2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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森正弥氏(以下、森):本日の講演の概要の中でも言及している、3ディメンジョン・モデルとは何か? という話です。(スライドを示して)これは3ディメンジョン・モデルの一番わかりやすい図解で、このあと、どう計画を立てるか、リソースを立てるかみたいなモデルが続きます。
本日はこのスライドだけですが、どうやって先端技術の活用を考えるかを普通に考えると、基本的には自分の守備範囲での適用だけに留まって、本来的なイノベーションを起こせないという問題があります。
その視野を取っ払って、多くのステークホルダーと議論するための枠組みとしてあって、かつそのあとのさまざまなプランの具体化みたいなところまで揃えているものになる。例えば横軸に時間や難易度を取って、縦軸に期待成果あるいはインパクトを取ると、3つの次元が存在するというところが、最初に与えられているものとしてある。
1つは組織内での適用ですよね。組織の業務の改善をしていくとか、それによって可視化を図っていくとか、それによって自動化を行っていくというものです。ただそれは組織の生産性を上げていくというところに基本的には留まる。本当はやはり、自社のビジネスのお客さんのことを考えたい。お客さんに対してどういう新しい価値が作れるのか。例えば生成AIがどう適用ができるのかを考えていきたいわけですね。
例えばその1つのアイデアが、先ほどのAIコンシェルジュだったりAIアバターだったりする。でも実はそこに留まらず、さらに言うと取引先とか、関係会社とか、あるいは業界を踏まえたエコシステムがある。そのエコシステムやバリューチェーンのあり方を変えていくところに生成AIの活用がある。あるいはそういう生成AIを作っていくという話がある。
先ほど、(スライドを示して)こちらの話の中で創薬の話をしましたが、実際に今はアメリカのFDAの許認可で承認を受けて臨床まで進んでいる、AIがデザインした薬が20個以上あるんですね。新しい薬をAIでデザインしていくというのがだんだんメインストリームになりつつある。今の製薬業界は、日本の企業もすごくグローバル化しているのですが、製薬事業は大量にNVIDIAのGPUサーバーを購入していて、ここにすごく投資をしているんですね。自分たちで生成AIモデルを作って、創薬をすごくやっている。しかも今はその投資の競争が行われている世界観です。
その中でいくと日本のプレゼンスは、世界から見るとあまり高くない。例えば製薬業界におけるAIの活用とか、テクノロジーの活用とか、今後のトレンドみたいなところから見ると、他の国のレポートは上がっていくんですけど、日本のレポートが上がってこないということが、ここ数年ちょっと続いていたんですよね。
ですが最近、三井物産さんと日本の製薬企業が組んで「Tokyo-1」というプラットフォームコンソーシアムを作って、製薬企業としてのGPUの活用やAIの活用を進めていくという取り組みが、今すごく国際的にも注目されている取り組みとして出てきています。要は生成AIも使って創薬を変えていこうという話です。
それは日本の各製薬企業さんが参加している取り組みなんですが、まさにここで言っている業界のエコシステムを変えていくという話です。そこが今ちょっと始まろうとしている。このD1、D2、D3という次元を、いかにそれぞれやっていくかというところが大事かなと思っています。それがこの3ディメンジョン・モデルです。
もうちょっと時間があるようなので。日本はAIの活用がだいぶ進んでいるんですが、未だに遅れている話もあります。それは何かというと、AIのリスクへの対応という話です。セキュリティの話もそうですし、規制への対応という話もそうですし、倫理に関しての問題とか、透明性とか、説明可能性とか。(スライドを示して)これは緑が日本企業の平均で、黒が世界の平均です。
世界の平均から遅れているという話で、日本はアクセルをすごく踏みまくっているのですが、ブレーキが整備されていない状態です。でもアクセルだけだと、やはりどこかで止められちゃいますよねみたいな。あるいは進むべきところに進めないですよねみたいな。なので、ブレーキが必要ですというのがポイントです。
生成AIもAIなので、さまざまなリスクがある。(スライドを示して)こちらの左側に書いているのは、ChatGPTを例にとった生成AIの特徴です。あるいはその強みをちょっと書いています。言葉で操作できる汎用性があるよね、性能が高いよね、パラメーター数がすごく多いとか、自然な受け答えを実現していますみたいな話がある。
それに対応するかたちで、従前のAIのリスクがマッピングできる。それは、情報漏洩のリスクとか、プライバシーの話とか、あるいは安全性とか、正確性とか、公平性とか、バイアスがあるんじゃないかみたいな話です。さらに言うと、生成AI独自の特徴によって新しいリスクも出てきていて、リスクが多様化しています。
先ほど「どういうふうに使っていますか?」と聞いたところ、バックオフィスやフロントオフィス問わず、いろいろな部署で幅広く使われるという回答があったとお話ししましたが、つまりそれは今までにない状況で、みんなが使っているということはリスクがすごく偏在しているし、多様化しているという話でもあるんですね。
さらに言うと生成AIはみなさまも日々感じている、いわゆる著作権の侵害のテーマがあるわけですよね。例えば、新卒向けの研修の新しい企画を考えたいと。新卒の研修の企画を書いて「村上春樹風に」と言った瞬間に、村上春樹っぽい文章が出てくるんですね。それはいいのか? みたいな話がありますよね。著作権の問題をどうコントロールしていくかみたいな話がある。
こういう各リスクポイントを踏まえながら、コントロールしていく必要があるよねというところがあります。システム的にどう対応するかみたいな話なんですけど、これは先ほどのパナソニックさんの事例ですが、進んでいる日本の企業はこういうことをやっています。プロンプトを分析して、有効性を見つけたり、リスクも発見したりという事例でもありますが、プロンプトガバナンスをグルグルきちんと回しています。
論点を4つと書いています。要するに投入されているデータ、連携しているデータの入力が大丈夫かという話もあれば、出力が大丈夫かという話もあって、そういうことをきちんと分析しながらガバナンスやコントロールをしていく必要がありますよねというところです。
それで見つけて反映しながらPDCAを回していくし、世の中の動きに反応して改善していくので、ここもアジャイルでトータルでやらなければいけないというテーマになります。アジャイルであることが必要であるという話になっていきます。
ちょっとこれは宣伝っぽいスライドになっていますが、我々の宣伝を抜いても、業務の適用、先進的な活用においても、リスクの対策を最後はきちん入れながら全体で活用していきましょう。
いろいろな活用が進んでいるわけですが、大事なのは、実は3つの次元があるということで、どういう活用まで広げていくかが追及できればと思いますし、本当に日本は非常に進んでいるので、これを突破口として新たな次元に進んでいければとちょっと思っています。すみません、拙い説明がいろいろあったかと思いますが、ご清聴いただきましてありがとうございました。
(会場拍手)
司会者:森さま、ご講演ありがとうございました。ここから5分間のAsk the speakerに移ります。森さまにご質問のある方は挙手をお願いいたします。いかがですか?
(会場挙手)
質問者1:お話をありがとうございました。ぜんぜん専門分野じゃないのでズレた質問だったら申し訳ないんですけど。生成AIを用いるとなると、どうしてもその分の電力がかかってしまう。OpenAIが使っているChatGPTも、原発1基分の電力がかかってしまうみたいな記事も読んだことがあるのですが、そういうハード面の課題をどのように考えているのかをちょっとお聞きしたいです。
森:はい。ハード面の課題というのは、まさに今国際的に議論がされ始めていますね。2022年の11月から2023年の1月、2月にかけては、ChatGPTのブームの中で、グリーンの問題といいますか、電力消費量の問題をちょっとみなさん脇に置いちゃった感じがあるんですよね。なんですが、この問題はやはりすごく大きな問題だよねと改めて問題定義がされ始めて、今は国際間で非常に議論をされています。
NTTさんが独自の国産LLMを出しましたが、それはぜんぜん低い電気使用量でもGPT-3.5を上回る性能で出す感じになっています。生成AIのブームでGPUの調達がすごくしにくくなっていることも合わせて、電力やエネルギーをぜんぜん使用しないけど性能は2,000億のパラメーターにも匹敵するような小型のLLM開発がけっこう進んでいくと思います。
キーとなっていくのは、たぶん製造業の工場でのLLM活用とか、あるいは金融での活用。金融は、顧客データや基幹系システムをインターネットに接続できないので、そういうところでのオンプレミスへの活用みたいなところを皮切りに、効率性が高くて電力使用量が少ないLLMの議論はけっこう進んでいくんじゃないかなと思います。
質問者1:よくわかりました。ありがとうございます。
司会者:ありがとうございました。
司会者:その他にご質問はいかがですか?
質問者2:大変すばらしい基調講演をありがとうございました。顧客のインタラクションの話の動画がすごく印象的だったのでおうかがいしたいんですけれども。NVIDIAというシリコンバレーの会社で、どんな活用ができるかみたいなことをずっとされていて、今回のピザの注文も「こんなふうにできるようになるんだよ」というデモだったと思います。
例えば日本の市場では、インターネットの普及によってタッチパネルで注文ができるようになったり、店員さんとインタラクションしないことに効率化が出ていたのかなと。食券文化なんかももちろんあって、そういうふうになっているのかなという個人的な意見があります。
例えばこれまでのコールセンターなどの導入がすごく良い例かなと思うのですが、顧客体験の中に生成AIが入ることによって、よりヒューマン・インタラクションが必要でなかった分野……例えば食券とか、インターネットとかで注文できるものがわざわざアバターと会話をするようになるように動いていく、技術がアベイラブルになることによって市場のプリファレンスが変わるというか。
例えば今の3ディメンジョン進化で考えると、私だったら人と話すのが苦手だから、もしかしたらマクドナルドとかでモバイルオーダーをしたいかもしれないと思うんですが。実際にアバターがアベイラブルになることによって、顧客側のニーズが変わることもこれからはあるのかなと思っています。
森:そうですね。今のそのご指摘はけっこう重要だと思っていて、変わる部分もあるし、タッチパネルのほうがはるかにいいということもありますよね。例えば悩んでオーダーが決められない人も、タッチパネルだと「うーん」と考えていられるのでタッチパネルのほうがいいと、やはり思いますよね。なので、それはユースケースにもすごく寄っていく部分もあるかなと思うんです。
おっしゃったように、実はインターフェイスはけっこう好みの問題があって、社会的にこっちのほうがいいよねみたいな雰囲気の中でそれが選ばれている面がある。タッチパネルはもうすでに普及しているよねという話の中で、インタラクションをしていくものがどれぐらい広まっていくかというのが、もしかしたらあるかもしれないなと思います。
本日はお見せしなかったんですが、複数の人がアバターの前に立って、アバターとも話すんだけど、隣の人とも「違うよな」とか話しながらやっていくデモがちょっとあります。それも今は普通に対応できるようになっていて、そういうのを見ると別に悩んでいてもぜんぜんOKそうな感じにもなるので。もしかしたら技術によっては、そういうタッチパネルの良さも吸収しながらやっていくことがあるかもしれません。ただ、今おっしゃった話はまさに重要なポイントなのかなと思います。
質問者2:ありがとうございます。個人的には「Alexa」とかもそうなんですけど、ポンッと回答を求められるとドギマギすることがあったので(笑)。
森:(笑)。わかります。
質問者2:おもしろい観点かなと思いました。ありがとうございます。
森:ありがとうございます。
(会場拍手)
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