そのビジネスモデルに「自分しか知らない事実」はあるか?
エンジェル投資家が語る、成功する起業家と失敗する起業家の違い

パネルディスカッション #2/3

Angels’ Night#3 by Code Republic
に開催

East Ventures とYJキャピタルが共同運営するアクセラレータープログラム「Code Republic」にて、 日本を代表するエンジェル投資家3名が一堂に会するトークイベント「Angels’ Night」が開催されました。登壇したのは、株式会社フリークアウト・ホールディングスの佐藤祐介氏と株式会社クラウドワークスCOOの成田修造氏。モデレーターにイーストベンチャーズの衛藤バタラ氏とYJキャピタルの堀新一郎氏を迎え、エンジェル投資の知られざる裏側について語り尽くします。

ちゃんとマネタイズをしている企業に投資

堀新一郎氏(以下、堀):どこに投資してるかぜんぜん知らないので、公開できるものベースでいくとどのくらい……?

成田修造氏(以下、成田):例えばオンライン教育の会社もあります。エンジニアとかプログラマー向けの教育サービスは、コンテンツができて、マーケティングさえできればビジネスとしては堅いですよね。あとさっきのPOL社も人材ビジネスなので、初動でちゃんと売上が上がって、トラクションも出てる。

ワンダーナッツも、オンライン動画でフィットネスの市場をどう変えるか、みたいなことやってるんですけど、プロダクトがよければマネタイズは見えます。

だから、例えばいきなりInstagramみたいなプランを持ってこられても、ちょっと自分としては判断がしにくいなっていうのは正直あるかなぐらいの感じですね。

:C向け、B向けの割合で言うとどうなんですか?

成田:若い世代が多いので、僕の場合はやっぱりCのほうが多くなっているかなって思います。ほぼtoC、2社toB、みたいなそんな感じですね。

:佐藤さん、バランスよさそうですね。

佐藤裕介氏(以下、佐藤):そうですね。でもやっぱり、自分でテーマを選んでいるやつはBが多いですかね。結局自分が読めるものとか、協力できそうなもので設定しているので。全体で見るとやっぱり6割ぐらいがBですかね。

:逆にNGなものってありますか? 別にビジネスモデルじゃなくても、お作法的に過去にこういう問い合わせがきて、「ちょっとそのやり方、失礼じゃないか」とか。何でもいいんですけど(笑)。

(一同笑)

過去に思い当たるもので。別になにも気にしてないですか?

成田:ないですかね。

:プロダクトがなにもなくても、モックがなくてもいいんですか?

成田:モックがなかったケースがほぼないんですけどね。最近どうなんですかね? みんな、作ってきてません?

佐藤:そう……かなあ。紹介されるケースでは、やっぱり(モックは)ありますよね。

成田:ありますよね。だからそういうのがある人が多いので、そんな「失礼だ!」みたいなのはなかったですね。……自分がやりたいこと先行で、ビジネスとしては苦しいんじゃない? みたいなことはありますけど。

ただそれは率直にフィードバックして、もしこれが変わってくれれば出資できるかもね、っていう言い方をするかもしれないですね。

参入する場合は独自の切り口を持っておくべき

:最近界隈では、フライングで投資する、といったキーワードがありますけど。

成田:(笑)。あれは量があるからですよね。

:それぐらいの頻度で、初対面でもパッと決まるのか、それともやっぱり、何回もキャッチボールは必要なんですか?

成田:どうしてます? 僕、キャッチボールしてますね。

佐藤:基本は即決。悩むならやらない。例えば「ヒカカク!」をやってるジラフとかは、そもそももう時間もなくて30分ぐらいで朝飯食って、それ以来1回も会ってないです。

成田:へえー。

(一同笑)

佐藤:っていう、疎遠な人も(笑)。

成田:それは直感で投資してるんですか?

佐藤:一応自分でもExcelでモデルは引くようにしています。でもそれは暗算でできたんで、いいよと。基本的に自分でモデルは書きますね。全部、主要のKPIを置いて。

どのぐらいの規模でどれくらいの売上で、みたいなことは、数字で見ないと肌感がありません。NGは……なんだろうな? 

何かのマーケットにエントリーするときに、自分なりの参入のアングルっていうか、そういうものを持ってる人のほうがよくて。その角度が自分の妄想じゃないほうが、なおよしって感じです。ちょっとイメージ湧きづらいかな?

成田:いろんな他社事例も含めて、1個のマーケットでも、いろんな切り口があるじゃないですか。いろんな角度があってそれを選択しているのか、自分が感覚的に「こう思うんですよね」って言っちゃってるのかは、けっこう差がある気がしています。

佐藤:そうですね。

成田:そこはちゃんと聞いていて、もし自分がそのマーケットの別サービスを例として出した時、それを向こうは知らない場合、それってけっこうきついじゃないですか。

佐藤:きついですね。

成田:自分自身はそのマーケットの人じゃないのに、その専門家であるはずの起業家がそれを知らないっていうのはけっこうきついので。

企業のKPIは投資の判断材料

:リクルート知らないの? みたいな。

成田:そういうレベルになっちゃうと、つらいじゃないですか。自分の質問に対してまったく答えられないと、それってやっぱり調べが足りないはず。そこは「ちゃんと調べたら、もう1回ディスカッションしよう」っていう感じでやってますね。

:必ず聞く質問ってあるんですか?

成田:KPIは聞きますよね、やっぱり。そのビジネスモデルの場合は、なにを重要指標として追っていて、プロダクトのなにが肝だと考えているか。その理由は何か、は聞きますよね。

例えばマーケットプレイス的な、要はサプライサイドとディマントサイドはすごい重要です。どちらのKPIをどのように持ってますか? それはどちらの需要だと思いますか? その獲得コストが例えば○○円だとして、それが妥当だと考えているか否か、それはなぜか? とか。

そういうのは、ディスカッションだったらパーッと聞いてみて、不明点があれば、「これはどう考えるの?」みたいなそういうブレイクダウンをしていきますよね。

佐藤:僕の場合は、自分のマーケットで自分ぐらいしか知らなそうな事実みたいなものがちゃんとあるかっていう話と、その事実に基づいた参入アングル。どういうバリュープロップでというか、どういうプロダクトマーケットフィットの仮説を持って入るのかが、どのようにつながっているかはけっこう聞くかもしれないですね。

最近多いのが、キュレーションっぽい感じでまずは入って、そこからなんとか! みたいな案は、どのマーケットでもすごい多い。でも、例えばメディアで入るときに、そこに独自の事実やアングルがないと誰がやってもいっしょで、オペレーションの生産性だけになる。

そうすると、小さいチームで素人社長がやるっていうのは1番非効率だから意味ないよね、みたいな。そういうのは聞く。

“わかっていること”を広げていくのがベンチャー

成田:そういうのって、マーケットを知ってるかどうかが重要ですよね。「そんなクエリがあるんだ」みたいな発見があると、強いです。そのクエリがマーケットなので、まずそこを切り崩していけばこのラインまでは見える、ここからは見えないって言ってくれれば、まだいいんですよね。

「ここまでは自分が今ほかの人が知り得ないマーケットとして見えていて、ここから先はチャレンジです」って言われると、じゃあそれは一緒に考えようかという感じになります。でもその最初の優位性の段階でいってないと、正直立ち上がんないな、となっちゃいますよね。

佐藤:そうなんですよね。結局はわからないマーケットに入っていっているので、ベンチャーって、基本的にわかっていることとわからないことの境界線をどんどん広げていく作業じゃないですか。その効率が悪そうな人とか、もともとぜんぜんわからないのに来る人っていうのは、それを広げていく可能性が低そう。

さっきの例でいくと、(delyの)堀江は別にラーメンの汁であっても、わからなかったことを広げてるんですよね。その資産って、結局やった人にしか蓄積されないじゃないですか。なので、それを最速で積み上げていくのが、結局は金に替えられない資産になる。

それを効率的にできる人じゃないと厳しいから、事業の立ち上げでわざわざ自分の人生のリスクをとってやろうって言ってるのに、そもそも自分がわかっていることが少ないとか、まったく素人の僕よりもよくわかってないとかだと、あんまりいないですけど絶望的な感じにはなるかな、と思いますね。

:たまに教科書的な話で「あなたがその事業をやる理由」とか、よくVCに訊かれるんですか? そういうのは気にされたりするんですか?

成田:僕は、わりと気にするほうですかね。ストーリーと呼んでるんですけど、その人がやる理由っていうのは、何かある気がするんですよね。別にそれは、あなたが一生かけてやる理由を理路整然と述べなさいっていう話ではなくて。

何かその人の持ってる得意なものや、人間性ってあるじゃないですか。できること、できないこと、みたいな。そういうものがフィットしてる人は、やっぱり強いと思うんですよね。

起業の背景にあるストーリーがエンジンになる

成田:だから例えば、別にメディアをやっててもいいと思うんですけど、その人が過去こういうことをやってきてインターン先でこういう資産があって、それを活かしてこういうのを立ち上げました、なのか。私は大学でこういうことをやってて、ここでこう見つけましたとか。スポーツをずっとやってきたから、こういうことやってます、なのか。

そういうのはなにか欲しいと思うんですよね、やっぱり。というのも、それがないと続かない可能性がある。さっき、苦しいみたいな話ありましたけど、その苦しさを乗り越えるエンジンっていうのは、自分の変化量や、さっき言ったはしゃげる性質だったり。自分が本当にそれを熱量持ってやれているのか、みたいな話だと思うんですよね。

だから、エンジンをつくる一要素として、ストーリーっていうのは一応聞いて大事にしています。それがある人のほうが話が盛り上がるケースが多いし。そういう感じで考えてますかね。

:佐藤さん、どうですか?

佐藤:僕は、まったく気にしないかもしれないですね。

:おもしろいですね。わかりました。

佐藤:(成田さんに向かって)クラウドワークスっぽいな、と思いました。

(一同笑)

クラウドワークスの成功のエンジンの1つは、やっぱりそれだったと思います。投資している企業の社長を見ていて、人として、経営者として確変するタイミングって、結局マーケットと自分の事業が合致して、カーンッて伸びた瞬間だと。

やっぱり伸びるときに辞める人はいないんで。結局確変がこないと、何にせよしんどくなっちゃう。それをもってして、そのストーリーがあるとしんどいときに粘れるのは、もちろんあると思いますけどね。

なのでどちらかと言うと、経営者、起業家自身がその事業をやる理由よりは、むしろその事業が今なぜこのマーケットに必要なのかっていう。さっきのアングルの問題なんですけど。マーケットとか人間が変化していってるから今はこれ、っていう角度があるかどうか。それをちゃんと理解しているかどうか、それが確からしいかどうか、みたいなことのほうが興味があります。

時間がかかっても辞めないほどの理由を持っているか

佐藤:例えば、スマホが出て10年経って、人間の脳みその動きとか働きって変わってるわけですよね。「メルカリ」とかを見てても、割引率ってわかりますかね?

未来の10円と今の10円だったら、今のほうが何パーセントか価値が高く見える、みたいな。そこの差分って、どんどん大きくなってる。割引率がでかくなっていることは、人間の変化としてあるよね、と。

じゃあ、今日で言うと「メルカリNOW」みたいなサービスで、今の手元現金のために、40パーセントや50パーセントのディスカウントを容認する人たちはめちゃくちゃいる。それぐらい現在の現金と、それを使って今何かやる体験っていう価値がでかい。

っていうのを理解したうえで、「じゃあ、このアングルで何かやれる事業あるか?」「CASHです」って言われると、ああ、そうだね、みたいな。それは伸びるね、みたいな話のほうが、「CASHをやることで人間の選択肢を増やすんだ」って言うより信頼できる、みたいなところはあるかもしれないですね。

光本さんも、人間の変化とマーケットの変化と、そこに今これをやる理由っていうところの重なり合うことを考えたと思うので、そっちのほうを気にしますかね。

だから10パーセントや20パーセントぐらいはそういう類の人を入れて、時間がかかりそうな事業は、もう最初からわかるじゃないですか。例えばライドシェア。ぜったいこれ時間かかるな、と。

2、3年でトレンドがきてパーンってなるのは絶対ないっていう事業でも、マーケットのポテンシャルが大きくて跳ねたらすごそう、みたいなものに関しては、その人がなんでその事業をやるのかで選んでいます。僕だと、投資先にライドシェアの「CREW」っていうアプリをやっているアジットっていう会社があります。

彼らはそれをやる理由や思想がちゃんとあって、辞めなさそう。時間のかかるマーケットは参入者が少なくて、辞めなければそのうちくるっていうのがわかっているから、1番辞めなそうな人に投資しようって感じでやってるかもしれないですね。

:なるほど、ありがとうございます。

相談役としてフラットに話せるよう心がける

:ちょっと質問が変わるんですけど、出資したあと、エンジェル投資家としてどういう関わり方をしていくのか、けっこうみなさんから毎回出る質問なので教えてほしいです。成田さん何かありますか?

成田:僕はまだ投資先が少ないので、けっこう話してますね。毎月、何かしらで会ったりとか。いや月はないか。でも3か月に1回は会ってますね。「ちょっと飯食うか」みたいな感じで(笑)。話したり、オンラインでも気になったことを言ったりとか。

その事業に関連する情報で僕が有用なものを得たら、それをシェアして、こういうのもあるかもねって言ってみたり。あと、連絡がないときは「元気?」みたいな感じで連絡したりします。

:最近はエンジェル投資家の数も増えてきて、たぶん国内だけでも100人ぐらいいるんですかね? 今。代表的な人でたぶん30人ぐらいかもしれない。

成田:30人前半ぐらいですかね、。

:ご自身のブランディングもけっこう必要ですか? だいぶベンチャーキャピタルも商売あがったりになってきてるんですけど。成田さんのキャラクターっていうか、カラーってどんなものですか?

成田:カラーですか? でも、僕は創業者じゃないので、ある意味ちょっと違う観点を持ってると思うんですよね。うちの会社で言うと、事業を客観的にも見てきたし、やっぱり組織の大きな動き方を、リアルな現場も含めて一番体感してきたんですよね。

だからそういう経験値はわりと伝えられるのと、バランサーなので、何でもいろいろフラットに話せるっていうのはありますよね。特別な感情なく、冷静にいろいろ話せるんで。

そういうところは、強みなのかわからないですけど。相談相手としてはそれなりに合理的に話せるという。そんなところが一番のポイントですかね。

:はい。ありがとうございます。関わり方、どうですか?

佐藤:そうですね、それこそさっきのジラフの麻生くんは、1回も会ってない、どんな顔かもちょっともう。

成田:覚えてない(笑)。

佐藤:わかんない。

:ひげは生えてますね

(会場笑)

基本的には見守り体制

佐藤:基本的にはやっぱり、リアクティブ対応で。僕も、投資家の人たちにめちゃくちゃ主体的に絡まれるのは、あまり得意じゃなかったんで。基本的には、何かを依頼されたとか、そういうときにだけ対応するようにしています。それこそ今日もさっきまで投資先の社長といっしょに投資家である堀さんとのミーティングをやったこともあれば、人の採用を協力するとか。依頼されれば面接もしたりしてますね。

:あ、そうなんですか。

佐藤:はい。候補者の人はなんで僕がいるんだって、意味不明だと思うんですけど。

:はは(笑)。

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