2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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藤野英人氏(以下、藤野):レオス・キャピタルワークスのお届けする『お金のまなびば!』がスタートしました。今日のゲストは、私も大尊敬している後藤さんです。
後藤達也氏(以下、後藤):いやいや、何をおっしゃいますか(笑)。
藤野:今日はどうもありがとうございます。
後藤:どうも、よろしくお願いします。
藤野:『投資の教科書』、今、めちゃめちゃ売れているそうですが、(後藤さんは)この本を書かれています。投資の教科書というと、ポジショントークで「この商品を売りにいきたい」みたいなところが強かったり、逆に一般的な話があって「どうすればいいんだ?」というモヤモヤがあるんです。
この本は何が良いかというと、最後のほうに「じゃあ、実際に投資を始めるにはどうしたらいいか」というところも書いてあるので、読者が迷わない。これがすごいなと思いました。もちろん、それはかなり意図的に書かれたんですよね?
後藤:そうですね。今おっしゃっていただいたのは、ぜんぶありがたいお言葉です。特にプレーンというのは、場合によっては地味に見えるかもしれないですが、それで良いと思ったんですよね。
あまりエッジをきかせすぎちゃうと、「やはりこうすべきだ」ということが強く出すぎてしまう。投資っていろんなやり方があると思うので、あまり癖のないようなかたちにしたいなと思ったんですよね。
藤野:書き手の愛が伝わるんですよね。
後藤:本当ですか(笑)。
藤野:一文一文すごく愛があるから、ちゃんと伝えたいとか、経済のことについてわかってもらいたいというところが(文章から伝わってくる)。記者さん、書き手としてやはりすごい人だったんだなと思いましたね。
後藤:なるべく読みやすいようにはしたいなとは努力しましたね。今まで投資になじみのなかった人に手を取ってもらいたいな、という意識がすごくありました。例えば、もう10年、20年投資をやっていますという人は、対象外とは言わないですが、やはりこれから始める方に読んでもらいたいというところがあったので。
後藤:わりと(本が)分厚めなんですが、これまで投資をやったことがない人だと、投資の本って2、3ページ読むと止まっちゃう人がけっこういると思うんですよね。止まらずに、「気がついたら20、30ページ読んじゃった」みたいな感じになってもらえるように、話を作るように努力しましたね。
藤野:あと、単元で文章の量が短いから、難しいなと思っても見開きが4ページぐらいで収まっているので、もう1回読み返せたりします。これが1項目あって、それが10ページぐらいあると「読み返すのは嫌だな」と思ったりするんだけど、そういう面で見てもすごく構成がよくできているなと思いました。
後藤:恐れ多いです。でも、たまたまというわけじゃないですが、新NISAが始まって。日経平均も年明けからかなり強いということで、世の中の投資に対する関心がすごく高まってきていますよね。本もそうですし、他にもYouTubeとかいろいろあると思いますが、良いかたちで健全に伝えていくというのは大事な役割かなと思ってるんですよね。
藤野:後藤さんが退職されて、起業されたのっていつでしたっけ?
後藤:退職して2年ですね。会社を起こしたのは退職してしばらく経ってからですが、もう次の(2025年)4月1日で3年目に入るところです。
藤野:そうですか。おめでとうございます。
後藤:ありがとうございます。
藤野:狙えて辞めるわけじゃないと思うんだけれども、振り返ってみると良い時期に辞められたなと思いますよね。ちゃんと自分のブランディングもできて、後藤さんという人はどういう人かというのが、Xなどでも十分浸透したところで退職された。かつ、新NISAが盛り上がった時にこの本も出て。
ちょうど場が温まってきたところで、「あ、今だ!」と思っても、その人のブランドが立ってなかったりするから。そういう面で見れば、もともと有名だったけれども、「後藤さんってこういう人だよね」というのが起業してくっきり出た時にこの本も出たので、結果的にすごくよかったなと思いますね。
後藤:そうですね、結果ですね。環境が良いから辞める時を探ろうと思っていても、なかなかそんなにうまくいかないと思うので。自分自身のキャリアや年齢だったり、極めて個人的なことがものすごく決定の重要な要素になっていますが、たまたまっていう感じです。
藤野:今は投資熱がすごく高まってきて、たぶんいろんな依頼があってお忙しいと思います。この数年間の変化をかなりの熱量で感じられてると思うんですが、どうですか?
後藤:釈迦に説法になってしまいますが、私自身が感じていることでいうと、この10年はアメリカ株も日本株も上がっていたので、基本的に環境が良かったというのが一番底流にあると思います。
この2年ぐらいでいうと、やはり円安がけっこうでかいんじゃないのかなと思ってるんですよね。ただの円安じゃなくて、ものすごいインフレも伴ってきているじゃないですか。
わかりやすく言うと、ディズニーランド(の入園チケット)もiPhoneもすごく値段が上がってますし、スーパーで売っているものも、ものすごく上がっている。今までは、為替が動いたり株が動いたりしても「私は関係ないや」と思ってた人も、円安によってものすごくインフレになると、生活に直撃してすごく自分ごとになってくると思うんですよね。
「本当にこのままで大丈夫なの?」っていう、危機感という言葉を使ったらちょっと悪いかもしれないですが、そういう意識がかなり広く国民に出たところはあるんじゃないかなと思いますね。
藤野:円安によって、逆にドル高による世界株のリターンの増加もあったし、円安に引っ張られて日本株、特に輸出やハイテクが上がったところがあって。日経平均の上げを増幅したところもあるので、実は二重においしかったんじゃないかなって気がしますね。
後藤:そうですね。そういうマーケットの変化が強まっている中で、さらに新NISAというフレーズもあって、報道やSNSも含めてかなり話題になってますよね。
後藤:過去20年以上「貯蓄から投資へ」って言われてきましたけど、けっこういろんな要素が重なって、これほどいろんな条件がそろっている局面はなかなかないのかなと思ってますね。
だからこそ、そういう局面っていろんな人たちが集まってきかねないので、あまり良くないビジネスだって入ってくるかもしれないです。最悪、詐欺も入ってくるかもしれないわけですが、詐欺とかあまり良くないビジネスが入りすぎてしまうと、ひどい目に遭った人が出てきたり、こういう流れも削いでしまうかもしれないですよね。
その点でも、健全な伝え方やメディア的な役割とか、あるいは金融業界もそうですが、長期的に考えてきちんとやっていくことがすごく大事な局面なのかなと思いますね。
藤野:日経平均がバブル最高値を超えてしまったことは良いことだと思うんです。ただ、たぶんメディアでも「バブル」という言葉のほうがうけると思って、バブル議論というものがけっこうあるんですが、後藤さんは今のマーケットについてどう思ってらっしゃいますか?
後藤:つい先日、日経平均がバブルの時の高値を超えてきたということで、ニュースでも1989年、1990年の映像がいろいろ流れたりしましたよね。なので国民の中には、「あの時の状況なの?」と思ってしまう人がある程度いるかもしれないんですが、ぜんぜん違いますよね。
藤野:違いますね。
後藤:企業の稼いでいる利益もぜんぜん違いますし、これを見ている方はご存じだと思いますが、PER(株価収益率)という利益と株価の関係を比率で見てもぜんぜん過熱はしていないので。バブルの株価になったからといって、だから危ないのかということではぜんぜんないと思いますね。
藤野:38年ぐらいかけてますからね。その間ちゃんと会社の価値が上がってきているわけなので、そういうことを考えると、逆に今さらぐらいのところがあると思うんですが。
藤野:僕の先生でもある澤上(篤人)さんが『大暴落!』という本を書いていて。この番組をやる前に別の収録をしていて、その時に「藤野さんの先生が『暴落』って言ってるんですけど、大丈夫ですか?」って、私も言われたりして(笑)。
後藤:藤野さん(の著書)も『「日経平均10万円」時代が来る!』ですからね。
藤野:そうなんですよ。この本を書いてるから、「いや、どっちかが勝ってますよ」っていう話だけど。日経平均10万円という話は、今年なるって話じゃないんですよね。
後藤:「10年後」って書いてますよね。
藤野:10年後にこうなるでしょう、こういう目線があるよね、ということです。僕がバブル議論は良くないなと思うのは、「今から上がるか・下がるか」というところをすごく意識してると思うんですよね。だから、今から上がるか・下がるのかを投資の尺度にしていると、なかなか投資は成功しないと思っているんですよ。
「アクティブが良いんですか? インデックスが良いんですか?」ってよく聞かれるんです。私がいつも言ってるのは、別にどっちでも良いけれども、1つ大事なことがあって。
アクティブでもインデックスでも、とても大事なことは何かと言うと、インデックスだったらずっと積み立てで、上がってる時も下がってる時も、特に下がっている時にやめずに投資をし続けていくことがとても大事です。
アクティブもそれは同じなんだけれども、人なり会社なり、その考え方に信頼して持てるということが大事だと思っていて。アクティブだろうがインデックスだろうが、最終的に投資でとても大事なことは、いろいろあるけれども未来は開かれているということ。そこに確信がないと、なかなか投資はできないんじゃないかなと思っています。
藤野:本来伝えるべきことは何かというと、やわらかい将来に対する期待とか、やわらかな将来に対する確信みたいなものを持つことが大事なんじゃないかな、と思っていて。
日本人ってすごく人の批判をしたり、それから「あら探しをするのが教育だ」みたいなところがある。ポジティブなところを見て前向きに考えることよりも、批判的に物事をすべて見ちゃうのが習い性になっていることが多いのが、実は問題だなと思ってるんです。後藤さんはどんなふうに思ってますか?
後藤:そうですよね。やはり日本はその傾向が強いと思いますし、あらを探すといくらでも見つかりますが、そこからイノベーションってなかなか生まれないですよね。時代ってどんどん変わっていくので、失敗するかもしれないけどいろいろチャレンジしていく。そういう気概みたいなものってすごく大事です。
かつ、AIをはじめとして、世の中で変化がどんどん起こっているような時代なので、前向きにリスクを取っていくことはすごく大事だと思うんですよね。
私と藤野さんの書いている本って、各論のトピックはだいぶ違う話を書いてるんですが、根っこにある伝えたいことはすごく重なってるところが多いのかなと思っていて。
いろいろと世の中も変わってきています。それこそデフレからインフレになっていますし、賃金も上がりやすくなってますし、転職もしやすくなっている。
旧態依然でぼーっとしているよりも、もっと前を向いて楽しんで、明るくやっていく。そうすると資産形成できるだけじゃなくて、いろいろな世界も見えるし、人生も楽しくなるかもしれないですよ、というところ(が共通するメッセージ)な気はするんですよね。
後藤:2020年ぐらいまでの間はデフレの時代で、縮こまって旧態依然として、変化しないというのも1つの生き方で合理的だったかもしれないですが、だいぶそれが変わってきたと思うんですよね。
投資を始めると、経済や企業や国際情勢の動きに対するインプットもどんどん広がっていくので。そこへの良いかたちでの後押しというか、呼び水というか、中継点というか、そういう意味で投資・資産形成を位置づけると、単なるお金儲けじゃないものになっていくのかなと思ったりしますね。
藤野:そうだよね。だから、単なるお金儲けではない投資の考え方をどう広げるかというのは、たぶんお互いの大きな課題というか目標じゃないかなって思いますよね。
後藤:何が正しい伝え方なのかって、すごく難しいですけどね。釈迦に説法ですけど、例えば1冊の本を書くにあたっても、何を取り上げるか、何を削るかの判断でもあるじゃないですか。極端な話、書こうと思ったら何千ページでも書けるかもしれないわけですが、どれを選んで、どう紡ぐかって、100点満点はなかなかないですよね。これはすごく迷うところです。
特に今は本だけじゃなくて、YouTubeやXだったりいろんなプラットフォームがあるので、どれが効果的にいろんな人に響くのかというのは、難しさもありますけどおもしろいですよね。まだ日本の中でも洗練されてない世界だと思うので、楽しみながらやっていきたいなとは思います。
藤野:そうそう。その面で見ると、やはりちゃんとしたバックグラウンドのある方で、かつ書くプロでもある人が作った本というのは、すごみがあるなと思って。
後藤:ちょっと持ち上げすぎです(笑)。
藤野:いやいや(笑)。僕は書くプロじゃないので、どっちかと言うと「どういうトピックをどう伝えたいか」っていう思いもあるし、ある種それで押していくところがおもしろみでもあるんだけど、やはり後藤さんの筆致はすごく精密だなと思う。
(『投資の教科書』の)目次を見ると、どういう流れになって話がつながってるのかが非常に精密に書かれているので、それがすごいなと。
後藤:目次も一字一句自分で考えて、大変でした。
藤野:ですよね。明らかにこの目次から作品なので、すごいなと思いました。読む前に目次をざっと見るだけで、話の展開がほぼ頭の中ですっきりわかる。(自分は投資の)プロだから、どういうことが書かれているのかがぜんぶわかる。
後藤:わかる方だと、目次を見ればだいたい全容わかるかなと思いますね。
藤野:長期・分散・積立が大事だと言っているし、この10年間ぐらい金融庁がそのことを言い続けていて、これはとても良いフレーズだったと思います。
後藤:私もそう思います。
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