第3回 TORYUMON TOKYOがスタート

栗島祐介氏(以下、栗島):みなさん、よろしくお願いします。まず簡単な自己紹介から。私、モデレーターの栗島から簡単に紹介しますと、起業家コミュニティーとかスタートアップリストと呼ばれるような、起業家と投資家を繋ぐプラットフォームをやっております。よろしくお願いします。

では、順番にお願いします。

伊藤和真氏(以下、伊藤):株式会社PoliPoliの伊藤と申します。僕は政治家とまちづくりができる「PoliPoli」というアプリを作っていて、代表をやっています。

前は、このイベントを主催しているF Venturesというところでインターンをしたり、あと、俳句が好きだったので俳句のアプリを作ってそれがたまたま売れたりしました。ベンチャー界隈がすごい好きで、いろいろやっている感じです。

登壇者の小川嶺さんと昨日温泉合宿して、今日はそのまま来た感じです。いろいろ楽しくお話しできたらと思っております。よろしくお願いします。

(会場拍手)

小川嶺氏(以下、小川):タイミーの小川と申します。今すぐ働けて今すぐお金がもらえるっていう、単発バイトサービスをやっています。

知ってる人はいますか?

(会場挙手)

情報感度が高いですね、うれしいな。今日は、なんでそのアプリ作ったのかとか、今後どうやっていくのかについて話せたらと思います。ぜひよろしくお願いします。

(会場拍手)

ワラガイケン氏(以下、ワラガイ):ecboのワラガイと申します。荷物預かりサービス「ecbo cloak」を運営しています。

ほかの3人と若干違うところが、一度社会人経験をしていることで。広告代理店に勤務してから起業したので、今日はそういった視点からお話しできればと思っています。よろしくお願いします。

(会場拍手)

栗島:よろしくお願いします。

参加者の15パーセントを高校生が占めている

伊藤:みんな固くないですか?

栗島:最初なので、話していくうちに柔らかくしていければ。

伊藤:そうですね。「#FV登竜門」でツイートしてもらったら、質問とか広げられるのでうれしいなと思います。

栗島:構成としては、最初パネルディスカッション的に私が質問を投げかけながら、適宜Twitterのほうにいただいたものを、拾いながらやっていこうと思っていますので。みなさん、ぜひ巻き込まれていただければ。

小川:年齢層って、どんな感じなんですか?

栗島:どうなってるんだっけ? 高校生の方っています?

(会場挙手)

1割、15パーセント。大学1年生の方は?

(会場挙手)

伊藤:おお、けっこういますね。

栗島:2年生は?

(会場挙手。伊藤氏も挙手)

あ、伊藤くんもか。3年生は?

(会場挙手。小川氏も挙手)

4年生?

(会場挙手)

それ以上の方。

(会場挙手)

伊藤:どっちかっていうとこっちのほうが少ないわ。

栗島:すごいですね。よく集めましたね。

伊藤:そうですね。280人の枠をもらって、200人くらい来るのかなと。

栗島:なんで埋め方の情報知ってるんですか?

伊藤:僕も登竜門を1〜2回作って、そこで会社ができたんでもうわかってたんですけど。この登竜門から起業家が生まれたり、投資を受けたり、僕も実際にここで投資受けたりしてて、すごくいいイベントだなと思ってるので。ちょっと運営サイドで関わったりしてます。

栗島:なるほど。

伊藤:チャンスを掴んでいただけたらと思います。

否定されないようなアイデアでは成功しない

栗島:いいかたちで流れを作っていただいたので、その話に絡めて質問するんですけど。まず、創業期から現在までにどんな変化があったか。起業家の日常の変化とか、そもそもなんで起業したんだっけというエピソードを、お三方からいただきたいと思います。

とくに、ワラガイさんは、社会人になってから起業しているので、そこらへんも含めてお話できれば。最初に話したい人います? じゃあ、伊藤さん。

伊藤:起業してからの変化ですよね。僕は政治サービスという、基本的にお金にならなそうなところを始めたんですが、最初は99パーセントくらいの人に否定されました。

大企業の社長とか、超尊敬している人たちからも「無理でしょ」って言われるんですよ。そのたびに、多少メンタルにくるものがありました。でも、否定されないアイデアじゃなきゃ成功しないと思っていたので、99パーセントくらいの人に否定されても起業しました。

今はちょっとずつ認めてくれる人が出てきたし、ユーザーさんや参加してくれる政治家さんも増えてきています。政治家と僕らを繋げるアプリでもあるんですけど、政治家さんのユーザーさんも増えてきて、けっこうおもしろいところです。

栗島:もともと登竜門に来ていて、そこから起業したと思うんですけど、なにがきっかけで政治という分野を志すことになって、なぜ起業したのか。

伊藤:僕はアプリを作ったり、それこそF Venturesでベンチャーに関わっていることからもわかるように、インターネットサービスがすごく好きだったんですね。その中で、18歳の時に初めて選挙権年齢が下がって、衆院選に行ったんですけど、街頭演説とかを見て「なんかイケてねーな」と思ったんです。

みなさんもすごく感じると思うんですけど、国の中枢である政治が、なんでこんなにイケてない感あるんだろうと。こういう街頭演説みたいなのを、インターネット上でできるようなサービスないかなと思ってたら、日本ではあまりないんですけど、海外だとけっこうあって。これをやったらおもしろいかもと思ったんですね。

アプリ開発がきっかけで起業に至る

伊藤:起業というか、最初は自分でアプリ作って、それでまあまあユーザーが付いたんで、なんかお金も集まりそうだし会社化して投資受けようかという感じでした。起業はけっこうノリでやったところがあります。

その前から、趣味で俳句がすごい好きだったんですけど、周りに俳句やってる友だちっていないじゃないですか。俳句をインターネット上でシェアできるアプリがあったらいいなと思ってたんですが、なかったので作ってみたら、たまたまそれにもユーザーが付いて、欲しいっていう企業さんがあったので売った感じです。

その会社にある程度まとまったお金があったので、それを今の会社のお金にしました。

栗島:創業自体は、1人でやったんでしたっけ? それとも複数人?

伊藤:3人くらいです。

栗島:そのメンバーは登竜門とかで見つけたと。

伊藤:そうですね。今は慶應院生が1人と、学部の友だちが1人。こういうスタートアップのイベントで出会って、3人くらいで起業しました。

栗島:エンジニアだったんでしたっけ?

伊藤:僕はそうですね。ちょっとやってたんですが、今はもうコードは書いてなくて。エンジニア1人、デザイナー1人、僕っていう感じでした。

栗島:なるほど。この諸々のサービスから上がっていって、結果的に資金調達を実現するプロダクトのPoliPoliに至ったという感じですね。

そのサービスを、本当に自分が始める意味はあるのか?

栗島:サービスについてはこのあと聞いていくとして、次は小川さん、お願いします。

小川:はい。自分は2017年8月に起業をしていて、今1年半くらい経ったところです。もともとファッションの会社を1年くらいやっていて、6人くらいメンバーがいたんですけど、それをピボットというか事業を畳むことにしまして。

そこから学生やって、3月にタイミーを考えて8月にリリースしたので、PoliPoliとはちょっと違う感じです。

栗島:ちなみに、ファッションの会社は、最初どういったプロダクトを考えてやってたんですか?

小川: KBC(慶應ビジネスコンテスト)というものがあって、それに1人で乗り込んだんです。僕、立教大学なんですけど(笑)、勝ってやろうと思って1人で乗り込んだら、運営が「1人ってかわいそうだね」って言ってくれて、仲間になってくれたんですよ。そこで優勝できて、シリコンバレーに行って、パスの冊子を作ってたんです。

当時はオンライン接客ツールみたいなものを作ってたんですけど、いろいろなVCを回っても「そんな身長小さいやつに投資できねー」って言われて。だったらおしゃれな女性向けのほうが儲かるなと思って、試着をするだけで割引になるっていう、今でいうZOZOスーツのデータを試着データで取るみたいなサービスに没頭してて、けっこうおもしろかったんですけど。

資金調達できるという話になって、インテルから500万円くらい集まったんですけど、それを受け取るときに、「自分がこれやる意味あるの?」という疑問が生まれた。もともと自分がおしゃれじゃなかったから、自分のためにすごいオンライン接客ツールを作りたかったのに、資金調達のためにおしゃれな女性向けサービスを作っちゃったんですね。それが、自分の中ですごく気持ち悪くて。そんな簡単に決断したわけじゃないですけど、いろいろ悩んでやめました。

タイプの違う起業家同士の刺激

伊藤:僕が大学生になった頃、起業家ってどんな感じなのかなって思ってたときに、KBCのイベントに行って、ちょうど小川さんのプレゼンを見てたら、浴衣を着てたんですよ。起業家ってやっぱ変だなって思いましたね。

(一同笑)

でも、僕と違うタイプの起業家でもあるんですけど、すごい攻めきるというか、その姿勢はカッコいいなと思った。

栗島:起業するときにけっこう影響受けているんですね。

伊藤:そうかもしれないですね(笑)。

小川:お互いそんな感じですよ。自分も社会起業家ではないので、そういうところではすごく参考になる点もありますし、近くにいて一番影響ある。

伊藤:昨日、サウナに行ったんです。

小川:3往復だっけ。

伊藤:そうそう。我慢大会みたいな。

(一同笑)

ワラガイ:2人は同い年ですか?

小川:俺が1個上ですね。

伊藤:そうですね。僕、20になったばっかなんで。

小川:21なんで。

ワラガイ:若い。

栗島:2人がちょっとね……。

ワラガイ:僕、28なので若干上ですけど。

10年在籍していることがステータスになる業界への違和感

伊藤:でも、僕らは就業経験がないんですよ。大企業の人とか行政の人とも話すことありますが、けっこう話の論理がよくわかんないんです。だから一度就業経験があるというのは、けっこう活きるのかなと思います。だからすごい聞きたいです。

栗島:そのお話をぜひワラガイさんに。

ワラガイ:僕は大学を卒業してから広告代理店に入ったんですね。本社がポートランドにある外資の代理店の、東京オフィスです。30~40人規模で、そんなに大きくはないんですけど。

もともとそこに入ったきっかけとしては、広告業界に興味があって「クリエイティブっておもしろそうだよな」ぐらいの、本当にフワッとした感じで。流れというか、出会いがあって入ることができたんですけど。

でも、直接的にやりたかったような仕事はなかなかやらせてくれなかった。広告代理店って、10年とか在籍していることが一つのステータスで、そこからジュニアを持つようになってマネジメントしていくっていうかたちがあるんです。

これ、ちょっと時間かかりすぎるなってちょっとモヤモヤした時期に、共通の知り合いを通じて、うちの代表の工藤と会う機会がありました。

当時代理店ではいろんなプロジェクトに顔を出したり手伝いをしてたので、最初はそれと同じような感覚で「ちょっと手伝ってもいいよ」くらいの感じで工藤の手伝いをし始めたら、そっちに費やす時間のほうがどんどん多くなって。結果として「共同創業」というかたちで、2人で始めることになりました。それが2014年の年末のことで、創業は2015年です。

起業家が2人目に選ぶメンバーはデザイナーがいい

伊藤:僕らは学生なんで、リスクはあるけどないようなものじゃないですか。働いている中で起業するって、そういう勇気ってあったんですか?

ワラガイ:勇気というよりかは、自分がずっとモヤモヤしている中で一定の給料をもらったままやり続けて、いずれはある程度の地位につくんだろうけど、それで満足いくのかというところを天秤にかけたときに、「はたしてその道はどうかな?」という感覚ですね。

栗島:ちなみに学生時代は起業を意識していましたか?

ワラガイ:なにか作りたいっていう思いはすごくありましたが、だからといってCEOとして起業しようというような、そこまで大きい気持ちはなかったですね。

栗島:そういう意味でいうと、工藤くんのどこに一番魅力を感じて、一緒に創業しようと思ったんですか?

ワラガイ:共同創業者にはよくあるんですけど、凹と凸みたいなものを感じるところですね。工藤くんはビジョンのある人なんですよ。すごい夢を描いて、パッショナブルに話をするんですけど、話の展開のスピードが早すぎるんです。

例えば、1、2の話をしてたら、急に10の話になる。きっと彼の頭の中ではちゃんと論理立てているんですけど、みんながついていけない状況が多々あった。最近は良くなっているんですけど。

それを僕が、こういうことだよねって図式化してあげたりしてたんですよね。そういうところが、ウマが合ったところかなと思います。

小川:最近、デザイナーが共同創業者にいると強いってすごく感じているんですよ。Airbnbの創業者って全員デザイナーなんです。うちもCOOがデザイナーなんですけど、やはりスピード感が早いです。

思ったことをすぐに起こせるじゃないですか。デザインすると従業員に一気に伝わることもあって、起業したい人が2人目に選ぶメンバーはデザイナーがいいだろうなと思います。

デザイナーに意思決定権を与えることでスピード感が増す

伊藤:僕は、2人目がエンジニアで、3人目をデザイナーで起用してて。一応役員にデザイナーがいるんですね。やはり思想がそのままプロダクトにいくというか、デザイン系の人たちがいるのはすごくいいですよね。

栗島:そういう意味でいうと、お三方ともサービスが最初期からUI/UXをちゃんとやってましたよね。これはもうデザイナーが内部にいたんですよね。小川さんのところもそうでしたっけ?

小川:うちもそうですね。友だちの友だちに紹介してもらった人が、業務委託でずっと入っていたんですけど、やってるうちにすごくおもしろくなってきたって言って、フルコミットして創業からやってます。

ワラガイ:単純に、デザイナーがある程度の意思決定権を持っているほうがスピード感が出せると思ってます。通常のエンジニアサイドと、デザイナー含めての事業サイドとなると、デザイナーが「これを作りたい」と言ったときのプロセスがけっこう長い。意思決定者にデザインをわかっている人、デザイナーの方がいるとトントン進むっていう利点がありますね。

小川:会場でデザイナー志望の人、います?

(会場挙手)

おお! じゃあ、みんなちゃんと見ておいたほうがいいよ。

栗島:確かに。声かけたほうがいいですよ。

小川:これ、なかなかいないから。本当にデザイナーって見つかんなくて、俺もめちゃくちゃ時間かけて見つけて、やっと創業できたから。デザイナーは大事にしていったほうがいい。

伊藤:確かに。

栗島:プログラミングのスキルはけっこう学べるような時代になったけど、デザインはほとんど「どこで学ぼう?」って感じですよね。

伊藤:ここでチーム組んで欲しいですよね。3社くらい作りたい。

栗島:ちなみにデザイナーってどうやって探していきました?

ワラガイ:うちは今でもぜんぜん探しています。

小川:お!

(一同笑)

作りたい世界観に合っている人をきちんと巻き込むことが大事

栗島:初期のデザイナーさんはどこで見つけましたか?

小川:(ワラガイ氏を指して)デザイナーですもんね。

ワラガイ:僕が1人でやってるところがあるので、探しているというところも……。

小川:俺もイベントで「デザイナー知らない? デザイナーの友だち知らない?」って延々言いまくって、ようやくたどり着いた感じです。

伊藤:3人やろうぜみたいになって、ちょっとデザインかじった程度で出会って。でも、やらないとヤバイし、お前勉強してよって感じで、完全にたたき上げでやりました。だからいろいろ問題もあるんですけど、それはそれでおもしろいですね。

最初からみんな成長しながらやっていくと、すごく良いところも悪いところもあるんですけど、すごくおもしろい部分があります。「もとからデザイナー」っていう人を絶対にリクルーティングする必要もないと思っていて、ビジョンとか世界観に合っている人をちゃんと巻き込むことが一番大事だと思いますね。

栗島:ですね。もともとデザインシンキングって、私とあなたの二人称の関係で、顧客をちゃんと意識してやっていれば、CEOは結果的に持たなきゃいけないスキルのはずなので、まあ、できますよね。伊藤くん、たぶんやってますよね。

伊藤:がんばってます(笑)。

ワラガイ:デザイナーだけじゃなくて、社員全員に少しでもそういう意識があると、必然的にいいプロダクトになっていくということは感じます。