コンテンツのソムリエはきっかけを与える

乙君氏(以下、乙君):まず映画もアニメも、小説もそうなんだけど、名作がありすぎる問題なんですよ。

山田玲司氏(以下、山田):そうそう。

乙君:自分がどういうのを見たいかというのもわからないうちに、もうありすぎて逆に見たくないというか。『スター・ウォーズ』とかも全部見るのめんどくせえなとかもあるし。

山田:『ロード・オブ・ザ・リング』とかさ。

乙君:あと、「ヒッチコック見ろ」だの、「コッポラ見ろ」だの、「黒澤見ろ」だの、いっぱいあるじゃないですか。

山田:それもう1個前になると、トリュフォー問題出てくんじゃん。

乙君:あ、フランソワ・トリュフォー。

山田:「フランソワ・トリュフォーとかヌーヴェルヴァーグを見とけ」みたいなのあるんだけど、もうだんだんクラーっとしてくるじゃん。

乙君:そうそう。

山田:で、「タルコフスキー見たか?」みたいな。(いびき)「ンガー」みたいな(笑)。

乙君:なるなる(笑)。タルコフスキーは、出た時点で、俺も「ンガー」みたいになる。

山田:「起きろ、起きろ!」。

久世孝臣氏(以下、久世):美しいよ。

山田:美しいね。美しいのはわかるんだけど、眠い、みたいな感じ。

山田:(コメントにて「ゴダール」)ゴダール、ゴダール。そうそう。(「フェリーニもね」)フェリーニもそうです。

乙君:いや、それも絶対いいに決まってるんですよ。だけど、やっぱり(作品が)ありすぎるんだよね。お笑いもそうだし、漫画もそうだし。映画だけだったら別にいけるけど。ねえ、『ケンガンアシュラ』読んで、『Bバージン』読んで、それでもう1年終わっちゃうので。

山田:「見たいときに見ればいい」っていうコメントあったけど、まったくそのとおりなんだけど、そのきっかけは誰が与えるのかって話なの。

乙君:そう。見たいときに見ればいいんだけど、そのときに見たいときに見るときに、「少しでもおもしろいのがいいじゃない?」という話になってくる。贅沢だけど。

山田:そう。そのときにソムリエが「1964年ものでございます」ってやって。

乙君:そうそう、そうなんですよ。

久世:ちょっとテイスティングさせてもらっていいですか?(笑)。

山田:「ああ、どうぞどうぞ。回して、回して」みたいな(笑)。

乙君:歯茎で味わうんですか?

山田:うるさいよ。お前ら『神の雫』読んでるな(笑)。

(一同笑)

山田:そういう流れきてるなみたいな。で、それで思いました。

乙君:はい。

映画史について解説する回を

山田:俺、過去のコンテンツがあまりにも膨大すぎて、大学時代に勉強し直した時期があるわけよ。それで、エイゼンシュテインだっけ、なんだっけ? 映画がはじめてできて、それで『メトロポリス』とかあのあたりからカットとかが変わるようになったとか、パンできるようになったとか、いろいろあってさ。

「ここでこれが変わった」みたいなさ。ハリウッド黄金時代があり、ゴダールが現れ、ヌーヴェルヴァーグとニューシネマが現れ、みたいな。そのあとにスピルバーグが現れてまた変化するみたいな、こういう一連の流れがあるわけだよ。

(乙君に)あんたは、殷、周、戦国、明みたいな、そういうの得意だけど。

乙君:飛ぶね、明まで。漢どこいったの?

(一同笑)

乙君:漢、宋、梁……。

山田:そういうクロニクルが映画にもあるわけだよ。そこを一応ざっくりとでも知っておいたほうがアーカイブしやすいというのがあってさ。ものすごく詳しい人はいいんだよ。町山さんのやつとか見ればいいんだよ。だけど、「ついていけないっす」「もうさすがに本多猪四郎の話を2時間も見れません」みたいな人いるからさ。だから、それだったら俺がざっくりと誰でもわかるように流れだけでも、という回をやりましょう。来年(2017年)。

乙君:あ、やりますか。

山田:やりましょう。映画。

久世:それはいいと思う。

山田:ざっくり映画クロニクルみたいな。よくない?

乙君:けっこう今まで時代とか、その人のあれとかはありましたけど

山田:ついつい「これヌーヴェルヴァーグだからさ」みたいのを言っちゃうじゃん?

乙君:言っちゃう。わかんない。

山田:「ヌーヴェルヴァーグってなんじゃい?」って話。

久世:わかんないの?

乙君:わかんない。「なんじゃい?」と。

山田:知らないでしょ。ヌーヴェルヴァーグをね。じゃあ、ヌーヴェルヴァーグっていつの時代に始まって、誰が起こしてどういう影響を与えたのか、どんな作品だったのかっていうのを、ざっくりでいいから解説するという回をやろうかなと思ったのが。

乙君:(コメントにて)「めっちゃ見たい」って。

山田:本当に? ちょっとそういう……。

乙君:(コメントにて)「つまり、今までどおりだぁあ!」って。

山田:マジか(笑)。

乙君:対象が変わるだけだよね(笑)。

久世:どこからいくんですか。無声映画のところからいくんですか?

山田:いや、ざっくり何回かやって。それで、「今回はここはここを中心に……」みたいなのをやろうかなと。手伝って。

久世:やりましょう。

山田:よし、やろうぜ。

久世:リュミエール兄弟からやりましょう。

山田:リュミエールから?

久世:そうそう(笑)。

山田:やるか。

乙君:ディアゴスティーニか。

山田:一種のね。

乙君:わかりました。それを来年みなさん楽しみにしてください。