平均の残業時間はどれぐらい?

Aditya Mhatre氏(以下、Aditya):何かここまでで質問などありますか?

質問者:勤務時間はどれぐらいですか?

Aditya:そんなにクレイジーな感じではないですよ。(金村氏に向けて)平均の残業時間ってどれぐらいですかね?

金村ゆきえ氏(以下、金村):20時間ぐらいですね。プロジェクトや繁忙期、人によるんですけれども、25時間ぐらいが平均だと思います。20〜30時間ですかね。

Aditya:人によって少し偏りもありますね。自分の担当している業務状況にもよってくると思うので、すごく多くなる場合もいれば、人によって今週はあまり残業時間は多くない人もいるということで、そのあたりは常に確認をするようにしています。

なので、例えば何かのプロジェクトでものすごく残業時間が増えてしまったら次の週で調整する、というようなことをちゃんと確認するようにしています。

質問者:120人がオフィスにいて、プラス業務契約がいますよね。いわゆるPayPayの正社員で。

Aditya:いわゆるヤフー、もしくはソフトバンクから出向している社員も込みで、今120人ちょっとがオフィスにいる感じですね。(2020年3月時点)プラス業務を委託している人がいます。(2020年9月より完全在宅勤務制に移行)

質問者:120人の内訳はどうなっていますか?

Aditya:約100名がエンジニアで、あとはデザイナーやプロダクトマネージャーなどですかね。

質問者:サービスローンチに初日からいた人たちの責任やキャリアパスというのはどんな感じなのでしょうか?

Aditya:Day1(サービスローンチ初日)からいた人というのは、最初のキャンペーンからいろいろな障害を乗り越えているわけですよね。そこでの経験はほかとは比較にならないものだと思っています。技術だけでなく、精神的にも非常に成長したと思っていますし、マネージャーとしても成長したと思います。

先ほども言ったように、肩書が何か変わったということはないんですが、責任範囲は広がっています。例えば、ある人物は、最初はソフトウェアエンジニアからスタートして、今はモジュールのマネージャーをやっています。それ以外にも、今後、複数のモジュールを担当していくのではないかというところまで担当領域は広がっていますね。

エンジニアの組織図

質問者:テックリード・モジュールリードがいると言っていましたが、テックリードが全員モジュールリードに上がるわけではないのでしょうか?

Aditya:では、そこのホワイトボードにちょっと書かせてください。

※2020年3月時点

これが組織図になるのですが、プロダクトヘッドの下に、プロダクト本部というのがあります。ここにPMOが来ます。その下にプロダクトマネジメントチーム。そのほかにデザインチームとエンジニアリングチーム。

エンジニアのチームはバックエンド・フロントエンドに分かれていて、そのバックエンドの下がさらに12〜13のモジュールごとに分かれています。そのモジュールのところにそれぞれモジュールリードがいる。ここにテックリードというのがいます。

これは、僕は社内の通称として呼んでいるだけで外向けではないのですが。このテックリードがここに直接レポートをしていきます。ここにデザインリードがいて、PMリードはいないんですね。なので、今PMリード募集中ではあるのですが、いる人から昇進させていくかなという感じです。アソシエイトPMがその下にいます。

ただ、これは役割であって、外向けの肩書としてはプロダクトマネージャーということになります。これが組織ですね。テックリードがいくつかのモジュールを担当していく。

ここにいるリードがアーキテクチャを決定していくので、ここにいる人がいろいろなものを適切に使っているかというところをチェックします。開発者が正しいかというのもここでチェックしていきます。その下に当然、エンジニアという肩書の人たちがくるわけです。なので、役割としては全員がソフトウェアエンジニアということになります。

応募者に関しては、期待値ですよね。実際に私たちが何を候補者に対して求めているかというと、積極的な人がほしい。指示を待ってぼーっとしているような人は結構、という感じです。なので、積極的に自分からイニシアティブをとって行動していく人。ずっと座っているだけで何にもしない人はいらないと。

例えば「自分が活用されていない、自分の実力でうまくいかないなと思ったら、誰かのところにいって相談してくれ」ということも言っています。ここは非常にわかりやすいかなと思うんですが、そのままですよね。例えば「質問してくれ」とか。ビジネス関連でもマネジメント関連の質問でもなんでもいいので、とにかく何かあったら質問してくれというのは常に言っています。

候補者の多くは、自分はある程度よくできているエンジニアだと思っているんですね。ですが、候補者と面接で話をするときに、あまりプライドが高い人はちょっとノーだなと思っています。例えば、質問してもなんだかまったくわかってないのにわかっているつもりでいる人は結構、という感じです。

PayPayの技術スタック

Aditya:ほかに何か質問はありますか?

質問者:(面接で)テックリードがたぶんテクニカルの質問をするかと思うんですが、Adityaさんは何をなさっているんですか?

Aditya:私は最終面接ですね。

質問者:何を見ていらっしゃるんですか?

Aditya:さっき言ったところです。技術というのは、自分で学ぶことができますよね。ほかのことは教えることができる。ただ、先ほど言ったところに関して「あれ?」となった場合は、たぶん変えることができないと思うので、そこは僕がチェックをするところです。

ただ、僕が面接をすることがだんだん減っているんですね。みんなと話したいなとは思っているんですが、僕のスケジュールは非常にタイトで(面接のスケジュールを)ちょっと遅れさせてしまうこともあるので。ですが、例えばある程度シニアレベルの人には必ず会うようにしています。

金村:(キャリアが)10年以上だったり、シニアレベルだなと人事判断が入った時などにAdityaさんに入っていただくというかたちですね。

質問者:何か技術スタックもしくはテクノロジーで変更しようというところはありますか?

Aditya:そうですね、TiDBを導入したところなんですが、AWS上でTiDBを使っているのはたぶん日本では私たちだけですね。たぶん世界でも1社かなとは思っています。3日ほど前にマイグレーションを終えたばかりですが。なので、そこが新しいかなと思います。ほかのベーシックなスタックに関してはほぼ変わりません。

今ユーザー調査などでは「クレジットカードの次の決済手法としてはPayPay」というぐらい順位が上がっているんですね。そこまでの地位に押し上げたということで、システムを今後もどんどん拡張していって、これから今後増えていくユーザーに対して用意できるようにしようということは思っていますね。

エンジニアの採用予定人数

質問者:ほかによく受ける質問なのですが、日本ではリソースが非常に限られていると。とくにエンジニアのリソースは非常に限られていますよね。日本の中にはあまりいいエンジニアが残っていないということで、今はビッグデータを扱えるエンジニアが必要だと思いますが……。

Aditya:Data as a Serviceというのをちょうど始めたばかりです。4人いるんですかね。このチームを大きくしていこうと思っています。Paytm、ソフトバンク、ヤフーがバックにいるというのはありますが、PayPayというのは独自の会社だと思っていますので、独自で開発していく必要があると思っています。

なので、すべてのチームが効率よく回るようにするのが非常に大事な課題になってきていて、それを可能にするために今後もどんどん採用していかなければいけないと思っています。

金村:今年の4月以降は、エンジニアとデザイナーとプロダクトマネージャーとITコントロールと、全部合わせて120、130人ぐらい追加で採用する予定です。

Aditya:150人がターゲットですね。

質問者:PayPayのことをよく、ソフトバンク・ヤフーが出資している会社で、日本の企業文化だということを言う人がよくいて、「そうじゃないよ。PayPayというのはぜんぜん独自だよ」と。「確かに法的には日本の企業だけれども、プロダクトチームに関していえば何にも日本らしいところはないよ」という説明をよくしています。ほかになにかいい説明はあるでしょうか?

Aditya:例えばHRチームは、KPIの1つとしてブランディングを今後強化していこうという話をしています。PayPayの1日の流れはどんな感じだろうというのを話してみてもいいし。あとは、単に仕事を一生懸命やっているだけではなく、シャッフルランチなどのイベントもしょっちゅう開催してるんですよね。日本人のエンジニアと外国人エンジニアが一緒に座って話すイベントなんですが、そういうこともやっていたりするわけですよ。

そういうことを今後は候補者の方に伝えていかなければいけないかなと思っていまして、そのためのPRキャンペーンを実施しようということも話し合っています。日本らしさがいい意味でない企業だというのを伝えていくのが大事なことで、本当にそこは賛成なのですが。それで回答になっていますか?

質問者:はい、ありがとうございます。

面接でのライブコーディング

Aditya:例えば面接の数やライブコーディングなどで、何か問題になっていることはありますか?

質問者:いえ、ほかと比べるとぜんぜん問題ないと思いますね。非常にシンプルなプロセスだと思っています。エンジニアによっては、「選べる言語のチョイスがあまりない」「Javaじゃなきゃいけない」という声は聞きます。

Aditya:でも、違う言語でもぜんぜん問題ないですよ。

質問者:バックエンドってバックエンドにフォーカスしますよね。でもフロントエンドはフロントエンドというよりフルスタック寄りというイメージがありますが、それは今後もそのままでしょうか?

例えばフロントエンドでJavaScriptが得意という人はいますが、「Javaはあんまり……」という人がいるわけですよね。フロントエンドに特化しているからフロントエンドなわけで。フルスタック的な人を採っていくのは変わらないんでしょうか?

Aditya:ネイティブエンジニアではなくて、Webエンジニアを多く採っているという質問でよろしいでしょうか?

質問者:はい。

Aditya:今ちょうど製品を進化させているわけですよね。ネイティブというのは今までの過去の事例に関しても非常にキープアップしていくのが難しい、簡単に変更を加えることができないということがありまして。

先ほどのスーパーアプリのスライドを覚えていらっしゃいますか? ネイティブでああいったことを全部リリースしていこうとすると非常にコストがかかってしまうんですね。それをWebでやっていくとサービスをより早く提供できるということがあって、Webチームを拡充していこうとしています。「5人ネイティブ・5人Web」という採り方をするかもしれません。

コアのところはもうできているので、Webに関して変更を加えていくと。Webのところにサービスを追加していくわけですので、Webを拡充していきたい。ネイティブよりもWebのエンジニアを今後は採用していきたいと思っているのは、それが理由ですね。

給与がどのくらい上がるのか

Aditya:ほかに何かありますか?  ……あとは給与を改善したほうがいいと。わかりました。給与を上げるというのは別にぜんぜん問題ないんですよ。この人は価値があるとわかれば、ぜんぜんアップするのは問題ありません。安く人材を買おうとしているわけではなく、いい人材であればお金がかかるということはよく理解しております。

質問者:そうですね。市場のほうが今ちょっとコントロールが利かないという状況ではありますよね。その流れで給与が上がっている感じはします。

質問者:候補者でFacebookのオファーを辞退した人がいるのですが、その理由が「スキルアップができない」「勉強するチャンスが欲しかった」と。例えばメルカリとかそういうところはセミナーをやるんですね。ところがFacebookではやらないので、スキルアップをするチャンスがないと。

Aditya:それに関しては、PayPayでは、例えば国際的なカンファレンスに参加するのはOKになっていますし、それを権利化しようとは思っていませんが、「それだけの価値が君はある」となれば、行きたいならOKというのを特例措置としてやろうとしています。

ただ、個人的には、「いつでもカンファレンスに行きたいなら海外旅行していいよ」と言うのは、ちょっと抵抗があるんですよね。ですが、もし例えば何らかのニーズがあって、こういうカンファレンスに出たいということであれば、それはOKだということは伝えています。ただ、それは特権であって権利ではないということを認識してほしいということはよく話しています。

“ジョブホッパー”に対する評価

質問者:この(候補者のレベルの)「Super Good」という定義なのですが、コードがよかった、コミュニケーションスキルがよかった、どういうところで判断するんでしょうか?

Aditya:例えばコーディングチャレンジなのですが、これはある程度この候補者がどれぐらいポテンシャルがあるのかというのを見るジャッジの1つにはなります。ただ、完璧ではないので、そこ以外も見ていきます。例えばそのあとの面接の中でもいろいろな質問をしています。

最終的には採用活動をしている人たちの経験に頼っていろいろなことを決めていくわけですが、完璧な答えはないんですね。例えば、テクニカルスキルではOKという人がいても、僕のフィルターチェックには合わなかった人がいて、その人はお断りをしたということが、つい最近ありましたね。面接をしてみると、「この人はちょっと一緒に仕事をするのは厳しいな」というのがやっぱりわかりますよね。

質問者5:そういうことであれば、コーディングというのは一番最初のファーストステップとしては非常に大事なものさしになっているということでよろしいでしょうか。

Aditya:そうですね。

質問者:日本文化に関することですが、例えば日本の人ってすごくリテンションが長いんですね。ところが、ITに関しては、簡単に転職してしまう。転職しないかぎり新しいテクノロジーを学ぶことができない。そういうことでジョブホッパーが非常に増えているかなとは思うのですが。

Aditya:それに関しては僕もすごく複雑な気持ちですね。はっきりした回答はないんですけど、レジュメでどれぐらい転職しているのかというのは必ず見ます。それでどのぐらいこの人がコミットするのかはわかりませんが、参考にはなります。

ただ、その方向性も見るようにしています。例えば、どこでもランダムに転職しているのか、それとも同じ産業の中で移動しているのか、転職先がその人にとってキャリアップになっているのかどうか、というところですね。その人の方向性というのを見ますかね。

金村:みなさん、ありがとうございました。