転換の時代を生き抜く投資の教科書』)で伝えたかったことって、どういうことだったんですか?
後藤:経済っておもしろいし、学んでいくと、社会の動きや「人間ってどういう人たちなのかな?」とか「人間って何で動くのか?」というものがすごく見えてくるので、世界が楽しくなっていくような気がするんですよね。
藤野:なるほどね。
後藤:その入り口になればと思って本を書きました。
藤野:この本を読んだ中にあるうっすらとした明るさは、きっと「わかりやすく、おもしろく」というところが腹にあるからなんですよね。
後藤:そうですね。その楽しさを一緒に共有してほしいなっていう感じですね。
藤野:最後のテーマです。新NISAを始めてない人は、実はまだたくさんいらっしゃると思うんですが、新NISAを始めた人、もしくは今始めたばっかりの人にぜひメッセージを。
後藤:そうですね。あんまり重たいメッセージはしないほうがいいと思うんですよ。
藤野:そうね。
後藤:始めた人に、「これを勉強したほうがいいですよ」とか「こんな覚悟を持っていたほうがいいですよ」と言う時点で、もうちょっと引いちゃうと思うので。
藤野:重すぎ(笑)。
後藤:とりあえずやってみて、あんまり重い気持ちにならずに、ライトに1年、2年経ってくると、自然とおもしろいことに気づいてくると思うんですね。投資って、「こうすれば絶対に勝てる」とか「こうすれば100パーセントおもしろい」なんてものを本に詰め込むことは無理なんですよ。
まずはこれをガイドブックとして、入り口に入る時の入門書として見ていただいて、その後は自分で見ていくということだと思うんですね。
藤野:そうだよね。
後藤:なので、気軽に10年、20年、50年かけて、楽しんでいくということなんじゃないのかなと思います。まずは気軽にまたいでみるところかなと思いますね。
藤野:水泳をやる時には、プールに入らないとダメだから。(書籍には)“準備運動”とかが書いてあるけど、まず最初は泳げなくても縁を歩こうとか、顔を水につけてみようとか、そういうことが大事だよねと。
後藤:そうですね。それで、「あ、水の中で運動するのって気持ちいいな」とか「こうやって腕を動かせば、意外と前に進むのが速くなるな」という経験をすれば、あとはもう自動回転で、その人の好きな泳ぎ方を極めていけばいいと思います。
藤野:確かに。わかりました。
後藤:藤野さんはいかがですか?
藤野:先ほども話したけれども、「小さく、ゆっくり、長く」という原則でいこうというところです。「小さく」は、手に汗をかかないぐらい。「ゆっくり」は、一気に投じない。「長く」は、これも後藤さんが話を再三再四されていたけれども、1年、2年、3年とか、長い目線で投資をするということなので。
「小さく、ゆっくり、長く」という原則を考えている限り、大きな失敗はしにくいし、その中の失敗も含めて全部糧になるので、そういうふうに考えていただきたいなと思いますね。
後藤:最近の話題だと、2024年になってからすごく株が上がって、バブルの時も超えたってなると、「もう乗り遅れちゃったんじゃないか」「今から始めるとちょっとやられちゃうんじゃ。手遅れなんじゃないか」という心配をする人も増えているように思うんです。
藤野:そうですね。
後藤:その人に対して、藤野さんは何て声をかけますか?
藤野:実は投資って、積み立てでおいしいのは下がっていくところなんですね。上がっていくところ以上に、下がっていくところをしっかり買えるかが大事です。何にしろ、ゆっくり長く投資をするという面で見れば、上がっていけば上がっていったで資産が増えるのでいいけれども、下がっていったら下がっていったで安く買えていくことになるので。
よく言われる「ドル・コスト平均法」という言葉ですが、これは投資の武器の中でもトップクラスに有効性の高いものだと思います。だから、「今がどうか」という今のことを気にするより、一刻も早く投資をして、ゆっくり一月ずつ毎月でも投資を重ねていって、5年とか10年時間が経っていけば、結果的に資産が増えていくことになると思います。
藤野:「いつがタイミングか?」というところを考えたら、なかなか(投資を)始められない。今は高いでしょと言っても、日経平均が3万9,000円で始められない人が、マーケットが下がって3万円になりましたといったら、もっと始められないと思うんですね。
後藤:これがまた逆に4万2,000円になったら、もっと始められないかもしれないですね(笑)。
藤野:そうそう。だから、いつも始められないです(笑)。「いつも始められなかったから、今、君は持ってないんでしょう?」という話だから、そういう面で見れば、タイミングを考えるよりは少しずつ小さく始めたほうがいいというのが僕の意見ですね。
後藤:今、ここで全額ぼんとやっちゃうと、やられちゃうかもしれないので。
藤野:いや、それはやめたほうがいいね。
後藤:とりあえず少額で始めてみるということですよね。
藤野:そうだよね。ということで、長いこと後藤さんの話を聞くことができました。今日は本当にお忙しいところ、ありがとうございました。
後藤:ありがとうございました。こういう対談みたいな機会が広がっているというのも、すごくいいことだと思っていて。オウンドメディア的なものもそうですし、あるいはYouTubeとかいろんなものがありますよね。こういうのって、実は投資が広がっている1つの力になっているような気もするんですね。
藤野:そうですね。
後藤:玉石混交で危うい情報発信もあるかもしれないですが。なので、こういうふうに相互にお話しできる機会やチャンスがあれば、またぜひ。
藤野:わかりました。またもし何かあったら、喜んで馳せ参じますので。
後藤:ええ、お願いいたします。ありがとうございます。
藤野:どうもありがとうございました。
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