LIXILはABEJA Platformをどう活用しているか

岡田:そして、このABEJA Platformの仕組みをご活用いただいているお客さまをご紹介させていただきたいと思います。株式会社LIXIL・理事、マーケティング本部デジタルテクノロジーセンター長、安井さま。どうぞ壇上へお上がりください。拍手でお迎えください。

(会場拍手)

安井卓氏(以下、安井):ご紹介ありがとうございます。株式会社LIXILの安井と申します。今回、株式会社LIXILにおいてどのようなAIを活用しているのか、お話しいたします。

まずはじめに、LIXILについてお話しいたします。LIXILは住宅設備のグローバルリーダー企業であります。ここにありますように、トイレ・サッシ・ドア・キッチン、それからエクステリアの住宅設備のほとんどを、我々製造販売しています。おそらく、みなさんが今お住いのご自宅の中のどこかには、我々の製品が使われていると考えています。

我々、2011年に5社が合併した企業で、一番古い企業は170年前、江戸時代の創業のカーテンメーカーであります。今年からブランド戦略を一新しまして、統合したLIXILと言うよりも、INAX・トステム・GROHE・American Standardという複数ブランドを持つ住宅総合メーカーとして、LIXILと覚えていただければと思います。

余談ですが私、去年の4月にLIXILに入社しましたが、それ以前はぜんぜんトイレのメーカーなどに気を配っていなかったです。それが毎回トイレに行くたびに、「このトイレはどこのメーカーだ」というのを見るようにしてるんですけど、この会場のトイレは残念ながらTOTOさんでした(笑)。

(会場笑)

カスタマーのキッチンでの動向を分析

安井:そんなLIXILという会社でも、新しいことに大きく取り組んでいます。とにかく我々が強く意識しているのはコンシューマーセントリック、それからデジタルテクノロジーを活用する。そのための1つが、AIを活用することです。

どのようなことをやっているかと言うと、例えばお客さまの使いやすい商品を開発するために、お客さまの実際のユーザー行動を観察すること。これにAIを使っています。

あるいは早く品質の良い製品をお客さまにお届けするための、生産能力の改善。それから、1日万単位のコールをいただいているコールセンターの回答スピードや品質の向上・安定化。こういったことを行っています。

その中でABEJA Platformを利用して大きな成果を上げたのが、今回お話しする行動観察の分析です。お客さまがキッチンをどのように使われているかを、映像を撮って分析しています。

これが今まで、映像をすべて紙で手で起こしていたんですけど、人手で3ヶ月かかっておりました。これを、ABEJA Platformのおかげで、ディープラーニングのモデルを作り、時間の短縮を狙いまして、3ヶ月が数時間になりました。

なぜこういうことをやろうとしたか。やはり3ヶ月かかると、そのスピードでPDCAを回すことが非常に遅くなってしまう。あるいは大量のデータを扱うことができない、精度が落ちてしまう、という問題があったんですが、これが短縮されることによって精度を上げたり、PDCAを早く回したり、そういうことができるようになっています。

もっとAIのエンジニアが必要

安井:ABEJAを利用して良かったのは協力体制を作りあげられたことで、それ以前、我々自身の手で試そうとしたときは、プラットフォームをどう運用するか、モデルをどう作っていくのか、あるいはアノテーションにすごい工数がかかる。

これをどうやって解決しようかというところで、ABEJAさんと協力しながら、我々がアウトソースをしたり、システムの構築・運用をしたり、あるいはアノテーションのBPO。そういうものを提供いただいている。逆にモデルの構築やチューニングなどは、我々とABEJAさんで共同して行っていく。そういう活動をすることができました。

今後に向けて適応領域を拡大していくことが一番重要なところなんですが、そのためにはもっとAIのエンジニアが必要だと思いました。

単純にAIを作りあげるエンジニアというわけではなく、先ほどもお話ありましたように、課題設定をしっかりできて、それに合ったプラットフォームやモデルの判断ができ、何より現場をしっかり見て、現場とコミュニケーションをとって、最後に現場に導入していくところまでしっかりと面倒を見ていくエンジニアが必要になると思います。

これからABEJA Platformを活用する企業・エンジニアが増えていけば、そういうエンジニアもきっと増えていくと思うんです。そのうちの何人かが当社で仕事をしていただけると、非常に幸せだなと思っています。

最後に、今日の3時20分からTrack Bにおいて、我々のメンバー、森と原田が「LIXILが取り組むAIを活用した行動観察」で講演させていただきます。ありがとうございました。

(会場拍手)

岡田:安井さま、ありがとうございます。

「ABEJA Insight」とは何か

岡田:実際にこのようなかたちでABEJA Platformを活用いただいている事例になっています。そして続きまして、ABEJA PlatformからABEJA Insightにご説明を移らせていただければと思います。

ABEJA Insightとは何なのか。ABEJA PlatformはPlatform as a Serviceとなりますので、実際にエンジニアの方々がこのプラットフォームを使ってオリジナルのモデル、オリジナルのデプロイ環境を作っていきます。

しかし、このABEJA Insightは、弊社で固定化されたモデルをすでに用意し、ここに対してさまざまなAPIを経由していろいろなデータを入れ込む。実際に推論、実行をすることが簡単な仕組みになっています。

ただし、簡単と申しましても、必要なデータの要件がありまして、これぐらいの解像度、これぐらいのデータ量、これぐらいの分解能が定義されている中で、そこに対してしっかりとデータを入れ込めば、モデルで学習・推論をして、その結果をAPI経由で取り出せるサービスになっています。

そして今、このABEJA Insightにつきましては、従来から提供させていただいております、小売・流通業さま向け、そして本日リリースするインフラストラクチャー企業さま向け、製造業さま向けがあります。この3つに関しましては、すべてABEJA Platform上で稼働しているイメージです。 そして、このABEJA Insightの「for Manufacture」からご説明をさせていただきます。

このABEJA Insight for Manufactureにつきましては、実際に我々で異常予測や商品の仕分けといったモデルをすでに用意していますので、そこに関して必要な振動データ、必要な画像データをご用意いただければ、弊社で学習・推論を行って、お客さまにAPIを通してご提供することが可能になっています。

インフラストラクチャー企業さま向けにつきましては、異常診断、故障予測、需要予測を既にサービスとして活用いただけるように、実際に異常診断でしたら、その異常における振動データ、故障予測に関しても、さまざまなデータ、需要予測に関しましてはこれまでの実績値をご用意いただき、APIを通して我々の仕組みに放り込めば、その結果をAPIを使って返すかたちになっています。

そして本日、ABEJA Insight for Retail。従来のABEJA Platform for Retailを、Insightというかたちでリニューアルします。こちらに関しては、従来どおり顔画像データ、さまざまなデータに対して人数カウントや年齢性別推定をしていくモデルを用意しています。現状、Retailに関しては、それを閲覧するGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)の環境も提供しています。

このようなかたちで、小売・流通業の方々がデータを簡単に分析できる環境を作ることが可能です。

「24時間パルコ」というコンセプトを掲げて

岡田:そして、このABEJA Insight for Retailを活用するお客さまをご紹介させていただければと思います。株式会社パルコ 執行役/グループICT戦略室担当、林さま。どうぞ壇上へお上がりください。拍手でお迎えください。

(一同拍手)

林直孝氏(以下、林):ありがとうございます。ご紹介いただきました、パルコの林と申します。今日はABEJAさんのイベントですので、(ABEJAの)コーポレートカラーの紺で決めてまいりました。

パルコのご紹介なんですけれども、PARCOというショッピングセンターを全国で運営しています。パルコという屋号の店舗が全国で17店舗ありまして、その他に小型の物件が「ZERO GATE」や「Pedi」で、全国25ヶ所でやっています。

我々の課題は、4年ぐらい前にリテール業界の中ではオムニチャネルという言葉が非常に出てきました。その対応をどう進めていくのかということで、我々としては実は小売業ではなくて、全国約3,000のテナントショップさんにご出店いただいている不動産とリテールのハイブリッドの業態ですから、商品そのものは我々は直接販売しないんです。

したがいまして、店頭で販売員の方々が接客をする場を、リアルの店頭ともう1つ、インターネット上に接客をするプラットフォームを両方作って、そこを24時間お客さまにご利用いただく。そういった環境を作るということに注力して、オムニチャネルは非常にわかりづらいものですから、「24時間PARCO」というコンセプトを掲げて、このプラットフォームを進化させてきたわけです。