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『飲食・小売店オーナーが知っておくべき“いまさら聞けない”「商売長続き」5つの基本』(全3記事)

2017.07.28

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もはや「〇〇だけを売る」の時代ではない 顧客がリアル店舗に訪れる動機の変化

提供:株式会社リクルートライフスタイル

「◯◯を売る」だけの商売はもうお終い? リクルートライフスタイルが提供している0円でカンタンに使えるPOSレジアプリ「Airレジ」が主催する店舗オーナー向けのミニセミナーが行われました。第1回目のテーマは「商売長続きの基本」。100回以上の店舗立て直しを経験し、自身も店舗を経営しているコンサルタント植竹剛氏が登壇しました。長続きする商売の共通点とはなにか。また、モノではなく「コト」「体験」を売る時代だからこそ意識すべきポイントとは?

長続きしているオーナーの特徴は、記録のとり方がうまい

植竹剛氏(以下、植竹):どれだけお金、経費、販管費、販売管理費を使っているのかを額から弾いていきましょう。これが、私のお手伝いの最初になります。

あとは、飲食の方にぜひおすすめなのが、めんどくさいんですけど、電気・ガス・水道のメーターを毎日見て、数字を記録してください。なんでやるかというと、イレギュラーを防げるんです。

私、これで漏水・水漏れ2回、たった1日だけでカバーすることができました。多層階のテナントになると、階下のテナントさんにものすごく迷惑かけちゃうんですよね。これで店舗の保険料が上がっちゃったりします。そういったことを未然に防ぐためです。

両方とも上水でした。下水ではなかったです。なので、本当にちょぼちょぼっと水漏れしていたんですけどりデイリーで検針していくことによって、1.1倍ぐらいの量でも「あれ、おかしいな」って弾けるようになってきます。

プラス、だいたい売上との変動。売上÷データ値でだいたいの係数が出て、その係数が逸脱していると「あれ、おかしいぞ」という簡単な、割り算で出すことができます。

あとは、意外とやられていないのでぜひおすすめなのが、箇条書きレベルで日記を書いてください。例えば「今日は17時からゲリラ豪雨。おかげで客数30予定が5」。これだけでいいです。

今はスマホとか、とくにiPhoneはSiriというアプリがあるんですけど、あれ話しかけるだけで言葉にしてくれますよね。それをそのまま記録しておけばいいんです。「何月何日何曜日。天気、晴れのち雨」と書くんですけど、そこから2〜3行分の箇条書きをペラペラペラ〜と口頭で言っちゃってください。これは、営業終了してから1〜2分で終わると思います。今日の出来事の記録です。

そうすると11ヶ月先に、丸々1年先の1ヶ月間の営業計画を立てますよね。今だったらもう8月の営業計画を立て始めます。

その時に「なんでこんなに数字がいいんだろう?」「なんでこんなに数字が悪いんだろう?」って1年前の出来事は覚えてないんですよ。ほぼ間違いなく。

それを昔は営業日報とか……。私も最初はロッテリアの店長をやってたんですけど、営業日報ってずーっと書かされるんですよ。30分以上かな。正直言って、オーナーさんはあんなのやってられないですよ。

なので、便利グッズを活用して、時間短縮を図りながらそういった記録をとっていっていただきたいというところがポイントになります。

要するに、ここで長続きしているオーナーの特徴は、記録のとり方がうまいんですね。そして計画の立て方もお上手です。行った・行かなかったという数字の検証をすごくされます。その作業に、一番時間を割いてほしいんです。 

そこには30分でも、1時間でも、3時間でも、時間を割いていただきたい。「なぜ10万の売上目標に対して9万5,000円しかいかなかったんだろうか。どうすれば10万円いくことができたんだろうか?」というところに一番時間を使っていただきたいんですね。

なので、日記なんていうのはすぐ終わるような方法をおすすめをしております。今、ToDoでお伝えしたことはいくつでもけっこうです。とくに一番最後の日記かな。これは本当におすすめなのでぜひやってみてください。

コト、経験を買いたい顧客層

次に行きます。「4.顧客の心理を読む 〜これからは『コト』を売る〜」ですね。お待たせいたしました。

残念ながら、これからは「焼き鳥だけを売る」「〇〇だけを売る」「このアパレルだけを売る」という時代ではないと、ご存じの方多いと思います。これからはやっぱりコト、経験を買いたいという顧客層で、リアル店舗も来店動機が変わってきます。もう変わっていると言っても過言ではないです。

例えば、新しいメーカーの靴がほしい。だけど、サイズ感がわからないから、ネット発注はちょっと躊躇される。その時に、リアルの靴屋さんに行って試し履きをさせてもらう。でも、そのお店では買わないんですよね。

僕、靴のサイズが26.5なんですけど。PATRICKというのだと、僕は42というサイズなんです。「やっぱり42でいいんだ」とPATRICKのお店で買わないんですよ。タブレットやパソコン、もしくは自宅に帰って、「PATRICK〇〇」って型番見て、一番安いのを買うんですよね。それで42というサイズを探すんです。

もう、自宅で買える時代になりました。ITのリテラシーでは、パソコンを使える・使えない、インターネットを活用できる・できないみたいのはあると思うんですけど。

私の母は85歳ですけど、82歳の時にタブレット覚えて、もう自分で旅行とか買っています。勝手に旅行に行っています。「北海道へ行ってきた」「京都へ行ってきた」とかやってます。歳も歳なので、バリアフリーツアーというのがあるらしいんですよ。バスもシューンと上がってくれるんですって。

時間はあるんですよね、そういう人たちって。10時間ぐらいかけて泊まりながら京都へ行くんですよ。よくわからんですけど。泊まって食べ、泊まって飲み……とやるんですよね。そして1泊して帰ってくるんです。また京都の観光名所を見て。とにかく乗り降りがない。つまり、そういう名所まで回ってくれるんですね。

もうそういうものって、完全にコトを買いにいってます。今、旅行という話を出しましたけどね。

オーナーが掴むべき顧客ニーズの「変化」の兆し

では、じゃあリアルのお店をこれから持とうとしているみなさんはどうすればいいのか? 難しい挑戦なんですけど、やってやれないことはないです。みなさんも、モノを介在させてコトを売るということに着目してほしいです。

私も週7回、居酒屋さんへ行きます。お酒を飲みに行きます。仕事柄、いろいろなリサーチをしに行くんですね。だいたい1週間で10件ぐらい行きます。昼に10件、夜10件ぐらいですよね。

行くんですけど、よく酔っ払っていらっしゃいます。夜、居酒屋さんに行くと、朝はあんなムスッとした顔して満員電車で通勤しているサラリーマンの方々が、そこではキラキラと目を輝かして、「ハイボールだ」「酎ハイだ」と、プリン体が入ってないものを飲んでるんですよ。

なんで? 自宅にも缶ビールはあるよね。缶ビールを買って帰ればいいじゃん? 違うんですよね。憂さを晴らしたい、同じ話題を持っている会社の同僚と一杯やりながら、仕事でしんどいこととか、嫌な上司のことをあーだこーだ管を巻きたい。だから、3,500円の壁に挑戦するんですね。居酒屋業界では3,500円を超えられるかどうかが、僕は勝負だと思ってるんですね。

別にいいんですよ、自宅に帰って缶ビールを飲めば。200〜300円くらいで済みますから。じゃあなんで10倍のお金を払って同じようなお酒を飲むのか? これがコトだからです。

私は今年の8月で46歳になります。46歳のサラリーマンがなにを求めているのか? 週の真ん中、水曜日になにを求めているのか? 体力的には、終電を過ぎちゃうような飲みはできない。しかし、家族に迷惑をかけない、もしくは怒られない程度だったら、小遣いの続くかぎり飲みたい。ほかに趣味がないから。土日は寝てるし。もしくは家族サービスをしています。

というニーズがあったときに、その46歳のサラリーマンに、みなさんのお店ではどのようなサービスを提供しますか? 直接的に関係なかったとしても。これが考えるときの発想です。

つまり、ここで長続きしているオーナーというのは、顧客ニーズの変化の兆しをつかむのがとてもお上手なんです。顧客ニーズの変化の兆しです。顧客のニーズの兆しじゃないんです。顧客ニーズの「変化」の兆し。

モノより「コト」にニーズがある

私が本当に仕事抜きにしてプライベートで行く居酒屋さんが1件だけあるんです。その居酒屋さんのオーナーは基本的にはまったくしゃべりません。高倉健……は言い過ぎかな。とにかく寡黙な方です。焼き鳥がメインですね。ガスを使わず、備長炭でやっています。

私が「こんばんは」と言って座ります。一言もしゃべらないです。僕の場合はオーダーがすでに決まっているので「いつものお願いします」「はいよ」となる。食べているときに初めてぽつっと「今、仕事うまくいってねえだろ」とだけ言ってくれるんですね。つまり、ずっと顧客を観察してるんですね、その寡黙なオーナーさん。

親しいというのもあるので、そういうタメ口であったりとか、いきなり核心を突いた言葉とかって出てくるんですけど。そうじゃないお客様は、2回目にご来店されたときって、初回との比較は絶対にします。「おっ、今日はなんかこの間より元気そうだね」。もうそれだけ喜んじゃうんですね、お客さんって。それだけで最後+1杯2杯いっちゃうんですね。楽しくなっちゃうんです。見てくれているから。

私は半分単身赴任みたいなもので、家族は別の場所にいるんです。そうなると、やはりなにか、人肌とまでとは言わないですけど、なにかコミュニケーションをしたい。

……というところにコトというニーズがある。一言「うまくいってねえんだろう」「顔に出てるんですか?」って会話が出てるんですね。「そうだな、うまくいってるかいないかは正直わかんないけど、とにかくお前、ちょっと疲れた顔してるぞ」と言ってくれることが大事なんですよね。なので、私はその焼鳥屋へ行くんです。

そのニーズを捕まえられるかどうか。そこは「変化の兆し」という言い方をあえてしましたけど、それってすごく大事なことなんじゃないかなと思ってお伝えをしました。

「どうすればスーパー銭湯に勝てる?」にヒントがある

続いて、「5.お手本になる店を10知っておく 〜実際の競合はどこなのか?〜」です。

モノだけではなく、コトを売る意識した上で、ずばり質問でございます。あなたのお店がお手本にすべき競合店はどこですか。コトを売るということを意識した上で、競合店ってどこになりますか?

例えば、和バルは日本割烹料理がライバルですか? 違います。そうかもしれませんけど、違います。コトを意識すると、完全にターゲットは変わってきます。同業他社ではない可能性があがってきます。

もしも心地よい空間を提供しつつ、おいしい、もしくは、魅力ある商品をお客様に提供したいと思っていらっしゃるオーナーがいらっしゃるのであれば、時間消費型レジャーなんですよ。つまり、飲食店じゃないんです。業態は変わってるんです。はっきりいうと、焼き鳥屋さんとスーパー銭湯ってライバルです。時間消費。

なんでもいいですよ。例えばモクモクした煙が出てて、それがいい演出になって、私のあたりの世代の男性とは焼き鳥屋さんが大好きなんですね。目に染みるぐらいがちょうどいい。なんですけど、リラックスしたい、開放されたいってカテゴリは一緒なんです。それがお風呂に入るということと、ワイワイガヤガヤと気の置けない連中と飲むということ、同じなんですよ。

その上で、上げ膳据え膳で、スーパー銭湯、お料理が出てくる。生ビールがドーンと出てくる。おつまみも出てくる。お子さん用に定食もある。デザートもある。スーパー銭湯は今、すごく流行ってますよね。私もたびたび利用します。食堂はほぼ埋まっていますね。土日に行くとどの時間帯も混んでいます。

裏返しますよ。どうすればスーパー銭湯に勝てるか、仮説を立てます。心地よい空間いいですよね。でも、飲食の方であれば、言っちゃ悪いですけど、スーパー銭湯の食事ってそんなにおいしくないんです。そこで差別化要素が出てるんです。

それが、さっきのコトと売り出すべきモノが合体したときに本当の商売が生まれますからね。本当のビジネスが出てきますから。

付加価値と差別化要素がビジネスチャンスを生む

スーパー銭湯のサービスを分解します。

1つ目、広くバリエーションのあるお風呂に入ってリラックスしたい。ストレスから開放されたい。2つ目は、サウナなど、自宅にはない機能を使いたい。非日常体験を通じてリラックスしたい。開放されたい。

そして、3つ目は、さっぱりしたあとすぐに飲み物・食べ物を提供してくれる。家事から開放された楽さを味わいたいなど。

これがスーパー銭湯に来る顧客のニーズです。ということは、心身ともに楽にストレス解放してくれる場所に行くことが最優先であって、食事のおいしさは、その次なんです。ならば、心身ともに開放させてくれる場所であって、かつ料理がおいしければ、勝てるんですね。というところに、私はビジネスチャンスがあると確信しています。

言い換えると、今の顧客ニーズとも複合的に複雑に絡み合っています。それをいちいち絡み合った糸をほぐしとっていく必要はないんです。そのまま丸くなったものを包括的に受け入れながら、コトを提供する、売るということに対して感化されると、お客様は必ずリピートします。

なので、先ほどプロローグで「時間を作ってください」の中に、競合店の調査も実はしていただきたいのが山々です。たぶん、もう3年以上続いていらっしゃる方というのはやっていただいていると思います。

なんですが、同業他社に行くだけではないというところを、今日お持ち帰りいただきたい情報として……。ご家族連れをターゲットにされているのであれば、例えば「御殿場のアウトレットモールってなんであんなに混んでるのに行くんだろうか?」で、あえて混んだ日に行ってみる。そんな体験をしていただくことがすごく大事だと思っています。

そのコトを売るときのポイントを考えるにあたっては、3つあります。これもみなさんご存じかもしれないんですが、これが一番オーナーとしての仕事、そして一番難しいところと思ってください。

ポイントは「誰に、なにを、どのように売るか」を考えていただきたいんです。誰に、なにを、どのように売るのか。かつ、これ具体的にです。

私がお手伝いするときに、ターゲットの設定は、お名前、姓名、生年月日、出身地、会社名、家族構成、年収、可処分所得、現住所、子どもの年齢、奥さんの年齢、男性であればですね。そういった細かいところまで設定して、その人が……「鈴木一朗さんがこの商品を喜ぶだろうかどうか?」ってやるんです。

それまで200品目あった居酒屋さんがあったんです。対象は45歳以上の男性だったんです。なのに、「アボカドとなんとかのミルフィーユ仕立て」なんていうのを売ってたんですよ。売れるわけないです。

そんなの料理人のエゴで出してただけです。やめた途端、原価率だーんと7パーセントも下がりました。売上がビューンと4倍になりました。

売るものを絞ることによって顧客ニーズが見えてきた。などなど、誰に・なにを・どのように売るかを考える。

そうすると、付加価値と差別化要素が出てきます。唯一無二のお店になっていくためのステップです。ここが押さえられるかどうかによって、今後のビジネスチャンスが広がっていくと、ご解釈をいただければ幸いでございます。

新規顧客を集めるならブログ

最後になりました。これからの店舗経営スタイル、リアルとバーチャルの組み合わせ。デジタルとアナログがあります。これもToDoがいくつかあります。

パソコンが得意じゃない、インターネットが得意じゃない、ホームページ、ブログが得意じゃないという方がもしもいらっしゃったら、得意になっていただくしか、もうこれからの時代はございません。不得意であればパソコン教室へ行ってください。その時間、その費用を投資していただかないと、これからは通用しません。間違いなく。

新規顧客を集めるなら、ブログです。横浜の私のお店は、新規顧客の来店動機80パーセント以上ブログです。

業態がそういう特殊性があるのでそうなのかもしれないですけど、オーナーの笑っている写真は絶対に載せてください。プロのカメラマンに5万円ぐらいで頼む。必ずやってください。素人さんが撮るぽちっとなので、スナップ写真じゃなくて、しっかりお金をかけてオーナーを。

お客様は、オーナーを見に来るようなものです。必ずそれはお金、経費をかけて撮るようにしてください。私もこんなポーズがあるんですけど、あれもお金かけて撮っています。

既存顧客のリピートを上げるのであれば、今はFacebookは不可欠です。Facebookページは必ずやってください。20代の方がメインターゲット層な顧客層だとするならば、Instagramも必須です。

なんですが、最後の最後、デジタルとアナログってありますけれども、最後はリアルとアナログが勝つんですよ。つまり、申し上げたいのは、最後は人材力が結果を変える、創るんです。

ただ、これがあと何年続くかはわかりません。AIによってどう変わってくるかわかりません。機械も今、知恵を出し始めています。

しかし、まだまだリアルのお店があるということは、みなさまにとってはビジネスチャンス絶対あると思っています。

というですね、最後は激励的になってしまったんですが。

私のポリシーでもある「人材によって経営は立て直せる」を最後に結論付けまして、終わらせていただきたいと思います。

ちょっとオーバーしちゃってすみませんでした。ありがとうございました。

(会場拍手)

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