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新R25編集長の突き抜けた企画力を学べ〜新R25編集長・渡辺将基氏×女性起業家サロン主催・経沢香保子氏対談〜(全2記事)

新R25の本音に切り込むインタビュー術 取材相手が素顔を見せたくなる理由

2018年6月13日、株式会社キッズラインにて、女性起業家サロンの特別対談が開催されました。今回は、Webメディア「新R25」編集長の渡辺氏を迎え、キッズライン代表取締役/女性起業家サロン主宰の経沢香保子氏と「新R25編集長の突き抜けた企画力を学べ」というテーマで語ります。本パートでは参加者からさまざまな質問が寄せられ、本音を引き出すインタビュー術や、自分の強みを見出し磨いていく方法について答えました。

「世の中的にありがち」から離れる

経沢香保子氏(以下、経沢):あと、(参加された方から)質問をいただいていますので、ぜひ教えてください。「新R25さんは、アイキャッチや写真にすごくインパクトがありますよね。メディア運営をしていくうえで、先ほど“動画のような”というフレーズが非常に参考になりましたが、やはりアイキャッチや写真においても気をつけていることがあるんでしょうか?」

渡辺将基氏(以下、渡辺):今ね、かなりそこを意識しています。簡単に言うと「世の中的によく出回っているものを避けていこう」という意識を根底に持っているので、例えば、いわゆるフリー素材のようなものは絶対に使いません。

経沢:なるほど、なるほど。

渡辺:力強いキャッチコピーを載せた画像を作ったり、“いかにソーシャル上で目立つか”ということを考えている。

経沢:ソーシャル映えを意識しているんですね。デザイナーさんに頼んでいるんですか?

渡辺:はい。(デザイナーが)中にいて、そうしたものを作っているので、そこは力を入れています。とにかく「世の中的にありがちなものから離れる」ことをすごく意識しています。本の宣伝も兼ねているような記事であれば、最後に本を持った写真を撮ったりするじゃないですか。

ただ、「新R25」ではサムネイル画像にそういったものを使わないようにする。もっとその人のパワーが出ているような、躍動感のある写真を使いたいんです。例えば堀江さんであれば、インタビュー中のものすごくイラついている写真とか(笑)。

経沢:前澤さんの笑顔もすごく良かった!

渡辺:あれ、いいですよね。お願いしたらサービスしてくれました(笑)。ああいった“生きた写真”を使う。

経沢:生きた写真ですね。

リスペクトを伝えた上で切り込んでいく

経沢:続いておもしろい質問です。「聞きにくい質問をぬるっと、それも大御所から答えを引き出すために心がけていることは何ですか?」

渡辺:そこね、難しいんですが、僕も箕輪さんほどはっちゃけてはいないんで、はじめに言うんですよ。「ちょっと切り込んだこと聞きますよ。そういう取材ですよ」と。

経沢:あー、心の準備をさせる(笑)。

渡辺:そうそうそう(笑)。本当に「こいつやばいヤツだな……」と思われないために、一応エクスキューズするんですよね。「こういった企画でして」と説明する。

経沢:企画のせいにして、ぬるっと引き出す(笑)。

渡辺:ただ、相手へのリスペクトは大前提です。結局、自分がリスペクトしていて、そのリスペクトが相手に伝わっているという安心感があるからこそ、切り込めるんですよ。

経沢:なるほど。

渡辺:そうじゃないと、ただの失礼なヤツじゃないですか。

経沢:サンジャポの人のような(笑)。

渡辺:そう。そうなっちゃうので、まず初めの10分くらいは、いかに相手にリスペクトを伝えられるかを考えながら会話して、それが相手に伝わったと思ったら切り込んでいく。

経沢:心のおしぼりを渡して。

渡辺:そうです、そうです。

経沢:温めて、ほいでほいで、のような。

渡辺:そう。そう言うことを意識しているので。そうしないと、自分も(相手を怒らせるんじゃないかと)不安になっちゃいますよね。

インタビューでもっとも苦戦したのは堀江貴文氏

経沢:ちなみに、今までの対談で、この人は苦戦したという人はいますか?

渡辺:んー、やっぱり堀江さんはいつも苦戦しますね。現場の空気感をそのまま出してバズったのでよかったんですが。堀江さん、夜に会うとすごく楽しい人なんだけど、昼はめちゃくちゃ冷たいんですよね。なんでだろうな。

経沢:昼間イラついてるのは 忙しいからかな?

渡辺:イラついてるのか、演じているのかわかんないんですが、堀江さんのインタビューは本当に思い通りに会話が進まないんですよね(笑)。

経沢:おそらく堀江さんの昼間は、オンタイムに四方八方から来てるオーダーを、瞬時で考え、決断の連続だからそんな感じなのかもしれませんね。夜はスイッチを切っているからか、優しいですよね。

渡辺:遊びモードに入っているんで。

経沢:ぜんぜん、普通の堀江さんという感じなんだけどね。

渡辺:夜に仲良くなって、「これはリレーションできた」と思うじゃないですか。

経沢:「お互い分かり合ったよね! 兄弟!」のような。

渡辺:そう。で、最近はLINEで「堀江さん、取材いいですか?」「いいよ」みたいな。これはいい雰囲気でいけるだろうと思って取材すると、めちゃくちゃ冷たい……。

(会場笑)

渡辺:えー? みたいな。これどうなってんの? あのときの渡辺ですよ!みたいな。

(会場笑)

渡辺:それでだいぶ疲労するので、僕もしばらく堀江さんはお休みしたいです(笑)。

(会場笑)

あと、どちらかというと、いわゆる大物だけじゃなくても、一般の若い人たちの新しい価値観を(世の中に)伝えたい部分もあるのですが、一般の方は「どう答えればおもしろいのか」という感覚を持っていないので、やっぱり苦戦しますよね。

経沢:一般の方にもインタビューしたりするんですか?

渡辺:はい。著名人ではなくとも、生活スタイルや価値観が合理的だけどおもしろい人に話を聞いて広めたいと思って取材するケースはあります。でも、やっぱり話し慣れている人や言語化するのが上手な人じゃないと、聞いても聞いても言葉が出てこないので苦労するんですよ。

経沢:家がない人(『ただの“無謀な生活”じゃない。「家に住まない男」の暮らしがメリットだらけだった』)がすごく良かったです。

渡辺:あ、そう。それはうまくいきましたね。

経沢:あれはすごくおもしろかった。

渡辺:ありがたい。読んでいただいて。

経沢氏への『マネ凸(トツ)』インタビュー

経沢:ちなみに、(参加者の方から)「『マネ凸(トツ)』が好きで、経沢さんに『マネ凸(トツ)』してください」と。

渡辺:やりますよ、もちろん。

経沢:ありがとうございます。

渡辺:絶対やります。

経沢:どんな切り口で?(笑)。

渡辺:でも、マネ凸は基本的に切り口は決まっているので。しかも、すごく語れそうな感じがあるから。

経沢:本当ですか? どうしよう。

渡辺:あまり切り込まなくても話してくれるかもしれない。

経沢:残高聞かれたらどうしよう(笑)。

渡辺:経沢さん、その辺の防御はどうなんですか?

経沢:わかんないですね、お金のインタビューを受けたことも……あると思いますが、渡辺さんが来ると何を聞かれるんだろう。あとは、堀江さん、前澤さんもそうだと思いますが、サービス精神が旺盛な人は、つい、「新R25」さんにはおもしろいことを言わなきゃと。

渡辺:それ、ありがたいです。堀江さんとかそんな気持ちないと思う、絶対。ぜんぜんないと思います(笑)。

経沢:でも、おもしろかったです。

渡辺:ありがとうございます。

経沢:だから、今まで言ってないことを言わなきゃいけないのかと思ったりもします。

渡辺:情報統制はある程度意識します?

経沢:お金に対してどうやって向き合ってきたか、といった姿勢の場合はいいのですが、金額とかになるとリアルじゃないですか。

渡辺:それはなかなか誰も教えてくれませんよ(笑)。

経沢:でも、上場企業の社長さんはみんな出てるから。前澤さん、藤田さんは、毎年年収がいくらということがわかっているから。

渡辺:あー、出ちゃってますもんね。

経沢:だけど、一般の人についてはどうするんだろうなと気になった次第でございます(笑)。

お金があってもなくてもサバイブできる考え方を伝えたい

経沢:引き続き、みなさんからの質問も受けたいと思います。経沢香保子の日めくりカレンダーを差し上げます。

質問者2:次にインタビューしてみたい人は、どんな人ですか?

経沢:確かに。誰を狙っていますか?

渡辺:んー、そうだなあ。

経沢:ちなみに、「新R25」のメディアとしての路線はなんでしょうか? 例えば、『SPA!』であればなんとなくわかりますよね。サラリーマン男子でという感じ。

渡辺:ターゲットは主に20代の男性なんですよ。若いサラリーマン。今、そこに向けてターゲティングしているメディアがWeb上にはあまりないので、「新R25」は彼らにこれからの時代をサバイブしていくための考え方を伝えたい。

前澤さん、堀江さんみたいな“先輩から学ぶ”というのもアリだし、「同年代」の新しい価値観を伝えるのもアリ。

経沢:なるほど、なるほど。

渡辺:そのうえで、編集方針の肝は“楽しく学べる”コンテンツをつくることと、読者の背中を押してあげることです。ちなみに、『マネ凸(トツ)』についてはちょっと僕の原稿執筆が遅くなっていて、例えばDMMの亀山会長や家入さんも取材は終わっています。ただ、起業家で言うと、女性に(インタビューしに)行くなどしないと若干もう飽きてきちゃっていて。

経沢:政治家は? (小泉)進次郎さんなど。

経沢:若者についてぶっちゃけどう思っているのか知りたいですよね。

渡辺:いいですね。取材受けてくれるかな? あとは、さっき言ったように、いわゆる大物ではなくても、この人の生き方や夢を紹介できれば、いろんな人に影響を与えられるんじゃないか(という人)。最近はそういう人を自分たちで見つけたいと思ってます。

経沢:おごられてずっと生きている人(プロ奢ラレヤー)というのも最近いますね。お金はいらない、というような感じで。時代を象徴するものは“お金の価値観”ですもんね。

渡辺:ツイッターのフォロワーが1万人くらいの人で、おもしろい人がいっぱいいるので、その辺りの人にもフォーカスしたいですね。人を軸にしていきたいというのは、やっぱり大前提。

経沢:自分を売り込んでもいいんですか? 「私、おもしろい切り口ありますよ」みたいに。

渡辺:だいぶ審査基準が厳しいかもしれないけど。

経沢:本当? でも、覚えてもらった方がいいじゃないですか。

渡辺:まぁ、そうですね。

インタビューでもっとも印象的だった原田泰造氏

経沢:他にご質問がある方。はい、ありがとうございます。

質問者3:今までいろんな方にインタビューをされたと思いますが、一番自分に響いたか、もしくは一番世の中に知らせたいと思った人は誰ですか。

渡辺:一番印象に残っている人は、前身である『Spotlight』のときに取材した原田泰造さんなんですが、すっごく仕事が楽しそうだったんですよ。記事は思ったよりバズりませんでしたが、あれだけの芸歴なのに、仕事がすごく楽しくて、テレビにもっともっと出たいといったことを、子どものように語るんですよ。めちゃめちゃフラットに話してくれるし。

あそこまでキャリアのある方が、いまだに子どものようなモチベーションを持って仕事をしていることに希望をもらったんですよね。こんな感じで40歳、50歳になっても働けるんだと。それがダントツで印象に残ってます。

経沢:ありがとうございました。

「新R25」のスタンスは多様な価値観を紹介していくこと

質問者4:すみません、よろしくお願いします。例えば、世の中の20代に対して、どういったメッセージが適しているのか、編集長としてはどんなメッセージを発信していきたいですか?

渡辺:方針をいろいろと考えていたのですが、結局「新R25」としては「ワンメッセージにとらわれたくない」という結論になったんですよ。今、こういった時代なので、いろんな生き方や働き方がある。多様性をもってぜんぶ広めていきたいと思っているので、さきほど言ったように時代を切り拓いてきた先輩方でもいいし、仕事の実績があるわけじゃなくても、自分なりに生きていくという(若者でもいいんです)。

そういった人たちをどんどんピックアップして、自分に合った価値観の人や、フォローしたい価値観の人を見つけてもらいたいというスタンスです。もちろん、今の若者に価値あるメッセージを届けられる人であるかどうかの吟味はしますが。

質問者4:多様性のある言葉で、箇所箇所によって変化していくと言うことですかね?

渡辺:そうですね。先輩の一見古いように思える価値観だとしても参考になる部分はあるし、家を持たないとか、奢られて生きるみたいな、すごく尖っているけど話を聞いて見ると合理的だという価値観もいっぱいあるんですよ。

ですから、これからの時代をサバイブしていくためにプラスになるな、と思えることはぜんぶ伝えていって、「あなたはどの価値観に賛同しますか?」ということを、読者に選んでもらえればいいという感覚ではいます。

経沢:おもしろいこだわりを持っている人はいますよね。私、日経新聞を読まないで上場できるかということに挑戦して、できた社長を知っています(笑)。

渡辺:実際にできたんですか。

経沢:日経新聞を読んでいなきゃいけないような日本の価値観に反抗してみたみたいですよ(笑)。では、他に質問ありますでしょうか?

(会場挙手)

センスはムリして磨いても光らない

経沢:はい、では、続いての質問お願いします。

質問者5:お話ありがとうございました。さきほど、“半分はセンス”とおっしゃっていたことが気になるんですが、センスは生まれ持ったものなのか、それとも磨けたという経験があるものなんでしょうか?

渡辺:磨けたのかどうかはわからないですね……。本当に嫌な言い方をすると、僕は初めから持ってたと思っているので。

経沢:渡辺さんは、おもしろいですよね。

渡辺:ありがとうございます(笑)。

経沢:あと私が思うのは、音楽をやっている人はセンスがあるみたいな相関(関係)はありませんか? LINEの元社長の森川さんも、バンドをやっていたご経験があると伺ったことがあります。現在、‎C Channelも潮流を感じるところがあります。

渡辺:記事を書くときのリズム感や記事のテンポ感と音楽的なセンスが関係している、と言っている人はいましたね。自分の強みって、ぜんぶ自分のこれまでの人生の延長にあると思うんですよ。だから、無理して磨いても光らないセンスもある。

例えば僕でいうと、記事だけじゃなくて普段のコミュニケーションから(社長の)藤田をいじったりするのが好きですし、もともとちょっとナナメに世の中を見るような傾向があったと思います。

自分がこれまでどう生きてきて、どう人とコミュニケーションをしてきたか、どういった価値観だったのか、そこを活かして強みやセンスを磨かないと、絶対光らないんですよ。だからすごく壮大なことを言うようですが、まずはみんな自分の人生に向き合ったほうがいい。

自分は価値観も平凡だと自負していますが、それは裏を返すとみなさんが疑問に思っていることと同じような疑問を持てるという自信があって、今は「平凡な価値観」を強みにしています。

経沢:良く考えていらっしゃるなと。例えば、渡辺さんのVoicyを聞いていて思うのは、一つのテーマを、ああだのこうだの、ちょっとしつこいくらいにいじっていて、言語化の鬼だなと。ぬるっとした感覚をどうやって言語化するか。言葉のセンスがあると(思います)。

パターンをたくさん集めてストックする

経沢:あと、横から入っちゃって恐縮ですが、私はパターンをいっぱい見ることだと思っています。例えば、建築家でセンスがあるかどうかは生まれ持ったものという話になっちゃうと、本当に上位1パーセントもいないですが、良いホテルをいっぱい見ていれば、これとこれとの組み合わせ、というような感じでかならず上位に食い込める。

だから、パターン認識をどれだけしているのか、良いものをどれだけ見ているかということだと思っています。私も最初、適切な言葉を知らないので、マネジメントですごく悩みました。どう伝えればその人に刺さるのかがわからなくて、すごくたくさん本を読んで、言葉をストックしました。

こんな風に言うと相手の心が動くんだ、という言葉をストックする。あとはコメンテーターをやっていたときは、他のコメンテーターのコメントをバーッと1週間分見て、それで自分はどう言おうかなど。同じニュースでも、いろんな切り口がありますよね。あとは、アメトークを毎週見ています。

渡辺:すごい勉強熱心!

経沢:おもしろいコメントや間をすごく勉強していました。恥ずかしいけど、自分が出たテレビを何度か見て、「もっとこんな風に姿勢や表情を変えなきゃダメだな」「言葉の最後の語尾がちゃんと言えてない」といったように、自分を客観的に見てブラッシュアップする。でも、アメトークは勉強になりました。

ほしいセンスを持った人の側に行く

渡辺:武井壮さんも、くすぶっているときにお笑い芸人さんと接して、トークを勉強したといっていましたね。自分の強みを認識したうえで「こっちの方向でいこう」と、ちゃんと決められて、そこに向けて情報収集していくことが必要だと思います。

経沢:(自分がほしいセンスを)持っている人に近づくというのは(いいやり方で)あると思っていて。私が起業家になったのは、(楽天の)三木谷さんのそばで働いていたからでしかなくて、創業社長をそばで見たというのが私の最強の強みになりました。普通であれば(社長の)表面だけを見ますが、行動を共にしていると、新幹線に乗るときはこういうオペレーションなんだとか。

例えば、出張前に家から下着を持ってくるのを忘れた場合も、ドン・キホーテに寄って、一番安いものを買ったりする。そこはなんの生産にもつながらないかららしいですが(笑)。いちいちそういうことが勉強になるんですよ。例えば、村上さんという最年少で上場した人は……。

渡辺:(リブセンスの村上)太一さん?

経沢:私もそうですが、ドライヤーは時短で2台使うんですよ。あとは村上さんは、テレビを見ながらパソコンとスマホを使って、3つの情報収集をされるそうです。

渡辺:すごいですね。

経沢:そういうことは、感じて、一緒に見てみないと、リアルがわからない。例えば、偉い人はメールの返信がめちゃくちゃ早いか返信しないかのどちらかしかいない、みたいなことも。できる人の仕事のスピードというようなことは、一緒に仕事をしてみないとわかりませんよね。

例えば、私がすごく感じるのは、Facebookやメッセンジャーで連絡すると、もう送った瞬間に(返信中のマークが)ふにゃふにゃっと出るみたいな方がいるじゃないですか。

渡辺:箕輪さんがそう。

経沢:そういう速さの体感値のようなものは、欲しいセンスを持った人のそばに行くと吸収できるかと思います。

アイデアは、限界まで考えて力を抜いたときに出てくるもの

司会者:(質問は)あと、お二人でお願いします。

質問者6:企画をしていると、ネタが出なくてかなり苦しいときもあると思いますが、そうしたときに視点を変えたり、アイデアを出すためにどうしていますか?

渡辺:自分は立場的に記事を書く量も少ないので、企画の数自体には困っていませんが、メンバーを見ていると、すごく大変だなと思います。出し方に正解はないという感じがしますが、自分の中で出るタイミングはあって。まずは根詰めて考えるんですよ。ぐーっと。そうすると、行き詰まることがあるじゃないですか。ただ、そうやって1回限界まで考える作業をしたあとに、ふっと力を抜いたときにアイデアが出る。

だから、本当にサウナにいるときによく出るんです。ただ、いきなりサウナに行って、リラックスゾーンに入って「(企画)出すぞ」といっても出ないんですよ。1回限界まで考えた上で、「もう無理だ」と思ってから、ちょっとリラックスする。そうすると、考えていたことのパーツが急にパッとつながったりする。ただ、サウナだとメモれないので、アイデアが浮かぶと忘れそうになるじゃないですか。

経沢:メモれないもんね(笑)

渡辺:だから、思いついたらすぐ(サウナから)出ちゃうんですよ(笑)。

経沢:せっかくサウナに行ったのに(笑)。

渡辺:あとは「新R25」の編集部でいうと、だんだんとメディアの鉄板の型が見えてくるので、その型を固定して「今日はこのテーマとこの方向で、みんなで企画を出してみよう」というようにやったりはしますね。制約をつくると企画が出しやすいです。

経沢:これとこれの掛け算といったような?

渡辺:そうそう。

経沢:フレームがあるということですね。

渡辺:わかりやすくいうと、「著名人×お金」。そうしたフレームがいくつか出てくるので、じゃあ、今日はこれで出してみようというようにやる。あと、正直僕は苦手なんですけど、やっぱりフィールドワークをした方がいいと思っています。人と会ったり、新しい体験をする時間を作る。当たり前ですけど。

経沢:人と会うと(アイデアが)出ますよね。

渡辺:そうですね。僕はインドアなので、個人的には足りていませんが。

潜在意識に働いてもらう

経沢:私は「潜在意識に働かせる」と思っていて。わからないことや、テーマを書いたりして、写真で頭の中に置いておくと、朝起きたときにけっこう(アイデアが)出てくる。メイクをしているときとか。それは小学生のときに、算数は補助線を引くとパッと解けるのと似ていて、わからない問題を見ておいて寝ると、朝起きたときに補助線が出る、というような。頭の中に入れておいて、働かせておくんですよね。

渡辺:そうそうそう。

経沢:「私は今これが知りたい」ということをいっぱい入れておくと、道を歩いて、看板を見ても、なんでもいちいち反応するから、頭の中に置いておくといいんじゃないかと思っています。

渡辺:僕も結局、仕事をしているとき以外でもずっとそのように頭を使っているような気がしています。

経沢:私、今はシングルマザーの企画などで、「どうやって人の心を動かせばいいのかな」などと考えているのですが、そうしたことを思いながらツイッターを見ていると、人のつぶやきで、「ああ!」というような発見も多いですよね

渡辺:あるある。

経沢:「そうだ!」という感じはあるかな。

渡辺:そうですよね。そうやってセンスを働かせる。だから結局、とにかく時間をすごく使うということなんですよね。

経沢:そうかも。

一人LINEグループでアイデアをストックする

渡辺:頭の中の時間を(使う)。(アイデアの)材料を作るために、LINEの1人グループを作るのですが、その1人LINEグループのところに、ちょっとでも気づけばどんどん投稿するし、声を吹き込んだり。

経沢:へえ! LINEの1人グループって何?

渡辺:LINEのグループ機能あるじゃないですか。あれは自分一人でも作れるので、そこになにかあったらすぐ投稿する。気になったニュースもすぐシェアできるし、声もぱっと吹き込めるし。

経沢:経営者の人はみんな、スマホで打って自分にメールをしてますね。

渡辺:なんかありますよね、アプリかなにか。

経沢:そう。藤田さんも、いつも会食などでも「ちょっとメモっとく」と言って、スマホにメモしてます。自分にGmailを送る人も多いですね。そうすると何度か思い出しますからね。ありがとうございます。では、他に(質問)ある方いますか?

リスペクトを伝えることで心を開く

質問者7:いろんな方にインタビューをされたり、企画というものがある中で、いろんな方に心を開いてもらう技術があれば教えてください。

渡辺:結局、さきほどいった“リスペクトを伝える”ことに尽きると思ってるんですよ。それをいかにいい感じにやるかですよね。「本を読みました!感動しました!」と、どストレートに行くのも小物感が出ちゃうじゃないですか。

経沢:わかる。

渡辺:だから、難しいんだけど、ひょうひょうとしながら、話したら「こいつすげえ知ってんな」というのを随所に出していくんですよ。

(会場笑)

渡辺:知っていることは大前提で、もう一段階上のレベルで対等に話す相手が「え、それ知ってるの?」と驚くような情報をサラッと出していったり(笑)。そうしたテクニカルなものもありますが、でも、やっぱり、リスペクトですね。それが伝われば絶対に心を開いてくれますね。

経沢:私がおもしろいなと思う記者さんは、その人なりの仮説を持っている人。例えば、今、Voicyのスポンサーで、イケハヤ(イケダハヤト)さんのスポンサーをさせてもらっているのですが、イケハヤさんは、勝手に「今回のスポンサーフィーはいくらくらいで、キッズラインのLTV(Life Time Value)というか、どれくらいのリピート率だから、どれくらいで回収できるんじゃないか」というようなことまで考えて、話してくれるんです。

例えば記者さんでも、単純に「キッズラインというのはどういったビジネスなんですか?」というよりは、「自分はこうこうこういうところがおもしろいと思ったのですが、どうしてそういうことを思いつかれたんですか?」というような、その人なりのセンスで、ちゃんと考えてきている(人)。その人なりの仮説を持って話してくれると、センスがあると、考えてくれたんだなーと思いますね。

渡辺:ありますね。AとBの情報があって、Aに感動しました、Bに感動しましたというだけではなくて、AとBを掛け合わせるとこうなんじゃないかという考察が出てきたりするんですよ。それを相手に当てたり。

経沢:当たると「やばい! 占い師!」なんて思うじゃないですか。手相を見て、わかんないけど、「あなたはそうですね」「なんで?」というような。思わず今の悩みを言っちゃう。

渡辺:ただ、難しいのは、就活生などでもたまにいますが、「これ、質問してどや!」というような。あれもダメだと思うんですよ。その人が心から質問したいと思っていないことをドヤるために聞く。

経沢:アピールをしたいがための質問はちょっとやっかいですよね。

渡辺:そう、それはイケてないんですよ。だけど、本質的に本当に気になっていることへの仮説はすごくいいと思いますね。

経沢:ぜひ、私たちも活用してみましょう。今日はとにかく、本当に本当にすごくおもしろかった。ありがとうございました。

(会場拍手)

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