2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
SHARE and World. シェアリングシティの今・未来・可能性(全1記事)
提供:一般社団法人シェアリングエコノミー協会
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藤井宏一郎氏(以下、藤井):はい。みなさま、長丁場の1日ですが、これが最後のセッションになりますので、お付き合いいただければと思います。
ピーターさんが(前のセッションの)最後にお話をされましたので、ピーターさんから始めていただくのがいいかと思います。プレゼンテーションの中で、大都市について話をされていたと思います。バルセロナ、マドリード、ニューヨーク、アムステルダムも大都市です。もちろんソウルも大都市です。
ただ、懸念しますのは人口減少、そして高齢化が進んでいます。そして、小規模な自治体の消滅という問題もあります。このような地方で何をすればいいのか、世界の他の地域でもよく見られるような課題なのか、それともこれは日本特有の問題なのでしょうか?
ピーター・ファン・デ・グリン氏(以下、ピーター):昨日のディスカッションで、日本のさまざまな省庁の方とお話をしたんですけれども、この現象については日本が少し先をいっているような気がします。
日本のほうが他の国よりも高い懸念があるということで、ヨーロッパ、アメリカでもこういった課題がこれから起こってくるということで活発に議論がされていますけれど、まだ日本のような状態にはなっていません。
藤井:では、日本国外でご覧になった例の中で、シェアリングエコノミーが経済を活性化する手段として使われていること、そして、こういった小規模な自治体で行われている例はどういったものがありますか?
ピーター:2つあります。1つは、公共サービスを向上させるということです。これがベースにあります。2つ目が、こういった地域をより魅力的なものにするということです。
北イタリアにある小さな町で、休暇用の住宅やスポーツなど、村の住民、そして観光客の方々に新たな機会を創出しています。
そしてもう1つ、私が非常に重要だと思うのが、スコットランドのエディンバラ、非常にきれいな都市ですけれども、先週スコットランド政府とのセッションがありました。どのようにスコットランドの小さな町を魅力的にできるのかということをお話ししました。
「BlaBlaCar」というカーシェアリングのプラットフォームについてお話をしました。こういった小さな自治体で公共交通を定期的に維持していくのは大変なので、車の空席というプラットフォームを使って、地域へのアクセスを高めるということです。
また、メルボルンというプラットフォームがありますが、これもとても大きなものです。地元の人たちにケアをするということですね。小さな町で、ケアの部分で調整するんです。誰かのために買い物してあげたり、掃除をしてあげたり。これはうまくいき始めています。
オランダで興味深いのは、実際に支援を求める人のほうが、支援をしてあげるという人たちよりも5倍多いんですね。だから、みんな頼みにくいのかなと思います。
藤井:そういったサービスを日本でも展開できればいいと思います。オランダや、すでにサービスの展開が始まっている国から学びたいと思います。
また、クラウドソーシングを利用するということですが、他の国ではあまり見られないんですけれども、多久市では市の収入を得るため、住民の収入を得るために、単に東京のほうからクラウドソーシングのプラットフォームを通して収入を得ようとしています。逆に私たちはそういった話を海外に持っていくことができますね。
ピーター:そうですね。また、とにかく速やかにしなければならないと思うことがたくさんあるんですけれども、世界中の人たちがみんな日本に注目をし始めています。とくに自動化などが、本当にものすごく興味をそそっているものなんですね。北米もしくはオランダで。
藤井:では、次にあなたが来た時に、日本の農村部で何が起こっているか、地方で何が起こっているか、もっと情報を共有したり様子をお話できればいいですね。
AirbnbとUberについても話を聞いてみたいと思います。ここからは、日本語で話させていただければと思いますけど。まずは一昨日、2社が事業提携(ANAとPeachとAirbnbの事業提携)をされたということが発表されていましたが、このたびは本当におめでとうございます。こういった新しい流れがどんどんできてくればと思います。
Airbnbは、使い慣れている方は使い慣れていると思うんですけど、やはり若干リテラシーが必要というか、有名な観光地でないがゆえに、それをAirbnbで見つけたり、自分で別途航空券を取ったりするのは難しい部分もあったのかなと思うんですけど。こういうコラボレーションは、ユーザーさんからの声も大きかったんですかね?
津田佳明氏(以下、津田):そうですね。ユーザーという前に、まず我々のエアラインとしては、とくに先ほどのプレゼンでもあったように、日本の人口が減っていくなかでは新しいディマンドをジェネレートしていきたいんです。
その時に、既存の旅行商品でもがんばっていくんですけど、やはりさらに新しい価値があることで新規の需要が生まれてくるので。
Airbnbさんは単純に民泊ということで、旅館・ホテルではなくて、さらにキャパシティが増える。ここでも十分メリットはあるんですけど、それだけだとおもしろくなくて、そこに人と人とのつながりやコミュニケーションがあったり、その先にまた新しい体験があったり、とくに思いもよらない体験を現地で味わえたり、そういう方向性を目指されているのではないかということで。これは、新しい旅の価値というところで、新規の需要を創造できると思います。
藤井:そうですね、今まで行ったことがないような。
津田:そうですね、期待できるということです。私も実際に何回か使ったことがあるんですが、とくにシリコンバレーに出張に行く時に、あまりにもホテルが高くて1泊500ドルぐらいだったので、「これは会社に精算できないな」と思って、Airbnbさんを使わせてもらいました。
そしたら、ベトナム人の老夫婦のオーナーの部屋ですね。ちょうど4人で行って4ベッドルームで、ちょうどよくて。その時に、そのオーナーの方と旅の前からコミュニケーションがあって、「いつ来るんだ?」「何しに来るんだ?」「どういう仕事してるんだ?」というコミュニケーションをしているから「どんな人かな?」ということを思いながら行くじゃないですか。
それで、行った後もその都度フォローがあって。例えば、「庭にオレンジの木がある。それをもいでミキサーに入れたらジュースになるから、勝手に飲んでいいよ」と言ってくれたり。本当は、仕事して成果が出て帰ってくればよかったんですけど、それ以上にそこに体験があって、価値が生まれる。
藤井:そうですね。
津田:そうしたら今度は、「今度は仕事じゃなくても行ってみようか」「また使ってみようか」という気にもなる。
藤井:わかります。こないだ、パリで「OuiShare」という、まさにこういうシェアリングエコノミーのカンファレンスがあったんですけど、それがパリのパンタンという場所で。パリに泊まっていると、行くのが面倒くさいんですよね(笑)。40~50分かかってしまうので。とは言いつつ、パンタン自体は観光地でもないので、「どうしよう?」と思った時にAirbnbを使わせていただいたんです。
(立地的に)日本で言うと、武蔵小杉に泊まる、みたいなイメージなんですよね。だから、川を超えないといけないみたいな。だからといって、赤坂・六本木あたりのホテルから行くと面倒くさい。そういう時に、パンタンみたいな所で、普通のフランス人の家庭に泊まって、ものすごくおもしろい体験をさせていただきました。
藤井:Airbnbの長田さんにうかがいたいんですけど、知らない場所を見つけるということですよね。今までのステレオタイプの日本ではないところを探すということで。今度のサービスにも「京町家に泊まろう」というジャンルと、提携事業の「国内リゾート生活」というジャンルと、「週末別荘生活」というジャンル、それから「農業体験」と「日本を知ろう!」というジャンルがあるんですけど。
この「日本を知ろう!」について少しうかがえたらと思います。普通の人が知らないような日本を知るというのは、どんなものを考えているんですか?
長田英知氏(以下、長田):そうですね。一応、「日本を知ろう!」は、古民家などを多く掲載させていただいています。
弊社のサイトをご覧いただいた方はご存知かもしれませんが、海外ですとお城やツリーハウスなど非常に特徴的な物件を多く掲載させていただいています。
やはり、日本ならではの体験ができるような古い家屋、あるいは畳の部屋ですとか、そうしたものをぜひ体験いただきたいというところで、いくつかのジャンルを区切らせていただいて、京町家や古民家を掲載しています。
藤井:ありがとうございます。では、お二人、どちらでもいいんですけども、よくシェアリングシティの方々とお話しする時に、困ると言われるのは、宿が取れて、交通手段ができたとしても、そもそも観光資源がないというか。見てもおもしろい町ではない普通の町の場合には「宿があって交通手段があっても、人が来ないじゃないか」と言われたりすることもあります。
そういった、名物や見どころが特段ないような所をおもしろくするには、どうすればいいんですかね?
津田:そうですね。答えになるかわからないんですけど、見どころがない、魅力がないということを誰が思っているのかにもよるのかなと思うんですね。それは、地元の人が思っていたり、あるいは航空会社かもしれないし、旅行会社、送客する立場の人が思っているのかもしれない。
でも、本当に訪れる人にとって何が価値があるかということは、訪れる人に聞いてみないとわからないんじゃないかと思うんです。旅行って非日常じゃないですか。でも、地元の人にとっては普段目にしているものって日常なんです。普段目にしていて当たり前だと思っているものでも、そこに初めて行った人が見るとすごく新鮮だったり、実はそこに価値があったりするんじゃないかと。
我々も、アジアから日本の地方都市に送客しようとがんばっている時に、できればインフルエンサーを連れてきて、実際にその町に何日か滞在してもらって、そこから彼らに体験してもらって、いいものが何かを聞いたり、そのまま発信してもらったり、そういう切り口でやっています。
だから、けっこう「自分たちは気がついてないけど他の人には価値がある」ということはあると思います。
藤井:なるほど。そうやってインフルエンサーなども使いながら、掘り起こしていくというかたちなんですね。
そういえば私、冒頭で言おうと思ったんですけど言い忘れていて。私、ANAファンでして、基本的に飛行機はANAでしか飛ばないと決めていて(笑)。クレジットカードもANAカードを持っています。
津田:スポンサーだから、宣伝してくれてるんですか(笑)。
(会場笑)
藤井:すみません(笑)。いや、ファンなので言いたかったんです。
藤井:ちょっとAirbnbさんにも今の話をうかがいたいんですけど、どうやって観光地でない所を観光地化するか。吉野のプロジェクトだとか、福岡で学会と組んだとか、釜石でもそういうスポーツイベントと組むみたいなお話がありましたけど。「これをやるとだいたい当たる」みたいな定石というか、そういう今まであったコツみたいなものはあったりしますか?
長田:そうですね。なかなか定石はないかもしれないんですけれども、まず1つは、地域でフォーカスが当たるのは、例えば祭りなどのイベントがあるのかなと思っています。そういった機会は、多くの方が訪れるタイミングなのかな、と。
その時に人と人がつながることによって、先ほどもおっしゃっていましたけれども、実際にシリコンバレーに行った時に、もちろんシリコンバレーは仕事で行っているということもあるんですけれども、そこのホストの方とのやり取りに価値を見出して、もしかしたら今度はその方に会いに旅をするとか。
あるいは、その旅を例えばインスタなどに載せた時に、感銘を受けた方々が同じようなかたちで旅をしていくというような、人と人のつながりを地域とグローバルでつないでいくことができれば、価値は生み出せるのかなと思います。
あとは、私も最近、地方をよく回るんですけれども、やはり単に光が当たっていないのかなという部分も多く感じました。民家でも、都会育ちの人間からするとすごく広い家で、きっと老夫婦しか住んでいないんだろうな的な感じのところが多くあるんです。
例えばこういったところに行かせていただくと、囲炉裏があったり、そこで非常におもてなしを受けたりするんですけど、そういった体験だけでもものすごく価値があって。その価値に気づいていないところに光を当てていくことができれば、そこで人と人の交流が生まれる。すると実際にはそういった価値を生み出して、新しい交流人口が生まれてくるのかなとは思います。
藤井:なるほど。だから、やはり気づいてないということなんですね。地元の人たちから見るのではなく、都会の人たちから見るとわかる。
そういえば、私もこの間、長野県の小諸市で町おこしをやっている方々と話したんですけど、すごい古民家で、大正ロマン風のミルクホールみたいなものがついているような場所があって。地元で住んでいる方が維持できなくなって、売っぱらってそこにセブンイレブンができるはずだったところを、東京から来た町おこし協力隊の人が、若い人だったんですけど「これはもったいない」「これをつぶしてセブンイレブンや駐車場にしてはいけない」と言って、自分で何千万も借金してその古民家を買っちゃったみたいな。
「これからそれをレンタルして、(事業を)やるんだ」と言っていたんですけど。逆に都会の人のほうが、もしかしたらそういうものを選ぶ目があるのかもしれないですね。
では逆に、都会の人たちの目もあるんですけど、とはいえローカルなパートナーと組まなくてはいけないと思うので、地元の企業やNPO、あるいはサポート企業みたいなものがあると先ほどおっしゃっていましたけど、いいローカル企業の見つけるには、どういうふうにすればいいんでしょうか?
長田:そうですね。今いろいろな地方自治体さま、DMOさま(地域活性化を目的とする法人)と組ませていただいてるんですけれども、1つはやはり地方でインフラを担っていらっしゃる企業さまがいらっしゃるのかなと思っています。
例えば鉄道会社さまなどとうまく連携をしていって、我々は宿泊を提供しますけれども、そこに至るための交通手段などを提供している事業者さまと組んでいくというところは1つあるのかなと思います。
あと、併せてNPOの方々なども組ませていただくことがあるんですが、やはりそこは両者でいかに事業化をできるかというところで、目線が合わせられるようなプレイヤーさんと組ませていただくのが、わりと成功しやすいのかなとは思っています。
なにかボランティアでシェアしていこうということってなかなか続かないと思うんですけれども、シェアリングエコノミーを1つの新しい地方活性化の機会として捉えていて、そこでなにか新しいビジネスや産業を生み出していく目線を持たれている方のほうが組みやすいのかなと。
藤井:単なるボランティアではなくて、事業化に関して目線が合っているということですね。
藤井:なにか津田さんからも、そのあたりのことについてありますか?
津田:私も別にそこは専門領域ではないので、詳しい状況はわからないんですけど、感想みたいなところで。
やはり自治体さんが組んでいく時に、その組んでいくDMOにあたる人たち、これが1年、2年の短期間の契約で、その間に打ち上げ花火でボーンと大きなイベントがあってそれで終わり、ということもありがちかなと思っていて。
そうではなくて、DMOの人が仮にいなくなった後でも、地元の人たちが自分たちの手で運営できて、それを持続的にずっと続けていく仕組みづくりをしてくれるパートナーやアドバイザーと組むといいかなと思いますけどね。
藤井:なるほど。単なるその場限りのキャンペーンではなくて。PRキャンペーンとか、そういうふうになりがちだったりしますもんね。同じことをピーターさんにも聞いてみましょうか。
地方のビジネスパートナーあるいはNPOセクターのパートナー、シェアリングエコノミープラットフォームは孤立して活動することはできません。地方自治体はどうやってパートナーを見つければいいんでしょうか?
ピーター:まず、地方のリーダーの方にインスピレーションを与えなければいけないこと。継続性そして持続可能性、長期的なプロジェクトということに関して言うと、そこに暮らしている方が組織を率いなければいけません。彼らがコンセプトを声にして取り組みを行っていかなければいけません。
そして、将来のツーリズムということで、どこに行くかということだけではなく、そこで何をするか、何を体験するのかということが、どこに行くかより重要になっていくということです。「東京に行きたい」というよりも、「こういう日本の経験がしたい」と思うことによって、他の地域にも地方にも、お客さまを流すことができると思います。
アムステルダムは人口がかなり多くなってきていますので、アムステルダムの外に多くの人を送ろうということを行っています。
藤井:では、あと1つか2つご質問を受けたいと思うんですけれども、なにかご質問がある方はいらっしゃいますか?
司会者:会場からいかがでしょうか? せっかくの機会ですので、ぜひご質問などあればお受けしたいと思います。
藤井:なければこのまま続けさせていただければと思います。みなさん、もしよかったら最後の一言というか、これから地域活性化にかけた意気込み、もしくは「こんなことをやっていきたい」というのを、一人ひとりお願いします。じゃあ、向こうの長田さんから。
長田:今回、Airbnbとして、ANAさま、Peachさまと新しい旅をつくっていくということで、パートナーシップを締結させていただきました。やはりそうしたなかで、これまでフルサービスキャリアとしてのANAさまと、LCCとしてのPeachさまという、さまざまな方々にAirbnbというサービスを知っていただく大きな機会をいただいたのかなと思っています。
そうしたなかで、より多くの方々を地方に送客をしていって、新しい旅の体験、価値を目指していけるようなサービスを国内で引き続き目指していきたいと思っておりますので、ぜひ今後ともよろしくお願いいたします。
藤井:では津田さん。
津田:はい。再三になりますけれども、ANAは国内を中心に事業をしていますが、やはりこれからの国内線事業ってすごいチャレンジだと思うんですね。このチャレンジをシェアエコでやっていきたいと思っています。
ANAはもともとヘリコプター2機で、従業員も16人で始まっているんです。それで、280機までずっとチャレンジをし続けてきたんですね。だからもともとはベンチャー企業だったんですよね。
シェアエコも今、ベンチャーの会社がたくさんあるので、このみなさんをANAとしてはサポート・支援しながら自分たちも成長していく。こういう流れのなかで、シェアエコのエコシステムの中で、エアラインとしても入り込んでいきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
藤井:よろしくお願いします。最後にピーターさん。
ピーター:地理的な不利な点があって、そのギャップをオンラインで埋めることができるということがありましたけれども、トライアルをしなければいけないと思います。
来年ですけれども、15個のスモールビジネスをどのように行ったのかという事例があります。新しいことを試すのは難しいことなんですけれども、ギャップを埋めることができますし、そこから多くのことを学ぶことができます。そして、これが前に進むために非常に大切なことだと思います。
藤井:ありがとうございました。政府の成長戦略にもシェアリングシティをつくるんだということは書いてありますので、(シェアリングシティを)30もしくは50、本当に来年までにつくったら、もしかしたら日本が世界で一番シェアリングシティの多い国になれるかもしれません。来年はそのあたりのベストプラクティスを世界に発信できるような1年にしていきたいと思います。
ANAさんやAirbnbさんなど、大きな事業者さんの力も借りながら、日本の地方創生を世界のベストプラクティスにしていきたいと思いますので、ぜひ今後ともよろしくお願いします。今日は本当にありがとうございました。
(会場拍手)
一般社団法人シェアリングエコノミー協会
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