農業ベンチャー初の上場企業

森戸裕一(以下、森戸):じゃあ早速ですが、上田さんから自己紹介お願いできますか?

上田祐司(以下、上田):みなさん、こんにちは。

一同:こんにちは。

上田:今もやってるんですが、ソーシャルメディアとシェアリングエコノミーというものをやっているガイアックスという会社です。シェアリングエコノミー協会というのを立ち上げまして、その代表理事もやっています。

ガイアックス自体がやっているシェアリングエコノミーは「TABICA」という、地方とか田舎の魅力をプログラム化して、お客さんに提供する。けっこう、こんなもんでいいのかっていうやつが多いですけれども、それが意外に楽しんでいただけている。

あとは、「notteco」っていうライドシェアをやっています。シェアリングエコノミー協会のほうは、シェアリングエコノミーをやっている100社ぐらいの会社と大手企業さん7、80社ぐらいが来て、そういう協会をやっています。

すいません、僕も今日はいろいろ、みなさんと交流させていただきたいですが、うちの会社のほうから社員が来てるので。今日はお世話になります、よろしくお願いします。

(会場拍手)

森戸:及川さん、お願いします。

及川智正(以下、及川):みなさん、こんにちは。

一同:こんにちは。

及川:はじめまして、株式会社農業総合研究所代表の及川智正と申します。和歌山で農業×ITベンチャー企業をやっております。昨年、マザーズに上場いたしまして、農業ベンチャーというくくりであれば、初の上場企業でございます。

なにをやっているかと言いますと、現在約7,000名弱の農家さんと、全国約1,000店舗のスーパーマーケットを直接つなぐ、ITと物流のプラットフォームを農家さんとスーパーマーケットに提供する、そんな仕事をさせてもらっています。

正直、僕は地方創生ってあまり興味がないんですね。なんで(ここに)来てるかってことなんですが。でも、僕は農業をどうにかしたいと思っていて、農業をどうにかすることによって、プラスアルファ、僕の目的ではないんだけど、地方も良くなるんじゃないのかなと思ってます。

サテライトオフィスという形態で行う東京の仕事

及川:僕らのこの仕組みというのは、どちらかというと外貨獲得。田舎のものを都会で売って、都会から田舎にお金を流すっていうプラットフォームと言われるんですけども、実はそれだけじゃなくて、なにがあるかと言うと、今東京と大阪を中心とした1,000店舗のお店がございます。ここを使って、自由に農家さんが情報発信をしていいんですね。

都会と情報発信をして、そして田舎に人を連れ込むというような、そういうプラットフォームにもなってるんじゃないのかなと思ってます。

今日は本当に若い方々のお力を借りながら、いろんなものを発想していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

(会場拍手)

吉野隆生(以下、吉野):みなさん、こんにちは。セールスフォース・ドットコムの吉野と申します。今日私が呼ばれた理由は、まさに地方創生ということで、セールスフォース・ドットコムはクラウドを基盤として、法人向けのお客さまに営業支援であるとか、マーケティング支援のツールを販売している会社です。

2年前から和歌山県の白浜町に、サテライトオフィスという形態を持って、地方で地方の仕事をするのではなくて、地方で東京の仕事をするということにチャレンジしています。

そこで生産性がどれぐらい上がったかとか、新しい、今で言う働き方改革です。どうすれば働き方が変わるのかというのを実証した2年間ということになりますので、その点を中心に今日はお話させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

森戸:お願いします。

(会場拍手)

そして私のほうが、今回はモデレーターを担当させていただきますけど、ちょっと長いんですよね。一般社団法人日本中小企業情報化支援協議会っていう団体の代表理事をやってます、森戸と申します。

まず仕事としてなにをやっているかと言うと、地方創生っていうような課題でいくと、なんで地方創生をしなきゃいけないのかって、その原点のところを考えています。

ネットを使えば、ネットがなかった時代の常識を変えられる

森戸:そして、なんで東京一極集中になってしまったのかとか、なんで過疎化は生まれてしまったのかとか、そういうことをいろいろ考えていくと、やっぱり今までの同じやり方でいくと、さらに東京一極集中が進むんじゃないかと。さらに過疎化が進むんじゃないかっていうことで、今までなかったのはなにかなっていうことで考えると、やっぱりネットじゃないかっていうことなんですね。

ネットを使えば、今までネットがなかった時代の常識を変えられるんじゃないかっていうことで、私どもは北海道から沖縄まで、いろいろ支援をさせていただいてます。

ですから今回、みなさんがいろんな活動をして、今、地図とか作られてますけど、情報発信をどんどんされると思うんです。その中で、さっき主催者の小幡君と話したときに、Twitterトレンドで今3位らしいんですね。

参加者:(3位じゃなくて)2位。

森戸:今、2位。

(会場拍手)

1位を目指しているらしいんで、ぜひここで話している内容とか、そういうところでもけっこうなんで、どんどんツイートしていただいて。

高野山に、こういうふうに人が集まってイベントをやってるんだっていうことを全国に知らしめるには、たぶん、新しいやり方はそういうやり方だと思います。

古いやり方は、テレビ局に取材に来ていただいて、今日の夕方のニュースで流すとか、そういう話になるんですけど、新しいやり方は新しいやり方で進めていければと思いますんで、ぜひお願いします。

それでまず、ゲストの方にお話をいただく前に、みなさんの属性を簡単にゲストの方に知っていただきたいので、挙手をお願いできますか?

まず、学生の方、挙手していただいていいですか?

(会場挙手)

多いですね。半分ぐらいですかね。じゃあ、社会人の方で20代の方。

(会場挙手)

若いですね。ありがとうございます。社会人の方で30代の方。

(会場挙手)

なるほど。あとはたぶん40代以上の方ですよね。

(会場笑)

僕は実は来週、6月13日に50歳になります。ついに大台に乗ってしまうんですけど、大学の先生もやってる関係で、学生といつもプロジェクトをやってますので、格好だけはちょっと若くしてますけど、けっこうおじさんです。話が合わない部分があったら申しわけないですけど、そこで進めていきたいと思います。

これからの農業に対する及川氏の考え

森戸:それで、TwitterとかFacebookに、みなさんから質問をいただいてたんですよね。「このセッションでなんか質問ないですか?」みたいな話で。それで、「及川さんに質問があります」という方がいらっしゃったんですけど。

及川さんの会社っていうのは、農業×ITで上場されたと。マザーズのほうに上場されたんですかね? 上場されたっていうことで、初の会社です。「情熱」ということが、よくホームページとかいろんなインタビューとかにも出てくると。

そんな中で、「これからの農業を、及川さんはどう捉えられていますかっていうのをぜひ教えてください」っていう質問があったんですけど。そのあたりから入っていきたいと思いますけど、よろしいですか?

及川:大丈夫です。

森戸:お願いします。

及川:これからの農業でもいい? それとも情熱はなくならない。どっちからが?

森戸:これからの農業でお願いします。

及川:たぶん、「農業ってどんな仕事ですか?」ってアンケートをとったら、野菜、果物、花、お米を作る仕事って、みなさん思われるんじゃないのかなって思うんですよね。違うんですよ。農業ってどんな仕事かっていうと、作ったものを食べてもらうまでをコーディネートすることが、農業の仕事なんですよね。

例えば、トヨタっていう車会社がありまして、あれはなにをやってるか。車を作ってるだけじゃないですからね。車に乗っていただいて、快適な生活を得る手段として車を使っていただくっていうのがトヨタの目的であって、農業っていうのもやっぱり食べるまでをコーディネートすることが農業の仕事じゃないのかなと、僕は思ってます。

でも、すごく難しいんですね。なにが難しいかっていうと、農業って多面的なものがあるんですよ。今日集まっていただいてるように、地方創生という切り口もあれば、食糧問題という切り口もあって。

もっと言うと、ビジネスかもしれないし、伝統文化っていう部分もあるんですね。環境問題もあります。

農業って本当に多面的に捉えることができるんですけども、うちの会社がやらないといけない、もしくは、うちの会社が特化していこうっていうのは1つだけ。もう「ここだけ」というのを決めていて、うちの会社は、農業をビジネスにしたいんですよね。

ビジネスとして成り立つ農業を作っていく

及川:なので、さっき言った地方創生はあまり興味がないというか、うちの会社の目的は、日本から、世界から農業が衰退しない仕組みを作るために、ビジネスとして成り立つ農業を作っていくことが1つの手段じゃないのかなと思ってます。なんでもそうなんですけども、多面的にあるんですね。

例えば、農業といっても家庭菜園とかあるじゃないですか。僕、ぜんぜんいいと思うんですよね。有機栽培、いいじゃないですか。自給自足の農業、いいじゃないですか。いろんな農業がある中で、うちの会社がやらないといけないのは、このビジネスとして成り立つ農業を作っていくことによって、日本から、世界から農業が衰退しないような仕組みができればいいなと思っております。

それをするためには、農業発展をするためには、農業をされている方のレベルアップがないと絶対難しいと思うんですね。なので、うちの会社が提供するのはどんなプラットフォームかっていうと、農業をされている方が、生産者の方が自分の頭でメーカーポジションを考える。

どういうことかというと、自分で好きな金額をつけられて、自分の好きなところで販売できて、好きなときに自由に流通できる。頑張った人が伸びていける、頑張った人が成長できる、公平に自由に競争できる環境を作ってあげて、農業の仕組みを構築していきたいなと思っております。たぶん、(この話は)1時間ぐらいかかっちゃうんで(笑)。

森戸:ありがとうございます。みなさまで、今農業関係のお仕事をされてる方ってどれくらいいらっしゃいます? けっこういらっしゃいますね、ありがとうございます。及川さんに質問とかないですか、大丈夫ですか? この流れで言ってもいいですよ。まだ大丈夫ですか、わかりました。

そうしたら、もう1個TwitterやFacebookのほうで質問が上がってたのが、セールスフォースの吉野さんのほうに。みなさん、セールスフォースって会社を知ってたって人、挙手していただいていいですか?

(会場挙手)

すごいですね。

吉野:すごい。

場所に応じてキャリアが変わるという概念がない

森戸:セールスフォースさんが、和歌山の白浜にサテライトオフィスを持ってるってことをご存じの方?

(会場挙手)

はい、ありがとうございます。和歌山にサテライトオフィスを作られて、東京で勤務されてる、東京エリアのJPタワーで勤務されてる方が、白浜まで来てお仕事をされてるんです。実際、こちらに来てまた東京に戻るっていう話もありますけど、吉野さんはそのまま移住するという選択をされています。

質問の中で出てたのが、「自分のキャリアの作り方として、東京で働いてる方が地方に来て、それから地方でそのまま移住してとか、自分のキャリアチェンジをして、そこの中から働き方を変えていく。それから女性の方だったら、育児とかそういうかたちの文脈でも、考えていくというようなことがあると思いますけど」っていうことで。

セールスフォースさんの中で、吉野さんの事例もそうなんですけど、いいキャリアチェンジとか、キャリアパスの作り方というところで事例があればぜひ教えてくださいという質問があったんですけど。吉野さん、いかがですか?

吉野:今、実際の私の業務というと、2つ仕事をしています。1つは営業組織の中でインサイドセールス。内勤の営業ですね。電話やメールを使って、全国のお客さんの対応をするという業務です。そこでまず案件を発掘するという、内勤の部門の仕事が1つ。

もう1つが、今度は営業組織の中で営業戦略室ということで、プランニングから、営業の分析から企画立案するという2つのチームを見てます。

そこのマネージメントをしてるんですが、実際、和歌山県に移住をして、地方で仕事をしてるんですが、やってる仕事は100パーセント、東京の丸の内と同じことをやってるんですね。会議に関してもテレビ会議を使って、100パーセント同じものを継続して実施をしてると。

よく地方に移住、転勤をされた方が言われるのが、その地方の中でどうキャリアを積んでいくか、たぶん不安な要素だと思うんですけれども、私はあまり考えてないですね。今、仕事の中ではインターネット端末さえあれば、日本中どこでも、在宅でも、海外でもできるという中で、場所に応じてキャリアが変わるっていう概念がもうないんですよね。

ひょっとすると今後、私は白浜から抜けて、在宅勤務の中でキャリアアップをする可能性もあると思うんで、場所イコールキャリアと直結しないというのが率直な感想です。