個人より商業向けAIを発展させたい

及川卓也氏(以下、及川):事前にちょっと話してた時に、もう少し起業家に向けてのメッセージにしようかなと思ったんですが。セッションタイトルを改めて見たら「IoT、AI、VRの未来」となっているので、やっぱりちょっと技術者が技術を語るほうがおもしろいということで。そちらの話をいろいろさせていただきたいと思います。

改めてこのIoT、AI、VRについて、みなさんにお聞きしたいんですけれども。みなさんはそれぞれVR代表、AI代表、IoT代表というかたちで出ているので、自分の代表以外のところに対して、どう思っているか。コメントしていっていただきたいなと思うんですけれども。

まずはIoT代表で(壇上の)右側にいらっしゃるので、……みなさんから見て左ですね。玉川さん、しゃべりたいかもしれないですけど、ちょっと待っていただき。残りの2人が、IoTといわれているものに対してどう思っているか、今の自社の事業との絡みはどういうところにあるか。IoTに技術に対して話してほしいんですけれども。どうぞ。

岡田陽介氏(以下、岡田):そうですね、AIから見たIoTなんですけれども。やっぱりAI、とくにディープラーニングをやる上ではもうIoT必須になってきています。

なぜかというと、今までは人がキーボードをカチカチ打ってデータ入力をして、それをAIに覚えさせるんですけど。そうするとたぶんどんなにタイピングが速い人でも、1秒間に5文字ぐらい打ったら「すごいよね」みたいな感じだと思うんですよね。

IoTですと、例えば20ヘルツとか30ヘルツみたいなデータでいくと、1秒間に20〜30回というデータが簡単に生成されてあがるようになってくる。これは、やっぱりAIにとって革命。

そうするとデータ量が爆発的に増え始めるので、AIが学習する、賢くする上で一番重要な学習ベースになりえる。そういったところがIoTとAIが密接に関わってる一番大きいところかなと思っています。

及川:なるほど。そのデータを収集するためのIoTという切り口ですよね。

もう1つ、ちょっと聞きたいんですけれど。今回はGoogle I/Oで、AndroidにのるTensorFlow Liteというのが出てきて、IoT側でもエッジコンピュータとして機能するものがあるじゃないですか。それについてはどう思われますか?

岡田:それも非常に我々としてはありだなと思ってまして。いわゆるスマホの中で動くAIはもちろんあると思うんですけど、我々が目指しているのはどちらかというと工場で動くAIとか小売店舗の中で動くAIを目指していたりします。

これはなにが違うかというと、普通のスマホって使うときだけAIを動かせばよかったりするんです。でも、工場とか小売店って24時間365日起動してくれなきゃ困るわけですよね。

そうすると、スマホ1個だと信頼性低い。そこに対して、エッジ側と呼ばせていただいているんですけれども、そこにAIを置かせていただく。言ってることはまったく一緒なんですけど、プロセスが違う。

スマホ側はもちろんGoogleさんがやっちゃうので、我々がやらないところにいこうと。そこで、エッジ側というかたちで店舗だったり工場だったり街だったり、そういうところにAIに適用していきたいイメージですね。

及川:なるほど。ちょっと誘導尋問みたいになっちゃったんですけれども。データ収集、コレクターとして、もしくは実際にそこで演算、AIをやっていくところの両面でIoTに期待しているってことですね。

岡田:はい。

来年に向けて「使い物になる」テクノロジーが出ようとしている

及川:わかりました。じゃあ次、芳賀さん。VRの切り口からIoTを見て。

芳賀洋行氏(以下、芳賀):ありがとうございます。僕、IoTはくわしくなくてですね。今日のプレゼンを聞いて非常によくて。

うちのお客さんでも、工場とかで使われているVRって、ライブのストリーミングビューアーみたいな感じになってきていて。実際にそこに指示を出したりというのも出てくると思うのです。

そうすると、「この機械の調子がどうなっているか」とか、そういう情報をあげるのもそうですし。実際に、いわゆる360度カメラを使ってデータをあげるという。ちょっとでかい通信になっちゃうと思うんですけど。それもそんなに……通信量が上げればできると思うので。非常に期待しているところです。

及川:わかりました。今のお2人の話を聞いて、もう1つ質問したかったんですけど。

IoT代表で玉川さんに出ていただいているんですけれども、IoTそのものじゃないですよね。IoTを広めるための通信というところじゃないですか。なので、その立場から見ても今後、IoTに対してどう思われるか。あと、2人の今のご意見を聞いてどう思われるかをお話ししていただいていいですか?

玉川憲氏(以下、玉川):そうですね。IoTの技術といったときに、本当にまだまだ発展途上だなと思っていて。とくに昨年の終わりぐらいからGoogle Cloudさんをはじめ、ほかのクラウドベンダーを見てても、IoT系のサービスがダダダーって出てきてるんですね。

まさにここから、今年、そして来年はテクノロジーとしても、IoTにおけるモノ向けのクラウドがどうなっていくか。ここがまさに進化していくところなので。

それこそAI、それからVRというプレイヤーのみなさまから、きちっと使い物になるようなIoTのテクノロジーがまさに出ようとしているところだと思うのです。私自身もプレイヤーとしてどんどんそういったすばらしいテクノロジー・プラットフォームを提供していきたいなと思っています。

人間が発見できなかった最適解をテクノロジーが発見していく

及川:なるほど、わかりました。たぶんここも深掘りしようと思ったら、もっとたくさんしたいと思うんですが。とりあえず次のAIのほうに移ります。

AI代表である岡田さんは聞き役にいったん回っていただいて、同じように、IoT側としてAIに対して期待するものだとか、あとは今の自社の事業でどういう絡みがありそうかを教えていただいていいですか。

玉川:クラウドが出てきて、クラウド・AIがすごい進んでるなと思ってるんですけど、本当にここから先、なにかすごくおもしろいことが起きるんだろうなと思っていて。

あれですね、AlphaGoなんかは本当に象徴的で。AlphaGoの結果では、50回分ぐらいの対戦が見せられたんですよね。あれを見た時の専門家の反応が「なんでこうなるかはわからないけど、強い」という感じなんですね。

つまり「人間には理解できないんだけれども、こっちのほうがいい」というような事象が今後いっぱい出てくる。それって「飛行機が飛んでるけど、なんでかわからない」みたいな、なんかそういうことが出てきてるわけです。

ここが進化してくると、もちろん「なんかよくわからないことが起こって怖い」という警戒心なんかもあるかもしれないんですけれども。どんどん人間が発見できなかったような最適解を、ディープラーニング、それからAIが発見していく世の中になってくる。なので、僕は非常に楽しみに思っています。

データをあげれば「これ使えるじゃん!」が出てくる感じ

及川:ソラコムの事業の中でAIを活用している、もしくは活用する可能性はありますか?

玉川:我々は通信部分を提供している会社ですので、今後は……実際は今までもパートナーエコシステムというかたちで、ABEJAさんをはじめ、みなさまとパートナリングさせていただいてるというところがまずあります。

それからソラコム自身がいわゆる通信のセキュアな通信部分を提供しているので、この通信の部分において、今はちょっとくわしくは言えないんですけれども、そういったテクノロジーを適用できるスペースはいっぱいあるなと思っています。

及川:たぶんなにかありますね(笑)。

玉川:はい。

及川:わかりました。だいたい想像つきます。ではAIに対して、芳賀さん。

芳賀:すばらしいと思っています。というのは、VR、ヘッドトラッキングのデータなどは弊社も蓄積していまして。こういったものから「どういったものをよく見てるのか」とか、非常に使わせていただきたいですし。

あと、僕はけっこうAIは素人でして。本当にGoogleさんで検索して一番上に出てきたAPIを使うみたいな感じで出して「これ使えるじゃん」といって、どんどんデータをあげれば答えが返ってくる感じになってくれるのを心待ちにしております。

というか、もうそんな感じなんですよね。合ってます?

及川:合ってます。

芳賀:合ってますよね。

AIに関する技術はどこまで必要?

及川:これは、先ほど控え室でも話したんですけど、今深掘りしたいなと思ってて。そこらへんから岡田さんに話していただきたいんですけれど。

先ほどのGoogleも全員マシンラーニングのコースを受けるなど、技術者に対する必修技術になる気がしていますが、AI技術者にもいろんなものがあるんですよね。

1つは今、芳賀さんが言われていたように、Googleをはじめ、いろんなところがコグニティブなカタチでAPIを出しているので、「これを使えばいいじゃん」というところを使っていく。本当にAPI利用者という立場。

一方で、いろんなアルゴリズムなりライブラリがあります。これを使う。両方そうなんですけれど、これはけっこう職人的なものが必要じゃないですか。そのパラメーターをどう与えるのか。特徴量の抽出をどうするのか。いろいろあったりします。さらにもっと深いところになると、本当にその部分の研究まで入ってくるところがあるんですよね。

岡田さんの会社はどうアプローチされているのか。AIに対してどう取り組むかを考えている技術者や企業に対して、なにかメッセージがあれば。

岡田:そういった意味ですと、我々の会社は一番上から一番下まで全部やっていますという流れになっています。

基本的には基礎アルゴリズムの開発です。いわゆる、誰も今まで知らなかったAIを研究ベースで作り込むところもやらせていただいていますし、逆に対小売業向けには、完全に誰でも使えるスマホアプリというものもあります。ここまですべてバーティカルでやらせていただいているんですね。

そのなかでよくやらせていただいているのは、プラットフォームの部分です。どうしてかというと、先ほど簡単に話しましたが、GoogleさんのいわゆるGCPのインスタンス立ち上げ、そこでTensorFlowを使って自分たちでこねこねできる方はそれでいいと思うんです。ただ、そういった方は、ほとんどの業種でそういうことができないと思っているんですよね。

逆に、コグニティブサービスのようなカタチで、完全に「APIを叩くだけ」というのは、画像認識問題に関してはけっこう簡単にできたりします。ただ、ほとんどが使えないんですよね。ここでコグニティブサービスを延々と提供していくのは、やっぱり無理なんです。ちょうどその中間にある部分が必要なはずなんですよ。

なので「ここまでカスタマイズしなくていいけど、ちょっとやりたいよね」と、かゆいところに手が届く感じ。ゼロからオンプレで触るのか、AWSを使うのか……言っちゃいましたね。あとはGCPを使うのか。その感覚かなと思っています。

そういう意味だと、我々はAI業界におけるGCPやAWSといったものを使っていきたいとすごく思っている感じですね。