2016年に観てよかった映画ベスト3
山田玲司氏(以下、山田):それから、ちょっと無料枠のなかでざっくりと……。そうだ、乙君、先に言ってもらいたいな。
乙君氏(以下、乙君):なにを?
山田:今年好きだった映画、よかった映画。3つだけとりあえず言って。
乙君:これ今日長くなっちゃうから、あんまりあれですけど。
山田:じゃあ詳しいことは来週やるということで。
乙君:大晦日にまたやろうかなと思いますけど。とりあえず、『アバウト・タイム』、3位。これ今年観た映画でいいんですよね? 今年公開じゃなくて。
山田:うん。
乙君:『この世界の片隅に』。そして『リスボンに誘われて』。これがもう圧倒的に1位でした。『リスボンに誘われて』はもうやばかった。
山田:これじゃあまた詳しく。断トツだったらしいですね。
乙君:やばかったです。
山田:どらは?
だろめおん氏(以下、だろめおん):僕は『(シン・)ゴジラ』と『この世界(の片隅に)』なんですけど、3位がなにかな? 3位は、わからないですけど、とりあえずプッシュしたいのは『ゴーストバスターズ』。
山田:マジで!?
乙君:おおー。忘れてた。あった、あった。
山田:あのおばさんたちのゴーストバスターズ?
だろめおん:そうです。女性嫌悪のこの社会でやったのが。やったのがということじゃないんですけど。いや、普通によかったですよ。
山田:ああ、本当。
だろめおん:例えば『デッドプール』ってあったじゃないですか。いろんな映画ネタをセリフで言ってたり、パロディしたりしてたけど、それよりももっと濃厚ないろんな映画パロディやってるし。
山田:あ、そうなんだ。
だろめおん:『デッドプール』以上にやってるし、キャラはすごい立ってるし。あと、基本的に全員おばさんなんですけど、すごいかわいいので。
山田:へー、そうなんだ。じゃあちょっと見てみたいよね。見てなかったな。
だろめおん:ただ、女性の下ネタが嫌いという人いる?
山田:ここにいらっしゃいますよ。
久世孝臣氏(以下、久世):僕、でもその質によるけどね。あんまりあけすけなやつは疲れちゃう。
だろめおん:そこはちょっと、人によってどうかなとは思うんだけど。
山田玲司氏の1位は『この世界の片隅に』
山田:久世さんは? ベスト3。
久世:今年のベスト3ですか?
山田:はい。
久世:3位が『ハッシュパピー~バスタブ島の少女~』という2012年の映画。
山田:これ絶対、じゃあ来週詳しくやりましょう。
久世:詳しくやりましょう。これめちゃくちゃおもしろかった。2位は玲司さんにおすすめされて観た『神様メール』。『神様メール』はすごかった。
山田:『神様メール』、いいよね。
久世:最高だった。1位は同じで恐縮なんですけど、『この世界の片隅に』で。
山田:そうですね。しみちゃんは?
しみちゃん氏(以下、しみちゃん):僕は『この世界の片隅に』と『シン・ゴジラ』と『溺れるナイフ』ですかね。
山田:『溺れるナイフ』きましたか!
しみちゃん:ありがとうございます。
乙君:お前もうなんやねん(笑)。
(一同笑)
山田:『この世界の片隅に』はしょうがないな。
乙君:あ、きました?
山田:きましたよ。で、『神様メール』ですよ。で、これは申し訳ないけど、観たことなかったリンクレイター作品。リンクレイターのデビュー作『バッド・チューニング』。
乙君:へ~。
山田:やっぱりよかったので。これは……『エブリバディ・ウォンツ・サム!!』もすばらしかったけど、こっちの混沌さがやっぱりよかったなという。
乙君:ちょっと不服だな。それ。
山田:なんすか?
乙君:いや、あんだけ言ってた『COP CAR』が入ってない。
(一同笑)
山田:『COP CAR』だけは本当にベスト脚本賞じゃない?
乙君:ベスト……あ、部門別?(笑)。
だろめおん:僕、観てないですけど、単純に『COP CAR』は流行語大賞にどれだけがんばるんだろうかと。それが気になって気になって。
(一同笑)
乙君:確かに(笑)。どこまでいくか、後半をお楽しみに。
地上波が土佐藩化している
山田:そうですね。あとなんといっても、今年はやっぱりマーヤだったと思うんだよね。
乙君:それはそうですよ!
山田:マーヤの話はこのあとするとは思うけど、マーヤもやっぱり『この世界の片隅に』の住人だったよなって。
久世:うわー。
だろめおん:確かに。
山田:あの人こそまさに音楽業界のなかの偉大なる片隅の人だよなと思って。
乙君:そうですね。うん。
山田:いろいろ俺、すずさん探してたんだよね。
乙君:すずさん探してましたか。見つかりましたか?
山田:「すずさんいないかな?」と思ったら、いたよ、すずさん。これもちらっと公式で言ったけど、やっぱりマツコ・デラックスでしょ。あの人こそ、この世界の片隅の住民だったわけじゃん。それが入れ替わって、地上波を殺したなと思ってるんだよね。俺。
だから、地上波にとどめを刺されたのがこの2、3年だと思うのはなんでかというと、この世界の片隅の住人が、あの大資本の吉本とか、かつてのとんねるずとか、そういったものを駆逐してしまっているというかさ。
『いいとも!』が終わってからもう終わりは見えてたんだけど、いよいよお笑いブーム死んだんじゃねえかなというか。ほんの一部の人が「M-1(グランプリ)」の話してたなと思って。
でも、「M-1の話するんだ」って思って見てたところもあって。「え、M-1ってまだあったんだ」というか。これってレコ大の話とちょっと似てて。こっちの村からあっちの村、どっちも辺境化しちゃった感じがあって。そうすると……やっぱり帝国軍だったんだよ。地上波って。「帝国軍滅んじゃったよな」と思って。
乙君:はいはい。
山田:それで今度、帝国の残党がネットに入ったのがAbemaTVじゃん。AbemaTVが地上波っぽいことをネットでやろうと思ってがんばってるんだよ。その現場にいくと、やっぱり「おもしろいってなんだっけ?」というのがわかんなくなってる感じがするんだよ。彼ら。
地上波全体が本当にエッジの立った部分と、それから下のエッジと上のエッジを両方切ってミドルにしちゃったせいで、無難なものになりすぎちゃってて、「誰も見ねえよ」というさ。
だから、見てる人というのはおじいちゃんおばあちゃんになっちゃって。だから、「なんだこれ? え、誰が見るの?」みたいなのが普通に流されていて、時が止まってるんだよね。これ、見てて思ったんだけどさ、これなにかと似てるなと思ったんだけど。
乙君:なにと似てるんですか?
山田:地上波っていうのはね、土佐藩じゃん?(笑)。
乙君:は?
山田:いやだから、龍馬みたいな、半平太とか、偉大な後の才能のある人間がいられない場所になっちゃたわけじゃん。土佐藩って。
乙君:なるほどね。龍馬がもう出ていくしかなかった。
山田:そう。龍馬の人材の活用できないくらいになってたのが、当時の土佐藩なわけじゃん。
乙君:そういうことね。
山田:そう。だから、全地上波がもう土佐藩化してて、もうとっくの昔に龍馬は脱藩してるぜよということじゃないかと。
だろめおん:日本を洗濯するぜよ!
山田:きたー!
久世:似てへんよ。
(一同笑)
ネットの“真ん中”を探している時代
山田:洗濯するぜよ(笑)。
久世:すごいな、お前。
山田:なんかそれは今年だなっていう感じがするなと思って。だよね。
乙君:なるほどね。
だろめおん:そうですよね。Amazon Primeでも松本人志が番組を始めましたしね。『松本人志のドキュメンタル』って。
山田:マジで?
乙君:あ、話題だね。
山田:そうなんだ。
だろめおん:たぶん今年一番笑ったのってあれかなって、僕。
山田:その番組だったの?
だろめおん:はい。
山田:へ~、そうなんだ。
だろめおん:今日かな、最終回配信が。いやー、あれは地上波ではできないですよ。
山田:マジで? 龍馬出ちゃったね。
だろめおん:そうです(笑)。
山田:龍馬が脱藩したぜよ。いろんな龍馬が。
久世:(笑)。
乙君:でも、松本人志、もうてっぺん取って、さらに脱藩するってすごいな。
山田:だから、次の世代で中心となるべきあろう奴らがもう地上波目指してないんじゃないの。やりたいことやれないからでしょ。言いたいことも言えないし。
だから、ネットに流れたんだけど、ネットっていってもそれぞれが辺境化しすぎてて、どこを見たらいいかわからないというところに、真ん中を探してる時代なんだと思うんだよね。
だから、もう本当にエッジが立ちすぎた人たちばかり。「じゃあ、真ん中なに?」というところで、AbemaTVとか探してるんだと思うんだけど。この番組ですよ。一番近いのは。
乙君:え、そうなんですか。
山田:だって、こんなオタクだらけのネット業界のなかで、まったく関係ないから。俺たち(笑)。まったくオタクのことわからないから。アニメとかぜんぜん知らないよ。
(一同笑)
乙君:いや、でも、だいぶオタクですけどね。スター・ウォーズに関して(笑)。
山田:スター・ウォーズは一般常識でしょ、だってあれ、俺の世代だったらそう。
乙君:すいません(笑)
ここは「玲司村塾」
山田:つーか、エヴァ観てなかったんだよ。俺。
乙君:まあ確かにね。そういう意味ではね。
山田:エヴァとかラピュタ観てない人がやってる番組でしょ。これ、ネットじゃ珍しいと思うんだよね。
だろめおん:うん。
山田:まあ、そんなことはどうでもいいんですけど。
乙君:(コメントにて)「ここで我田引水はすごい」。
(一同笑)
山田:引いちゃうよ、引いちゃうよー(笑)。
久世:引いちゃって、引いちゃって(笑)。
山田:引いちゃって、引いちゃってー。流れに乗っちゃってー(笑)。いいんだよ。
乙君:(コメントにて)「一番すずさんなのは、レイジさんじゃん」って。
山田:ああ、俺ずっとすずさんだからね。じゃけえね。困ったねえ。
久世:玲司さんが吉田松陰みたいな立ち位置で、みんながこうやっていくってことでしょ?
山田:あ、そうなの(笑)。
乙君:あ、じゃあ、俺、高杉晋作がいい!
(一同笑)
山田:それ持ってっちゃう?(笑)。
乙君:あ、もう死んでなきゃいけないんだ。俺。
山田:うるさいよ(笑)。
久世:そういう塾ってことだよね。ここがね。
乙君:ああ、なるほどね。ここ、松下……玲司村塾だ。
久世:玲司村塾(笑)。
(一同笑)
山田:ここから世界を変えるの?(笑)。おもしろきなき世をな、おもしろくしたるがな。