ブロックチェーン競馬ゲーム『CryptoDerby』開発者が語る、“稼げるゲーム”ができるまで

CryptoDerbyの実例を元にしたハイブリッド・ブロックチェーンゲーム開発 #1/2

TECH×GAME COLLEGE#15
に開催

2019年3月6日、『神姫PROJECT』などソーシャルゲームの企画・開発を手がける株式会社テクロスが主催するイベント「TECH x GAME COLLEGE」が開催されました。第15回となる今回のテーマは「CryptoDerbyの実例を元にしたハイブリッド・ブロックチェーンゲーム開発」。株式会社プラチナエッグ代表取締役CEOの竹村也哉氏が、ブロックチェーンゲーム開発の今を語ります。前半パートの今回は、竹村氏が開発している『CryptoDerby』の開発をはじめた経緯や、ブロックチェーンゲームの現状について語ります。

提供:株式会社テクロス

ブロックチェーンゲーム開発の舞台裏

竹村也哉氏(以下、竹村):竹村です。よろしくお願いします。ちなみに、どういう方が来られてるか、ざっくりお聞きします。ブロックチェーンゲーム開発系の方は?

(会場挙手)

すでに開発している感じですかね。じゃあ、エンジニア系の方?

(会場挙手)

ディレクターや企画系の方は?

(会場挙手)

わかりました。人数はそんなに多くないので、適宜質問していただいても大丈夫です。それでは、よろしくお願いします。

私はいま『CryptoDerby』というプロジェクトを運営しています。今日は「企画の立ち上げはどんな感じだったか?」という話と、「他のタイトルと比べて何が違うのか」という差別化についてと、「実装や開発はこんな感じでやってます」といったことをお話します。

私の説明ですね。私はプラチナエッグという会社をやってまして、だいたい20年ぐらいゲームを作っています。Webやブロックチェーン系の人間というよりもゲーム系の人間として、ブロックチェーンゲームを作っている人間です。

サターンやドリームキャストあたりからプログラマーをやっていて、その後会社を作って、ソーシャルゲームからブロックチェーンゲームに至ったという感じです。

『CryptoDerby』の説明なんですが、わかりやすく言うと仮想通貨を用いた競馬のようなものを目指して作っています。ブロックチェーンゲームを用いていますが、「ブロックチェーンって何だろう?」とか、「わかんない」とか、「仮想通貨儲かりそうだ」みたいな、そうしたユーザー層を拾いにいけるのではないかと考えて作っているプロジェクトです。

『CryptoDerby』は「稼げるゲーム」を謳ってやろうとしています。正直ブロックチェーンゲームって、「お金が儲かるんじゃないか」と思って入ってくる人が、ユーザーの大半なんです。

「ブロックチェーンゲームってめちゃめちゃおもしろいんじゃないか」と思って入ってくるユーザーは、実際のところそれほど多くなかったので、「稼げるゲーム」を謳ったほうが良いだろうということで、現在はこういったコンセプトでやっています。実際、競馬の市場は3兆円ぐらいあるので、ここを取れればけっこういけるんじゃないかと思ってがんばっている次第です。

『CryptoDerby』はざっくり言うと、バーチャル競馬です。ユーザーは馬主になったり、馬券を買ったり。競馬場や馬やジョッキーといったものがありつつ、バーチャルJRAみたいなものがあり、馬とジョッキーと馬主と馬券と競馬ファンを順繰りに回していこうかなと考えています。

現在は競馬場もブロックチェーン上でトークンとして売ろうとしています。競馬場があればユーザーは儲かるし、馬主になっても儲かるし、いろんなことがやれるのではないかと思っております。なので、仮想通貨の競馬で、馬券も競馬場も馬もジョッキーも入って全部入り、というものを目指しています。

ビジネスモデル

ビジネスモデルです。ブロックチェーンゲームにはいろいろなモデルがあると思いますが、かなり本物の競馬に近い感じでやれていると思います。

ユーザーに競馬場を買ってもらうと競馬場の収入がユーザーに入ったり、馬を買ってもらうと馬主として収入が入ったり、そういうことをやろうと思っております。

おそらくここにいる人は、ほとんどがブロックチェーンゲームを知ってる人だと思いますが、いまブロックチェーンゲームは黎明期です。ソーシャルゲームでいうと、『怪盗ロワイヤル』や『パズル&ドラゴンズ』が登場したくらいですね。そういったものが出てから上がっていったので、いまのうちにブロックチェーンゲームをやっておけば、天下が取れるのではないかと思ってやっています。

今日は「企画をいつぐらいから練ってたか?」といったこともお話ししようかと思っています。そもそもこの企画を立ち上げたのは2017年ぐらいでした。

2017年に『Bithunters』というプロジェクトの開発を行ってまして、そこは『Pokémon GO』みたいなゲームを作ろうと言っていたんですが、その後は仮想通貨を絡めてプロジェクトを進めようとしていました。そのあたりからゴニョゴニョと、Ethereum関係をうちの会社でいじったりしていました。

その後、「ICOじゃなくてもっと変なこともできるんじゃないか?」「『VALU』の派生みたいなものできるんじゃないか?」みたいな企画を練っていました。

「女優さんの『VALU』みたいなものができるんじゃないか?」という企画を練っていたのが2017年11月ですね。これもけっこうおもしろいと思っていましたが、制限があってできませんでした。

そうこうしているうちに、『CryptoKitties』が2017年12月ぐらいに登場しました。「これだったら、もっとゲームっぽいものができるんじゃないかな?」みたいな話とか。『CryptoKitties』は当時すごく儲かっているという噂もあったので、「これは絶対ブロックチェーンゲームはいけるぞ」と思って、いろいろ企画を練っていました。

これで2017年12月、2018年1月頃にアイドルゲームを作るか、競馬のゲームを作るかという企画書を立ち上げました。

これも他の会社さんと組んで、『VIRTUAL DERBY』というタイトルでやろうとしました。競馬のゲームで、Ethereumでいけるんじゃないのかと、この頃からがんばっていました。

その後、すこしdouble jump.tokyoさんの『My Crypto Heroes』のヘルプをしつつ、自社でブロックチェーンゲームに注力することになりました。

モックの作成と資金集め

最初に作ったのはUnityでモック作成ですね。当時「ブラウザでやるしかなかろう」と思いながら、Unityならモックを1週間ほどで作れるので、レースゲームのモックを作ったりしていたのが4月ぐらいでした。

これで、「ブロックチェーンのゲームで競馬だから、儲かりそうだから投資家集まるんじゃないかな」と思って4月ぐらいからやっていたんですが、ぜんぜん投資家集まりませんでした(笑)。

ちょっとうまくいかなさそうだったので方向転換して、自社でお金を集められる範囲でいろいろやっていこうとしたのが5月6月です。

そのあたりで、ある程度お金が集まる目途が立ってきたので、5月6月ぐらいにスケジュール立てて、7月も人を動かして、去年の11月ぐらいにリリースしようと思ってがんばっていたんですが、実際にはぜんぜんできず。見通しが甘かったんですが、結局今年の1月ぐらいまで伸びてしまいました。

「海外でお金集めたほうが良かろう」ということで、韓国や中国に行ったり、ニューヨークに行ったりして人脈を作ったりしたのが去年の11月とか10月ぐらいです。

これが企画の立ち上げから去年の12月ぐらいまでのフェーズです。これらのことをやりつつ、「他とも差別化しなければいけないよね」ということで、いろいろ考えてやってたんですけれども、このあたりのお話しもしたいと思います。

ブロックチェーンゲームにおける課題

『CryptoDerby』は「ブロックチェーンゲームとして次の世代のものを目指したい」と思ってがんばっています。おそらくブロックチェーンゲームの現在の問題というのは、ウォレットアプリが必要だったり、あまりおもしろいゲームがない、グラフィックもソーシャルゲームほどではないなどです。こうした問題を解決したいと思っています。

そのために、サイドチェーン的なものや、あとはウォレットアプリなしでやれるとか、ブラウザで3Dでやれるとか、そういったものを入れています。いまも基本的にはこの方針に対応できているので、「これが全部ちゃんとハマれば、競争力高いプロジェクトになるだろうな」と思っています。

ブロックチェーンゲームを作るときに、ウォレットを必要にするのか、しないようにするのか、けっこう悩まれると思います。

例えば『My Crypto Heroes』の場合は、ウォレットが基本必須になっているし、Ethereumベースになっています。そうじゃなくても、ウォレットなしでやれるんじゃないかということでやっています。

こういったかたちは今はレアですが、おそらくどちらかというと、今後はこちらが主流になっていくと思っています。ウォレットなしでやれたほうがユーザーは絶対増えるし、そもそもEthereumベースじゃないほうがユーザーは増えると考えています。

あとは、ウォレット不要とセットなんですが、基本はオフチェーンです。オフチェーンでやったほうが絶対にレスポンスは速いです。『CryptoKitties』なんかはどうしても遅かったし「全部オフチェーンでやるぐらいの勢いのほうが良かろう」と思っています。

あとはグラフィックですね。WebGLなどを使えば3Dで出るので、メインどころだけ3Dを使って、あとはHTMLのブラウザゲームのような遷移を組み込みながらやっています。

このあたりは当初の想定からあまり変わっていません。これも当初から考えていた、UnityかWebでフロントを作って、あとはオフチェーンサーバーやパブリックチェーンがあって、そのあたりを行き来してやれるんじゃないかと思っています。そしてピンクのところ、PayPalなどで課金を入れれば良いのではないかと考えています。

これは去年の4月ぐらいに書いた図なので、基本的なところは同じです。実際に開発されてる方ならわかると思いますが、パブリックチェーンで全部オンチェーンというのはほぼ不可能です。遅いし、ガス代高いし。実際ほぼ無理なので、オフチェーン重視の理由は開発したらすぐに無理だと普通はわかると思います。

あと、サイドチェーンのプロダクトがいくつかあるんですが、実際にまともに動くものはほぼありません。とくに昨年の夏ごろにうちが使っていた段階で、実績があるサイドチェーンはありませんでした。

Loom Networkもまだα版みたいな感じだったので、うちが使う選択肢はほぼありませんでした。あと、BOLTというものを一瞬使おうとしてたんですが、「どうしようかな……」って思ってるうちに、全部自社開発でもいいんじゃないかとなって、結局オフチェーン部分は自社開発している感じになっています。

これが結果的に、うまい方向に転がりました。なぜかというと、オフチェーン重視でやっていくと、考えがクリアになりました

現在のブロックチェーンゲームは、Ethereumの上やパブリックチェーンの上でスマートコントラクトを動かすことをベースで考えているチームがけっこうあると思うのですが、「Ethereum、本当に良いのか?」というと、けっこうあやしいところがあります。

では、Ethereumが無理になって、EOSやTRONとかに乗り換えってなったときに、オンチェーンベースでやってしまうと、乗り換えが非常に大変です。

でも、オフチェーンベースでやっていて、データベースにメインがあって、サブがパブリックチェーンになっていれば、EOSやTRONへの乗り換えもすぐ可能ですし、他のものにつなげることもすぐにできます。なので、これはうちとしてはいいんじゃないかな思い、同時にTRONやBitcoin Cashなどとつなごうと並行してやっています。

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TECH x GAME COLLEGE

TECH x GAME COLLEGE(テック ゲーム カレッジ)は「渋谷でちょっといい人呼んでゲーム勉強会」をテーマに、エンジニアのための活動しています。

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1 ブロックチェーン競馬ゲーム『CryptoDerby』開発者が語る、“稼げるゲーム”ができるまで
2 ブロックチェーンゲーム開発の現在地 『CryptoDerby』における技術的工夫

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