2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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西野亮廣氏(以下、西野):ここからベッキーの擁護に入るんですが、じゃあ、ベッキーは嘘つきかという話です。僕、プライベートのベッキーも知っているんですが、ぜんぜん嘘つかないんです。でも、グルメ番組に出たときだけ、まずいものを「おいしい」って嘘をつく。
ここから読み取れるのは、僕たち人間がつく嘘は、感情でついているわけではなくて、環境によってつかされているということです。
僕たちは基本、嘘をつきたくないんだけど、嘘をつかざるを得ない状況に追いやられたときには、嘘をついちゃう。ベッキーも嘘をつかざるをえない状況に出続けたので、嘘をついちゃった。
結論は何かというと、嘘をつきたくなければ、嘘をつかなければいけない状況に身を投じちゃいけないということです。
話をぐーっと戻すと、『えんとつ町のプペル』を作るためにはお金が必要だった。お金を集めるためには、クラウドファンディングをする必要があった。クラウドファンディングで勝つためには、信用を勝ち取る必要があった。信用を勝ち取るためには、嘘をついちゃダメだった。
嘘をついちゃダメということは、嘘をつかざるを得ない状況に身を投じちゃダメだった。嘘をつかざるを得ない状況はなにか。グルメ番組だ。つまり、『えんとつ町のプペル』を作ろうと思ったら、グルメ番組に出ちゃダメだということです。
ここはバカみたいな話ですが、地続きで、ここからデザインしていかないと、何千万、何億というお金は発生しないということです。
ほとんどの人は、ここしか見ないんです。(ロンブーの田村)淳さんも、ここしか見なかったんです。こっち(嘘をつかざるを得ない状況)でCMとか出ちゃうんです。
例えば、最近だったらコインチェックがあったじゃないですか。あの件で、出川さんがCM出ちゃったからとばっちりでクレームが来たみたいになったんですが、ぜんぜんとばっちりでもなんでもなくて、単純に出川さんの事務所がアホだと思うんです。あれは時代に合ってないんです。
つまり、お金をもらって、使ってもいないサービスを紹介しちゃった。それで被害が発生しちゃったら、当然、責任は紹介した人にも伴っちゃう。ああいうのがもう、時代遅れだからもうやめたほうがいい。
それで、ベッキーとか出川さんとかがクラウドファンディングしても、当然お金は集まらない。だから、革命とか最新の働き方とか言ってるくせに、ジジクサイこと言いますが、嘘つかないほうがいいよって話です。嘘をついたら、ちゃんと損をする時代になってきた。
ここからクラウドファンディングのもっともっと本質に入っていくんですが、そんな感じでクラウドファンディングで5,600万円集まった。
確かそのとき、日本最高額だったんです。フジテレビのバイキングという番組で紹介されて、バイキングのコメンテーターが、「西野さんは本当に5,600万円も絵本の制作に使ってんの?」「懐に入れてんじゃないの?」っておっしゃった。でもそれって、クラウドファンディングのことをぜんぜん勉強されていないんです。
クラウドファンディングにはいろいろ種類があって、2つだけ説明すると、1つは寄附型、1つは購入型です。寄附型クラウドファンディングは、3,000円あげます、使ってくださいといういわゆる寄附です。僕や小谷やほとんどの人がやっているクラウドファンディングは、購入型です。
購入型クラウドファンディングは、「3,000円支援してくださったら、お礼にこれをお返しします」という明確な見返りがある。『えんとつ町のプペル』の場合だったら、3,000円支援してくださったら、絵本の完成品にサインを入れてお送りするというリターンがあったんです。
すると、絵本の原価が2,000円弱で、お送りするためにレターパックに入れると、350円です。サイトの手数料、スタッフさんのお給料、倉庫代。いろいろ考えたら、3,000円支援してもらっても、実際に使えるお金は300円とか400円。
もっと言うと、リターンってA、B、C、D、いろいろ用意できるんですが、3,000円支援してもらっても、4,000円分のリターンを返す場合がある。すると、そのリターンが売れれば売れるほど、こっちが1,000円ずつ出ていく。
つまり、購入型のクラウドファンディングで5,600万円集まったからと言って、5,600万円使えるというわけでは決してない。
5,600万円集まっても、リターンで5,500万円かけていたら使えるお金は100万円だし、リターンで6,000万円かけていたら、こっちが400万円払うという状況です。つまり、購入型のクラウドファンディングにおいて、集まったお金は何の価値もない。
100億円集まっても10円しか使えないのがクラウドファンディングです。事実、『えんとつ町のプペル』は5,600万円集まったんですが、リターンで5,800万円使ったんです。つまり、クラウドファンディングをやることによって、200万円減ってる。
じゃあ、「なんでクラウドファンディングをやるの?」っていう話になってくる。僕が欲しかったのは、お金じゃないんです。
なんで200万円払ってでもクラウドファンディングをやったかというと、欲しかったのはお金じゃなくて支援者数です。僕の場合だったら1万人。これが欲しかった。
例えば、僕とお姉さんが2人で本を一生懸命作ったとする。この本、最低でも2冊売れると思うんですよ。なぜならば、僕たちが1冊ずつ買うから。2人で作ったら2冊売れるのであれば、10万人で作っちゃえば10万部売れるんじゃないかということです。
つまり、僕たちは今までお客さんを増やそう、増やそうとしていたんだけど、もうそんなことをする必要はなくて、作り手さえ増やしてしまえば、作り手はそのまま消費者になっていくということです。
『えんとつ町のプペル』は、作り手を増やすためにクラウドファンディングをやったんです。1万人で作ることに意味があった。1万人で作ったので『えんとつ町のプペル』は予約の段階で1万部は売れていたということです。
5,000部、1万部でヒットと言われる絵本市場において、予約段階で1万部が売れていたというのは、発売前からヒットが決まっていたということ。それが『えんとつ町のプペル』です。
これまでだと、同じ1万人に、僕と吉本と幻冬舎の、せいぜい14~15人で「買ってください、買ってください」って宣伝していた。
ところが、今度はこの1万人が、友達とか、恋人とか、学校の先生とか、塾の先生とかに「ちょっと見てよ、私たちが作ったやつ、僕たちが作ったやつ」って宣伝しまくった。それで、一気に35万部までいったということです。
つまりお客さんを作るんじゃなくて、作品の作り手を増やすことが、一番広告効果がある。『えんとつ町のプペル』はそこを徹底していて、5年前、一番最初に僕がスタッフ集めたときに、まず、もうお客さんに絵本を売るのをやめようという話をした。
とにかく、お客さんに売るのをやめる。世界中の人たちを作り手にしようと。どうやったら『えんとつ町のプペル』の作り手を増やすことができるかなっていろいろ考えて、その案の1つが、クラウドファンディングだった。
他にもいろいろやっていて、これって結局ディズニーの倒し方の話になってくるんですが、ディズニーの弱点は何なのかって考えたんです。彼らはやっぱり弱点がなくて、無敵艦隊で見事なんだけど、1つ圧倒的な弱点がある。それは何かというと、著作権です。
ディズニーって、著作権に超うるさいんです。例えばみなさんがミッキーのTシャツを勝手に作ったらめちゃくちゃ怒られて、めっちゃお金持っていかれる。ウォルト・ディズニーが、昔、著作権のことで痛い目にあったからか、すごいナーバスになっているのかわからないですが、とにかく著作権にうるさい。
すると、彼らが背負ってる運命は何かというと、ディズニー作品はディズニーの社員しか作ることができない。つまり、ディズニーの社員しか宣伝しない。彼らは自分たちで作った作品を、自分たちで一生、宣伝し続けなければならないという運命を背負っている。
要は、映画を作ったら、自分たちで「来てください」とか、ディズニーランド作ったら「ディズニーランド来てください」って、自分たちで宣伝しなければいけないという運命を背負っている。著作権に超うるさいから。
彼らの弱点はそこだな、と思ったので、『えんとつ町のプペル』は、もう、キャラクターも背景も全部フリー素材にしてしまった。
要は、地球上に70億人いるんだったら、70億人でつくっちゃえばいいじゃん、という発想が『えんとつ町のプペル』です。だからとにかく作り手を増やそうということで、著作権はフリーなんです。
そうした時点で、ディズニーと、広告力で勝負がつくなと思った。ディズニーの社員が何人いるかわからないですけど、たぶん70億人はいないから、最終的に広告力で勝つと思ったので、いち早く、著作権をフリーにして、『えんとつ町のプペル』をとにかく多くの人で作ろうとした。
こうやって完全に著作権をフリーにしたので、今『えんとつ町のプペル』Tシャツとか、『えんとつ町のプペル』のマグカップとか、勝手に売られてるんです。
去年、Twitterのタイムラインで流れてきてびっくりしたんですが、『えんとつ町のプぺル列車』というのが滋賀県で走ってました。事後報告なんです。走ってるんですよ、実際こうやって。びっくりした。
でも、別にそれ、いいですよね。鉄道会社に話を持ち込んでいって、「これ走らせたいんですけど」って『えんとつ町のプペル』を走らせた人がいる。たぶん、その人は、話を持ち込むときに、小脇に『えんとつ町のプペル』の絵本を抱えてるはずなんです。それをやりたいんです。
要は、『えんとつ町のプペル』の列車を走らせた人は『えんとつ町のプペル』を買ってる。こうやって、作り手を増やす。今も、僕の耳に入ってきたんですが、アダルトビデオで『ちんとつ町のアナル』という企画が立ち上がってるんです。
(会場笑)
立ち上がってるって、企画がですよ。でも、それも別にいいですよね。プロデューサーか誰かが『ちんとつ町のアナル』の企画を監督に提出するときに、絶対に『えんとつ町のプペル』もあるから。
そういうもの、全部OKです。作り手さえ増やしてしまえば、お客さんが増える。なにかサービスを作るときとか、店を作るときとかは、自分たちで作ってしまうんじゃなくて、いかに人を巻き込むか。
とくに今は、お客さんが情報を発信できるようになっちゃってるから。しかもお客さんはドヤりたいんです。インスタとかで、Tiwtterとか、SNSで、私こんなもの知ってます、って言いたいんです。いいね! が欲しいから。
彼らのいいね!が欲しい、ドヤりたいっていう気持ちは絶対に無視しちゃダメで、ドヤらせてあげたほうがいい。つまり、自分たちで権力をやるんじゃなくて、プレイヤーに回らせてあげたほうが、彼らは喜ぶ。
だから情報解禁とかのシステムは本当に最悪で、あれは完全に作り手とお客さんを分けているので、もう合わないです。今はとにかく、全員クリエイターで全員オーディエンス。つまり、バーベキューみたいな感じ。自分たちが食べる肉を、自分たちが焼くというほうが、今の時代に合っている。
レストランみたいなやり方、作ったものをどうぞ食べてくださいって時代じゃ、もうないです。とにかく、自分たちで作るサービスとかは、バーベキュー化していったほうがいいと思います。
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