2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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麻野耕司氏(以下、麻野):エッジの立った人事施策をやって、それを組織としての色、いわゆるカルチャーにして、それを事業の強みにも活かしていくときに、経営者の「これはいる。これはいらない」というポリシーというか、背骨が通ってないと、なかなかみんな捨てられない。
たぶん一般的な会社だと、「いや、その社員の評価が間違っていたらどうなるの?」とか、いろいろ捨てられなくて、なかなかできないと思いますけど。柳澤さんの中にある、「こういうことは捨てられるけど、こういうことは捨てたくない」みたいな、考えるときのポリシーってあるんですか?
柳澤大輔氏(以下、柳澤):その観点では人事が比較的クリエーターなので、毎週「こういうことをやりたい」という施策や提案が上がってきます。その中で1つだけ明確なのは、ルールが増えるようなことはやりたくないということです。
社員数が増えてくると、どうしても規模に応じてルールが増えていきます。目指しているところは、「同じ規模の会社に比べるとルールが少ない」です。カヤックの場合、面白法人なので、なるべく多様性を受け入れたい。
もしルールを作る場合、「これをしてください」は作らないようにしています。「これは駄目です」というルールであれば作ることもありますが、それをなるべくないようにしています。
ルールは増やさない。イレギュラーな人が出てきてもルールを作る必要はなくて、個別に対応をすればいい、というのは人事の合い言葉になっています。そもそもが多様性を認める組織ですので、ルールを作らずに個別対応をする。それがまず1つです。
あとは、外部に発信することに重きを置いています。先ほどお話した「ぜんいん人事部」も、名刺に人事部と入っているだけで終わらせずに、それを外部に発信しました。
どう発信したかというと、「7月1日付けをもって、以下の社員を人事部に異動する」みたいな、人事通知書のようなサイトを作りました。そのサイトには全社員が載っていて、ヤフトピにもご掲載いただきました。
月間のエントリー数の増加を目的として、外部への発信とセットで施策を出したときに、一番人事がはまりました。外部に発信する視点のポイントは、わかりやすさです。やはり、わかりにくいものはまったく伝わりません。
月給ランキングの話が外に伝わってないのは、今お話したように非常に説明が長いため、外部にほとんど発信していないからです。ただ、会社の文化を作る肝としては、評価によって分割されることではあるかと思います。
麻野:今順番におうかがいしてきましたけど、それぞれの会社の色もあるなと思います。おそらく経営者の方のポリシーと、この事業やビジネスのモデルとカルチャーが、なんとなくつながってるのかなと。
今、柳澤さんのおっしゃったカヤックは多様性が大切なので、一人ひとりの多様性を発揮させるためにルールをなるべく少なく、おもしろくっていうことがある。それがおそらくビジネスの強みにも活きていると思います。たぶんフロムスクラッチだと、安部さんの考えていることをちゃんと答えられるかは、たぶんテスト。ぜんぜん多様性とか求めてなさそうな印象です。
どっちかと言うと、トップダウンで、みんなで1個のプロダクトを作る。安部さんの頭の中にあるビジネスを形にしていく感じだと思うので、「これ覚えろ」「これをしっかりやる」っていうことを大事にしているような感じがある。
逆にそれを突き詰めていくと、「全員採用やれ」「全員テスト受かれ」っていう感じにもなって、ああいうエッジになっていくのかなと。
経営者のタイプと、ビジネスモデルと組織、それをつなげる人事施策が尖って来ると強いのかなと感じました。では本間さんもヤフーの取り組みを教えていただければと思います。
本間浩輔氏(以下、本間):はい。優秀な経営者の話を聞きましたので、そこからコメントすると時代は変わったなと思う。人事施策に対して、企業のトップが関心を持つ。それを変えていくという時代になったなという気がします。
これまでの企業トップは、人事担当者が来て「ああです、こうです」って言うと、「そうか。お前に任せた」ということが多かった。それがお2人の場合は違っていて、人事観というか、経営観、仕事観が人事制度に反映されている。これは素晴らしいと思いました。
というのは、ある程度の企業規模になると、人事経験の長い人はできない理由ばかり言う。
麻野:(笑)。
本間:それは企業規模とか、どういう時代を生きてきたかによって変わるので、人事担当者のせいにはできないんですが、その意味では、今日ここにお集まりのみなさんには、経営が人事に責任をもつ、人事に丸投げしないということは、ぜひお伝えしたいなと思います。
もう1つは、カヤックの例がそうだと思いましたが、ユニークな人事制度が効果的な会社のPRの手段になっていると思います。これも、あまり昔はなかったです。しかもそれが経営者の、経営の理念と一致しているのは有効なPRと思いました。
ヤフーは、そんなにユニークではないですが、いろいろやっています。ルールになっているものと、ルールになってないものがあります。たとえば、ヤフーの場合は、かなり強引に1 on 1でやってもらっていますが、これは制度にはなっていないです。
麻野:そうなんですね。
本間:1 on 1は就業規則にも入っていないし、人財開発会議とか、いろんなものをやっていますが、基本的に制度になっていません。
あと、今日ご紹介しなきゃいけないのは、ルールのほうですよね。いくつかありますけど、2つだけ紹介して、(麻野)耕司さんにバトンを渡そうと思います。
1つは、「どオフ」について。 「どオフ」は「どこでもオフィス」という制度です。多くの人は、在宅制度とごっちゃにするんですが、ヤフーの場合はそうではない。ここに意味があります。
要は、「あなたが自分のパフォーマンスを上げるために、どこで仕事をすればいいのか自分で考えて」というのが、どこでもオフィスです。ネーミングにこだわるのは、ヤフーの文化だと思います。
「在宅でも仕事ができる」となると、在宅で仕事しなきゃいけない気になるけど、そうすると、目的があいまいになりがちです。
僕らが高めなきゃいけないのは「労働生産性」であり、「ビジネスに勝つ」こと。そのための働き方改革だとすると、個人が自分のパフォーマンスを上げるために、どこでどのように仕事をするのがいいのかを自分で考えて、そこで仕事をする。
それが、自宅であれば自宅がいいし、カフェがいいならカフェがいい、図書館がいいなら図書館がいい。お客さんの近くで仕事をするべきなら、そこでやろうというのが、どこでもオフィスの考え方です。
今日のテーマについて僕が申し上げたいのは、ユニークとかユニークじゃないかの議論も重要ですが、その裏側にある人事観というか、人や会社のあり方。そこは最初に話してくれた2人と一緒ですけど、それらを問い直すことが重要じゃないかなと思っています。
麻野:ちなみに、ヤフーは、働き方改革の流れがニュースに出ることも多いですけど、社員の働き方について取り組んでいこうと思われたのは、背景があるんですか?
本間:特段背景があるわけではないです。ただ最終的には、人事が考えるべきは、2つ。「社員の幸せ」と「会社の幸せ」。これらを考えていたら、メディアが面白いと思ってくれたということはあるように思います。
会社が利益を持って継続し続ける、100年200年生き延びる会社になることと同時に、社員も幸せにならなきゃいけない。その方法の1つが社員の仕事をする自由度を上げることだと思うんです。
その手の制度は、6,000人、1万人いると作るのは大変です。でもやはり、それでもやっていかなきゃいけないと思って、やっている。もう1つは、PR効果も否定できない。ヤフーでも、採用は苦労をしていて、普通通りにやっていたら人が採れない。このあたりは、前の2社と一緒ですが、必死にPRをしている。
麻野:ありがとうございます。ちなみに、ここに載っている施策は、選択肢を増やして、ある程度社員にいろんな裁量や自由を与えていく印象を持ちます。
そうすると、ヤフー全体としての統合とか、そういうものが薄れていくリスクについてはどう思われますか?
本間:結局、その会社のビジネス、会社の利益の源泉をどこに置くかですよね。メンタリティーとして「一緒に仕事したほうがいいよね」とあるけど、それで僕らが生き残っていけるのかを、ちゃんと議論していくと、あまり関係ないことが多い。
本間:人事は、できない理由ばかり言うんです。だけど本質的には、僕らが生き残って、社員がいて、社員の家族がいて、この人たちの生活を守るんだって考えたときに、なにをすべきか時間をかけて考えれば、精神論にはならないと思います。
麻野:考えるとき、利益の源泉とはなにかは、今日いらっしゃっている企業の方々も1社1社違うと思います。それに本当に合った働き方は何かをゼロベースで考えたときに、ヤフーではこれぐらいの働き方のほうがよかったと見つけた。もしくは見つけていっているということですかね?
本間:ヤフーでいくと、どこでもオフィスはそうです。これをやろうとすると、中間管理職はだいたい反対するんです。
どうしてかと言うと、「自分が1回2回在宅勤務をやっていたけど、ほとんど遊んでた」「だから、部下のことを管理できないから、在宅勤務は認めん」と言うんです。
でもヤフーはオフィスを移転した瞬間にフリーアドレスになっているし、仮に座席を固定しても、自分は会議でどこに行っているかわからない。自分が戻って来たら部下も会議でどこに行っているかわかんない。「じゃ、管理職の横に座ってたらわかるのか?」といえば、わからないわけです。
そういう状況にあるにもかかわらず、「なにかサボるんじゃないか」ということばかり言う。その程度の議論だと、働き改革はうまくいかないと思います。
麻野:ありがとうございます。
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