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ディスカッション(全2記事)

机に座るだけでなく「足でインプット」 Retty×マネフォ×LIFULLのデザイナーたちが語った、発想の源泉

LIFULLのデザイナーによる勉強会・交流会「デザイナーの放課後」。2回目の開催となった今回はマネーフォワードとRettyのデザイナーを迎え、2018年2月6日に開催されました。デザイナーの力でサービスを育て、ユーザーを魅了し続けるには? 先に行われたLT(ライトニングトーク)で自社の事例を話したLIFULL HOME'Sとマネーフォワード、Rettyそれぞれのデザイナーたちがディスカッションしました。

アプリの施策はどのように回しているか

司会者:続いて、(アプリのデザインなどの)施策はどのように回しているのかをうかがってもよろしいでしょうか? では武蔵さんからお願いします。

小林武蔵氏(以下、小林):ふだんのアプリの施策の回し方ですね。企画のタネみたいなところは、例えばレビューコメントからも「こういう機能がほしい」だったり「ここ使いにくい」だったり、「ここは競合にあるのにない」みたいなものがユーザー要望として上がってくるので、そういうのはまずアイデアの源泉としてあります。先ほどのユーザーテストも同様です。

そういったものを、基本的にはメンバーの誰でも声をあげて施策を考えて企画を作るということはできるんですけれども、プランナーの人が得意としているので、タネをちゃんと育てて施策化していきます。

それをデザイナーとエンジニアを交えて固めていき、必要な工数、スケジュールを決めてリリースしていくというのが主な流れかなと思います。

司会者:ありがとうございます。池内さんはどんな感じでしょうか?

池内健一氏(以下、池内):そうですね。実はちゃんとした流れは決まっていなくて(笑)。大きな指標のひとつとしては継続率があるので、それらを上げるためのアイデアに対してちゃんと検証するための数値をあげて、そこから企画スタートという感じです。

そこから実際のデザインに落とすまでにはユーザーにインタビューをしたりとか、そういうことを繰り返すとか。そういう流れです。

司会者:ありがとうございます。山本さんはどんな感じでしょうか?

山本麻友美氏(以下、山本):Rettyではチームごとに数値的な目標があるので、それに対していろいろ施策を打っていくという流れが多いですね。これもマネーフォワードさんと同じで、これと決まっているかたちはあまりなくて(笑)。

例えば最近だとWebも展開しているので、スマホ版Webサイトのほうで効果が上がったとか、よい体験を生んだというような施策をアプリのほうに取り入れたりとか。逆にアプリでよい体験ができたというところがあれば、Webのほうに取り入れてもらったりとか。そういうやり方も行っていますね。

インプットを入れるにはシンプルな体験でもいい

司会者:デザイナーさんから施策が生まれることは、頻繁にあるのでしょうか?

山本:そうですね。ユーザーヒアリングから得られた結果から「ここはこうしたほうがいいんじゃないか?」とか、あとはふだんから作ったデザインを社内のメンバーに使ってもらって意見を聞くなどをよくやっていて。

そこで「実はここが使いにくくて……」とか「ここがもう少しこうなればいいんだよな~」という日々の声の吸い上げみたいなところから、「あそこはたぶん直したほうがいいんじゃないかな」という気づきから施策に盛り込んでいくこともやっていますね。

司会者:そうなんですね、ありがとうございます。池内さんさんはいかがでしょうか?

池内:細かいPDCA的な改善だと、GitHubでissue出してエンジニアさんに「お願いしまーす」と伝える、みたいなかたちでやっています。

司会者:そうなんですね(笑)。

小林:細かいUI改善とかだとマネーフォワードさんとわりと似ていて、ここを変えたいですリストをデザイナー側で作って、エンジニア側に「ここ、こうなっていたほうが良くない?」と聞いて「うん」って言ってくれたら「じゃあ、やろうぜ」で施策開始、みたいなケースもあります。

あと普段やっている施策にマージしてもらって、一緒にやったりみたいなことはわりとフレキシブルにやれている感じですかね。

司会者:ありがとうございます。サービスもそうなんですけど、いちデザイナーとして日頃のインプットってどんなことをしているのか、質問させていただいてよろしいですか? 武蔵さんからお願いします。

小林:今すごく心がけているのが、外からの刺激、インプットをいっぱい入れたい。イメージとしては、「知っていることを次は体験する」ことに取り組んでいる。

すごくシンプルなことでいいんですけど、蕎麦を打ったことがないから打ってみる。とか本当そういうレベルでいいんですけど。そういったものは知識としてはあるんですけど、経験したことがないので知恵になっていないという感覚があるんですね。

知っていることを自分で体験して、その知識を知恵にするみたいなことを、デザインも含めてなんですけどいろんなことをやっています。

机ではなく足でインプットしていく

小林:デザインのほうでフォーカスすると、本物を見に行くとか。美術館に足を運んで、世の中から評価されているものを観て自分がどう受けるか。「あぁ、そうだな」と思うのか「俺にはわからんな」なのか、ちゃんと本物に触れて自分がどう思うかみたいなものをインプットするように、今はわりとしています。

もちろんアプリデザインをやっているので、その週のおすすめになっているアプリというのは片っ端から触ってやったりはしているんですけど、そこだけの枠だとちょっと狭いかなという感覚があるので、ちょっと枠を広げながらそういったインプットもしています。

司会者:机でとかじゃないんですね。足でインプットをしていくみたいな。

小林:わりと歩きますね。美術館って土日はすごく混んじゃったりするので、わりとゆっくり観たいんですよ。なので、平日の夜とかに行こうかなと思うんですけど。

この前『怖い絵展』があったんですけど。あれはコピーからめちゃめちゃキャッチーで、それだけでとりあえず行ってみたいってなったんですけど、本当に混んでて。早めに会社を上がって行っても3時間待ちになっていて。

司会者:え~!

小林:「結局入れません」みたいなことがあったので、ちょっとあれは悔しかったですね……(笑)。

司会者:そうなんですね!ありがとうございます。池内さんはどんな感じでインプットされていますか?

池内:小林さんのあとに言いづらいんですけど、そんな高尚なインプットはしていないです(笑)。僕はちょっと引きこもりなので、本を読んだりとかブログを見たりとかそういう感じなんですけど。

あとは映画を見たりとかしているんですが、けっこう映画ってアプリみたいなサービスと同じだなと思っていて。最初のシーンでその映画の魅力を断片的に伝えて、どんどん盛り上げていくみたいな。これってけっこうアプリに近くないですか? 勝手に今思ったんですけど。

司会者:なるほど。

池内:という感じで、映画を見ています。ユーザーオンボーディングにつながる部分があるかなと思って。

司会者:確かに。コンテンツとか、エンターテインメントこそそういうユーザーを惹きつけて、見せ続けるというのがしっかりされているイメージがあるのでそうなんだなあと思いました。

池内:まさにそれです。

ユーザーの気持ちを知るために高級店に行くことも

司会者:ありがとうございます。山本さんはどんなことをされているんですか?

山本:Rettyに入ったのが去年の6月なんですけど、それまでは制作会社だったので。そのときのインプットの仕方って、広くトレンドをキャッチしておくというような情報のキャッチアップをしていたんですけど。

Rettyに入ってからアプリの体験がどうなっているのかという、幅広くじゃなくて深く理解していくというのを意識しながら、インプットを行うことが多くなりました。

具体的には気になったアプリとか今話題になっているアプリを実際に触ってみて、それが一体どういう体験になっているのかとか。そういうのを実際に触って、自分がユーザーの気持ちになってそれはどういう体験なのか、そのサービスのどういうところがユーザーに刺さっているのかをインプットするようなことをやっていますね。

というのが、アプリのインプットの話で。もう1つ、Rettyだと食に関するインプットもけっこう重要かなと思っていて。

すごくおいしいものを食べるって、一体どういう体験なのか、Rettyに入るまではなかなか1万円以上の高級なお店に行くとかという体験はほとんどなかったのですが、Rettyに入ってからは定期的に美味しいものを食べに行っています。

Rettyの社内制度として「グルメ調査費」というのがあって、平均すると毎月1万円ぐらいできちんとおいしいものや、普段行けないお店に行くことができるようになっています。

司会者:いい制度ですね(笑)。

山本:そうなんです(笑)。Rettyを使っているコアなユーザーさんってすごくグルメな人が多いので、本当にコアなユーザーさんの気持ちを知るという意味では非常に重要なインプットだと思ってますね。

司会者:みなさんの話を聞いて、感性を磨いているなぁと。理論を知ったうえで理論以上のものを作るってなったら、自分でそういう体験に行かなきゃいけなかったりとか、おいしいものを食べたりとかエンターテインメントを感じなきゃいけないんだなぁと私も感じました。今(笑)。

そろそろ時間ですね。至らない部分もございましたが、ディスカッションの時間はここまでで終了とさせていただきます。まだ質問がある方もいらっしゃると思うので、ビアバッシュのときに登壇者の方に聞いていただければなと思います。以上です、ありがとうございました。

一同:ありがとうございました。

(会場拍手)

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