日本人は不安感情が高い人が多い
中野信子氏(以下、中野):では、脳の機能の話に徐々に入っていきたいと思います。
DLPFCという人間の知的、社会的活動を担うような脳機能領域があります。DLPFCは日本語では背外側前頭前皮質といいます。合理的に判断して損得を計算する、なんていうことをやっている領域です。知能が高い人ほどよく発達していると考えられています。
ところで、不安感情がDLPFCを活性化するのかもしれない、という話があります。
不安感情がある時、人はその不安を潰すために努力したりとか、なにか力を身につけようとしたりとか、自分でできないことは誰かに頼むというネットワークを作ったりだとか、いろいろな工夫をします。そのときには、DLPFCが戦略を立てているのです。
この不安感情が高い人が日本人には非常に多いというデータがあります。不安感情が高いというのは成績優秀者の特徴でもあります。日本では、組織が長続きするという特徴があります。たとえば、全世界における創業200年を超える会社の8割は日本に集中していると言われます。