2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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――よろしくお願いします。
住朋享氏(以下、住):よろしくお願いします。
――昨今、マンガやドラマなど、さまざまシチュエーションで料理が取り上げられることが増えたと感じる一方で、核家族化や共働き世帯の増加、外食・中食の充実などにより、家庭では料理がどんどん作られなくなっているのではないかと感じています。
住:そうですね、そのとおりです。
――そんな中、クックパッドは今年2月に発表された定款において、「世界中のすべての家庭で、毎日の料理が楽しみになった時、当会社は解散する」というミッションを発表し、世間をざわつかせました。
住:(笑)。
――この狙いについて教えていただけますか?
住:この短いワードの中には、実はすごく大きな意味がたくさん込められています。まず「クックパッドっていったい何なんでしょう?」「料理って何なんでしょう?」ということです。
クックパッドは、「毎日の料理を楽しみにする」というミッションを掲げている会社です。そこで僕らが考えているのは「料理はただの栄養摂取ではない」ということです。
そもそも人類は、もともと狩猟して生で肉を食べる生活をしてたところから、火を使って料理をするようになり、毎日狩りに行かなくても、火を囲んで家族で団らんをする時間ができるようになりました。
料理をするようになったことによって動物とは明らかに一線を画して、社会性が培われたり、クリエイティビティが培われたり、料理をおいしく食べよう、保存しようという、いろいろな工夫が生まれてきました。
人類の進化と料理は、実は切っても切り離せない関係です。「ただの栄養摂取ではない」というのが重要なことだと思っています。
ですが、現代社会においてはコンビニなども数多く存在し、栄養摂取だけしようと思ったら、料理を一切しなくても生活できてしまいます。
住:けれど、僕らはそれでは良くないと思ってます。料理が本来持っている、「人と人をもっと仲良くしてくれる」「クリエイティビティがもっと培われる」「人生がもっと豊かになる」などの価値がすごい大事なことだと思っています。
「世界中の人たちが料理の価値を享受できる」「うまく使えるようになる」ということが、世界を幸せにすることだとクックパッドは信じています。
でも、だからといって世界中の人に「料理はすばらしいから、みんなやりたまえ」と言ってもおそらくできないし、やってくれないし、実際に日々料理をしている方も忙しくて「そこまで考えて料理なんかしてられないよ」というのが実態だと思います。それを人々がテクノロジーを用いてできるようにすることが、クックパッドのやるべきことだと思っています。
そしてクックパッドによって世界中の人たちが毎日楽しく料理できるようになり、その結果、世界中の人がより健康になったり、より幸せになったり、よりクリエイティビティを発揮できるようになった時、世界中がもし本当にそうなった時というのは……。
「そのためにクックパッドは存在していて、みんなそれを達成するために仕事をするんですよ」ということを言ってるのが、この定款です。
社内から見ても「クックパッドって何の会社か?」って言ったら、「レシピサービスの会社」と答える人って結構いると思うんです。
レシピサービスが解決できている課題は、今日の晩ごはん何を作るか?という献立決定を助けることや、レシピ通りに作ることで料理を再現できることなどがありますが、それはたくさんある料理にまつわる課題の一部分です。
僕らはまだ、その部分しか解決できていなくて、それがクックパッドの存在意義かというとそれは違う。料理にまつわる課題を広く解決していき、その結果、世界中の人がもっと料理を楽しむことで、今はない価値観を作っていくとか、料理本来の価値を世界中に普及させていくことが僕らのミッションなんです。それを明確にするために、今回の定款に追記した。そういうことなんです。
――世間の方が一番気にされてるところは、「本当に解散するのか?」という部分だと思います。
住:(笑)。これは僕の考えですが、本当に解散してもいいと思ってますね。やっぱりめちゃめちゃ困難だと思うんですよ。本当に世界中の人が料理をして、かつ、料理することによって本当に健康になって、幸せな生活を送っている状態になることって、めちゃめちゃ難しいし、本当にやろうと思うとたぶん100年ぐらいかかるんですよ。
100年ぐらいかかって本当に達成したら、別にクックパッドがなくなってもいいと思うんです。世界中の人に「料理をもっともっとしてもらって、豊かな生活を送ってもらう」というのがクックパッドのミッションなので、それが達成できたら、僕は本当に解散してもいいと思ってますね。その時にはもう、クックパッドが解決すべき課題はなくなっているので。
――なるほど。
住:ただ、解決するべき課題があり続けるかぎり、僕らはどこまでもそれを真摯にやりつづける、ということですね。
――確かにすごく困難ですよね。靴でさえ全人類が履いているわけではないのに。
住:そうそう(笑)。そうですよ。全人類が靴を履いていて、かつ、もう買い替える必要がないとなったら、靴メーカーっていらないじゃないですか。
――そうですね。
住:その状態になるのって、めちゃめちゃ困難かもしれない(笑)。でも、それが僕らの存在意義です。なので、これは僕らの、クックパッドの存在意義を定義するものなんです。
――では、ここからは住さんについてお話をうかがえればと思います。クックパッドに入社されたのはいつ頃ですか?
住:入社したのは、……何年だろう? 2015年ですね。
――それまではどんな経歴でしたか?
住:2010年から2015年まではニフティという会社にいました。ニフティには5年間いて、はじめの3年間はスマートフォンアプリのプロデューサーをやっていました。ゲームを3本ぐらいとツールを2~3本、といった感じでプロデューサーとしていろんなアプリをリリースしていました。
後半の2年間は、IoT関係の新規事業創出をやっていました。4ヶ月間ぐらいシリコンバレーに駐在してた時期がありまして。
その時に、いわゆるベンチャーやVC、オープンイノベーションに深く触れて、それ以来、オープンイノベーションで新しくモノを生みたいってことを思考するようになりました。そこが大きな転換点ですね。
――なるほど。ちなみに、以前会社を経営されていたとうかがいましたが、それはいつ頃ですか?
住:それはもっと遡るんですが、高校を卒業してすぐに、共同経営でWebの会社をちょっぴりやっていました。経営といっても実態はほぼただのディレクターで、Webディレクションやプロマネっぽいことを4年間程やっていました。ですが、結果的にあんまりうまくいかず、失敗して挫折して、うつ病になった時期があったんです。
高校卒業してすぐにマネジメントもしなきゃいけないし、プロジェクト管理もしなければいけないということで、明らかに自分が勉強不足でいろいろできませんでした。そこから、ちょっと大学行こうと思って、大学に行きだしました。
1998年から2002年ぐらいまでその会社をやっていて、それから4年間大学に行き、その後、SIerの会社に3年間いて、ニフティに行き、クックパッドに至る。そんな経歴です。
――クックパッドではどのような役割をされていますか?
住:現在は大きく分けて2つのことをやっています。アクセラレータを中心とした新規事業創出と、ちょうど先日プレスリリース出したスマートキッチンの2つの領域です。実は両方とも、僕がクックパッドに入社した時期から、ずっとやりたかった僕のミッションでした。
入社した経緯をお話すると、当時のCTOとCFOの方にお誘いいただいて入った、というのがキッカケでした。
クックパッドは当時、レイトステージのベンチャーを買収するという方法を採っていたんですが、もっと料理に関する新しいシードのベンチャーの育成がしたいという話をしていました。
また、IoTが今後非常に盛り上がる領域なので、「キッチンIoT」「スマートキッチン」という領域を研究開発として進めていきたいという、その2つの領域は、前職でのシリコンバレー駐在などの体験を経て僕もすごくやりたいと思っていたし、CTO、CFOの方も同じ気持ちだったので、「じゃあ、一緒にやろうよ」ということで入社したのがきっかけでした。
ですがその半年後ぐらいに、経営陣が変わってしまって、僕のやりたかったことが宙ぶらりんになってしまったんです。ですが、僕も入社したからにはなにかやりたいとずっと思っていたし、僕がクックパッドという会社のポテンシャルとして、絶対にこの会社はこうしたことをやるべきだと信じてたんです。
なので、経営体制変更があってから1年ぐらい、本当に1人で、スマートキッチンやベンチャーに関しても、いろいろなプロトタイプを他の会社とつくっていました。
今回のスマートキッチンのチームは、実はもともとソニーの人たちなんです。あれも僕が1人でやってた時代に、ソニーの人たちがタイミングよく「調味料調合マシンつくりたい」ということを考えていたので、水面下で「ちょっと一緒にやろうよ」「だったらうちに来て、一緒にスマートキッチンやらない?」という感じで進めていました。
自分1人でもオープンイノベーションをすることによって「今までクックパッドではできなかったことができるようになる」ということを証明したいと思って、いろんなプロトタイプを他のメーカーとつくったり、仕込み事業をやったり、いろんなベンチャー企業を連れてきて、「このベンチャーだったらたぶんこういうことができる」みたいなことを、必死にやっていました。
それを1年ぐらいやった結果、チームができたり、アクセラレートプログラムすることになったり、そういう背景がありまして、現在で2年半です。アクセラレータも採択ベンチャーが5社できて、今いろいろと事業創出に向けたチャレンジをしていますし、スマートキッチンも昨年末ちょうどチームができて、プラットフォームとしてプレスリリースできたり、といったことにつながっています。
――「クックパッドがそういうことをやるべきだ」という強い思いがあったとのことでしたが、たった1人でも進み続けた、そのモチベーションはどこから来るのでしょうか?
住:何でしょうね。1つは僕の原体験でもあって、なぜ僕が高校卒業してすぐにWebの会社をつくる事に関わったのかという理由とも共通します。
僕が会社を作った1998年当時はインターネットが日本に普及した時期でした。インターネットが日本で普及してきていて、明確なイノベーションというか、プレイヤーチェンジが目に見えていた中で、なにかやりたいと思って進学よりWebの会社の方が楽しそうと思いました。
そんな思いからWebをやっていましたが、いろいろ理由があってうまくいきませんでした。その原体験として、「なにか世の中が明らかに変わっていく中で新しいものをつくりたい」というのはずっと昔から一貫してあるんです。
そしてもう1つ、AIやIoTの登場は、人の生活が明らかに変わる、そういう時代の節目になるだろうと認識していて、僕は再び自分の手でなにかをつくりたいと強く思っています。
クックパッドという会社は、日本で一番日々の料理に関するデータを持っていて、ユーザーもたくさんいて、料理に特化してる尖った会社です。だからこそ、この会社でやらない理由は僕はないと思うんです。
そんな2つの理由で、アクセラレートプログラムに関しても、スマートキッチンに関しても、絶対この会社がやるべきことだと考えています。過去に僕ができなかったことをまた再チャレンジして、絶対成し遂げてやるって思っている、そんな感じですね。
――1つ気になるのは、最初に誘ってくれた方たちがいなくなってしまって、計画が一度なくなってしまったら、おそらく違う仕事を割り当てられたのではと思うのですが。
住:あ、実は割り当てられなかったんです。あの……(笑)。
――なるほど(笑)。
住:当時CTO室という部署があったんですけど、メンバーが僕1人だったんですよ。だから、新しい上司の方が現CTOの成田(一生)なんですけど、「好きにしてみたら」と言ってくれたんです。
とくに上からなにかのミッション、タスクが下りてくることもなく、自分で「いや、僕はこう信じてるんです」ということをずっと言い続けてきて「じゃあ、自分でできる範囲でやってみたら」みたいな感じで、泳がせてくれてるということがずっと続いていたんです。
「今はぜんぜんわからないけど、いつか必要な気がするから、まずやってみたら」みたいな、そんな感じのリアクションをしてくれていて、今に至るまでずっと自由に泳いでいるという感じですね。
――なるほど。ありがとうございます。
――では、住さんが担当されている新規事業創出についてお聞きします。住さんが1人で動かれていて、それを実際にクックパッドとして事業としてやることになったのは、どんな経緯だったのでしょうか?
住:昨年、経営体制を変更した時から言われてきたことは、「クックパッドは、さまざまな料理の課題を解決する会社になるんだ」というメッセージでした。その直後「実は料理の課題っていったい何?」「クックパッドってどこまで解決するのか?」ということが、よくわからなかった時期がありました。
そんな時に作られた「食と料理にまつわる社会課題マップ」は、それを明確にするためにやったワークショップがきっかけで誕生しました。
実はその時、ワークショップの結果次第で会社に残るか辞めるか決めようと思ってたんです。
――それはなぜですか?
住:当時私はコーポレートブランディングという部署にいたんですが、その時にいた人と一緒に「ワークショップをやろう」という話になりました。社外では、「クックパッドってレシピに集中する」と言われる一方で、社内からは「いや、クックパッドは世界中の料理の課題を解決する」って言われていて、「いったいどっちやねん?」ってずっと思っていました。
なのでそれを明確にしようと思って、社長や役員の方数名を含めて、ワークショップを2日間拘束してやりました。その時にいろんな課題を出したんですが、世の中にある料理にまつわる課題を全部マッピングしました。
「じゃあ、クックパッドってどこをやるんですか?」となって、あの課題マップってあえて真ん中にクックパッドがあるんですけど、「真ん中に近いところだけやるのか、もしくは、もっと広いところまで含めてやるのか、どっちなんですかね?」という話をしたんです。
その時に、「クックパッドは、今は真ん中の一部だけをやっている」「ただ、料理で解決できる可能性はすごくいっぱいあるので、これを広く解決していくのがクックパッドなんだ」と、合宿をした時に明確になったんです。
「じゃあ、料理にまつわる課題を解決するためには、手段として、社員が自分で新規事業をつくってやっていくか、もしくは、それをできる人材、起業家、アントレプレナーと一緒につくっていかなければいけない。おそらく両方やらなきゃいけないですよね」という話をしました。
例えば野菜の産直サービスつくる時に、社員が「産直って必要だから」と思って新規事業つくるのと、事業のオーナー自身が農家出身で、農家の痛みというか気持ちを、すごく強く知っていて、「私が死んでも、農家のみんなためにこの産直サービスをつくんなんきゃいけないんだ」って思ってやるのと、覚悟がぜんぜん違うんです。
「なんとなくうまくいきそうだからやる」というのは絶対成功しないんですね。料理にまつわる課題を心から解決したいと思う、才能やバックボーンを持った人たちと一緒に解決しないと、本質的にいい事業はできないですし、解決法はたぶんありません。そんな人たちを集める必要がある。そのために僕はアクセラレータが必要だということで、アクセラレータプログラムをつくっている、という理由になっています。
――アクセラレータプログラムのホームページを拝見させていただいて、審査基準に「バックグラウンド」と書いてあり、めずらしいなと思いました。その狙いを教えていただけますか?
住:そうですね。それはいわゆる「原体験」って言ってる意味で、なぜその人がそれをするのかって、すごく重要なんです。お金を儲けたいからやっているのか、もしくは、自分が死んででもやらなければいけないのか、というのはやはりぜんぜん違いますね。
――ありがとうございます。アクセラレータプログラムは6月の上旬にデモデイが予定されていますが、その現状を教えていただけますか?
住:現在、5社を採択しています。1社目はアドウェルという会社です。ある人がスーパーで購入した商品はID-POSデータに記録されるのですが、そのPOSデータと連携して栄養管理を行うヘルスケアサービスを提供しています。
従来のヘルスケアサービスでは、自分が何を食べたのかを自身で登録しなければいけませんでしたが、ID-POSと連携させることで、その人がなにも入力しなくても、ただ日常スーパーで買い物をしてだけで、栄養の偏りがわかるんですね。
例えば、「肉ばっかり買ってるじゃん」「鉄分サプリ飲んでるんだけど、実はビタミンの方がもっと足りてないんですよ」というのを知って、より健康的な食生活に変えるためのアドバイスをしてくれるサービスです。
ここは完全に僕がハンズオンでやっていて、先月は毎週アプリつくってユーザーテストして、何を改善するか全部決めながらサイクル回していました。6月1週から提携先に決めているスーパーさんの中でフィールドテストを行うところまで来ています。
住:2社目は、リンクアンドシェアという、地方の食品メーカーさんや食品工場さんをまとめている会社です。事業自体は食品の流通さんや卸さんに、地方の工場を紹介したりOEMをやっている会社です。
高速のサービスエリアに行くと馬肉のうま煮など、その地方ならではのものって売ってるじゃないですか。あれって、地方の食品メーカーさんや工場さんの製品なんですが、都市の流通になかなか乗らないんです。
それがなぜかと言えば、食べ方がわかんないんですよね。食べ方がわからないものや説明しないとわからないものは良いものであっても売れないリスクがあるので、都市の流通さんにとっては仕入れにくいのです。
なので、5月中旬からテストマーケティングを始めるんですが、全国のスーパー6店舗の中にクックパッドの棚をつくり、その中に工場直送で商品を置いてもらうんです。クックパッドはレシピとポップをつくって提案してあげるんですけど、スーパーさんは売れなかったら自由に返品できるようにしています。
そうすると、スーパーさんは仕入れリスクを負わずにいろんな商品を試せるんですね。食品メーカーさんは普段仲買が買ってくれなくても、いろんな商品を棚に置くことによって、自分たちの商品が出る機会が増えるんです。
クックパッドとしては、「時短・簡単・おいしいレシピ」という印象で捉えられることが多いんですけど、「もっともっといろんな食材を楽しむ」という今までとは違う新しい切り口でスーパーにクックパッドの棚を置くことができます。
住:3社目は、ビビッドガーデンという産地直送便をやっているベンチャーです。伝統野菜や固有種、在来種など、いわゆるスーパーで普通に売ってない野菜を産直便で売っています。
それもなかなか一般の人の目に触れる機会がないので、どうすれば一般の人が買ってくれるのか、クックパッドのトップページにバナーを置いて、テストマーケティングしまくっています。
今後は「一緒にユーザーコミュニティを形成しよう」「そういうことが好きなユーザーコミュニティをクックパッドと一緒に発掘する」といったことをやっていますね。
4社目は、エーテンラボという会社です。なにか新しい習慣をつくるのは1人だと挫折するので、5人1組でチームを組んで習慣化する「みんチャレ」というサービスをやっています。こちらではクックパッドと一緒に、「クックパッド公式チャレンジ」というチャレンジをつくっています。
今は、クックパッドで初めてレシピにつくれぽを投稿してくださった方向けにご案内していますが、今後はもっとそれを広げていって、料理を習慣化する時に、みんチャレとの公式チャレンジを使ってもらって、料理をもっと楽しく習慣化しつつ「それをちょっとビジネス化できないか?」みたいなことも検討しようとしています。
食品メーカーさんや調理機メーカーさんとしては、料理をはじめてつくった時、習慣化する時に触れてるものを今後もずっと使い続けることが多いので、「どうやったらそこをマーケティングできて、かつ、一緒に商品化できるんだろう?」ということをを考えたり、「ビジネス化できるんだろう?」みたいなことを考えたり、そんなことを検討してますね。
最後の1社はプランティオという会社です。彼らは「アーバンファーミング」という都市の中での野菜栽培を広めようとしています。自分で野菜を栽培するって、いい体験というか、必要な体験だと思っています。スーパーで買うだけではなくて、都市の中で自分で野菜をつくって、かつ、その自分でつくった野菜を実際に物々交換する。実際にそれを店頭に売る。そういうことをやってるんです。
野菜って農家さんがつくってるんですけど、農家さんって今後10年間ぐらいで人口が半分になっちゃうんです。
人口が半分になるとどうなるかというと「もっと効率的に野菜をつくる」もしくは「輸入を増やす」の二択なんですが、それって日本の食文化的に僕はあまり良くないと思っています。
農家さんが減ってしまう分を補うために、都市のみんなで野菜をつくって交換して食べるカルチャーって、僕はつくれるんじゃないかなと思っていて、そういうチャレンジを一緒にしていこうとしています。
――すごくユニークなサービスが多いですね。
住:そうですね、ちょっと変化球が多いというか(笑)。どれも共通しているのは、シンプルに知識提供したり組んで終わりではないんです。そのサービスがもし成功すると、なんらかの新しい価値が世の中に生まれるかもしれない、ということを基本的に考えていますね。
――このアクセラレータプログラム、デモデイが終わった後はどのようになっていく予定ですか?
住:基本的に終わった後のほうが重要です。今は、アクセラレート期間が終わった後に、お互いどんな関係性をつくりましょうかということを、試すための期間だと僕は思っています。なので、デモデイまでは、いろんな可能性をお互いに試してみて、「こういう方向性もありかもね」みたいなことを考える期間だと思ってます。
デモデイ以降はアクセラレート期間中にお互いに試行錯誤したことを「あ、この方向性ならやれるからこの方向性でやろうよ」みたいな感じで、長く付き合っていく関係性になると僕は思っていますね。
やってみた結果、「うーん、クックパッドとやる価値なかったな」と思ったら、当然そこで終わると思うんですけど、基本的にはアクレラレータが終わった後、長くやっていくということのほうが重要だと考えています。そんな簡単に文化を変えるとかできないので。
――「終わった。おつかれさまでした。では!」みたいな感じではない、ということですね。
住:そのとおりです。
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