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第1限 世の中のすべてがわかる「フレームワーク」と「メソッド」先生:青野慶久さん(全3記事)

サイボウズ青野社長「チームワークは学校では教えてくれない」

2015年8月10日に開催された、「高校生のための夏の1日授業 OUR VISION CAMPUS〜ハタチまでに学びたい未来のつくり方」。第1限目の先生は、サイボウズ株式会社の青野慶久氏が担当します。青野氏は、『世の中のすべてがわかる「フレームワーク」と「メソッド」』をテーマに、参加した高校生に授業を展開しました。本パートでは、「育児休暇を取る上場企業の社長」として知られる青野氏の自己紹介とサイボウズ株式会社の紹介、学校では教わらない「チームワークの大切さ」について語りました。

サイボウズ青野社長が贈る、高校生のための夏の1日授業

青野慶久氏(以下、青野):みなさん、おはようございます。サイボウズの青野といいます。第1限ということになります。今日はわざわざお越しいただきましてありがとうございます。

よく申し込んでくれたよね。何で知ったのですか? Webか何かで検索したら知ったの?調べてたの? 

お父さんから紹介を受けたという人はいますか? あー、お母さんからこれはおもしろそうだから受けておけ」と。どう? いやいや来た感じ? 何か1日楽しくできればと思います。

僕がやるのは1時限目なんで、あまり飛ばしすぎないようにね。この後、結構濃いのがあるので。僕のやつは楽に聞いてもらったらと思っております。

僕が話すのは仰々しいタイトルがついてるんですけど、「このフレームワークみたいなものを使って世の中を見るようにしてみたらどうでしょう」みたいな授業をしてみます。

まずは、これが私の自己紹介になります。青野慶久と言いまして、愛媛県出身の44歳になります。元々、エンジニア出身なんですけど。私がよく、こういうメディアに取り上げられるのは一番下のやつですね。

子供が3人いるんですけど、子供が生まれるたびに、育児休暇を取る上場企業の社長さん。上場企業の社長しているのに、子供が産まれる度に会社に来なくなる。しかも今3人目の子供が半年前に産まれましたので、私は仕事を16時までしかしていないのです。

16時になったら「失礼します」と言って帰ってしまう。そういう社長をやってます。

これは僕の子どもたち。5歳、3歳、0歳となって、写真で撮ると可愛いのですけど、日々の家の中はカオスです。どっちかが泣いて誰かが吐いて、こけて鼻血出しながらそんな毎日を送っております。

サイボウズは何をしている会社?

これが会社の概要になります。今、皆さんが来ていただいているサイボウズという会社になりますが、この会社はグループウェアというソフトをつくっている会社で、今日本と海外とあわせて9拠点ぐらいあって500人ぐらいの会社になっています。

97年に始めたときは3人だけだったのですけど、随分大きくなって、今は500人以上の会社になっております。

グループウェアというソフトは何をするソフトかといいますと、情報を共有するソフトです。みんなもLINE使ったり、Facebook使ったりとかしてるんじゃないかと思うんですけど、あれを会社の中でやるとみんな楽しく働けるよね。

というものになります。会社員でみんなで働いてると、共有したい情報は山のようにあります。「じゃあ、誰がどこのお客さんに営業しているのか」とかですね。

誰がどんなものをどこまでつくっているのか、ありとあらゆる情報をみんなで共有しようということで、チームワークを高める。これが我々のソフトです。

随分長くやってますので、国内6万社ぐらいで使っていただいております。

学校では教えてくれないチームワークの話

僕たちの会社がやりたいビジョン。スローガンはこれになります。

「チームあるところにサイボウズあり」

世の中にはたくさんのチームがあるよね。会社も大きなのから小さいのがいろいろありますし、サービス業や小売業もあれば、製造業もあればいろんな会社がある。

会社以外にもいろいろなチームがあります。家族というのもチームかも知れない。学校でみんながやっているサークルもチームかもしれないし、チームあるところ、すべてサイボウズのソフトを使ってもらってチームワークを高めていこうと。

これが僕らのスローガンになります。ということで、何が言いたいかというとですね。チームワークというのは僕たちの会社にとってキーワードなのです。

ところが、チームワークというのは学校で教えてくれないんですね。習いましたか? あまり習わないよね。

僕も高校時代を振り返ると、あまりチームワークの経験も積めないのですよ。例えば、テストを受けるじゃないですか。「俺は数学が得意だから数学をやるけれども、お前は国語をやって」みたいな。やらないでしょ?

でもね、これ会社だと当たり前なのだよ。自分で苦手なやつなんかはこだわる必要ないんですよ。そんなの得意な人に任せてね。自分が得意なところに集中したほうがいいんだけど。

学校に行っちゃうと、みんな全部自分でやらないといけない気になってくる。全部自分がやらないといけない。人のやつを手伝っては駄目だみたいな。こんなふうにテストはなってるわけです。

それを小学校に上がったあたりからずーっとやってきて、大学になっても手伝っては駄目で、社会人になったときにいきなり、「なんでそもそも苦手なことをわざわざやってるの?」「得意なことをもっとやれよ」と。

なので、もっと高校生のときからチームワークを学んでおくべきだと僕は思っています。

チームの条件とは何か

「どうやったらもっと人と人とは協力し合えるんだろうか?」「どうやればもっと一緒にチームワークができるのであろうか?」ということを今日はちょっと学んでいきたいと思います。

ただですね、チームワークを語る前にチームについて考えて欲しいのです。世の中にはチームというのがたくさんあるそうです。ところが、チームって何ですか? 何の条件が揃うとチームになるのですか? これはチームですか? チームとはちょっと違うかもわからない。

学校のクラスは? 学校で入っているクラスは? じゃあ家族は? どこまでがチーム? おじいちゃんはチーム? 一緒に住んでいればチームな感じがする? 

じゃあ1階のコーヒー屋さんに行ったときに一緒のテーブルに座っていた人たちはチーム? これはチームじゃない気がするね。チームって、何か条件があるわけです。これは何だと思います? 思いつくまま言ってみよう。まず何か。

参加者:同じ目標。

青野:いきなり核心きました。同じ目標。これあれよねもうちょっと綺麗に書いたほうがいいよね。テレビ映り的な。同じ目標。他にあります? お! いってみよう。

参加者:信頼関係がいる。

青野:信頼関係がいる。難しい言葉がきました。信頼関係。あんまりいきなり会った人は信頼関係ないからね。あまりチームな感じがしない。他にある? 

参加者:相手のことを知っている。

青野:なるほど。相手のことを知っている。そうだよね。あんまり知らない人と一緒にされてチームと言われても困るよね。相手を知っている。

いい言葉が出ました。もう1個ぐらい行こうか。今日何分までに終わればいいのでしたっけ? 9時半。もう1個。出ない? どう。これがあったらチームな感じがする。いいとこ来ました。これは真面目に考えてくれた大人の人がいて、紹介いたします。でも答えはありません。

チームを定義する4つの条件

答えはないんですけれども、九州大学に山口先生という方がいらっしゃいまして、2008年……結構最近ですね。『チームワークの心理学』という本でチームの条件の定義をこのようにしてくれました。

1個目。「共通のビジョン」。きました。同じ目標。ここに向かうぞ、ということですよね。これはあるだけではだめですよね。こっちに行くぞというのはあるだけではだめで、そう思っていないといけないよね。

例えば、野球チームをつくりました。甲子園に行くぞというふうに決めたんだけれども、「えー!」ってみんな言っている。なんかチーム感がなくなった。みんなが「甲子園に行くぞ!」と言っている。これはチームのような感じがする。

2つ目の条件。「メンバーの境界がある」。どういうことかというと、さっき言ったみたいにどこまでがチームなんでしょうかと。同じ家に住んでいればチームっぽいなと。境界がある。

なのでこの人がチームのメンバーであるかどうかわからない状態だと、あまりチームっぽくないわけです。

ソーシャルネットワークでばーっと広がっていると。僕の友達がどこまでいるのかわからない。そうするとチーム感がない。ここまでがチームですと。「私はチームのメンバーです」とそう言える状態。

そして3つ目の条件。「役割分担が存在する」。役割分担というのは目標に向かって、やるぞと言ったときに、俺はピッチャーをする。君はキャッチャーをして。俺はマネージャーをすると。僕は監督をする。

これが役割分担ですよね。みんなが同じようなことをやっているとチームな感じがしない。それぞれ個性を生かして役割分担をする。

最後4つ目。「相互に依存関係がある」。それぞれ連携しているということです。例えば、マネージャーの人が試合を組んでくれました。

それでみんなでやると。それで監督が作戦を考えてくれました。それをみんなでやる。依存していますね。依存している関係がある。このあたりがチームの条件ではないかということをまとめております。

何となく。ふーんという感じ。これが実は大事になります。なぜかというと、逆に言うと「なんかうちのチームうまくいってないね」みたいなときは、多分どこか条件が落ちているのです。どうですか? みんなのチームうまくいっていますか。どんなチームに所属していますか?

参加者:ダイビング。

青野:ダイビング。ダイビングのチームに所属しているの? どう、そろっている感じ? あまりそろっていない。どの辺がそろっていないの? 別れちゃっている。ここかな。

上の人はこんなビジョンを持っているのだけれども、下のメンバーはこんなビジョンを持っている。それが1個のビジョンにならないと、1個のチームに一体感が出ないチームになってしまいますよね。本当によくあります。

特に大事なのが1番なのです。会社なんていうのは人が増えてくると、共通のビジョンが薄れてきてしまいます。なんか儲けようみたいな。みんなそれやりたいと思ってるのかと。

ずっとビジョンのまま残っていると、一体感のないチームになる。基本条件を知っておくというのは、チームワークをするのにとても大事なことです。

それで「チーム」が「ワーク」をしていくチームワークというわけですけれども、例えば今の定義を基にすると、こういうふうに書けます。チームワークというものはチームのメンバー。

チームのメンバーが共通のビジョンに向かってそれで役割分担をする。お前これやってくれ。俺はこれやる。お互い相互に連携をする。それでワークする。これをチームワークというのですよ、こういうふうに定義ができると思います。

ぜひ皆さんが所属するチーム、これからもたくさんのチームに所属すると思います。チームワークが悪いなと思ったらぜひ見直しをしてください。あまり学校では教えてくれないけれども、とても大事なことです。世の中うまくいっていないチームがたくさんあります。ぜひ思い出してください。

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